麻布中学校は、東京都港区の男子中高一貫校です。
高校からの募集は行われず、完全中高一貫校となっています。
開成中学校、武蔵中学校とともに、男子御三家の一つとしても知られています。
ここでは、麻布中学校に合格するために必要な入試対策、学校の特色などをご紹介していきます。
目次
麻布中学校の特色
麻布中学校・高等学校は、自主・自立の校風のもとで、豊かな人間性を育むことを教育の理想としています。
思考力や人間性、感性を養う姿勢は、各科目の授業方針にも顕著に表れています。
例えば、現代文の授業では様々な教材やテーマを扱うことで、人間理解、感性、論理的思考力などを養います。
また、数学では、独自のプリント教材によって論理的思考力を身につける授業方針となっています。
麻布中学校では、生徒が自発的に勉強を進めることを重視した方針にも特徴があります。例えば、高校1年・2年を対象に、土曜日に2時間行われる教養総合という授業では、様々なテーマの授業を学期ごとに選択できます。
自分の興味に沿って自発的に勉強を進めることができ、生徒が積極的に勉強に向かうための環境が整っています。
学校の沿革
1895年に麻布尋常中学校が創立され、1900年に麻布中学校に改称されました。
1947年に新制中学に、1948年に新制高等学校に改組され、中高一貫教育が始まり、現在に至ります。
施設
主な施設としては教室棟、事務棟、理科棟、芸術棟、講堂、図書館、新体育館などがあり、充実した施設が見られます。
進学先
2023年大学合格者数は、東京大学79名(現役53名、既卒生26名)、京都大学14名(現役9名、既卒生5名)、東京工業大学18名(現役10名、既卒生8名)、一橋大学10名(現役4名、既卒生6名)といった国公立大学への進学実績があります。
難関私立大学の合格実績は慶應義塾大学98名(現役54名、既卒生44名)、早稲田大学141名(現役77名、既卒生64名)、上智大学47名(現役15名、既卒生32名)といった進学実績も豊富です。
学校周辺の環境
麻布中学校へのアクセスは次の通りです。
- 東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩10分
- 都営地下鉄大江戸線麻布十番駅から徒歩12分
- 東京メトロ南北線麻布十番駅から徒歩15分
- 東京メトロ日比谷線・都営地下大江戸線六本木駅から徒歩15分
- 東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩20分
また、バスを利用する場合、都営バス(橋86:JR目黒駅東口~東京タワー・新橋駅)の愛育病院前から徒歩2分、都営バス(黒77:JR目黒駅東口~千駄ヶ谷駅、品97:JR新宿駅西口~品川車庫)の日赤医療センター下から徒歩8分でアクセスできます。
各地下鉄線やバスによって多方面からのアクセスが可能です。
麻布中学校の受験情報
試験日
2024年2月1日
募集人員
男子300名
試験科目
国語・算数・社会・理科の4科目です。
麻布中学校の偏差値と倍率
偏差値
麻布中学校の偏差値は80偏差値でみると68となっています。
倍率
出願者数(最終数)は880名、合格者数は365名となります。出願者数(最終数)と合格者数による倍率は、約2.4倍です。
麻布中学校の入学後の学費
入学金 | 300,000円 |
授業料(年額) | 494,400円 |
維持費(年額) | 120,000円 |
実験実習費(年額) | 51,600円 |
施設設備費(年額) | 102,000円 |
生徒活動費(年額) | 7,400円 |
PTA会費(年額) | 4,800円 |
合計 | 1,080,200円 |
麻布中学校の入試問題と対策
算数
試験時間は60分、配点は60点満点です。大問数は5~6問程度出題されます。
頻出範囲としては、数の性質、速さ、平面図形、立体図形、規則性などがあります。難問や奇問が多いというイメージがありますが、論理的に考えて解ける問題が多いです。
また、典型的な中学受験の算数と言える出題もあります。難問奇問だけが出題されるわけではありません。
発想力が必要な問題もありますが、これは論理的に考えて解き進める習慣によって身につきます。
普段の問題演習では、論理的な思考力を積み重ねること、そして発想力につなげることを意識しましょう。
また、麻布中学校の算数は解答だけではなく途中式・考え方も書かせられます。
部分点を取るためにも、途中式や考え方がきちんと採点者に伝わるようにしなくてはなりません。
