漢字や熟語、ことわざ・慣用句は、小学生の国語でも幅広く登場します。
それぞれ覚える内容が多いですが、単なる暗記として考えてはいけません。
漢字の成り立ちを知ったり、例文からイメージを膨らませたり、記憶に残るような工夫が大切になります。
覚える量が多いからこそ、勉強するなら効率的に覚え、長く記憶にとどめたいものです。
この記事では、塾講師の経験から、漢字・熟語、ことわざ・慣用句の勉強方法や覚え方の工夫についてお話ししていきます。
目次
記憶に残る漢字の勉強方法と覚え方
まずは、国語の基本とも言える漢字の勉強方法・覚え方についてです。
漢字は暗記事項と思われがちですが、理屈抜きの暗記だけではなかなか覚えられないものです。
たとえその場で漢字の形や読み書きを覚えても、しばらくしたらすぐ忘れてしまうケースは多いでしょう。
そうならないよう、漢字の成り立ちを理解したり、部首を意識したり、熟語とセットで覚えたりなど、より記憶に残る方法を考える必要があります。
暗記のコツや勉強法などは最後にお伝えしますので、ここではまず漢字の成り立ちや部首、熟語などの観点から重要なポイントを整理していきましょう。
漢字の成り立ちを意識する!暗記ではなくイメージを重視してみよう
簡単な例として、「田」という漢字を見てみましょう。
「田」は区画された耕地を表す漢字で、「田」という漢字の形からなんとなく想像できるかと思います。
「田」は特に水田を表しますが、一般的な田んぼを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
このように、漢字はその成り立ちからイメージできるものがあります。
特に小学校低学年のうちはこうした漢字に注目し、ただ暗記するだけでなく想像力やイメージを重視して覚えていくと効果的です。
象形文字は特に記憶に残りやすい
「田」のような漢字を象形文字といいます。
象形文字は、対象物の形をかたどって作られる文字のことをいい、ほかにも「川」「雨」「山」「火」「貝」などがあります。
こうした象形文字は特にイメージしやすく、記憶に残りやすい漢字と言えます。
低学年で漢字の勉強を始めたばかりの頃は、このような象形文字を特に意識させ、お子さんが楽しんで学習できるよう工夫してみてください。
特に低学年の家庭学習では、親子が一緒に勉強することも多いと思うので、親のほうからも漢字の成り立ちなどを説明し、子どもにとって記憶に残りやすい勉強を進めていきましょう。
部首の意味を考えてみることも大切
漢字の学習では、部首を意識することも大事です。
例えば、水を表す「氵(さんずい)」を使った漢字を例に挙げると、「海」「湖」「河」「流」「油」「液」「湯」「洗」などがあり、いずれも水が関係しています。
もちろん「氵」を使った漢字は他にもたくさんありますが、上記で挙げたような漢字は水つながりで覚えていくと記憶に残りやすいでしょう。
このように、部首はその漢字の意味を分類するときに役立ちます。
「氵」であれば水が関係している漢字かも?と想像し、それぞれ覚えていくと良いでしょう。
読み方を効率的に覚えるコツ
漢字は書き取りだけでなく、読み取りも勉強しなくてはなりません。
ここでつまずくケースは意外に多く、「見たことがある漢字だが読めない」「音読みはわかるが訓読みがわからない」「訓読みはわかるが音読みがわからない」「音読みも訓読みもわかるが、どちらで答えるのが正解かわからない」などの状態になりがちです。
漢字の読みはとにかく覚えるしかなく、暗記の側面も強いですが、いくつかコツはあります。
熟語とセットで覚えてみる
漢字の音読み・訓読みは、熟語によって変わります。
例えば「田」の場合、音読みで使用する熟語には「水田」「田園」「油田」「炭田」などがあり、訓読みで使用する熟語には「田畑」などがあります。
また、「田んぼ」「田植え」などの「田」も訓読みとなります。
さらに、「田」を訓読みで使う苗字も多く、「田中」「田村」「田島」「藤田」「坂田」などがあります。
「た」ではなく「だ」と読む苗字も含めれば、「吉田」「山田」「岡田」「池田」「前田」などがあるでしょう。
このように、漢字は熟語表現によって読み方が変わるため、熟語とセットで覚えていくと記憶が進みます。
ただその漢字一文字だけを見て覚えるのではなく、音読みを使う熟語は何か、訓読みを使う表現は何か、それぞれ具体例を見て覚えていくと良いでしょう。
同じ読み方をする熟語を整理する
