桐朋中学校は、東京都国立市にある男子校の中高一貫校です。
今回は桐朋中学校の受験予定者なら知っておきたい、学校の特色や受験情報、そして入試問題の傾向と対策についてご紹介します。
目次
桐朋中学校の特色
桐朋中学校・桐朋高等学校では「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」を教育目標に掲げ、豊かな心や高い知性を育てる、幅広い教育を展開しています。
各種授業による学習はもちろん、行事の企画運営や各クラブ活動なども含め、創造的な知性を身につけるための、自主性を尊重する校風に特徴があります。
学校の沿革
1941年、前身となる山水中学校・山水高等女学校が創立されました。
1947年に財団法人桐朋学園が組織され、桐朋第一中学校が発足、1948年には桐朋高等学校・桐朋中学校に改編され、現在に至ります。
学校生活とカリキュラム
中1・中2は「基礎学力の定着」、中3・高1は「基礎学力の充実」、高2・高3は「応用力の養成」と位置付けられています。各教科とも学問的な体系が重視され、1つの課題や問題を多角的に考えられるよう、教科の多くは自主教材が使用されます。
中学では基礎学力を幅広く身につけることを重視し、選択授業は行われていません。また、生徒が主体的に学習に取り組めるよう、夏休みには自由研究があります。
高校3年間は文系・理系混在のクラスですが、高2からは文系・理系で数学・社会・理科をそれぞれ選択する形になります。また、高1でも理科と芸術に選択があるなど、各種選択授業が充実しています。
高3になると、特別活動以外の必修授業は12時間だけとなり、進路・適性に合わせた講座を選択し、大学進学へ向けて学習を進めていきます。
行事と部活動
文武両道として、各クラブ活動も活発に行われています。球技や各種競技、武術などの運動部、理科系や文系などの文化部、同好会など、様々な活動が見られます。
また、各種行事は生徒が主体となって運営され、中1の社会科見学、中2の林間学校や音楽会、桐朋祭、生徒による授業(生徒が自ら調べ研究した成果を桐朋祭でプレゼンテーションすること)など、多方面で幅広い行事が行われています。
施設
各教室・各校舎をはじめ、図書館、天文ドーム、プラネタリウムなどの学習施設や、体育室、グラウンド、柔道場、プールなどの運動施設に至るまで、充実した施設環境が整っています。
進学先
2022年度の大学入試結果(現役)では、国公立大学86名(そのうち東京大学は6名)、早稲田大学55名、慶應義塾大学42名、上智大学29名など、難関大学を含めた合格実績が見られます。
学校周辺の環境
交通アクセス
- JR中央線国立駅から徒歩15分
- JR南武線谷保駅から徒歩15分
一橋大学とも近く、緑豊かな大学通り沿いに位置しており、のどかな周辺環境が特徴です。
桐朋中学校の受験情報
試験日
- 第1回:2023年2月1日(水)
- 第2回:2023年2月2日(木)
募集人数
- 第1回:約120名
- 第2回:約60名
試験科目と配点
科目 | 試験時間 | 配点 |
国語 | 50分 | 100点 |
算数 | 50分 | 100点 |
社会 | 30分 | 60点 |
理科 | 30分 | 60点 |
偏差値
桐朋中学校の偏差値は80偏差値でみると次の通りです。
- 第1回:57
- 第2回:61
倍率
2022年度の実質倍率は次の通りとなります。
第1回 | 第2回 | |
募集人数 | 約120名 | 約60名 |
受験者 | 299名 | 394名 |
合格者 | 150名 | 231名 |
受験倍率 | 2倍 | 1.7倍 |
桐朋中学校の学費
学手続きおよび入学後の学費一覧は以下の通りです。
入学手続時 | |
入学金 | 270,000円 |
建設資金 | 130,000円 |
合計 | 400,000円 |
入学後納入 | |
授業料(月額) | 41,200円 |
施設拡充費(月額) | 10,000円 |
生徒諸費(月額) | 2,500円 |
林間学校費(月額) | 8,800円 |
PTA入会金・生徒会入会金 | 2,300 円 |
PTA会費(月額) | 500円 |
生徒会費(月額) | 500円 |
桐朋中学校の入試問題と対策
算数
試験時間は50分、配点は100点満点となります。大問は7問で、大問1・2が計算問題・一行問題、大問3以降が応用問題という構成です。
