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高校受験において内申点は非常に重要な意味を持ちます。
一方で、内申点はどのような方法で算出されるのか、内申点を上げるにはどうすべきかなど、疑問点も多いのではないでしょうか。
内申点をアップするには、その仕組みや評定方法などもしっかり理解することが大事です。
この記事では、塾講師の経験から高校受験で内申点を上げるためにできることについて、様々な観点からお伝えしていきます。
目次
高校受験に必要な内申点とは?
公立高校の受験は、入試本番の5教科の点数に加え、内申点が大きなカギとなります。
内申点とは、中学校での通知表の評定のことを指し、ごく簡単に言えば中学校での成績を表します。
つまり公立高校受験は、本番の入試の点数だけで合否が全て決まるのではなく、中学校での日頃の成績も合否に関係するというわけです。
いくら入試本番の成績が良かったからといって、内申点があまりに低い場合は合格する確率が下がってしまうのです。
内申点を上げるためには、中学校在学中から日頃の勉強をしっかり行い、なるべく良い成績を取っておくことが重要になります。
試験と内申点の割合
例えば都立高校の場合、一般入試の総合得点は1000点満点で、このうち本番の5教科の学力試験が700点満点、内申点が300満点となっています。
試験と内申点の比は7:3のため、入試本番の成績のほうが重視されてはいますが、内申点を無視することはできないのです。
また、私立高校の場合でも内申点が合否に関係するケースも見られます。
さらに、当然ながら推薦入試の場合は内申点の重要性がさらに高くなります。
推薦入試は内申点の基準点が設けられており、その基準に達していなければそもそも推薦を受けることはできません。
このように、内申点は高校受験において非常に重要な意味を持つことは知っておく必要があります。
内申点はテストの点数だけではない?!
内申点は通知表の評定を指しますが、これは定期テストの点数だけを表すものではありません。
通知表の評定は普段の授業態度や提出物の有無なども大きく関係し、ただ定期テストの点が良ければ高評価となるわけではありません。
内申点の仕組みについて詳しくは後述しますが、学校での日頃の生活態度も関係することは注意が必要です。
遅刻をしない、提出物はしっかり出す、私語で周りに迷惑をかけないなど、学校生活における態度に十分気をつけるようにしましょう。
中学校の内申点が持つ意味と評定方法
上記で、内申点は大まかに言うと中学校での成績を表すと書きましたが、ここで内申点の意味を正確におさえておきましょう。
そもそも内申点というのは、内申書(調査書)に書かれている成績のことを表します。
まずこの内申書(調査書)とは何か、そしてそこに記載される内申点はどのような評価方法で算出されるのか、順を追ってご説明します。
内申書(調査書)と内申点
内申書(調査書)は、成績や生活態度、活動実績など、生徒一人ひとりの学校生活についてまとめた文書です。
中学校側が作成して受験校(高校)に提出し、合否判定の際の資料となります。
そして、この内申書(調査書)に記載された成績が内申点となるわけです。
この内申点は、中学校で学習する9教科の5段階評価をもとに、都道府県ごとに定められた計算方法によって数値化されます。
各都道府県で算出方法は異なりますが、科目ごとに5段階で評定され、それが内申点の元になります。
各都道府県で算出方法が異なる例
都道府県によって算出方法が異なるというのは、例えば中学3年生の成績だけが内申点になるのか、それとも中学1年生からの成績も含めて内申点とするのか、さらには実技などの特定の教科が他の教科より重視されるかなど、都道府県によって算出に違いがあるという意味です。
例えば東京都では、「音楽」「美術」「保健体育」「技術家庭」の実技4教科は2倍されます。
9教科でそれぞれ5段階評価される場合、合計すると9×5で45点満点となりますが、東京都は実技4教科をそれぞれ2倍するため、合計は65点満点となるわけです。
これは、「英語」「数学」「国語」「理科」「社会」で5×5で25点満点、「音楽」「美術」「保健体育」「技術家庭」で4×10で40点満点、合わせて65点満点ということです。
各科目が5段階で評価されるという点は同じですが、こうした算出方法、さらには対象となる期間など、都道府県によって異なることは注意が必要です。
内申点の評価方法
内申点の評価方法について、さらに詳しく正確に整理していきます。
内申点は、中学校で習う9教科を5段階で評価しますが、この5段階評価は「学習指導要領」によって定められています。
具体的には、科目ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点についてそれぞれA・B・Cの3段階評価を行ったのち、この観点別評価の組み合わせによって1~5の5段階で評定を決める、という流れになります。
少し複雑ですが、まず上記3観点ごとにA・B・C評価をしたのち、その評価の結果を総括して5段階で評定を出す、ということです。
例えば英語において「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で全てA評価であれば、英語の5段階評定は「5」となるでしょう。
一方、国語において「知識・技能」「思考・判断・表現」がいずれもA、「主体的に学習に取り組む態度」がBであれば、国語の5段階評定は「4」となるでしょう。
このように、5段階評定は上記3つの観点における3段階評価の組み合わせ・総括であるという点が大きな特徴です。
テストの成績が良ければ高評価というわけではありません!
