子供を育てる上で、情緒や感性を育むのに有効とされる「音楽」。
小さい内から意識して音楽に触れさせている方も多いのではないでしょうか。
子守唄から始まり、手遊びうたや、ダンス、楽器で音を出してみるのも一つの方法ですね。
その中で、リトミックの注目度は高いといえるでしょう。今回はそんなリトミックについて、分かりやすく説明していきたいと思います。
目次
リトミックとは?
そもそもリトミックとは一体どんなものなのでしょうか。
リトミックとは、スイスの音楽家エミール・ジャック・ダルクローズ作った音楽教育法の事を言います。
表現力をつけるため、演劇や舞台などの表現の訓練に使われていたリトミックですが、日本では幼児教育や障害児教育、高齢者向けのレクリエーションの分野で注目されている方法です。
リトミックの主要三本柱として、
- リズム
- ソルフェージュ
- 即興
というものが掲げられています。
簡単に言うと、音楽に合わせて動いたり、歌ったり、表現したりする活動です。
実はみんな「リトミック」に触れている!
リトミック活動の内容は?と聞いてもピンとこないかも知れませんが、皆さんもきっと知らず知らずの内に、一度はリトミック活動をしているはずです。
例えば、小さいころに「線路は続くよどこまでも」を歌いながら列車ごっこをしたりしませんでしたか?また、「幸せなら手をたたこう」の歌に合わせて手をたたいたり、足を鳴らしたりしませんでしたか?
こういった歌いながら手をたたいたり、列車になって動いたりする活動も立派なリトミックの一部と言えます。
では、上記のような手遊びなどとリトミックとはどこが違うのでしょうか?
リトミックで行う事を具体的にいくつか見ていきましょう。
リトミックの具体的な活動内容は?
リトミックは大人が見本を見せるようにして行います。
例えば、子供と音楽に合わせて足踏みします。音楽の速さを変えたり、高さを変えたりすることで、足踏みが速くなったりゆっくりになったりと感じたリズムを身体で表現していきます。
リズムに合わせて手をたたいたり、タンバリンやカスタネットのような楽器を使う場合もあります。
少し大きくなると、大人の真似をしなくても子供同士で表現し合う事ができるようになってきます。
例えば、動物というテーマを決めて、ピアノなどで低くゆったりした音を鳴らすとします。そこから考えられる動物を想像して、実際にその動物になりきって動いてみます。
いろんな動物が登場しますが、身体が大きい動物になりきって動く子供がほとんどです。他にも、音楽にのせて手遊びをしたり、絵を描いたり、工作することもあるんですよ。
表現することがリトミック!
このように、音楽を聴く・触れる→考える→表現するといった一連の行動がリトミックなのです。
「これはこうで、こうだから、こうなんだよ」なんて説明はほとんどの場合行われません。
答えがなく、子供が自由に考え、行動できるところがリトミックの魅力です。
リトミックにおいて大切なことは、身体全体を使って音楽を「感じ」、「考え」、そして「楽しむ」という事です。
気になるリトミックの効果
音楽教育の一種であるリトミックでは、音楽的な部分だけしか身につかないのでは?と思われがちですが、そうではないのがリトミックが注目されている理由の一つです。
聴覚や音感、リズム感はもちろんのこと、リトミックを行うことで身につくと言われている力は、他にもあります。
想像力が豊かになる
聴いた音から想像して声を出したり、楽器を鳴らしたり、その音に合った動きをするなど、音から考えられる様々な事柄を自由に想像する楽しい活動が多いため、子供が自ら想像を広げていくことができるようになります。
表現力が身につく
音を聞いて想像できるようになると、例えば音から動物を想像し、その動物になりきって動くというような活動ができるようになってきます。
動物に限らず、葉っぱになったり風になったり、音から想像したことを身体で自由に表現する力が身に付きます。
集中力や注意力が上がる
どんな音が聞こえてくるかに耳を澄まし、聞こえてきた音に即座に反応する活動もあります。
これによって、集中力や注意力もついてきます。
協調性が身に付く
リトミックはグループや集団で行う事が多いです。
音が鳴ったら動く、音が止まったら動かないなど、ルールに気付けなかった場合でも、周りを見ながら合わせることで次第にルールが理解できるようになります。
また友達と一緒になって動いたり、音を出したり、表現したりすることで、協調性やコミュニケーション能力、また社会性なども身に付いてきます。
基礎的な運動能力が身に付く
音や音楽を楽しみながら体を使って活動するのがリトミックです。
歩く、走る、止まる、ジャンプするなど、生活する上で必要な動きも取り入れられています。
その為、基礎的な運動能力が身に付くことが期待されます。
音楽以外でも成長できるのがリトミック
このように、音楽の知識や技術の習得だけではなく、音楽以外の部分の成長も期待できる所が、リトミックがこれまでの音楽教育と大きく違う点ではないでしょうか。
リトミックはいつから?早く始めた方がいいの?