頻出分野は図形、速さ、割合、数の性質など、幅広く出題されています。全体として基本的な問題が多いですが、その分、わずかなケアレスミスが大きな差につながる可能性があります。計算ミスなどは絶対に避け、素早く正確に解き進めることを意識しましょう。
また、後半部分では難易度の高い問題もあるので、決して油断はできません。前半部分はしっかり得点源にしたうえで、いかに後半部分に対応できるかがカギとなります。思考力・整理力が求められる問題もあるので、日頃から問題演習を繰り返し、実戦的な力を磨いておきましょう。
そのほか、一部で途中式・考え方を記述させる問題も見られます。採点者にしっかり伝わるよう、普段から途中式や考え方を過不足なく記述する練習をしておきましょう。
時間的な余裕があるわけではないので、記述問題も含めて時間内に終わるよう、過去問演習などで時間配分の感覚を養うことが大切です。
国語
算数と同じく、試験時間は50分で配点は100点満点です。大問は2問で、小説文や随筆文などの読解問題2題で構成されています。また、漢字の書き取りなども読解問題の中で出題されます。
設問形式は選択肢問題、書き抜き問題、記述問題などがあり、特に記述問題は字数制限のない問題も出題されています。記述対策はなるべく早いうちから行い、問われる内容を過不足なくまとめる力、自分の言葉を使って適切な字数でまとめる力を鍛えておきましょう。また、記述問題はどうしても時間がかかるので、記述力を磨くにあたり、スピードも意識する必要があります。
また、試験時間も余裕があるわけではないので、読解は速く正確に行わなければなりません。場面・心情の変化、論理展開など、順を追ってスピーディーに把握していけるよう、日頃から読解問題の演習を徹底し、実力を磨いていきましょう。
社会
試験時間は30分、配点は60点満点となっています。大問は3問で構成され、地理・歴史・公民(時事問題含む)分野からバランスよく出題されます。
設問形式は選択肢問題と適語記入問題が多いですが、字数指定のない記述問題も2問程度出題されています。基本的な問題が中心ですが、時間がかかる記述問題も含め、試験時間30分で解かなくてはならないので、時間的な余裕は少ないです。また、地図やグラフなどの資料も多く登場するので、与えられた情報を短時間で理解する力も求められます。
例年、出題傾向に大きな違いは見られないので、過去問演習を徹底して傾向に慣れたうえで、時間配分の感覚もしっかり養いましょう。
また、過去問演習だけでなく、日頃の問題演習でも常に時間を意識し、スピーディーに解く習慣をつけることが大事です。テキスト・副教材を丁寧に学習して基本を定着させたうえで、速く正確に解く実戦力を鍛えましょう。
理科
社会同様、試験時間は30分、配点は60点満点となります。
大問は4問で、4分野からまんべんなく出題されています。基本的な問題も多く見られますが、幅広い分野から出題されるため、基礎知識を広くおさえておかなければなりません。
設問形式としては、選択肢問題や適語記入問題、計算問題のほか、記述問題の出題もあります。社会と同じく試験時間が短いため、時間配分には特に注意が必要です。過去問演習はもちろん、普段の問題演習でも時間をしっかり意識し、速く正確に解き進める練習を徹底しましょう。
また、実験や観察問題など、思考力・考察力が求められる問題も見られます。表やグラフ、図などの資料も多いので、十分注意しなくてはなりません。こちらも問題演習を徹底し、与えられた資料・情報を素早く読み取る練習、そして知識と照らし合わせて考察を進めていく練習を行い、実力を鍛えていきましょう。
過去問
桐朋中学校合格のために必要なこと
桐朋中学校の試験問題は、いずれの科目も比較的オーソドックスな出題傾向で、基本的な問題も多く見られます。ただし、その分だけ高得点勝負になる可能性があり、一問のケアレスミスが大きな差につながるおそれがあります。
そのため、基礎知識をまんべんなく正確におさえたうえで、ケアレスミスは絶対に避けるよう、知識の精度と注意深さが必要となります。
また、記述による表現力や、思考力・考察力が問われる問題にも注意しなくてはなりません。
算数では途中式・考え方を書かせる問題があり、国語では字数制限のない記述問題が出題されるほか、社会・理科でも記述問題や考察させる問題が見られます。こうした問題にも対応できるよう、過去問からしっかり傾向を把握したうえで、似た問題の演習を徹底し、実力を磨いておきましょう。
こうした点に注意し、まず基礎知識を正確にしたうえで、速く正確に解き進める力を高めていくことが重要です。