ここで一番注意しなければならないのは、定期テストの点数が良ければ絶対に高評価になるわけではないという点です。
科目ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点から評価されるという点をもう一度考えてみてください。
例えば英語の成績が良ければ、英語における「知識・技能」はAかもしれません。
しかし英語の授業態度が悪かったり提出物を出さなかったりすると、「主体的に学習に取り組む態度」はBやCと評価される可能性があります。
もし英語において「知識・技能」がA、「思考・判断・表現」がB、「主体的に学習に取り組む態度」がCなどと評価されれば、英語の5段階評定が「5」となることはないでしょう。
いくら「知識・技能」がAでも他が低評価であれば、最終的に1~5の5段階で低い評価になるおそれがあるのです。
繰り返しますが、科目ごとの1~5の5段階評価は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点ごとの評価を総括したものです。
テストの点数が良ければ授業態度が悪くても良い、といった話ではないので、ここは十分注意が必要です。
高校受験に必要な内申点を上げる!中学校生活で意識したい4つのこと
ここまでの話を大前提として、以下、内申点を上げるためにできることを整理しておきましょう。
1.まずは定期テストの点はしっかり取る
内申点はテストの点数だけではありませんが、当然ながら定期テストの出来が良いに越したことはありません。
内申点の3観点のうち、「知識・技能」は定期テストが多大な影響を与えます。
各科目で学習したことをしっかり活かせているか?をチェックするのは定期テストが一番わかりやすいからです。
授業態度などを良くすることももちろん大前提として、定期テストは決して手を抜かず全力で取り組みましょう。
テスト範囲の問題集(ワーク)は3周行うようにしましょう
当然ですが、日頃から復習などをしっかり行い、コツコツ学力を高めていく必要があります。
ただ、部活動などでどうしても勉強が満足にできないといった事情もあるでしょう。
それでも宿題などはきちんと行い、わからない部分があれば放置せず、早めに苦手分野を克服しておくことが大事です。
また、定期テストの2週間前には、普段の勉強から定期テストに特化した勉強にシフトしましょう。
テスト範囲は正確に把握し、先生からの発表や指示は細かく確認してください。
さらに、テスト範囲のワーク(問題集)はなるべく3週はしておきましょう。
出題傾向に慣れを作ることはもちろん、間違えた問題をしっかり解き直して苦手分野を克服していくという意味でも、ワークは3週行うことが大事です。
わからない部分を放置しない
勉強は、わからない部分を放置しないという心構えが大切になります。
わからない部分をそのままにすると、後になって復習が間に合わず苦労しやすいからです。
日々新しいことを学んでいくなか、どうしてもわからない箇所は登場するでしょう。
それが重なれば重なるほど、後で復習すべき範囲が増え、時間的な余裕はどんどんなくなります。
また、ある単元を学習するとき、その前の単元の知識が必要不可欠になることも多く、前の単元で少しでもわからない箇所があると後になって苦労します。
十分な復習が足りず、わからない範囲がどんどん増えてしまうという悪循環を断つためにも、理解できなかった箇所はその都度早めに対策しなくてはなりません。
定期テスト前になって焦ることのないよう、日頃から余裕を持って復習を行い、わからない部分を放置しないようにしましょう。
2.毎回小テストなどもしっかり取り組む
定期テストはもちろん、小テストでもなるべく高得点を残すようにしましょう。
小テストは単元や範囲が終わったときに出されることが多く、その単元・範囲の理解度をチェックするために行われます。
基本的な問題が中心のため、満点を取ることも十分可能でしょう。
こうした小テストで高得点を取っていけば、実力の強化はもちろん、しっかり授業を聞いているというアピールにもなります。