小さいうちからのリトミックへの需要も高く、親子で行えるベビー向けのリトミックは、首が座った頃から通う事ができる教室もあります。
確かに、小さい頃の子供はすごいスピードでいろんなことを吸収していきます。
脳の発達の部分から言うと、成人の脳に対して、3歳までにその80%が完成し、6歳までに90%が完成すると言われていますよね。
その為、幼児期にいろんな刺激を与えることはとても重要なことです。
リトミックは右脳と左脳を鍛える
リトミックの場合、脳の中でも右脳と左脳の両方を使った活動であると言われています。
右脳は芸術的な活動や想像力などをつかさどる脳とされ、左脳は数学的な活動や分析、判断力などをつかさどる脳とされています。
リトミックは音楽を利用することで右脳を使い、考えたり判断したりすることで左脳を使います。そして、考えたことを表現することでまた右脳を使っているんですね。
つまり、脳に与える刺激が多く、両方の脳を同時に刺激できる点では脳の発達にとって、とても有効な教育法だと言えます。脳の成長が著しい幼児期に、リトミックを始める大きな理由はここにあります。
リトミックは大きくなってからも役立つ!
前項にもお伝えしましたが、リトミックで期待できる効果は、成長するにつれてとても役立つものになっていきます。
小さいうちに鍛えられた集中力は、小学校に入った時にとても役立つでしょうし、協調性や社会性などは、幼稚園や保育園などで集団行動が始まった時、すんなりなじむことが出来るのではないでしょうか。
ただ、忘れてはいけないのは、リトミックに限らず、音楽に触れること自体が心身のバランスをとる上で良い影響を与え、良い刺激になっているということです。
きっと子供が生まれてから、たくさんの音楽に触れさせてきた方も多いと思います。
一緒に歌ったり、踊ったり、手遊びをしたり、そういった親子の音楽遊びが決して間違っているわけではない事を覚えておいてくださいね。
子供の成長と合わせて始めよう
リトミックの効果や内容を考えると、早いうちから始めた方が良いように感じますよね。リトミックを始めるなら感受性が高い時期が勝負!というようなことも目にします。
一刻も早く始めないと!と焦らなくても大丈夫です。
成長がなかなか見えにくい部分だからこそ、リトミックを始めようか迷っている場合は、まずお子さんと一緒に体験してみましょう。
子供が楽しめるかどうかや、今の興味や成長段階と合っているかを見極めてみてください。それから始めたとしても、遅くはありませんよ!
家庭でもできる簡単リトミックの方法
最近では0歳からでも通える親子リトミックサークルから、子供向けリトミック教室までリトミックを扱う場所がどんどん増えていますよね。
地域のリトミック教室を検索したら、結構あることに驚くかも知れません。
しかし、教室に通うのは大変という方や、子供が小さいと決まった時間に行えないなど、リトミックはやりたいけれど、なかなか難しい環境の方もいると思います。
そんな時に役立つのがリトミック教材を使った家庭リトミックです。
ピアノが弾けたり、楽器ができる家族がいればOKですし、音楽は苦手という方でも大丈夫。リトミックを取り扱ったCDやDVD、アイディア本などがたくさん売られていることをご存知ですか?
リトミックは何も教室に通わないと行えない活動ではなく、家庭でも親子で行えるものなんですよ!
子供が親しみやすいキャラクターを使ったものもありますので、うまくいくか不安な方はそういったものから取り入れてみてはいかがでしょうか。また、音だけではうまくできないかもと思われる場合は、DVDを利用するのがおすすめです。
リトミックが気になったらぜひはじめてみよう!
リトミックは地域の児童館や子育て支援事業などでも積極的に取り入れられています。基本的に無料の場合が多いですし、強制ではないので行きたいときに参加できます。
そういった地域のイベントも活用すると、リトミックがぐんと身近になりますよ!
子供だけではなく、ママやパパ、家族の方も一緒に身体を動かしてリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。