ここでは、お子さまの中学受験を検討されている保護者のみなさまに向けて、女子御三家中高を卒業した筆者自身の受験経験と中学受験生の指導経験をもとに、中学受験生の読書について、役立つ情報をお届けしていきます。
受験生の読書について参考にしてみてください。
目次
読書をすることのメリット
中学受験をする上で読書が大切だとよく言われていますが、まずは読書がどのように受験生にとって役に立つのかみていきましょう。
はじめに、読書経験による読解力の向上が挙げられます。
中学受験の国語で出題される文章は、小学生には難しいテーマを扱ったものが多いです。
例えば、物語文なら、友人や家族との関係や、少年少女の成長を描いたものがよく出題されています。
しかし、このようなテーマは中学受験生にとって自分の体験と重ねにくいかもしれません。
体験と照らし合わせるのが難しくても、登場人物の心情を読み解いていくことが求められます。
また、説明文ですと、専門用語が用いられた生物や現代社会についての文章をよく見かけます。専門用語が使われているため、まずテーマを把握するのが難しく感じられます。
しかし、読書経験を積むことで、小学生の経験値では理解が難しい内容について書かれた文章を読むことに抵抗がなくなると思います。
さらに心情やテーマを意識しながら読むことで、読解力が身に付いてくるでしょう。
次に、息抜きや好奇心を刺激するものとしても、読書は有用です。
私は国語がとても苦手でしたが、興味のあった生物や宇宙についての本を読むことで、息抜きができましたし、何より説明文の読解方法が分かるようになりました。
中学受験生の読書時間について
読書は、受験生にとって大切ではありますが、5,6年生になると、読書の時間をたくさんは取れないと思います。
ですので、3・4年生のうちに時間を確保することを推奨します。
3・4年生のお子さんなら、1日15分程度、読書をする時間を設けると良いでしょう。
本に限らず、小学生新聞などでも構いません。私は通っていた小学校が、1時間目の前に読書時間を設けていたので、その時間を利用していました。
本が好きなお子さんの場合は、保護者の方が、中学受験に出やすい文章をピックアップなさるのも良いかもしれません。
一方、読書が苦手なお子さんには、まずは読む本のジャンルを強いずに、好きな本を読ませてあげるのが良いと思います。そうすれば、徐々に文章に抵抗がなくなっていくことでしょう。
中学受験をする3・4年生におすすめの本!
まずは3・4年生におすすめの本を2冊ご紹介していきます。
「グレッグのダメ日記」シリーズ
インパクトのある表紙と、かわいらしいイラストが特徴です。
グレッグという小学生の男の子が書いた日記、という設定で書かれています。日常的で小学生にとって身近な出来事を、そのまま子ども目線で綴っている印象を受けます。
吹き出し付きのイラストが添えられているため、心情の動きを簡単に読み取ることができます。読書が苦手なお子さんでも楽しく読むことのできる本ではないでしょうか。
「じっぽーまいごのかっぱはくいしんぼう」
大手塾のテキストに一節が載っていたように記憶しています。主人公の男の子が、河童を拾い、飼う中で様々な出来事が起こる…というストーリーです。
語り口調で読みやすい一方で、生き物を飼うことや周囲の人との関わりについてなど、大人でも考えさせられるような内容です。
気持ちの描写が丁寧なので、物語文に苦手意識があるお子さんでも、共感しながら読み進めることができると思います。
中学受験をする5・6年生におすすめの本!
受験を控えた5,6年生は、塾で扱う作品が本を購入する際のバロメーターになることでしょう。
塾の演習授業やテスト、実際の入試問題で使われた作品の中で特におすすめしたいテーマと作品をご紹介します。
スポーツを通して成長していくストーリー
あさのあつこさんの「バッテリー」や「ランナー」、佐藤いつ子さんの「駅伝ランナー」、瀬尾まいこさんの「あと少し、もう少し」などがよく出題されています。
先日バッテリーを読み返してみましたが、大学生でも読み応えがあるような文章で、中学受験のレベルの高さを改めて実感しました。
どの作品も、セリフから心情を読み取ることがとても大切です。ぜひ親子で一緒に読んでいただきたい作品です。
友情をテーマにしたストーリー
重松清さんの「きみの友だち」や「きよしこ」、「小学五年生」などは定番中の定番です。
重松清さんの作品は、小学生主人公のものが多いことから、よく出題されるのではないでしょうか。
表現がまわりくどく感じられることが多いですが、そのまま流し読みをするのではなく、心情表現は特に真意を掴むことができるように、焦点を当てながら読んでいきましょう。
最後は前向きに終わることが多いので、期待しながら読むことも良いかもしれません。
同テーマのものとして、森絵都さんの「カラフル」や「クラスメイツ」、「アーモンド入りチョコレートのワルツ」もおすすめです。
森絵都さんの作品は、設定が凝っているものが多いような印象を受けます。設定を読み取り、登場人物の書き分けに注目して読んでいくのがコツです。
最後に
中学受験生の読書についてご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?
文章を読むことへの抵抗をなくすためにも、息抜きとしても、中学受験生にとって読書はとても有用です。
大人が読んでも難しい文章が出題されることが多いので、物語は特に、ぜひ親子一緒に読んで、解釈を深めることをおすすめします。