ギフテッドと呼ばれる子どもたちの存在をご存知でしょうか。
ギフテッド(gifted)、先天的に高い知能指数を授かっている子どもたちを指すことばなのですが、一見とても恵まれているように思われるギフテッドの子どもたちも、じつはさまざまな悩みや困難を抱えていいます。
目次
ギフテッドとは?
ギフテッドの子どもたちの特徴としては、記憶力、計算力、空間認識力、推理力、想像力に並はずれて優れている分野があり、知能指数が130以上、並はずれた集中力を持っていることなどがあげられます。
こうして特徴を並べると、特別な限られた子どもたちの話と思われるかもしれませんが、アメリカでおこなわれた調査によると学齢期の子どもの2〜6%がギフテッドであると推定されるといいます。
これはクラスに1〜3人ほどの割合でギフテッドの子どもたちがいる計算になります。
思ったより、ずっと身近な存在ですね。
日本では、そんなギフテッドの子どもたちへの教育支援が十分に確立していないこともあって、せっかくの能力をうまく活かせなかったり、学校の授業にもうまく適応できず「浮きこぼれ」てしまうようなケースもあるようです。
ギフテッドの子どもたちの特徴
カナダのアルバータ協会(子供の教育と権利を保護することを目的とした非営利団体)が42項目にわたるギフテッドの判定のチェックリストを公表しています。
ギフテッドの子どもたちの特徴としてよくしられている行動をよくとらえているリストなので、ここでご紹介したいと思います。
ギフテッド判定の42のチェックリスト
- 一人で作業をしたり遊ぶことを楽しむ、または、好む
- 一度に二つか三つのことに集中する。
- 年上の子供や大人と一緒にいることを好む。
- 年上の子供や大人向けの本や雑誌を読むことがある。
- 結果と原因の関係に興味を持つ。
- 学ぶのが早く、習った知識を応用できる。
- 論理的な思考が強い。
- 年齢にしては語彙が多い。
- 自分で発見したり問題を解決するのを楽しむ。
- 言葉で遊ぶのが好き。
- 出来ることと出来ないことの差が激しい(例えば、6歳で○○は説明できるのに、自分の靴の紐が結ぶのに苦労する)
- 数学や数字で遊ぶのが好きで、数学の問題でとてもユニークな解き方をすることがある。
- 規則の理由(理由の理由も)を知りたがる。
- アイデアを複雑にまたは今までにない視点で議論する。
- 質問や課題に取り組むのに、いろいろな可能性を見る。
- 好奇心が強く、質問をしたがり、答えについて質問をする。
- ゲームや行動をまとめたり、グループの中のいざこざを仲裁するなどリーダーシップを発揮する。
- 興味のある事に対して長い間集中力を発揮する。
- 何かに集中するとそれ以外のことを忘れてしまう。
- いろいろな分野でユニークな分野で趣味や興味がある。
- 何かを収集(コレクション)している。
- 想像力が豊かである。
- ゲームやおもちゃなどを自分で創作する。
- 同じことをするのに新しい方法をみつける。
- 絵を描くこと、文章を書くこと、何かを創作する
- 歌うこと、楽器を弾くこと、踊ること、リズムに合わせて身体を動かすこと、パントマイムをするのが好き。
- 音楽に反応を示し、歌を作曲したり、リズムを即興する。
- 全く関係のないように見えるものの中から他の人には目ないパターンやつながりを読み取る。
- ある考えの論理や、規則や行動に関して議論する。
- ルーティンや予想がつくものに関して興味を失う。
- ユーモアのセンスがある。
- ある人のスピーチや語彙を吸収し、お話しや音楽、劇、遊び、ゲームの中で真似する。
- とてもアクティブでじっとしているのが苦手。
- 神、愛、正義や平等などの抽象的な概念について話すのが好き。
- 見えるもの、聞こえるもの、触れるもの、口にいれるもの、匂いに普通でない位に敏感で繊細である。
- 周りの人の感情にとても敏感であり、困っている人に対して感情移入をする。
- 世界の課題ー例えば、絶滅の危機のある動植物や人種差別、環境汚染や貧困問題などに関心がある。
- 論理的に正当化されなくても直観に従うことに抵抗がない。
- エネルギー、フォーカス、激しいが高い。
- 自分や周りの人が完全でないことにフラストレーションを感じる。
- 批判に特に敏感である。
- 霊的(スピリチュアル)な価値観や考え方や、または哲学的なテーマにほぼ直観的に興味を示す。
ただし日本の場合、周囲との協調を優先させてこれらの行動を意図的に隠す子どもたちがいることが知られています。
もし当てはまる項目はそれほど多くないが、その特徴によって育てにくさを感じる、または子ども自身が生きにくさを感じているような場合は、一度専門家に相談してみてもいいかもしれません。
