「子どもの学校の成績が伸び悩んでいる」「勉強が嫌いで仕方ないようだ」そういった悩みを抱えている親御さんは少なくないのではないでしょうか。
「いざとなれば塾に放り込んでしまえばいい」と簡単に考えてはいませんか?
成績が今一つのわが子でも塾に行けば何とかなるのでしょうか?はたして、塾へ通うだけで成績があるのか、みていきましょう。
目次
小学生、中学生の通塾の先にあるのは「受験」
まず、小学生と中学生では通塾の意味合いが違ってきます。
普通の公立中学生はほぼ全員が高校受験という関門を通ることになります。彼らが塾に行く目的は最終的にはそこに繋がっていくと考えてよいでしょう。
一方、小学生の通塾といえば、やはり中学受験が目標となるケースが殆どですが、中には、公立中学に進学する子でも、中学校の勉強への準備として塾に通うことがあります(英語を先取りで勉強していることが多いようです)。
また、学校の授業の補てんとして、塾へ通う子も多いです。
ただ、このケースも「公立中学から有名高校を狙うための、やや気の早い準備」とも言えそうなので、やはり先にあるのは「受験」と考えてよいでしょう。
進学塾と補習塾の違いとは
塾は進学塾と補習塾に大別されますが、上述のように結局は受験が目的となるのであれば、すべてが進学塾でもよいのでは?と感じます。
しかし近年の高校受験は当日の入学試験の一発勝負ではなく、学校での定期テストの点や、部活動などの普段の素行によって採点される通知表の点(いわゆる内申点)が大きなウエイトを占めるようになっています。
つまり補習塾で勉強して定期テストで良い点数を取ることが、高校受験の成功に繋がるので、結果的には補習塾も間接的に受験に寄与していると言えるでしょう。
小学生、中学生で選択するべき塾の特性
塾を積極的に活用することに意義はあるのですが、その選択を間違えると無駄なお金と時間を費やすことになります。
小学生の場合
大手はすべて中学受験塾です。各塾とも宣伝のためにも優秀な子を擁して難関校への合格実績を上げたいところです。
大手は、各々独自の特徴はあるとはいえ、それほど大差はなく、志望される学校に実績があるかどうかで選択する方が殆どです。
一方、非中学受験組はどうかと言うと、こういった大手にも、公立中から公立高を考えている子供向けのクラスを開設しているところがあります。
また中堅・小規模の受験塾であっても公立一貫校や、地元国立大付属中学を目指す塾なら、そこの中学準備クラス、県立トップ高校を目指すお子さんが贔屓にする地元伝統塾なども選択肢になりえます。
それらは学習指導要領を大きく逸脱しない範囲で学習できるのが魅力です。
中学生の場合
高校受験塾となると一気に選択肢が変化します。まず近年の傾向で私立高校を目指す進学塾が減少しています。
私立は中高一貫校となって高校からの募集をやめてしまう学校が続出しました。このため私立の名門を狙うお子さんは中学受験へシフトしています。
つまり高校受験する者の大半は公立高校進学希望者と考えられます。しかし上述の通り公立は「内申点」がものを言う入試なので、偏差値ではなく、内申点を取りにいく塾が求められるようになってきました。
従って中学生の通う塾は「超」地元密着の補習塾的なところが大勢を占めるようになり、私立難関高校を目指す中学生の選択肢は狭まっているのが現状です。
高校受験対策の傾向がかわってきている
最近は公立中のお膝元の補習塾で「○○中学△△先生の理科、中間テスト過去問」なんていうものを解いたりします。地域によっては、今や「過去問」といえば学校別の入試問題ではなく地元中学の数年前の定期テストのことを指すのです。
まとめると、
- 公立高校受験者と私立高校受験者の間の溝が一層深くなってきている。
- よって、お子さんと志望校を想定し、合格に至る道のりを熟考した上で塾を選択しなくてはならない。
ということが言えるでしょう。
塾とお子さんの相性以前に、望む進路との整合性を最初に考慮すべきなのです。中華料理を食べるために寿司屋に入るような選択ミスをしないようにしましょう。
塾に入って上がるのは「どの成績?」
塾に通えば、授業時間中に居眠りをしているとか、始終友達とお喋りしているとか、そういうことがない限りは、少なくとも勉強する時間を余計に持つことになるため、当然「成績」は上がるはずです。
ただし、ひとつ注意しなければならなりません。
ここで言う「成績」というものが学校の通知表の評価を指すのか、学校のペーパーテストの点数を指すのか、業者試験などの偏差値を指すのか、理解しておくべきということです。
進学塾で最難関校を目指して勉強をしてきた人は、学校の通知表の成績が振るわないという例が意外にあるのです。
彼らの最終目標は志望校の入試を突破することですから、一心不乱にそれに特化した勉強をすることで、学校の宿題や課外活動がおろそかになってしまうことがあります。
