中学受験をするお子さんにとって、家庭学習もとても重要で欠かすことができません。
その家庭学習で、親、特に子供と接する時間の長い母親は、子どもと一緒にどのように勉強へ関わるのがいいのでしょうか。
そこで今回は、実際に2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験で母親は一緒に勉強するべきなのか、親だからこそできるおすすめの勉強法についてご紹介します。
目次
中学受験で母親は一緒に勉強をするべき!?
中学受験は「親の受験」といわれるほど、親のサポートが必要不可欠です。
塾の送迎や塾弁作り、模試の付き添いや志望校見学だけでなく、日ごろの体調管理や規則正しい生活を送れるようにするなど、役割はたくさんあります。
中でも学習面では、中学受験をするお子さんのほとんどは塾に通うようになりますが、予習・復習、週末に受けたテストの解き直しなどは家庭で行う必要があるため、家庭学習の環境を整えたり、計画的に学習を進める手助けをすることは、志望校合格に直結するともいわれています。
そんなとき、特に子供と接する時間の長い母親が一緒に勉強して、学習進捗の管理をし、分からない問題はその場ですぐに教えた方が効率的なような気もしますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
結論から書くと、中学受験において(母)親は勉強の進捗や理解度を把握できる程度に学習内容を知ることは良いが、教えるのは生活常識や基礎レベルまで。あとはサポート役に徹する!
のが良いようです。
子どもが解けない問題を、母親が先生に成り代わって教える必要はありません。
なぜなら、中学受験は想像以上に難易度が高く、また独特な解法などが多いため、親が家庭で教えるには限界があり、また注意すべきことも多いからです。
実は、母親が一緒に勉強することには、勉強を教える以外の、別の効果を期待するところが大きいのです。
そこで次から、母親が一緒に勉強することのメリットとデメリットをお伝えしていきます。
中学受験で母親が一緒に勉強するメリット
母親が一緒に中学受験の勉強をするメリットには、どんなものがあるのでしょうか。
我が家の経験で感じたメリットは以下の3つです。
- そのときの学習内容や進捗、子どもの理解度が把握できる
- 苦手問題やミスの出やすい問題が分かり、塾の先生との連携がとりやすい(相談しやすい)
- 子どもの努力している姿をみることができる
家庭学習のサポートが必要な中学受験では、一緒にいる時間が多い母親が学習内容や進捗を把握し、宿題や復習・予習ができているか、できなかった問題の解き直しがきちんとしてあるかを確認すると、予定通り出来ていなかったときに早く軌道修正することできます。
また、子どもの学習の仕方に疑問を感じたり、宿題や復習の時間が足りない、模試の成績がふるわない、など壁にぶつかったときには、母親が学習の状況を把握していると、塾の先生に迅速かつ具体的に対応策を聞くことがきでます。
さらに、お子さんが努力している姿を見ることで、お子さんのやる気を引き出すのに必要な「ほめる」ポイントを見つけやすいこともメリットとして挙げられます。
中学受験で母親が一緒に勉強するデメリット
反対に、中学受験で母親が一緒に勉強するデメリットにはどんなことがあるでしょうか。
一般的によく言われることに
- 親子ではどうしても感情的になってしまう
- 親(素人)が教えると、塾との解法と違った場合に、子どもが混乱する
があります。
親子だからこそ感情的になってしまう。
これは、中学受験の勉強に限らず、学校の宿題などで、ほとんどの方に経験があるのではないでしょうか。
計画的に勉強が進まない、同じ間違いを何度もする、模試の成績が振るわないなど、思い通りにいかないことがあると、つい口を出したくなったり、「なんで解けないの」と詰め寄ってしまいそうですが、子どもの立場になって考えてみれば、そんな状況ではやる気も失せてしまいますよね。
また、子どもと一緒に勉強していると、子どもが解けない問題が出てきたときに、つい教えたくなることもありますが、実はこれもあまりおすすめできない行為です。
中学受験の勉強は、算数の「つるかめ算」や「植木算」、「旅人算」などに代表されるよう独特の解法テクニックがあったり、問題も大人が想像している以上に難易度が高いものが多くあります。
そのため、中学受験を経験したことがない親御さんはもちろん、中学受験の経験がある親御さんでも、しっかり教えられるまで内容をマスターするのは、なかなか難しいものです。
たとえ教えられるほど理解できても、塾での教え方と家での教え方が少しでも違うと、お子さんは混乱してしまうので、注意が必要なのです。
中学受験期!親だからこそ一緒に出来るおすすめの勉強法
中学受験で母親が一緒に勉強することには、メリットもデメリットもありますが、だからといって放っておくわけにもいきませんよね。
特に、お子さんが自分自身で計画的に家庭学習ができるようになるまでは、親の手助けが必要です。
では、中学受験で母親が一緒に勉強するときは、具体的にどのような方法をとればよいのでしょうか?
