皆さんはお子さんを理系に育てたいですか?文系に育てたいですか?
「進路は子どもが大きくなってから、子ども自身に全て任せるわ」という考え方もあるとは思いますが、幼少期のうちに親がある程度の方向性を定めてあげることは、そのお子さんの未来がスムーズに運ぶ大切な教育かとも私は思います。
例えば理系に進めば、医療系、製薬系、工業系、製造業系、IT系など専門職への道が開けていきますね。
親の後を継がせたいという場合もあれば、自分が苦労したので子供は理系に進ませたいという場合もあるかと思います。
どんな風にお子さんを育てると、理系の子が育つのでしょうか?
今回は理系の子の育て方について考えていきたいと思います。
目次
ノーベル医学賞・生理学賞を受賞した大隅氏の幼少期
理系研究の最高峰と言えばノーベル賞の受賞ですが、2016年のノーベル賞生理学・医学賞は東京工業大学の大隅良典氏が受賞しました。
2008年以降では毎年の様に日本人がノーベル賞を受賞しており、その研究レベルの高さはヨーロッパ、アメリカと並び今や世界トップクラスです。
因みに2016年現在までの日本人の受賞者数は計25名(受賞当時の日本国籍保持者)となっており、世界における獲得ランキングはアメリカ、ヨーロッパに次いで7位となっています。
特に自然科学3分野において受賞数が伸びているのが21世紀の日本です。
大隅氏は2016年の受賞インタビューの中で、子ども達に向けたメッセージとして、
「子ども達にはあれ?という気づきを大切にして欲しい」
と語っていました。
大隅氏の幼少期は、体が弱く学校も休みがちなものだったそうですが、それ以外では故郷である福岡市の山や川で遊び、昆虫採集にも精を出す普通の子供だったそうです。
科学への興味は年の離れたお兄さんから貰った子ども向けの科学本がきっかけだったと語っていました。
幼少期の『なぜなに』を大切に
つまりは、ノーベル賞にも繋がる最先端科学への情熱は、幼少期の「なぜこうなるのだろう」「あれはなんだろう」といういわゆる『なぜなに』に始まっていたと言えます。
全ての子供に平等にやってくる『なぜなに』期。
この時期をいかにして過ごすかが子供を理系に育てる大切なポイントと言えるでしょう。
科学的な謎を一緒に解明する
子どもが『なぜなに』を訪ねてきたら、ぜひ一緒に科学の疑問に向き合ってみて下さい。
以前、なぜなぜ期がチャンス♪揃えよう“図鑑&百科事典にも書きましたが、子どもが興味を持った分野から順に自宅に図鑑や事典を揃えていき、いつでもページを繰って調べられる環境を整えてあげます。
図鑑や事典は本棚の奥にしまい込むのではなく、手を伸ばしたらすぐに手が届くリビングやお茶の間に置いて下さい。
図書館で借りても良いのですが、お金を出して購入することで、その図鑑をとことんまで読み込もうとする気持ちが親子共に生まれ、よく使うようになります。
調べる際には「自分でやりなさい」ではなく、『親子で一緒に』取り組んで下さい。
普段からこまめに調べる習慣が付くことで、調べること自体が億劫ではなくなり、そのうち何か疑問が生じたら子どもが自分独りの力で勝手に調べるようになっていきます。
調べるということは科学で大切な『検証する力』と同じです。
疑問を追求するのが科学なのです。
科学的な疑問に曖昧な答えは御法度
せっかく子どもの側から生まれた『科学的な疑問』を 親側の勝手な思い込みや適当な返事で曖昧にするのは良くありません。
きちんとした科学的な根拠をもって子供に納得させてあげましょう。
いつも適当にごまかしていたのでは、そのうち子どもも親に気兼ねして段々と質問をしなくなってしまいます。
「すごいね!」とマジックワードを沢山声をかける
謎が解明できたら、「そうだったんだ。すごいね!」と子どもに声を掛けてあげて、解決の喜びを一緒に共有して下さい。
『すごいね』は子育ての中で、子どもの能力をどんどん伸ばしてくれるマジックワードです。
ここでは科学に対してとそれを解明できた子供に対する両方の凄いねという意味ですが、普段から『すごいね』と頻繁に声かけすることで、子供を科学好きの子にしてあげられます。
『すごいね』は特に男の子に対して効果的な言葉として知られており、学習や発達全てにおいて子供に自信を持たせ、意欲を引き出してくれます。
親にとっては本当に助かり、子どもがビックリするくらい言うことを聞いてくれるようになりますので、どんどん『すごいね』を使っていきましょう。
なぜの発信は親からも行ってみる
『なぜなに』の発信は子どもだけからではなく、是非お父さんやお母さんの方からもやってみて下さい。
身の周りで起こる様々な現象を「当たり前のこと」とせず、子どもと同じ視点で疑問を感じ、興味を傾けて欲しいと思います。
例えば、
- 今日のお空は濃い青やうすい青。色々な青があるね
- ○○君が好きな電車はとっても速く走るけど、その力はお部屋の電気と同じなんだよ
- アイスクリームってとても冷たくて美味しいけど、どうして冷たく感じるのかな?
