「食育」というと、なんだか難しそう、幼稚園、保育園や学校で習うことだから家ではあまり・・・、と考えている方もいるかもしれません。
確かに、最近では幼稚園、保育園や学校で積極的に「食に関する教育」が行われています。
ただ、家でも簡単に「食育」をすることができます。難しいことはありません。
どんな「食育」が家庭でできるか、具体的に紹介しながら「食育」について考えてみましょう。
目次
「食育」とは食を選択する力、健全な食生活を送る事ができる力を育む
「食育」とは、様々な経験を通して、食に関する知識と、食を選択する力を身に付け、健全な食生活を送ることができる力を育むことです。
近年、食に関する問題は非常に多くなっています。例えば、栄養の偏りによる肥満や痩せ傾向、不規則な食事などです。
食は生まれてから命が終わる時まで、一生お付き合いしていくものです。
食の質によって、作られる体や心は違ってきます。
よりよい人生を歩むため、生きる力を習得するために、食について学ぶことは大切だ、と考えられています。
次に、家庭でできる5つの「食育」をご紹介していきます。
1.遊びなから学ぶ食育
子どもの仕事は遊びです。その中で食育をすることも可能です。
楽しみながら、食に興味が持てれば一石二鳥ですね。
絵本を使って食に興味を持たせる
最近、食に関する絵本が数多く発売されているのをご存じですか。
食べ物のシルエットクイズの本や食べ物たちの気持ちが書かれた本など、たくさんの種類が発売されています。
絵本を通して食についての興味を深めることができます。
「学ばせる」というよりも、まずは「食についての興味・関心を持たせる」ための導入として絵本を使った食育はオススメです。
昔からある作品「ぐりとぐら」(福音館書店)は、カステラをつくる内容で、覚えているパパママも多いかもしれません。
何か心に残る食絵本に出会えたら素敵ですね。
歌を使って感謝や体にいい食べ物をわかりやく伝える
子どもたちが大好きな歌で食育することも可能です。
きっと保育園や幼稚園に行っていた頃、誰もが1度は歌ったことのある「いただきますの歌」や「おべんとうの歌」も立派な食育活動です。
最近では、各学校や栄養士会、企業などが「食育のうた」を発表しています。
感謝の気持ちを歌った歌や、どんなものを食べると体にいいのかをわかりやすく覚えるための歌など、多種多様です。
YouTubeなどでも観たり、聴いたりすることができるので、子どもと一緒に覚えて楽しみながら学ぶのもいいですね。
食べ物を使った遊びで食育につなげる
子どもは遊ぶのが大好きです。
絵本や歌以外にも、おままごとやお店屋さんごっこ、野菜スタンプなど食べ物を使った遊びを通して食を学んでみるのはいかがでしょうか。
2.買い物で学ぶ食育
子どもを連れて買い物に行くことは、非常に大変です。
「あれ買って、これ買って」が始まってしまったり、いきなり走り出したり・・・。
ゆっくり買い物することができないので、子どもが幼稚園や学校に行っている間に済ませてしまったり、食材の宅配サービスを利用したりするパパママも多いかもしれません。
忙しいとついつい余裕がなくなってしまいますが、買い物は食について学ぶには最高の場所です。
あれ、これを学ぶ
スーパーに行ったらたくさんの食材を見るチャンスです。
食卓に並ぶ食材は意外と家庭ごとによって固定化されています。
スーパーに行けば滅多に買わない食材も目にすることができます。
「あれ何?これ何?」と忙しい時にたくさん質問されると、ついついイライラしてしまいがちですが、せっかくの機会と考えて、1つひとつ教えてあげると、知識が積み重なっていきます。
逆に「これ何か知ってる?」と質問してもいいかもしれません。
形を学ぶ
核家族だと、食材を丸々購入すると余らせてしまうので、1/2や1/4などにカットされた食材を購入する機会も多いかもしれません。
かぼちゃや白菜、スイカなど大きいものほどカット済みの利用が多くなると思いますが、そうすると丸々1個の形を見たことがない、ということも増えてきます。
では、食育のために購入するべきか、といえばそんなことはありません。
スーパーなどに行って教えてあげてください。「これがかぼちゃだよ、大きいね。」と。
言わないと分からないので、必ず何か教えてあげてください。
子どもはその時は何も反応しなくても、意外にきちんと覚えているものです。
そして、カットされたものと、丸々1個の形のものを頭の中で繋げていく作業をして、ものの理解を深めていきます。