上記の例で挙げた「水田」「田園」「油田」「炭田」のように、同じ読み方(ここでは音読み)をする熟語をきちんと整理し、関連づけて覚えていくと効果的です。
暗記カードなども活用し、同じ読み方をする熟語をまとめ、その都度確認する習慣をつけましょう。
このように他の熟語とつなげて覚えていくと、知識はどんどん広がります。
漢字によっては読み方も多く、覚えにくい部分もあるかと思いますが、ここは根気よく、いろいろな熟語も合わせて学習を進めてみてください。
五感を使って学ぶ!熟語の勉強方法・覚え方
上記で少し触れましたが、次に熟語の勉強方法・覚え方についてです。
まずは読み方から正確に
熟語によって漢字は音読みになったり訓読みになったりします。
まずはこの読み方を正確におさえることが、熟語の勉強のカギとなります。
先ほども例に挙げた「田」であれば、音読みとなる「水田」「田園」「油田」「炭田」などの熟語を整理し、まとめて覚えていくと良いでしょう。
もちろん漢字の書き取りも重要なのですが、まずは熟語を見たときにパッと読み方が浮かんでくるかどうかが重要です。
正確な読み方をおさえたら、今度は書き取りの練習を行い、知識を深めていきましょう。
例文から覚えていく!音読をすることも効果的
特に熟語は、例文をもとに覚えていくことが重要です。
もちろん熟語だけで覚えることもできますが、なるべく例文を音読するなど、より記憶に残りやすい方法で学習する必要があります。
熟語はそれぞれ意味があり、その意味を例文で確認することで、記憶に強く残ります。
例えば先ほど例に挙げた「水田」は、稲作の話の中で多く登場する熟語です。
その例文を読むことで、水田・田んぼのイメージを膨らませ、熟語の読み書きと意味をセットで覚えていくと良いでしょう。
後ほどまたお話ししますが、何かを覚えるときは五感を使って覚えると効果的です。
熟語も例外ではなく、例文を声に出して読んだり、例文から視覚的にイメージを膨らませたりなど、五感を使った工夫をしてみてください。
四字熟語は誤字脱字に注意!意味から理解をいこう
小学校の国語では四字熟語も多く登場します。
四字熟語はことわざや慣用句のような使い方をするケースが多く、まずは意味から正確に理解しなくてはなりません。
こちらもなるべく例文を参照し、実際にどのような意味で使われているかをチェックしましょう。
また、四字熟語のうち1~2文字程度が空欄になっており、その空欄の漢字を埋めるような問題も出題されます。
例えば「針小棒大」であれば、「針□□大」のように「小」と「棒」の部分が空欄「□」となっているようなケースです。
その四字熟語の意味をおさえることはもちろん、漢字も誤字脱字なく正確に覚えなくてはなりません。
こちらもしっかりトレーニングしていきましょう。
語彙力をつけることにもつながる!ことわざや慣用句の勉強方法・覚え方
ことわざや慣用句は、とにかく表現を正確に覚えなくてはなりません。
ことわざは短い句・文章で、慣用句は二つ以上の言葉の組み合わせで構成されます。
短い文章や単語の連なりで覚えなくてはならず、漢字や熟語の暗記とはまた異なります。
もちろんその意味も正確に覚える必要があり、辞書なども活用して理解を深めることが大切です。
例文から意味と使い方をおさえる
ことわざ・慣用句は、そのまま丸暗記しようとしてもなかなか記憶に結びつきません。
しっかり例文を確認し、実際にどのような使い方をするのか、イメージしながら覚えることが大事です。
以下、それぞれに分けてご説明します。
慣用句の勉強法
慣用句は、二つ以上の言葉の組み合わせにより、ある特別な意味が生まれる表現となります。
具体的には「赤の他人」「頭が固い」といった表現がありますが、いずれもその言葉通りの意味ではありません。
「赤の他人」は全く関わりのない他人のことを指す表現で、実際の赤色は関係ありません。
また、「頭が固い」は融通が効かないことを意味し、実際に頭が固いか柔らかいかは問題ではないのです。
このように、慣用句はその言葉通りに捉えると意味が違ったものになるので注意しましょう。
まずは正確な意味を理解し、実際に慣用句が使われる例文もチェックし、記憶に残るようにする必要があります。
ことわざの覚え方
ことわざは、昔から世間で言い伝えられてきた短い句・文章で、教訓や風刺などの意味を持ちます。
慣用句と異なり、短めの句や文章となることが特徴で、まずはその表現・言い回しを正確に覚えなくてはなりません。