といった感じに題材は何でも良いので、どんどん問いかけてみましょう。
親子の会話のきっかけにもなりますよね。
科学の素晴らしさを通し、自己承認力の高い子に育てる
日頃から、親子一つとなり『世の中の現象ってなんて凄いんだ!』と自然科学の素晴らしさについて共感して下さい。
更に『世の中って素晴らしいんだね。だからこの世に生きている○○ちゃんも素晴らしくて奇跡なんだね』と教えてあげることで、自分の命そのものが奇跡で貴重なものであると認識できる自己承認力の高い子供に育てることができます。
自己承認力というものは非常に大切です。
自己承認力があれば『自分にはやれる力が備わっている』と自らの能力を信じることができ、苦しい勉強や課題にも果敢に取り組んでいける粘り強い性格の子となります。
すぐ諦めたり、極限まで努力できない子は自己承認力の低い子が多いです。
これは親の子育て如何で左右されることですので、親としては是非いつも気にかけ、日々の子育ての中で全うできるようにしましょう。
アウトドアで「科学の目」を育てる
屋外は自然現象の宝庫です。
理系の子を育てるには沢山外遊びをさせましょう。
実際に木や虫や水や空気に触れることで、子供は遊びの中から観察する力を身につけていきます。
この『観察する力』こそが理系に最も必要な力となります。
理系は実験と観察の連続で研究を進めていきます。
小さいうちから観察力鋭い「科学の目」を育ててあげて下さい。
キャンプや釣り、夏や冬のアウトドアスポーツ、絶景と呼ばれるような壮大な景色の訪問、数年に一度の流星群観察、地方の鍾乳洞・炭鉱探訪なども学びが沢山得られる経験ですね。
「体験」として学ばせてあげることでその学びは体の深い所に根付きます。
「体験」を通して子供の興味ある分野も段々具体的に絞れていき、年齢が上がるにつれ志望大学、志望学科、志望職種などの照準も定まっていきます。
女の子も男の子と遊ばせる
お人形遊びやごっこ遊びなど創造性を引き出す遊びも発達の中では大切ですが、理系には物事を論理的に考える力が必要です。
男脳、女脳と言いますが、やはり男性脳はものごとを論理的に考える力に長けている傾向があります。
理系に育てたい場合は、女の子でも男の子の中で遊ばせると良いでしょう。
男の子の考え方の影響を受け、何かを判断する時に感情ではなく論理を重要視する子に育ちます。
理系の学部は殆どが男子学生ですので、大学生活でコミュニケーションを上手く運ぶ為にもサバサバした性格に育てておくのは損がないように思います。
パズル、ブロック、数字遊びを多くさせよう
理系は、データ解析などチャートやグラフなどの図形から情報を把握する力も必要となります。
幼い時からパズルやブロック、積み木などのオモチャで沢山遊ばせ、図形に親しみが深い子に育てましょう。
知育が育ち図形問題にも強くなる!お勧めオモチャ6選でおすすめおもちゃを紹介しているので、こちらもぜひ見てくださいね。
展覧会や博物館、科学館へどんどん出掛けよう
科学への興味を更に引き出してあげる為に、親子で博物館や水族館、展覧会に多く出掛けていきましょう。
上野公園の国立科学博物館は常設で盛り沢山の展示がなされており、非常にお勧めです。
子どもと一緒になって科学を楽しむ
理系の子に育てる為に大切なのは、親も子供と一緒になって科学を楽しむことです。
そして科学の素晴らしさ、科学の無限の可能性を毎日毎日、お子さんと共有して下さい。
お子さんはどんどん科学が好きになっていくことで、「将来は飛行機を飛ばしたい」「宇宙ステーションを作りたい」「不老不死の薬を作りたい」と夢を描けるようになるでしょう。
この夢こそが、色々な困難が待ち受ける長い子育ての中で、子どもがまっすぐ育っていく為の原動力であると私は思います。
ただお金を儲けたいから理系へ進みたい、ただこういう職業に付かせたいから理系に進ませたいでは、恐らく親子の夢は頓挫します。
科学へのアンテナをピンと張れる子に育てる。
そんな子に育ててあげられれば、その子は夢と目標を持って理系の道を突き進んでいけると思います。