中学受験の算数は「算数で合否が決まる」といわれるほど大切な教科ですが、その算数の問題を解くのに必要となるのが「計算力」です。
難解な文章問題も、一見「計算」とは関係なさそうな図形問題も、「計算力」がなければ正解を導き出せません。
この、全ての「算数」の問題を解くのに必要となる「計算力」をつけるには、どうすればよいのでしょうか。
そこで今回は、2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験の算数に必要な「計算力」をつける方法をご紹介します。
目次
中学受験で必要な「計算力」とは?
中学受験における「算数」は最重要教科といっても過言ではありません。
その基礎となるのが「計算力」なのですが、ここで注意しておきたいのは、中学受験における「計算力」は単に計算問題を解くことができる力とは少し違うということです。
もちろん、入試や模試の算数で最初の問題に出題される、いわゆる「計算問題」を解く力も「計算力」の1つですが、中学受験では「中学受験の算数の問題を解くときに間違えないで計算できる力」が求められ、これこそが中学受験で必要な「計算力」といえます。
例えば、図形で円の面積を求める問題では、面積の公式を使って計算できることを知っていても、少数である円周率3.14を含む計算を間違えてしまえば、その問題は正解できませんよね。
いわば、中学受験の算数で必要な「計算力」は、中学受験の算数を解くときに必要な「道具」です。
この「道具」である「計算力」をスピーディーで使い勝手が良いものに仕上げることが、中学受験の算数では重要になってきます。
中学受験に必要な計算力をつける4つの方法!
では、中学受験に必要な「計算力」はどうしたらつくのでしょうか。
「計算力」をつけると聞くと、公文式やそろばんなどの習い事を連想する方も多いと思います。
もちろん、それらの習い事の素地があると、速く計算できたり、正答率も高いお子さんが多いのは事実です。
しかし、公文式やそろばんを習ったことがないお子さんでも、中学受験の算数を勉強する過程で計算力を鍛えることは可能です。
現に、我が家の子どもたちも、公文式などの習い事は一度もしたことがありませんでした。
受験勉強を始めた当初こそ計算のスピードに遅れを取っていたものの、受験勉強を1年ほど続けるうちに、公文式やそろばんの習い事をしていたお子さんたちと遜色ない速度で計算でき、正答率も高く維持することができるようになりました。
それでは次から、我が家でも実践していた中学受験に必要な「計算力」をつける方法をご紹介します。
1.「新しい計算の仕方」は練習で身に付ける!最初は親も一緒に計算の様子をチェックしよう
中学受験の算数では、整数の四則計算だけでなく、分数や少数を含むもの、括弧がついた計算や□(四角)の入った計算など色々な計算の仕方が出てきます。
このような「新しい計算の仕方」を習ったら、その計算の仕方をしっかり定着させることが先決です。
まずは、新しい計算の仕方を正確に理解して使えるようになるために、50問でも100問でも きちんと正答できるようになるまで、ある程度の数の問題を解いて練習してください。
また、新しい計算の仕方がしっかり身に付くまでは、親御さんが近くで計算の様子をチェックすると、お子さんが間違えるポイントがその場で分かり、速く軌道修正することができておすすめです。
2.習慣的に計算問題を解く
計算問題を習慣的に解くことも「計算力」をつけるのに とても有効です。
そこでおすすめなのが、朝学習や算数の勉強を始めるときのウォーミングアップがわりに行うなど、毎日のスケジュールに計算問題を解く時間を取り入れることです。
1回の問題数はいわゆるドリル的な問題を10問~20問程度が良いでしょう。
問題数に応じた目安時間内に解き、丸付けをして、間違えた問題を解き直すルーティンを毎日の勉強に取り入れてください。
お子さん自身が丸付けをすることで、自分の間違いやすい箇所に気づくこともでき、また習慣的に計算問題を解くことで、計算スピードも上がります。
