日々、家族でニュース番組をみながら自分の考えを伝えたり、お子さんの意見を聞いたりしていますか?
中学受験の社会は、地理、歴史、公民に分かれます。
これらすべての分野において、ニュースの視聴は知識の拡充に役立ちます。
もしかしたら「時事問題は中学入試にあまり出ないからニュースなんて観ずに勉強に集中しては?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、ニュースを観ることによって、たとえば国会とは何か、国会議員とはどういう仕事をする人か、日本国憲法は日々の生活やニュースにどのように関連しているかを知ることができ、実感を持って公民を学ぶことができます。
また、現在起こっている多くの問題は近代の歴史から繋がっていることが多いです。
人口問題はその顕著な例で、戦争が終わったあとのベビーブームからバブル景気、そして就職氷河期で第二次ベビーブーム世代の子が増えず、非正規の問題が顕在化したという流れを文章だけで追うのではなく、テレビで映像や人々の声とともに学ぶことで、より実感が深まります。
何よりも、中学受験だけでなく、政治や経済を理解することで政治や経済に対して自分の考えを持つことができます。
将来選挙に行くことは大切なことであり、政治に対してイエスマンにならず、ネットの意見にばかり流されないことが豊かな人間を育てることに繋がります。
ここでは、中学受験を見据え、社会を得意にするためのニュース視聴と、それを効率的に引き出すための親子の会話についてご紹介していきます。
目次
<公民の知識>政治のニュースを観ることで国の仕組みを知ることができる
小学生で習う公民では、日本国憲法や政治のあり方について習います。
たとえばニュースで総理大臣が国会の選挙で選ばれ、任命される時に天皇陛下がテレビに映っていたことを覚えていれば、総理大臣の指名は国会、任命は天皇が行うとすんなり覚えられます。
また、選挙権の年齢が18歳以上になったニュースや、衆議院選挙・参議院選挙があった時に選挙速報を観ていれば、公民で習う衆議院・参議院の選挙権の年齢や議員の任期も覚えやすくなります。
公民は、仕組みを多く習います。
文章や図だけで仕組みを覚えるのはなかなか大変ですが、実際に日本で起こっている出来事と結び付けて覚えることで、記憶として定着しやすくなります。
可能であれば、国会中継を観てみると面白いかもしれません。
国会で議員が何を決めているのか、どういった議論をしているのかを見ることで、国会の役割を学ぶだけではなく、「自分の意見を持つ」ことの大切さを学ぶこともできます。
<地理の勉強>お祭りや天気など地域のニュースも観てみよう
社会に役立つニュースは政治のニュースや世界情勢のニュースだけではありません。
どこそこの地域でお祭りが開催され何万人が参加した、というちょっとした地域ニュースは地理に役立ちます。
テキストに「青森ではねぷた祭りが…」と書いてあったとしても、テキストには写真と文字しかありません。
テレビの映像でねぷたの迫力を観てみたり、秋田でナマハゲに赤ちゃんが大泣きしているニュースを観たり、京都の祇園祭の人出のすさまじさを観ることで、教科書で習ったことを反復でき、かつエピソード記憶としても頭に残りやすくなります。
また、真夏になると、どこかの市で最高気温が40℃を超えた、というニュースは連日のように耳にします。
暑さで有名な市や、何県に何市があるのかを覚えることができます。
中学受験社会の記述問題は、あらゆる知識を使って解く問題が多いです。
各地域の特徴をニュースからまんべんなく覚えることは、地理が得意な子を育てる近道になります。
<歴史の理解を深める>世界情勢を知ることで日本史に強くなる
小学校の社会では世界史や世界地理は学びませんが、公民で世界と国の繋がりについて学びますし、世界史を理解せずして日本史を理解することはできません。
小学校社会の分野としては存在しなくても、世界のことを知っておく必要はあります。
たとえば2019年に起こった香港の長く続いたデモのニュースを観ていれば、香港がなぜあそこまで抵抗したのか、また中国の政治がどういうものなのか、おのずと疑問が湧くでしょう。
その知識を持ったまま、塾にて中国が民主主義化されておらず中国共産党による独裁であると習えば、「ああなるほど!」と納得ができるはずです。
どんな教科でもそうですが、この「なるほど!」はとても重要になります。
エピソード記憶と勉強の記憶を結び付けることにより、より強固に、応用の効く記憶を脳内に定着させることができます。
日本史の歴史は、古来より世界との関わりが外せません。
たとえばオイルショックは1973年と1979年に起こっていますが、これがなぜ起こったのかは中東戦争が起こったことを理解しておく必要があります。
また公民では、世界の紛争問題、戦争、核問題などが出題されます。
中東情勢やパレスチナ問題、アメリカ同時多発テロ、また原油価格に関するニュースを観ていれば、おのずと中東の国々やアメリカ、日本との関わりがわかってきて、教科書の中身は頭に入っていきます。
しかしニュースを観ていないと、どうしても遠い国の日本では起こりそうにない問題ですから、なかなか覚えづらいかもしれません。
最近はスマートフォンでネットニュースを観ている若者も多いですが、ネットニュースは自分でニュースを選べるため、自分に興味のあるニュースしか観ずに、政治経済や世界で起こっている事件を知らない若者が多いとよく嘆かれています。
そんな時に、網羅的にさまざまなニュースを観て理解できる人間にお子さんを育てることは、中学受験の有無に関わらず重要であると言えるのではないでしょうか。
ニュースを見ながら親子で意見を伝え合うために親がしておくべきこと
ここまで小学生がニュースを観ることは、地理や歴史や公民の知識拡充に役立つというお話をしてきましたが、もちろんニュースのすべてが小学校低学年のうちからわかるはずがありません。
しかし、ニュースを観ること、世界情勢を知ること、そして自分の意見を持つことの大切さは、一朝一夕で培われるものでもありません。
よって、お子さんがニュースを理解できない年齢の頃から、親子一緒にニュースを観ることをオススメします。
できれば新聞も読み、概要やリード文だけでも理解するようにしていただきたいです。
そのためには、親御さんはニュースの背景についてお子さんに説明できる力がなくてはなりません。
アメリカ同時多発テロの背景や地下鉄サリン事件の背景、なぜ自由民主党が与党として長いのか、なぜイギリスがEU離脱を決めたのか、なぜ北欧の国々の人々の幸福度が高いのか、さまざまな事実や出来事についてお話をしてあげてください。
そうすることで、お子さんは少しずつニュースを理解して、中学受験に臨む頃には自分の意見を述べられるようになっているでしょう。
そして、ぜひお子さんと親御さんで何が問題なのか、どうすればよいのかをディスカッションしてみてください。
多くの歴史や仕組みに精通し、自分の意見を持ち、他人に自分の意見を伝えられることは、この国を背負って立つ豊かな大人になるための第一歩となるはずです。
ニュースの視聴を通して社会の知識拡充に役立てよう
ニュースを視聴することは社会を得意にするのに大いに役立ちます。
勉強だけに取り組むのではなく、例えば朝ごはんの時など毎日親子でニュースを観ることを慣例にしてみてください。
そうすることで、お子さんも社会に興味が湧いてくるはずです。