「這えば立て 立てば歩めの親心 わが身に積もる老いを忘れて」
という言葉があるように、赤ちゃんがハイハイを始めれば早く立たないか、立てば今度は早く歩かないかと子どもの成長を楽しみに待ち望むのが親心というものですよね。
しかしそのような期待をするあまり、
「どうしてできないの」
「もっと頑張れるでしょ」
などの言葉かけをしてしまうことも多々あるのではないでしょうか?
とくにこのような問題は、子どもの家庭学習を見守る必要のある小中学生の保護者によく聞かれる悩みです。
「集中して勉強してくれないのでついガミガミ怒ってしまう」「もっとやる気を出してもらうにはどうすればいいのだろうか?」と悩みは尽きませんよね。
そこで今回は教員の経験から、家庭学習をより効果的なものにしていくために、親が家庭学習をサポートする上で気をつけた方がよいこととその理由についてご紹介していきます。
お子さんの家庭学習サポートの参考にしてみてください。
目次
親だからこそ教えることが難しい!
「家庭でも楽しく学習をさせたい!」とは思っていても、そう毎回スムーズにはいきませんよね。
実はこれは、“先生”という立場で普段から子どもの指導をしている人でも同様に、「我が子を指導するとなると途端にやりにくくなってしまう」状態になるのをご存じでしょうか。
というのも、親と子どもという構図になると、その関係性はとても近いものになります。
親があれこれ説明しても、話を聞かない、ふてくされてやりたがらない、泣いてしまう、という状態に容易になってしまうのです。
親に対して子どもが「嫌だ!」「やりたくない!」とはっきり言えば、親は親で子どもに対して怒りの感情をぶつけてしまう。
その状態では勉強にふさわしい環境をつくることはできませんよね。
「親子でイライラするのは嫌だから、私には家庭学習は無理だ」とあきらめてしまいたくなる親御さんは少なくないはずです。
しかし、子どもの成長はあっという間です。
子どもの学習を見守ることができる時期はほんの少ししかありません。
イライラしてしまうこともあるでしょうし、子どもによってやり方も異なってくるかもしれませんが、次の「親が家庭学習でしない方がよいこと」を踏まえながら、効果的に学習を進めてみてください。
親が家庭学習でしない方がよい4つのこと
1.「勉強しなさい」とだけ言う
子どもの勉強を見ているとき、ついつい急かしてしまいがちになっていませんか?
「早くしなさい」「宿題まだやらないの!?」などの声かけだけをして、なかなかやろうとしない子どもに対してまたイライラする…ということは多々あるでしょう。
しかしこのように急かしたり、せっかくやり始めても「なんでこんな問題も解けないの!」とやる気をなくす声かけをしたりするばかりでは、子どものモチベーションは下がる一方です。
親に努力している姿を見ていてほしい、認めてほしいと願う子どもは多いもの。
つい言ってしまいたくなる一言をグッと我慢して、がんばっている様子を見守りましょう。
ただ「勉強しなさい」というのではなく、子どもの横で親も一緒に本を読む、資格試験の勉強をする、仕事をするなど、「親も机に向かうこと」を実践してみてください。
親がその姿勢を背中で見せることで子どもの勉強を促していける工夫をしてみるのもオススメです。
2.人と比べてしまう
「パパが子どもの頃はこんな問題、すぐに解けたぞ」「お兄ちゃんはスラスラ解けたのに、どうしてあなたはできないの」などと、他人と比べる表現を使ってしまうことっていませんか?
しかし、これを聞いて「よし、ぼくも負けないようにがんばろう」と奮起する子は少数です。
むしろ、「どうせぼくはできないよ…」とモチベーションを下げる結果となってしまうでしょう。
得意な分野、理解のスピード、理解するまでの行程は子どもによって異なります。
「他人と比べて指摘する、他人と比べて褒める」のではなく、子ども自身が努力したところ、できるようになったところ、うまくはできなかったけれど工夫したところなどを認めてあげてください。
「自己肯定感を育てること」を心がけるようにしていきましょう。
3.「テストでいい点がとれたらご褒美」など、ご褒美制にする
友達との遊びやゲームなどの誘惑が多い子どもにとって、「よし!勉強しよう!」と意欲が湧くことは容易ではありません。
子どもが自発的に机に向かって集中してくれるのであれば言うことはありませんよね。
そこで多くの家庭でついつい取り入れてしまいがちなのが「がんばったらご褒美」というご褒美制度なのですが、これは長期的な視点から考えるとデメリットが多い方法だと言えます。
というのも、「〇〇できたら~を買ってあげるよ」などの「モノで釣る」ご褒美制度は、目に見えてやる気をだしてくれるため、勉強へのモチベーションを高める即効性のある手段となります。
しかし、次第にご褒美をもらうために勉強することになってしまい、「ご褒美がないと勉強しない」状態になることも珍しくありません。
短期的に、机に向かうためのきっかけづくりとして多少「ご褒美」というアプローチを活用するのも一手ではありますが、そればかりに頼らないことが大切です。
ただし、「子ども自身が目標を設定して、それを達成したときにご褒美をあげる」など、「子ども自身が自主的に取り組んだことに対してご褒美を活用する」というやり方であれば、子どものモチベーションを高めながら自主的な学習へ誘導するのに効果的ですよ。
4.テストの点数だけを見る
小テストや単元ごとのテストなどが返却されてきたとき、ついつい〇の数や点数ばかりに目がいってしまうかもしれません。
しかし、基礎学力をつけて応用力まで身につけていく上で、「間違っている問題を次回出題されたときに解けるようになっていること」が大切になってきます。
点数だけを見て終わりにするのではなく、なぜ間違ってしまったのか、どのような考え方をすれば正解にたどりつけるのかを親子で一緒に考えてみてください。
苦手を克服して自信をもって学習に取り組めるように促していくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
子どもの学習に対する親の悩みは尽きませんよね。
家庭で勉強をみているとついつい厳しく言ってしまったり、感情的に怒ってしまったりすることもあるでしょう。
近しい関係性だからこそ家庭学習を進める上で子どもとぶつかってしまうことも多々あるかもしれません。
しかし、いつも×ばかりをつけてしまうのではなく子どもが努力したときには大きく〇をつけ、勉強に対する自信や意欲を育んでいくようにしてみてくださいね。