勉強の成果が現れないとき、親としては不安になってしまうものです。
ただ、それでもネガティブに考えすぎるのは好ましくありません。
勉強の成果が出なくても、お子さんが勉強に向いていないわけではないのです。
成果が出なかった原因を見つけ、親としてどう接するか、考えなくてはなりません。
この記事では、塾講師の経験から、勉強の成果が現れない原因と対処法、親としての心構え・子どもへの対応の仕方について、ご紹介していきます。
目次
勉強の成果が現れなくても、まずは冷静に
まず意識していただきたいのは、子どもの勉強の成果が現れなくても、親は最後まで冷静でなくてはならないということです。
確かに、勉強の成果が現れないというのは、親としては非常に悩ましい問題と言えるでしょう。
勉強不足によって成績が伸びないならまだしも、勉強をしているのに成績が伸びなければ、いったいどう対応すればいいのか?という話になるからです。
ただ、勉強の成果が出ないのはきちんとした理由があり、原因さえ突き止めて対処すれば、成績を伸ばすことは十分可能です。
「いくら勉強をさせても成績が伸びないから、この子に勉強は向いていないんだ」と思ってしまう前に、まず原因を冷静に突き止め、対応を考えていきましょう。
勉強の成果が現れない原因と対処法とは?
それではまず、勉強の成果が現れない原因は何か、それに対してどのような対処法があるのか、整理していきます。
集中力に原因がある
勉強で成果を出すには、やはり集中力が欠かせません。
いくら長時間勉強をしても、集中できなければ効果は激減します。
勉強の成果が現れない場合、まずは集中力が下がっている可能性から考えてみましょう。一見勉強しているように見えても実は集中していなかった、というケースはかなり多いです。
まずは短時間の勉強から集中させる
集中力をつけさせるには、まずは短時間の勉強から始めましょう。
いきなり長時間の勉強をさせても、ほとんどの子どもは集中力が切れてしまいます。
それよりも、こまめに勉強時間を区切り、まずは短時間でも集中させることの方が大切です。短時間の勉強でも集中できれば、子どもの中で「集中して勉強できた」という実感が生まれます。
このような「集中する」という経験を積み重ねることにより、本格的な集中力が身についてくるのです。
やり方に原因がある
これは特に中学受験に言えることですが、やり方が原因で成績が伸びない場合があります。
例えば、中学受験における社会や理科はリード文(各大問の冒頭にある問題文のこと)が長い傾向があるので、日頃から長いリード文を正確に読む練習をしなくてはなりません。
こうした傾向を考えず、ただ知識の暗記だけをしていても、社会・理科の受験問題に対応することは難しいでしょう。
もちろん社会・理科に限らず、算数・国語においても各受験傾向に沿ったやり方で勉強をしなければなりません。
このように、特に受験勉強は、勉強のやり方一つで結果が大きく変わります。
思うように勉強の成果が現れない場合、一度やり方を見直し、受験傾向に合わせた勉強をしているかどうか確認してみましょう。
子どものメンタルに原因がある
子どものメンタルも、勉強の成果に大きく関係します。
例えば受験の直前期になって不安になり、スランプに陥ってしまうなどのケースは、中学受験ではよく見られることです。
この場合、勉強の成果が現れない原因は子どもの精神面にあり、子どもの知識・実力が不足しているわけではありません。
ただ、メンタルの不調はデリケートな問題で、その対処法も難しく、注意が必要です。
悪い面ばかりを見るのではなく良い面を見る
スランプなどのメンタルの不調は、ほとんどが思い込みから来るものです。
例えば、実際には知識・実力にほとんど問題がないにもかかわらず、少し問題を間違えただけで不安になり、「他の問題も解けなくなったらどうしよう」などと思い込んでしまうと、本来解けるはずの問題まで解けなくなることがあります。
これは完全に焦りから来るもので、「問題を間違えた」という悪い面ばかりに意識が向いている状態です。
そうではなく、「今回は少し問題を間違えたが、他の問題はだいたい理解できる」といった良い面にも注目し、必要以上に焦らないことが大切です。
そして、このような良い面に目を向けさせるには、親の働きかけが重要な意味を持つのです。
子どもが焦ってしまったときは、まず親から子どもの良い面に目を向け、褒めるべきところは褒めてあげましょう。
親としての心構えと子どもへの対応の仕方
次に、ここまでの話をもとに、子どもの勉強の成果が現れないときの、親としての心構えや子どもへの対応の仕方についてお話していきます。
勉強時間を増やせば良いわけではない
ある程度長時間勉強をして成果が出ないのなら、それ以上勉強時間を増やすのは避けるべきです。
それよりも、集中力が低下していないかどうか、やり方が間違っていないかどうか、など、冷静に原因を突き止めましょう。
繰り返しますが、勉強は長時間やれば必ず成果が出るわけではなく、やみくもに勉強時間を増やしても効果的とは言えません。
むしろ子どもの負担が増え、子どもが勉強嫌いになるおそれもあります。
こうした事態を防ぐためにも、「成果が現れない=もっと勉強時間を増やさなければいけない」という考え方は避けてください。
親の方までネガティブになってはいけない
以下は、子どものメンタルが原因で勉強の成果が現れない場合に、特に重要な話になります。
不安が強くなって集中できず、勉強しても成果が現れないスランプ状態になったとき、まず親が子どもを安心させてあげるべきです。
学校の先生や塾の先生というより、親から適宜声かけをした方が、最終的に子どもは安心します。
子どもの良い面を褒めるのも、子どもの頑張りを認めてあげるのも、親がやるからこそ説得力があるのです。
ここで、親の方までネガティブになってしまったら、子どもの考えをポジティブ思考に変えるのも難しくなってしまいます。
冒頭でも述べましたが、たとえ勉強の成果が現れなくても、親はまず冷静でいるべきです。
そうは言ってもなかなか冷静でいられない、というお気持ちもわかりますが、子どもの悪い面だけでなく良い面にもしっかり目を向け、ポジティブ思考はなくさないようにしてください。
時には勉強から離れるという選択肢も
中学受験の直前期の場合は難しいかもしれませんが、子どもの勉強の成果が現れないとき、一度勉強から離れさせるという方法もあります。
特に集中力が下がったり、やり方に煮詰まってしまったときは、いったん勉強から距離を置き、冷静に考え直すことも大切です。
子どもへの対応の仕方は、なにも勉強だけに限った話ではありません。
無理やり勉強をさせても子どもが勉強嫌いになるおそれがあるので、勉強以外のこともさせ、年相応に楽しませてあげることも重要なのです。
また、受験直前期であれば、勉強そのものをやめることは難しいですが、勉強は継続しつつ休憩時間を増やすなどして、勉強から距離を置く時間も設け、なるべく子どもにリラックスさせてあげましょう。
こうした時間が、子どもにとっても自分を見つめ直す良い機会になるはずです。
親御さんはまず冷静に原因を分析し、ポジティブ思考を忘れず!
今回は、勉強の成果が現れない原因や対処法、親としての心構え・子どもへの対応の仕方についてご紹介しました。
勉強の成果が出ないときは、主に集中力ややり方、メンタル面に原因があると言えます。
勉強が集中したものになっているか、やり方が間違っていないか、メンタル面に不調はないか、それぞれ確認し、問題点があれば冷静に対処法を考えていきましょう。
このとき、やみくもに勉強時間を増やせば良いわけではありません。また、親の方があまりにもネガティブになってしまうのも好ましくありません。
親としてはまず冷静に原因を分析し、ポジティブ思考を忘れず、子どもに接してあげてください。
そのような働きかけが、お子さんにとってもきっと心強いものとなるはずです。