家庭や教育現場で「どのように褒めたり叱ったら、子どもに伝わるのだろう」と考えたことがある方は多いのではないでしょうか。
教育に携わる職についていても褒め方や叱り方はとても難しく、筆者も今まで何度となく悩んだ経験があります。
ここでは、子どもに対してどのように伝えることが最善なのかということを、保育現場で学んだ経験からお伝えしていきます。
目次
褒める時にNGな言葉と上手な褒め方
まず、子どもを褒める際使ってはいけない言葉と共に正しい褒め方をご紹介していきます。
無意識な「すごいね!」はNG!結果を出すまでのプロセスに寄り添ってあげよう
子どもが何かを成し遂げて嬉しそうに見せたり教えてくれた時、無意識に言ってしまいますよね。
実はこれは結果だけを褒めているということになり、子どもがその結果を出すまでのプロセスはまるっきり無視してしまっている言葉がけなのです。
子どもは試行錯誤して物事を成し遂げます。
大人にとって当たり前のことでも、子どもにとっては大きな前進であったりします。
普段の生活の中で些細なことにも目を向け、
「たくさん練習していたから出来るようになったんだね!頑張ったね!」「ここを工夫したから、こんな素敵なものを作ることが出来たんだね!よく考えたね!」など、結果を出すまでの思いや努力に寄り添ってあげましょう。
つい言ってしまう「えらいね!」はNG!子供の気持ちを聞いてあげることが大切
子どもがテストで良い点数をとったり、友達におもちゃを貸してあげた時などについ言ってしまいがちな言葉ですが、実はこれも子供を褒める上ではNGな言葉の1つです。
「えらいね」と言われることで、子どもは喜びます。
ですが、また同じような結果を出せば褒められると思い、褒められるために自分の気持ちを抑えてしまったり、大人を喜ばせることを目標にするようになるため、その過程で工夫しなくなってしまうのです。
また、もし次に良い点数をとることができなかったり、失敗してしまった時に「出来なかったから怒られる」「出来なかった自分はダメだ」と、否定的に考えてしまい、立ち直る気持ちを持つことが難しくなってしまいます。
「苦手なところも一生懸命勉強していたものね!頑張ったね!」「お友だちにおもちゃ貸してあげたんだね!どうして貸してあげようと思ったの?」と共感して寄り添ってあげたり、質問してみることも会話が広がって、「自分の気持ちを聞いてくれている」と子どもが実感することが出来るので、良いでしょう。
このような言葉がけをすることによって、子どもが失敗したり思うような結果を出せなかった時にも、「次はもっと勉強して良い結果を出すことが出来るように頑張ろう!」と前向きに考えることができるようになります。
叱る時にNGな声かけと上手な叱り方
まず、“叱る”ということについてお話をしたいと思います。
実は子どもにとって“叱る”という行為よりも、もっと必要なことがあります。
子どもや親や教師、保育士も、生きてきた年数が違うというだけであり、そこに上下関係はありません。
子どもは様々なことに興味をもち、試したり失敗していく中で、物事の善悪や制限を学んでいる最中なのです。
同じことを繰り返し失敗することもあります。
そこで必要なのは、“繰り返し伝える”ということです。
それでは、その際使ってはいけない言葉や言い方と共に正しい伝え方をご紹介します。
「いけない」や「ダメ」と叱っていませんか?具体的にダメな理由を伝えよう
この2つの言葉は否定語であり、その時は効果があるかもしれませんが、「自分はダメなんだ」という気持ちの方が先にきてしまうため、自己肯定感も低くなってしまいます。
なぜいけないのか分からないので繰り返してしまい、その度に叱られて、悪循環になりますよね。
「こら!お部屋で走っちゃダメ!」と言われるより、「お部屋の中は人がいっぱいいるから、転んで怪我をしないように歩こうね」と具体的な理由も一緒に、前向きな言葉で言われる方が、子どもも納得して守ろうとします。
大きな声で怒鳴るのはNG!叱る場面を決めておき、それ以外は繰り返し伝えていきましょう
感情的になって頭ごなしに大きな声で怒鳴られると、子どもは威圧的に感じてしまい、ただ相手が怒っているということしか頭に残りません。
怒られないように、自分の気持ちを抑えて相手の顔色を伺うようになってしまいます。
大人でも思わず感情的になってしまうこともありますが、その気持ちをグッと堪えて、普段通り落ち着いた声で繰り返し伝えるようにしましょう。
ですが、どうしても叱らないといけない場面もあります。それは
- 危険行為をした時
- 迷惑行為をした時
- 人としての道に反した時
です。
叱るケースを決めておいて、それ以外のことは諭したり促すというようにして伝えると良いですね。
そして何よりも大切なのは、「ちゃんと信じているからね」ということを最後に伝えると、子どもの意識を最大限引き上げる1番の言葉です。
肯定的な言葉がけを大人も意識していきましょう
いかがでしたでしょうか?
普段のお子さんの様子にしっかりと目を向けて観察することが最も重要です。
1歩間違えてしまうと子どもの自主性や自己肯定感を損なってしまう言葉がけ。
ですが、伝え方をほんの少し変えるだけで子どもがグンと成長するものなので、意識していきたいですね。
そうすることで1年後、2年後、子どもだけでなく大人も心に余裕が出来て、お互いに尊厳を持って信頼関係を築くことが出来るのではないでしょうか。
子どもはまだまだ成長段階。
毎日がいろいろなことを学んでいる真っ只中なので、見守ってあげながら肯定的な言葉がけをしていきたいものですね。
そして、何に対しても前向きに物事を考えられる人に成長していって欲しいと願っています。