中学受験経験をした我が子に聞いた!母親と一緒に勉強して良かったこと・困ったこと
本題に入る前に、母親が一緒に勉強することを子どもはどう思うのか、気になりませんか?
我が家には、中学受験を経験した2人の娘がいます。
2人とも、リビングで受験勉強をした「リビング学習」派で、ときには母親である筆者が勉強を見ることもありました。
そこで、子ども側の意見の参考として、我が家の娘2人に、母親と一緒に勉強して良かったこと・困ったことを聞いてみました。
良かったこと
- 丸つけをしてもらったこと(時間の短縮、自分で気づかない間違いに気づく)
- 知識問題や一緒に調べた問題は「お母さんに~~と教えてもらったな」と覚えることができたこと
困ったこと
- 算数や国語の読解問題の解き方で、塾の先生と違うときにはどちらの解き方がいいのか混乱したことがあったこと
なるほど、子どもの目からも母親と一緒に勉強することは一長一短があったようです。
我が家は両親とも中学受験の経験がなかったため、子どもに教えるときはテキストや解説を読み込み、できる限り解説に沿った説明をしたつもりでした。
しかし、それでも、塾の先生の教え方と親の説明との間で混乱していたようです。
ちなみに、この意見を出したのは長女。
次女のときは、親は中学受験の解法をしっかり理解できていること以外は教えず、分からない問題は塾で質問するか、長女に教えてもらっていたので、塾の先生の教え方とのギャップに混乱することはなかったようです。
中学受験で母親が一緒に勉強するときにおすすめしたい3つの方法
では、母親は具体的にどのように一緒に勉強するのがいいのでしょうか。
我が家の経験や、塾の先生のお話から、おすすめしたい勉強方法は3つあります。
- 丸つけは(母)親がする
- 間違えた問題は、間違えたところを一緒に探す
- 普段の生活でも学べる工夫をする
一緒に勉強するといっても、横に座って同じ問題を解くことばかりが勉強ではありません。
そこでぜひ、塾の宿題や予習・復習など、お子さんが問題を解き終わったら解答を見ながら丸つけをしてください。
仕事などで忙しい場合は、そのうちの1つでもよいです。
まる付けをして得意・不得意を把握してあげよう
普段の宿題など、塾で出されている問題の丸つけをすれば、その時点の学習内容が把握できるだけでなく、お子さんの得意・不得意とする分野や単元が分かります。
また、間違えた問題は、間違えたところを一緒に探すと、ミスしやすいポイントも分かり、お子さんの理解度も把握できます。
例えば、算数の文章問題で間違えた場合でも、問題を読み間違えたのか、計算過程でミスが出たのか、数字の書き写しでミスをしたのか、など、間違え方は色々あります。
間違えやすいポイントを知ることで得点アップにつなげる
“間違え方”を一緒に確認することで、お子さんにも「自分が間違えやすいポイント」を自覚させることができますし、塾の先生にもより具体的に対策を相談できます。
そして、もし教えるとしても、生活常識や基礎レベルまで。
初見で分からない問題を、解答を見ながら1問1問一緒に考える必要はありません。
分からない問題は、塾の先生に質問すればいいのです。
母親ができることは、質問する問題を一緒に整理することくらいです。
普段の生活で行事や体験を意識的にさせてあげよう
それよりも、普段の生活の中であえて「普段使わない言葉」を使って話したりして、学ぶ機会を増やす工夫をすることの方がおすすめです。
例えば、人出の多いところに出向いたときも、「たくさんの人がいる」というところを「おびただしい数の人がいる」と表現すれば、普段聞きなれない「おびただしい」との言葉を実体験することができます。
実はこの例題は、子供達が通っていた塾の先生から教えていただいたもの。
他にも、季節の行事やその時に食べる伝統食なども、できる限り体験させてあげてくださいとのアドバイスがありました。
いわゆる受験勉強らしい問題を解く勉強ではありませんが、これこそ母親だからこそ一緒にできる勉強といえます。
最後に
今回は、中学受験で母親は一緒に勉強した方がいいのか、おすすめの勉強法はあるのかについてご紹介しました。
中学受験では、計画的に学習を進めることが重要ですが、小学生である受験生が1人で計画通り学習をするのはなかなか難しいことです。
そんなときは、母親が丸つけや分からない箇所を確認しながら、現在の学習内容や進捗、理解度を把握すると、迅速に軌道修正できるだけでなく、お子さんも「お母さんも一緒に勉強(協力)してくれている」と実感できておすすめです。
そして、難しい問題は塾の先生にお任せしましょう。
親と塾の役割分担と連携を上手にすることも、中学受験では必要なテクニックです。