3.育てて学ぶ食育
最近、自宅のベランダなどでもプランターなどを使って、手軽にできるので家庭菜園が流行っています。
大人でも芽が出て、成長していく姿を見るのは楽しいものです。
大人も楽しめますが、植物を育てていくのは子どもも好きなので、楽しみながら一緒に食育することができます。
野菜嫌いな子もチャレンジ精神が芽生える
子どもの頃はどうしても野菜が嫌いな子が多くなります。特に、トマトやピーマン、ナスが嫌いな子が多いようです。
でも、そのトマト、ピーマン、ナスはプランターでも十分育てることができます。
子どもも「自分で育てた野菜なら食べてみようかな」、と食べてくれるはずです。
そして自分で育てた野菜を「マズイ」という子はほとんどいないはずです。またたとえ途中で失敗してもそれも学びです。
上手く育っても、途中で枯れてしまっても、きっと食物への感謝や育ててくれた人の大変さを学び、感謝する気持ちを持つことができるようになるでしょう。
家庭菜園から旬の野菜を学ぶ
その他にも、家庭菜園は旬の時期を知るなど、多くの学びがあります。
さらに嫌いな野菜だけではなく、好きなものも一緒に育てていくと、さらに子どもはやる気がアップします。
野菜の中でも枝豆などは好きな子どもも多いですし、いちごなどもプランターで育てることができます。
家庭菜園を通して、生命への理解と感謝の気持ちの育ちを見守りましょう。
4.調理から学ぶ食育
いつから子どもに調理のお手伝いをさせたらいいのか、悩むパパママも多いかと思います。
「やりたい」と言われても、ついつい「危ないからダメ」、「今度ね」と断ってしまうということもありますよね。
しかし、もしキッチンに興味を持ち出したら、簡単なことから手伝わせてあげてください。
ボウルに何か食材を入れて、混ぜてね、といって混ぜさせてあげてください。
まずは興味を持ったことを受け入れてあげましょう。食育のスタートです。
4歳くらいになったら子ども用包丁を使わせてもいいかもしれません。いつまでも危ない、と遠ざけていたらいつまでもできない子、やらない子になってしまいます。
「お料理する前のにんじんって固いんだ」と、やって初めて気づくこともあります。
メニューを考えることで栄養バランスの感覚が身につく
小学生くらいになったらメニューを考えさせてもいいですね。
保育園や幼稚園、小学校で栄養バランスのよい給食を食べてきたからこそ、バランスの良いメニューを感覚で考えられるようになってきているはずです。
もし、ちょっとな…というメニューを考えてきたら、一緒に考え直してあげて、楽しみながらメニューを作っていきましょう。
メニューを考えてくれるのは、毎日メニューを考えなきゃいけないパパママもありがたいですよね。
興味がある時期に、ぜひ調理もスタートさせましょう。
5.食卓で学ぶ食育
一緒に食卓に座ってご飯を食べていますか?
共働き家庭が増えている現在、ゆっくり食事を楽しむ、ということが難しくなってきてしまいました。
また、どうしても子どもが小さいと、こぼしたり、食べないことにイライラしてしまい、子どもを注意ばかりしてしまう食卓になってしまっていないでしょうか。
そして今度は子どもが1人で食事ができるようになると、つい自分の食事をさっと済ませて食卓から離れ、別の家事をしていて、子どもの食事の様子から目を離してしまってないでしょうか。
食べることの楽しさ大切さを学ぶ
食育の中でも大切な、「食事を楽しむ」ということが、欠けている家庭が増えてしまっているように思います。
もちろん、箸の使い方や食事のマナーを学ぶことはとても大切なことです。でもその前に楽しくなければ子どもだって嫌になります。
食べることは、楽しいこと、誰かと食べるっておいしい、ということを食卓でぜひ教えてあげて下さい。
完璧じゃなくて大丈夫!家庭で少しずつ食について教えていきましょう
食育=子どもに食について教えること、と気構えてしまっていませんか。
教える側がしっかりしなきゃ、と完璧を求める必要はありません。
「食べることって楽しい」、「食べることって大切」これが分かっていれば大丈夫です。
後はパパママも一緒に学んでいってください。小さな頃の食習慣や食に関する考え方は大人になっても続くことが多いです。
幼稚園や学校に任せてばかりではなく、家庭でも毎日少しずつ食について教えていきましょう。
小さな頃からの毎日の積み重ねが、生きる力を育みます。