時間的に両立ができなくなれば、学校の方を犠牲にし、たとえ定期テストではそれなりに点数が取れたとしても学校の教員からの評価は急落します。
評定では低い点数を付けられることとなり、「期末テストの点数は学年でトップなのに通知表の評価が5段階で“3“しかつかなかった」ということもよくある話です。
お子さんのどの「成績」を上げたいのかもハッキリさせておいてください。
塾代を払うのだから費用対効果を最大限に活かしましょう
勉強に限らず、スポーツにしても芸術活動にしても、それこそ「好きこそ物の上手なれ」で、やる気・意欲があるときに学んだことはすぐに習得していきます。
勉強が得意でない子でも、好きなことなら大人が驚くほどのスピードで上達していきます。野球やサッカー、それこそゲームでも言えることです。
塾に通うにはそれなりの費用がかかりますが、その費用対効果を最大にしたいのであれば「楽しく、意欲的に」塾に通わせることです。
「授業が楽しい」、「自分が決してダメじゃないと周りの友達や塾の先生が認めてくれる」、「目に見えてテストの点数が上がっている」など、そうした良い環境が揃ってきて、相乗効果で意欲がどんどん増幅すれば、成績はますます上昇するでしょう。
逆に「親が行けと言うから来ているだけ」というスタンスの子であれば最低限の効果しか得られないと思います。
それでも何もしていないよりは良いとは思いますが、高いお金をかけて通わせる意味はあまりないかもしれません。
塾の役割は教科の勉強を教えることだけではない!
某有名進学塾の上位クラスでは受験学年になる前は、あまり「詰め込み学習」や「テスト攻め」はせず、受験に向けての意識づけや心構えをじっくり醸成するための授業をすると聞いたことがあります。
同じクラスの仲間と切磋琢磨していく雰囲気を作り上げることに講師は心を砕くそうです。もちろん目標の難関校に合格したらどういう未来が待っているのか?どういう道を選択できるのか?など大人びた話もするようです。
「教科の授業が疎かになるのでは?」と心配にもなりますが、それにはおよびません。自覚が出た子どもはしっかり自分で予習復習をやってくるようになるそうです。ここまで来れば塾の思惑通り、その後はどんどん成績が伸びていくといいます。
塾は学校では味わえない「学びの楽しさ」を与えてくれる場所でもあります。上手くお子さんにフィットすれば驚くほどの効果が期待できます。
ただ一方で、塾にもアタリ、ハズレがあります。
地域にもよりますが、塾も過当競争状態ですので、選択肢は豊富なのですが、その分ハズレを引く可能性も高いのです。
親からしたら「アタリ・ハズレ」の判断は実際のところは難しいのですが、そこはお子さんとよくコミュニケーションを取って判断してください。
学ぶ環境が大切!「家で通信教材」だけでは効果が薄いかも!?
よく「塾に行かずに○○大学に合格した」などという類の書籍が売られていますが、鵜呑みにしないように注意してください。
あれは、自宅で自学するうえで起こり得る数多くの誘惑(テレビ・PC・スマホなどの娯楽、高め合う仲間のいない孤独感、すぐに眠れる環境、受験に理解のない家族の存在などなど)に打ち勝つだけの強靭な精神力と強烈な向学心の持ち主だけがなし得る、ある種の「芸当」です。
真似したところでせいぜい3日で挫折するのが関の山ではないでしょうか?(もちろん真似できる方も僅かながらいらっしゃるとは思いますが)
結局塾とは、机と教材しかなく、行ったら授業を聴き、問題を解くしかない環境を強いられる場だからこそ、勉強が捗るのです。
なので、自宅で通信教育の勉強をして効果が出るような子は塾なしでもやれる素養があるのかもしれません。
ただ、そうでない子はやはり一歩でもいいから家を出て「学ぶ環境」で勉強する方が良いのです。
たとえ近所の塾であっても、行った方が断然効率的です。
公文式が人気なのも「実際に家を出て教室に行く」からなのかもしれません。
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成績をあげるにはまずは行動をすることが大事
このように塾に行くことの効果は何かしら必ずあるはずですが、その効果の程度は本当にケースバイケースで、大きなリターンが得られるタイプと、微々たるものしか得られないタイプが厳存するのです。
成績が伸び悩んでいて通塾を検討されているというなら、ぜひお勧めしますが、思い通りに伸びるかどうかは入塾後のお子さん次第です。
「塾に行けば何とかなる」という安易な考えもよろしくありませんが、「どうせ行っても変わらないだろう」と門すら叩かないのは更に良くないでしょう。
塾に入ってからの伸び具合は、その子の持って生まれた能力相応ということもありますが、もしかしたら親も気づかなかった潜在能力が開花してもの凄い伸びを見せるかもしれません。
やってみないことには何も判らないのですから一歩踏み出してみることをお勧めします。