中学生になると英文リーディングの学習が本格的にはじまります。
小学校の英語が英会話やゲーム中心の「英語に親しむため」の学習だったのに対して、中学の英語では文法を正しく理解すること、単語の意味とスペルを正確に覚えること、発音記号の読めること、そして長い英文を日本語訳することなど、さまざまな暗記と複雑な作業を要求されるようになります。
この大きな変化にとまどい、今までは英語が大好きだったのに急に苦手意識を持つようになってしまう子どもたちもいます。
そんなお子さんにはアメリカで実際に使われている小学校の教科書を使って、英文読書の楽しさを経験させてみてほしいと思います。
目次
英語が苦手なのは、楽しい英文を読んだことがないからかも知れません
中学校に入って最初にならう英文は、だいたいどの教科書でもあいさつに仕方、自己紹介の仕方でしょう。
あとは学校生活のいろいろな場面の会話文をとおして、さまざまな文法や単語、表現方法を学んでいきます。
ここで思い出してほしいのですが、中学校の英語の教科書を読んでいてワクワクしたり、思わず吹き出してしまった経験はあるでしょうか。
私は英語の教科書の会話文を無味乾燥で退屈な文章だなあと思っていました。
「あなたはバスケットボールが上手ですね」「ありがとう。ところで、わたしはのどが渇きました」「本当ですか。それじゃあ、水を飲みに行きましょう」
こんなつまらない文章を読むために、たくさんの単語を覚えなくてはいけないこと、そして退屈な文章を何度も音読させれるのも苦痛でした。
英語が苦手な子どもたちも同じなのではないでしょうか。
退屈な文章を読むためだけにたくさんの暗記を強要される。
興味もやる気もわいてこないというのも、無理からぬことではないかと思います。
英語学習の初心者でも楽しく読める英文があるの?
とはいっても「英単語もまだほとんど知らない(中学の3年間で学ぶ単語数はだいたい1300語です)、文法の理解もまだ不十分な子どもでも楽しめる洋書なんてあるのかしら」と思われるかもしれません。
でも、アメリカで使われているreading(国語)の教科書を使えば、中学生のような初学者でも楽しく英文を読む楽しさを味わうことができます。
おすすめしたい教科書、Houghton Mifflin Reading level1〜level6
おもにカリフォルニア州、あとは韓国や台湾のインターナショナルスクールなどで使われているreading(国語)の教科書です。
レベルとしてはlevel1〜level3で英検4級〜3級程度、level4〜level6で英検3級〜2級程度になります。
また多読(英語を英語で理解するために有効とされるトレーニング)のためのテキストとしても、高い評価を得ている教科書です。
「Houghton Mifflin」の教科書はアマゾンなどのネットショップでの購入も可能です。
level4〜6の高学年用テキストになると1冊1万円程度と教科書としてはとても高額です。
ただ、絵本作家・児童文学作家の作品が10作品程度が納められているので個別に10冊の洋書を購入することを考えると多少お得かもしれません。
どんな風に使えばいいの?
中学生が英文読書の楽しむための「Houghton Mifflin Reading」の使い方をご紹介します。
1.豊富な挿絵を手掛かりに読む
まず「Houghton Mifflin Reading」には、中学どころか高校でも習わないような単語がたくさん出てきます。
日本人の中学生が受験のために覚えるべき頻出単語とネイティブの子どもたちが覚えるべき単語はまったく違うということなのだと思います。
ですがわざわざ「Houghton Mifflin」を読むために、学校では使わないような単語を覚える必要はありません。
Level1〜Level6までどのテキストにも豊富な挿絵があるので、それを手掛かりに読んでいきます。
高校受験や大学受験の英文読解の文章はますます長文化する傾向にあります。
わからない単語がいくつかあるだけで内容が把握できなくなってしまうようでは、それらの文章には歯が立ちません。
「Houghton Mifflin Reading」を使った英文読書は推測しながら読むという習慣をつけておけば、長文を読み解く訓練にもなります。
中学校の英文を読むときのような逐語訳を心がける必要はありません。
「この文章の意味はだいたいこんな感じかな」という風におおまかな意味を把握できれば十分です。
2.推測しながら読む
1の補足になりますが、英文は同じ単語を繰り返し使うことを嫌います。
そのため1つのお話に同じ意味を表すちがう単語がいくつも出ています。
ですが、それらをすべて覚える必要はありません。
文脈の流れで、たぶんこの単語はあの単語と同じ意味じゃないかなと推測ながら読めばいいのです。
とにかく英文は「推測しながら読む」ができるようにならないと、いつまでもスラスラ読めるようにはなりません。
きっとこんなオチなんだろうなとか、この主人公はこんな感じのこと言いそうだなど、とにかくいろいろ想像しながら読んでみましょう。
3.音声CDを利用する
「Houghton Mifflin Reading」には別売りの音声CDがあります。
そちらを利用すれば、朗読者が感情をこめて読んでくれているのでますます内容が推測しやすくなります。
中学校の教科書でしか英文を読んだことのないお子さんが「Houghton Mifflin Reading」を楽しむためには、やはり親御さんの手助けが必要になると思います。
4.一緒に読む際のおすすめの手順は
- 音読する、または音声CDを一緒に聴く
- はじめはストーリーをお母さんが日本語に直してあげて、ときどき「ここではどんなこと言ってる?」とできそうなところだけをお子さんに振るでいいと思います。
英文を読む際は、文章をそれぞれ役割ごとのブロックに分けて理解することも大切です。意味の把握はおおざっぱで構いませんが、どの単語(またはどの文節)が主語(または主部)と述語動詞(または述部)なのかは徐々に構わないので、指摘できるようにしましょう。
まとめ
「Houghton Mifflin Reading」には吹き出してしまうようなおもしろい話、「へえー、知らなかった」と感心するようなサイエンスノンフィクションのお話し。
思わずウルッときてしまうような感動実話など、夢中でどんどん読めるお話がたくさん納められています。
ぜひ英文読書の楽しさを味わってみてください。
矛盾するようですが、英文読書の楽しさを感じられるようになれば、基本的な文法を理解する大切さ、語彙を増やすことの大切さ、それらを身につけるための教科書での学習の大切さにも気づけるのではないかと思います。