実際に、我が家の子どもたちはテキストの計算問題を解き、出来なかった問題にチェックをつけ、その場および数日後に再び解くことで、計算問題の正答率も安定し、解く速度も上がりました。
3.頻出計算は暗記する
中学受験の算数、特に難関校では、問題数が多かったり、問題文自体が長文だったりと、想像以上に試験時間がシビアです。
そのため、解答を導き出す手段である計算を出来る限り早く処理し、少しでも時間を作り出す必要があります。
そこでおすすめなのが、頻出の計算を暗記することです。
「計算力」なのに、暗記が必要なの?と不思議に思う方もいるかもしれませんが、頻出の計算の答えを覚えていれば、その分の計算時間を取られずに済み、結果的に時間短縮になるという“からくり”です。
具体的には「平方数」、「立方数」、「三角数」、「3.14の倍数」などを覚えておきましょう。
また、2桁素数の倍数で良く出るものもチェックしておきたいところです。
普段の勉強だけでも頻出の計算を自然と覚えてしまうお子さんもいますが、いずれも、暗記しておくことで計算間違いを防ぐことができ、時間短縮効果も期待でき、中学受験に必要な「計算力」を向上することができます。
ただし、間違って暗記していては元も子もありません。
定期的に暗記を確認するチェックテストも忘れないでください。
4.暗算力も鍛えよう
前でも触れましたが、中学受験の入試では時間内に多くの問題を解く必要があるため、計算スピードも要求されます。
この計算のスピードを上げる鍵となるのが「暗算力」。
そこでぜひ、頭の中で計算する「暗算力」も鍛えていただきたいのです。
方法はそれほど難しくありません。
低学年のうちから、
- 出かける車の中やお風呂の時間などちょっとした隙間時間に、九九の暗唱をしたりそのスピードを測る
- 足して10になる組み合わせを空で言えるようにする
- 親御さんが繰り上がりや繰り下がりのある計算問題を出してお子さんに答えてもらう
など、ゲーム感覚で取り組めることから始めてみてください。
そして簡単な問題ができるようになり、掛け算や割り算を習い始めたら、2桁×1桁の問題に挑戦するなどレベルを上げて、繰り返し訓練してください。
最初は時間がかかっても、暗算を繰り返すことで次第に正答率やスピードが上がりますし、計算の暗記効果も期待できます。
なお、「暗算力」は算数だけでなく、「力のつり合い」などの理科分野でも非常に役立ちます。
算数だけでなく理科分野でも存分にその威力を発揮する「暗算力」はしっかり鍛えておきたい「力」です。
「計算力」をつける方法を実践する際の注意点
これまで「計算力」をつける方法をご紹介してきましたが、その訓練の際はできるだけ親御さんが見守ることをおすすめします。
- 新しい計算の仕方を練習する際は、きちんと正しい計算の仕方で計算できているか、時々チェックする。
- 習慣的に計算問題に取り組む際は、スケジュール通りに実践できているか確認し、出来ていなければ声掛けをする。
- 頻出の計算を暗記するときも、時々、正しく暗記できているかチェックする。
- 暗算力を鍛えるとき、特に低学年の間は、問題を出す側を担うなど少しでも楽しく取り組めるように関わる。
このように親が関わることで、お子さんが自ら計算問題に取り組み、〇付けをして、解き直しをする一連の訓練が万が一間違っていたときに早く修正できます。
また、ミスの出やすいところを発見できたり、何か躓きがあった際もより具体的に塾に相談できるようになります。
なにより、親が声をかけたり一緒に取り組むことで、お子さんも「計算力」の訓練に取り組みやすくなるはずです。
「計算力」をつけるのは今日からでも遅くない!
中学受験の算数において「計算力」があるとないとでは、正答率、問題を解くスピードなどの点で大きな差がつき、ひいては合否を分ける要因にもなります。
ですが、「計算力」をつける方法は案外取り組みやすく、低学年からできるものも少なくありません。
また、すでに受験勉強を始めているお子さんも、今日から始めれば着実に「計算力」は身に付きます。
毎日の朝学習や算数の勉強を始めるウォーミングアップに、ぜひ取り入れてみてください。