普段から書き方の練習もしておく必要があります。
過去問から傾向をつかみ、似た形式の問題を演習することで、書き方のコツをつかんでおきましょう。
国語
算数同様、試験時間60分で配点は60点満点です。大問1問のみで、物語文が出題されるという傾向が続いています。
文章量は比較的多いですが、読みやすい文章が特徴です。
ただし、記述問題が非常に多いので、記述問題ができるかどうかで勝負が決まります。
普段から記述問題形式の演習を積み重ね、適切な記述で解答できる力をつけておきましょう。
心情変化や場面の流れなどを正確に把握し、設問に対して解答しなくてはなりません。
比較的読みやすい文章でも、それぞれの設問に対応するために、より正確な読解力が求められます。
また、哲学的な内容がテーマになることもあり、登場人物の心情を読み取ることが難しい傾向もあります。
心情変化をはじめ、物語がどのように展開していくのか、十分に注意して読む必要があります。
普段から物語文の演習を重ね、似たテーマを扱っている問題は重点的に解いておきましょう。
もちろん漢字も出題されます。記述だけでなく、こちらも対策しておかなければなりません。
社会
試験時間は50分で、配点は40点満点です。
国語と同様に大問は1問のみです。地理・歴史・公民・時事問題が大問1問で出題されるという総合問題形式となります。
大問の問題文が非常に長いという特徴があり、テーマも様々です。各分野が横断的に出題される総合問題形式の演習を重ねるほか、長い問題文の問題も数多くこなしておくことが大切です。
長めの問題文に慣れていないと時間配分で失敗するおそれがあります。適切な時間配分のもとで解き進めるためにも、問題文が長い問題を多く解き、練習しておきましょう。
また、資料の読み取りや記述問題も出題されます。記述問題では、「なぜ」「どのような」という部分を答えさせる問題が多いです。
理由をきちんと説明することや、具体的に説明することなど、論理的な記述が求められます。
普段の記述対策の中で、「なぜ」「どのような」という点を特に意識しておきましょう。
理科
社会と同様、試験時間は50分で、配点は40点満点となります。大問は4問程度で、記述問題や計算問題、作図なども出題されます。
麻布中学校の理科は、通常の問題集などでは見かけないような個性的な問題がしばしば見られます。
ただし、難問奇問ばかりというわけではありません。
全体的に、理科の知識をもとに論理的に考えさせる問題が多く見られます。理科そのものに対して深い思考ができるかどうかを試していると言えます。
そのため、理科に対する知識だけでなく、興味や関心をもとに思考を進める力も必要です。
出題傾向をおさえるために、まずは過去問を重点的に解き、対策をする必要があります。
特に時間配分には注意しなくてはなりません。
短時間で解ける問題もあるので、難問ばかりに時間をかけすぎず、バランスよく解く必要があります。
時間配分の感覚をつかむためにも、過去問の重点的な演習は必須です。
個性的な問題に特徴があるため、最初は戸惑うかもしれませんが、きちんと対策をすることもできます。
理科に対する幅広い知識、興味や関心、論理的な思考力、解ける問題は必ず正答すること、時間配分といったポイントをおさえて対策をしておきましょう。
過去問
合格最高点・最低点の特徴
2023年度の入試結果を見ると、最高点は157点、最低点は105点となっています。
4科目合計で200点満点となるので、ボーダーラインの得点としては52%となります。5割5分ほどで合格となりますが、6割程度の得点を目安にすることが好ましいです。
麻布中学校合格のために必要なこと
麻布中学校の試験は確かに個性的な問題が多いですが、難問や奇問ばかりが出題されるわけではありません。
いずれの科目でも論理的な思考力が強く求められますが、論理的に考えていけば解答できる問題が多いことになります。
これは、麻布中学校の授業方針などで論理的な思考力が重視されていることも関係していると思われます。
ただ、その論理的な思考力を養うことが難しいので、重点的な対策が必要になります。
科目ごとの特徴は比較的わかりやすいので、それぞれの傾向を踏まえた対策が何より大切です。
例えば、算数では途中式・考え方を書く練習をしておくこと、国語では記述対策をしっかりすること、社会では長めの問題文に慣れておくこと、理科では知識をもとにした思考力を養っておくことなど、それぞれの科目でポイントをおさえ、効率的に対策を進めていくことが重要です。