小テストだからといって甘く見ず、真剣に取り組んでいきましょう。
3. 提出物はしっかり出すこと
宿題やレポート、その他の提出物は、しっかり期限を守って出しましょう。
提出物に対する姿勢は、3観点のうち「主体的に学習に取り組む態度」に大きく関係します。
宿題など、内容に関する指定や範囲を守ることはもちろん、期限を守って提出することがとにかく重要です。
提出するノートはわかりやすく丁寧に
普段の授業で書いているノートを提出することもあるでしょう。
その際、とにかく丁寧でわかりやすいノートを心がけましょう。
文字を丁寧に書くことはもちろん、重要な箇所にマーカーを引いたり色をつけたり、板書以外に自分で補足事項を加えたりなど、完成度の高いノートにすることが大事です。
また、こうした丁寧なノートは、日々の勉強やテスト前の見直しでも非常に役立ちます。
内申点アップという意味だけでなく、わかりやすく丁寧なノートは勉強として効果的なのです。
レポートも真剣に取り組むように
提出物は宿題や授業ノートだけでなく、様々なレポートも含まれるので注意しましょう。
レポートは自分の考えを書かせるものが多く、ただ授業で学んだ内容やテーマをまとめるだけではありません。
そして、自分の考えを表現することは、3観点のうち「思考・判断・表現」のポイントにもなります。
学習したことをしっかり活かし、自分で思考して判断し、自分の言葉で表現できているか?が試されるわけです。
レポートごとの体裁や指定はきちんと守ったうえで、自分の考えを表現し、わかりやすくまとめるようにしましょう。
4.日々の授業態度をより良くする
冒頭でも述べましたが、授業態度を良くすることも内申点アップのために非常に大切です。
遅刻をしない、忘れ物をしない、私語で周りに迷惑をかけない、先生や他の生徒の発言はしっかり聞く、反抗的な態度を取らない、姿勢良く授業を聞くなど、より良い授業態度で臨むようにしましょう。
こうした授業への姿勢・態度は「主体的に学習に取り組む態度」として非常に重要な評価となります。
また、私語を慎むこと、反抗的な態度を取らないことなどは、内申点以前に他の生徒への配慮としても大切なことです。
他人に迷惑をかけないという観点からも、授業態度はしっかり良くして授業に臨みましょう。
授業に積極的に参加しよう
反抗的な態度を取らない、周りに迷惑をかけないといった態度ももちろんですが、授業に積極的に参加する姿勢も大切です。
意見を求められたらしっかり述べる、必要に応じて質問をする、グループワークで積極的に発言するなど、自ら参加して何かを吸収していく姿勢が重要になります。
こうした発言や姿勢は「主体的に学習に取り組む態度」として重要なことはもちろん、「思考・判断・表現」としても評価されるでしょう。
もちろん、積極的に参加する態度は実技科目でも大切です。
音楽ではしっかり声を出す、体育では積極的に体を動かすなど、意欲的な姿勢で臨んでみましょう。
まとめ
今回は、高校受験で内申点を上げるためにできることについてご紹介しました。
内申点は定期テストの点数だけで決まるものではなく、普段の授業態度や提出物の状況など、様々な点から総合的に判断されます。
科目ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点から評価され、それらの組み合わせ・総括として5段階で評定されるため、いくらテストの点数が良くても絶対に5段階で高評価となるわけではありません。
この点は特に注意し、授業態度をより良くする、提出物はしっかり出すなど、普段から意欲的な学習姿勢で臨む必要があります。
もちろん定期テストでなるべく高得点を取ることは大事で、日頃から復習を行う、定期テスト2週間前にはテストに特化した勉強に切り替えるなど、念入りな準備が必要です。
ただ、こうしたテストの結果だけで全て評価されるわけではないという点は十分注意してください。
これらの点を踏まえ、内申点を着実にアップさせ、受験に活かすようにしましょう。