子どもが非行に走らないように!問題行動を起こす前に出来ることと寄り添い方

ベンチに座る子ども

子どもの問題行動には友だち同士のケンカや学校の校則を破る、無断欠席、遅刻、器物破損、喫煙、飲酒、窃盗など様々なものがあります。

我が子がそのような非行に走らないように、と願う保護者も多いかと思います。

今回は非行に走らないようにするために、子どもにどう寄り添っていけばいいか、教員経験を交えてお伝えしていきたいと思います。

「問題行動」と「非行」

まずはどこからが「問題行動」とするか、という線引きをしていきましょう。

大人が「どこからが問題か」を意識することで、早期に問題行動を意識し、対処することができるのではないか、と考えるからです。

独立行政法人教職員支援機構によると、「問題行動」とは社会規範(法律や規則、常識やマナーなど)に照らした時に、何らかの好ましくない意味を持つ行動を指す言葉としています。

大きく暴力行為、暴走行為、窃盗、恐喝、いじめなどの「反射的問題行動」と不登校やひきこもり、自傷行為、自殺などの「非社会的問題行動」に大きく分けることができるとしています。

では「非行」とはどのような行動を指すのでしょうか。一般的には青少年が違法行為や反社会的行為のことを指します。

つまり「問題行動」の延長またはその途中に「非行」という行為があるのです。

「非行」に走ってしまう子の特徴

環境的要因

非行に走ってしまう原因でよく言われるのが「家庭環境」についてです。

「親のしつけができていない」「親の愛情不足」「親からの叱責」など親が原因でストレスを抱えていることによるもの、とされることが多いです。

確かに非行までいかなくとも、学校生活において問題行動が見られる子の多くに「家庭での悩み」が見受けられます。

例えば筆者が受け持った生徒に毎日のように遅刻して登校してくる子がいました。

叱っても、褒めても、一緒に解決策を考えても、遅刻はなかなか減らず、あまり自分のことを話す子でもないため、どうしたらよいか悩んだことがありました。

家庭の中での悩みが原因で問題行動を起こしてしまうことがある

しかし話をしていくうちに、段々と家庭でのことを話すようになっていきました。

家では親とあまり話すこともなく自室にこもっていること、小さな頃から褒められたことがないこと、などポツポツ話すようになりました。

しかし、実際に家庭での様子を見ているわけではないので、家庭での親子関係がどのようなものかは教員である筆者には正直わかりません。

ご家庭との電話連絡のなどでも決して親子関係が破たんしているとは感じませんでした。

ただ一つ確実なことは、その子は孤立や愛情不足を感じている、ということでした。

そこから積極的に声を掛けることを意識し、1人ではないことを感じさせる対応を心がけました。

そして結果的にその子を救ってくれたのは、友だちでした。

その子のことを心配し、時に励まし、時に叱り、朝電話をしてくれる、そんな子が出てきたのです。

家庭でも親と「とてもよい友だちを持ったね、もう遅刻できないね」という話をしたと嬉しそうに話をしてくれ、遅刻は段々と改善されていきました。

このように家庭での悩み(放任、無視、過干渉、過度な期待、家庭内暴力、両親の不仲、離婚など)が原因で問題行動を引き起こしてしまうことがあります。

遅刻はやがて家出や深夜徘徊などに繋がり、そしてそこから非行へと繋がっていくこともあります。

何事も軽視せず、早期に対応していくことが大切になってきます。

発達障害

近年注目されているのが、発達障害と非行との関係です。

発達障害とは、生まれつき持つ脳機能の障害のことを言います。

大きく広汎性発達障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害、知的障害に分類することができます。

広汎性発達障害は他者の感情が理解できず、上手く関わることができない、こだわりが強いなどの特徴が見られます。

そのため、常識がないことや場違いなことをしてしまい、いじめの対象になり、対人不信や孤立から非行へと繋がっていくとされています。

その場合、奇異な非行に走る傾向にあるようです。

また、注意欠陥・多動性障害は落ち着きがなく、何度も同じ間違いをするなどの特徴が見られます。

そのため、周囲から注意を受けることが多くなります。

そうした状態を親のしつけ不足や愛情不足とされることも多く、親子で対人不信や孤立を感じるようになり、何かをきっかけに衝動的な非行に走ってしまうことがあります。

「非行」に走らないために親ができること

家庭環境を変えてみる

「子どものために」と思ってしていることが、実は子どもにとって望まない対応であることもあります。

例えば「なんでも子どもに任せている」という場合、親は子どもの自主性や気持ちを大切にしたいと考えてのことかもしれませんが、子どもにとっては「自分のことも見てくれない、考えてくれない」と思ってしまっているかもしれません。

逆に「子どものためになんでもしてあげている」という場合、それは子どもにとって余計なことで、ストレスになっているかもしれません。

できれば自分の家庭を客観的にみて、問題はないか見直してみましょう。

大人も自分の非は認め、改善することは大切なことです。

発達障害を理解する

「もし自分の子が発達障害と診断されたら…」と検査を進めても躊躇される保護者の方もいらっしゃいます。

しかし、きちんと検査を受け、診断がされればその子にあった教育や対応をしてあげることが可能になります。

必要に応じて薬を飲んだり、入院して治療を受けることもできます。

心の発達のサポートを適切にしていくことで、非行に走らせることを防ぐことに繋がると考えます。

まずは、地域の子育て支援センターや精神保健福祉センター、児童相談所などで相談してみるとよいかもしれません。

子どもと関わる姿勢を大切にしましょう

子どもの非行や問題行動は、親からの愛情不足や教育不足と言われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

“親に責任がある”と言われれば、その親を追いつめてしまう可能性もあります。

非行の原因は様々です。想像もしていなかったようなことが原因の場合もあります。

大切なことは子どもとよく話をする、話を聞いてあげる、見てあげるということだと思います。

子どもは体が大きくなっても、心も十分な成長ができているとは限りません。

寄り添い、犯罪行為にまで手を出すことがないように見守ってあげましょう。

そして、もしもの時は親だけで悩みを抱え込まず、周囲に相談してみましょう。

親兄弟、親戚、友人、学校の先生など相談に乗ってくれる人は必ずいます。

もし、身近な人に相談しにくい場合は公的な相談機関を利用してみてください。