全国学力・学習状況調査では、秋田県は常にトップクラスの成績を収めています。
しかし、そんな秋田県はもともと47都道府県中43位と決して良い成績だったとは言えなかったのです。
それではなぜ、秋田県は全国学力・状況調査で連続1位をとるなど、全国トップクラスの成績を叩き出すようになったのでしょうか。
今回は、秋田県でどのような教育がされているのかをご紹介していきます。
目次
子どもを包み込む環境づくり
秋田県の所得は、全国に比べて高いとは言えません。塾に通っている子については、全国で一番少ないと言われています。
それでも好成績の子がたくさんいるというのは、教育はお金ではないということを証明しています。
子どもたちがしっかりと学習をするためには、まず家庭や学校などの教育現場での環境づくりが大切です。
ここでの環境づくりとは、子どもが学習するときの体力、精神、場所、時間などのことを指します。
秋田県は、その環境づくりがとても上手なのです。
授業参観の保護者参加率が高い
秋田県の授業参観の保護者の参加率は、なんと120%にも及びます。
120%とはどういうことかというと、両親のみならず祖父母や親戚、近所の方など、みんなで子どもを見守っていこうとするため、このような参加率になるのです。
村全体で子どもを見守り、子どもは両親からももちろん、周りの大人たちからたっぷりの愛情を受け、劣等感を持たない自尊心の高い子どもに育っていきます。
そのため、子どもは学習にやる気が出たり自信を持てたりします。
睡眠と朝ご飯がしっかりとれている
近年では、スマホやゲームが普及していることもあり、夜遅くまで起きていたり、時間がなく朝ご飯をしっかり食べなかったりする子どもが増えてきています。
しかし、秋田県ではアンケートなどの結果から、睡眠や朝ご飯が他県に比べてしっかりととれていることが分かっています。
睡眠と朝ご飯をしっかりととれていなければ、当然学校で授業に集中することができません。
授業に集中できないだけではなく、身体的にも成長が遅れてしまう可能性があります。
「恥ずかしい」という感覚を無くす
人前で話すことや、間違えることは「恥ずかしい」と思っている子どもはたくさんいます。
そのため、全国学力・学習状況調査では、悩んだ末に無回答のまま提出するという子どもも少なくありません。
しかし、秋田県は全国的に見て圧倒的に無回答率が低いのです。
それは、秋田県の子どもが間違いを恐れず、「恥ずかしい」と思っていないからだと言えます。
普段から、学校や家庭で何かを間違えたとしても、責めたり馬鹿にしたりすることは決してなく、間違えても良いと安心できる雰囲気や授業がつくられているからです。
例えば、学校で誰かが発表して答えを間違えたとします。
よく見られるのは、「違います」と先生や周りの子どもたちに言われて終わりというパターンです。
しかし、秋田県の多くの学校では、もし誰かが間違えたら、それさえも授業の材料とし、みんなで正解を見つけていこうという姿勢で授業をしているのです。
表現重視の授業づくり
秋田県では、ただこなすだけの授業ではなく、表現することを重視した授業づくりがされています。
例えばかけ算の学習をするときに、九九をただ覚えるというのではなく、かけ算の計算の仕方はどうしたら解けるのか、九九はどんな仕組みになっているのかなどを、先生が教えるのではなく、子どもたちが考えるのです。
色んな閃きやアイデアを出して考えを練り合い、答えにたどり着くように工夫がされています。
そのため、ただ聞く、こなすだけの授業ではなく、常に自分の意見や考えを出していくという授業のため、自分を表現する量が多くなります。
自学には家庭学習ノートを取り入れている
秋田県では、普段出される宿題以外にも、家庭学習ノートなどで自学をするようにしているところが多くあります。
この家庭学習ノートは、自分で自分に問題を出す形で取り組まれています。
内容は特に問われていないのが特徴で、自分の好きな教科、苦手な教科、予習、復習、漢字の練習、視写など、その日に自分がやりたい内容をなんでもして良いということになっています。
やりたくない学習をするわけではありませんので、子どもも進んで取り組みます。
家庭学習ノートとは別に、一行日記を取り入れている学校もあります。
子どもの学習ノートに保護者と担任がコメントを残す
子どもが学習したノートには、保護者と担任がコメントを残します。
コメントがあるのとないのとでは、子どもにとって大きな違いです。
自分が頑張ったことに対して、誰かが反応を返してくれるということは、見てもらえている、認めてもらえているという安心感や、次も頑張ろうというやる気につながっていきます。
全国的には、担任が子どもへコメントを残すというのはよく見られますが、秋田県では保護者もコメントを残すという点が他県との違いであり、ポイントでもあります。
家庭と学校の連携
もちろん他の地域でも、家庭と学校の連携はされているはずです。
しかし、秋田県では学習面のみならず生活面でも家庭と学校が連携し、しっかりと子どもをサポートしているのです。
他の地域と比べ、物理的ではなく家庭と学校との距離が近く、がっちりと繋がっていることも学力が高い特徴かもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
記事から分かるように、秋田県は特別な学習法を取り入れているというよりも、子どもの立場に立って、子どもが学習しやすい環境を大人たちが作るよう努力をしているのです。
子どもたちに愛情をたっぷりと注ぎ、自己肯定感を高め、表現する力をつけてあげることで、子どもたちのやる気と学力はぐんと上がるものだと言えます。