ギフテッドの子どもたちの抱える困難
先に紹介させていただいた特徴の裏返しになりますが、ギフテッドの子どもたちは、様々な困難を抱えていたり、その結果として問題行動を起こしてしまうこともあります。
ギフテッドの悩み
- 授業に集中できなかったり、授業とまったく関係のない行動をとることがある。
- グループでの共同作業がうまくできない。
- 自分に対してだけでなく、他者にたいしても完璧を求める。そのせいで、批判手的な態度をとってしまいがちである。
- 議論をとおして、つねに主導権を握ろうとする。
- 繰り返しや、暗唱を極端に嫌がる。
- ルーティンワークを丁寧にこなすせない。やり方が雑だったり、文字や数字が極端に汚い場合もある。
- 同学年の子供たちと意思の疎通がうまくとれないことが多く、クラスなどのでも孤立しやすい。
- 他者からの批判をなかなか受け入れることができない。
このような行動のために、ギフテッドの子どもたちが、ADHDやADDなどの学習障害と誤診されてしまうケースも少なくありません。
また、ギフテッドの子どもたちは、一般の子供たちに比べて高校を中退する割合が高いともいわれています。
ギフテッドの子どもの才能を伸ばしてあげるために
ギフテッドの子どもに不本意な人生を歩ませないために、その存分にのばしてあげるために、親は何に気をつけて、どう関わっていけばいいのでしょうか。
1.得意不得意がはっきりしている子の場合、得意なことを伸ばしてあげることに集中しましょう。
ギフテッドの教育においては、苦手なことをできるようにすることよりも、得意な分野をさらに伸ばしてあげることに集中した方が高い効果が得られることがわかっています。
子どもの得意分野を正しく理解し、その分野に積極的に取り組むことを応援してあげましょう。
学校では、その学年ではまだ習っていないことについて先生にしつこく質問して煙たがれる、なんて経験をしているかもしれません。
家庭では、たとえ大人が答えられないような質問をされても、「そんなの知らないわ」「今、そんな関係ない質問はやめて」などと一蹴せず、まずは子供の話をきちんと聞きましょう。
答えられない質問なら、ごまかしたりせず「お母さんにはわからないけど、図書館か本屋さんに行って、その分野の本を一緒に探してみようよ」「おもしろそうね。お母さんも一緒に調べていい?」など、いつも応援していること、応援できてうれしいことを、常にわかりやすく示してあげましょう。
そして、まだ小学生なんだしなどとリミットを設定したりせず、やりたがることはどんどん進めさせましょう。
2.自分は何が得意で苦手なのかを子ども自身に認識させましょう。
完璧主義なギフテッドの子供たちにとって、自分が適応できない状況があること、うまくこなせない課題があることはとてもつらいことです。
その現実が受け入れられず、共同作業全般から遠ざかろうとするなど、極端に内向的になってしまう子どもたちもいるほどです。
まずは苦手なことを明確に言語化して、認識させます。正確に認識できるようになるだけで、困難な状況にも対処しやすくなります。
小さなヒントやアドバイスで、信じて応援し続けるのも有効です。
3.早い段階でグローバルな視野を獲得させるため、外国語習得の手助けをしましょう。
ギフテッドの子どもたちは、言語の習得が得意なことが多いと言われています。
特に興味のある言語があれば、その言語を。なければ英語を習得させましょう。
ネット上にあがっている情報のほとんどは英語で書かれているので、得意分野についての調べものも楽になります。
海外の、自分と同じ分野に興味を持っている学生や、自分と同じ年齢の子どもともコミュニケーションがとれるようになれば、学校という狭い世界の外には、もっともっと広い世界が広がっていることを実感できるようにもなるでしょう。
4.チームプレイを体験させてあげましょう
コミュニケーション能力をみがく訓練として、サッカーなどの団体競技や楽器のアンサンブル、演劇、合唱などのチームプレイを体験させましょう。
人間的に成長するためにも、人との関わりは不可欠だということを、お母さんも忘れないようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ギフテッドはその名のとおり、神様からすばらしい才能を授かった子供たちです。
社会的な協調性やコミュニケーション能力が重視される日本では、ギフテッドであることが困難としてとらえられることも少なくありません。
しかし、お母さんには、ぜひお子さんのすばらしい個性と才能を育ててあげてほしいなと思います。