また、表現だけ見てもイメージしにくいので、例文におけることわざの使い方をきちんと確認し、理解を深める必要があります。
特にことわざは昔の教訓や風刺などが多いので、字面だけで捉えるのではなく、具体的な状況をイメージし、理解を進めましょう。
そのためにも、例文の活用は非常に大きな意味があるのです。
ことわざは漢字や熟語の勉強とは感覚が大きく変わるかと思いますが、語彙力の一環として少しずつトレーニングしていきましょう。
用語を覚えるために効率的な暗記方法・勉強方法のコツ
最後に、ここまでの話を大前提として、効率的な暗記方法・勉強方法について整理していきましょう。
もちろん漢字や熟語の勉強は単なる暗記とは異なりますが、以下、一般的な勉強法として、用語を覚える際のコツ・ポイントをお話ししていきます。
五感を使って覚える
何かの用語を覚えたい場合、ただその言葉だけを見て覚えてもなかなか記憶には残りません。
そこで、漢字や熟語の例文を音読したり、漢字を書いて覚えたりなど、視覚・聴覚・触覚をフル活用し、より記憶に残りやすくすることが大事です。
特に漢字や熟語、ことわざ・慣用句は例文が非常に重要な意味を持つので、例文を音読して記憶に強く残すことは大きな意義があります。
また、漢字の正確な読み書きを覚えるためにも、実際に手を動かし、書きながら覚えていくと良いでしょう。
さらに、例文だけでなくイラストなども活用し、視覚的なインパクトのもとで理解することも大切です。
特に四字熟語やことわざ・慣用句はイラスト付きの参考書も多いので、積極的に活用してみてください。
スキマ時間を活用!短時間で集中して暗記をする
スキマ時間を活用し、短時間で集中して暗記するという方法もあります。
たとえ短時間でも、知識をサッと確認して暗記を進めることは可能なはずです。
時間をかけて内容理解を深めるような勉強とは異なりますが、一度覚えた漢字をチェックしたり、間違えやすい熟語を確認したりなど、いろいろできることはあります。
むしろ短いスキマ時間だからこそ、メリハリをもって短時間でサッと集中できることもあるのです。
特に受験生で少しでも多く勉強したい場合は、スキマ時間を有効活用して漢字や熟語などの語彙力を鍛えていくと良いでしょう。
ただ覚えただけではもったいない!覚えた知識を日常生活で使ってみよう
漢字・熟語やことわざ・慣用句を覚えたら、それを日常生活でも使ってみると良いでしょう。
実際の社会生活で熟語やことわざなどがどう使えるのか、試してみてください。
勉強で覚えた知識は、日々の生活でアウトプットすることで、より記憶に残りやすくなるものです。
教科書や参考書の世界を超え、実際の生活で知識を適用できるという経験は、特に子どもにとって大切なことです。
「知識を実際に使うことができた」という感覚が生まれれば、勉強がより身近な存在になりますし、覚えた知識も深まるでしょう。
新聞などで言葉がどう使われているかを確認する
新聞などを確認し、熟語やことわざなどがどう使われているかもチェックしてみてください。
もちろん教科書や参考書にも例文は載っていますが、実際に新聞やニュースなどを見て、自分が勉強した言葉・表現が使われているのを確認してみましょう。
言葉の正しい使い方がさらにわかるはずですし、それだけ記憶にも残りやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、漢字・熟語、ことわざ・慣用句の勉強方法や覚え方の工夫についてご紹介していきました。
いずれも覚える内容が多いですが、ただの暗記事項として捉えると記憶は長続きしません。
例えば漢字であれば、その成り立ちや部首も踏まえて理解を深めていくことが大事です。
また、漢字の読み方は熟語から覚えていくことも大切であり、音読み・訓読みをしっかり使い分けて理解する必要があります。
さらに、熟語やことわざ・慣用句は、例文をもとに学習を進めていくと効果的です。
ただ漢字・表現だけを見て覚えるより、例文を見て言葉の使い方を知り、そこからイメージを膨らませたほうが記憶に残ります。
特にことわざや慣用句については、表現を見るだけではイメージしにくいので、例文を通じて正確な意味をおさえていくことが大事です。
さらに、手を動かして書いて覚えたり、例文を音読したり、イラストなども活用したり、五感を使って覚えることも意識してみてください。
このような点に注意し、少しずつ語彙力を増やしていきましょう。