妊娠が分かると、お母さんのお腹の中の子にとっていいことをなるべくしてあげたい、という気持ちが出てくるかと思います。
ただ、お母さんが食べたものが、赤ちゃんに影響すると考えると、食事についても慎重になりがちになるかもしれません。
今回は、妊娠中に食べた方がよいものや控えた方がよいものについて、食育インストラクターの筆者が出産経験を交えてお伝えしていきます。
目次
妊娠中の食事は何に気を付けるべき?
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で胎盤を通して栄養補給を行います。
そのため、お母さんが食べたものが赤ちゃんに届きますので、妊娠中はある程度食事に気を付けることが大切です。
ただ、妊娠中には「つわり」がひどく、食事をできない方もいます。
筆者自身も妊娠中に「つわり」には非常に悩まされました。
よくいう空腹になると気持ち悪くなる「食べつわり」なのか、食べてしまって気持ち悪くなる「吐きつわり」なのか、自分がどちらかよく分からず、食べて、吐いて、落ち着いて、食べて…を繰り返していました。
食べられるものがごはん・肉・チーズ・ポテトという時期もあり、こんな食事でいいのか?と悩んだこともあります。
最近では栄養補助を目的としたサプリメントも充実しており、サプリメントの摂取も考えましたが、あの錠剤さえも飲み込むのがつらく、ほとんど飲むことはできませんでした。
とにかく「つわり」がひどいときは、「食べられるときに、食べられるものを、食べたいだけ食べる」を意識していました。
つわりが辛く水さえも飲めない時や食事ができず赤ちゃんに栄養が届けられない時は、罪悪感を持ってしまうかもしれませんが、きちんと病院で相談すれば大丈夫です。
必要であれば入院し、体調を整えることもできます。
赤ちゃんが元気に育つためには、お母さんの体調もまた大切です。
妊娠中に積極的に食べたい!お腹の赤ちゃんに与えてあげたい食べ物
体の発育に役立つ!葉酸が多く含まれるている食べ物
赤ちゃんを望む場合、妊娠前から積極的に摂取することが推奨されています。
葉酸は細胞の生産や再生を助けて体の発育に役立ったり、脳や脊髄をつくるのに必要な栄養素です。
赤ちゃんの神経系は妊娠初期から妊娠7週頃までに起きるため、妊娠に気づく前からの摂取がよいとされています。
葉酸は日本人の平均的な摂取状況では十分であるとされていますが、妊娠中では必要量が普段の約1.8倍とされていますので、積極的な摂取を意識してもいいのではないでしょうか。
葉酸が多く含まれている食べ物は、モロヘイヤやほうれん草、ブロッコリーなどです。
スープなどにして食べると、栄養素の損失も抑えられ、身体も温めることができるのでオススメです。
中期以降は特に意識して摂取したい!鉄分が多く含まれている食べ物
鉄分は血液の材料となることでもよく知られていますね。
妊娠中の血液量は通常の約1.5倍になります。
妊娠中は血液を介して赤ちゃんに栄養が送られるため、循環する血液量が増加し、たくさんの血液が必要になります。
また鉄分は日本人女性が不足しがちな栄養素です。
赤ちゃんが大きくなる中期以降は意識的な摂取を心がけましょう。
さらに母乳を介して赤ちゃんに鉄を与えるため、出産後も鉄分は重要です。
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。
「ヘム鉄」は肉や魚などの動物性食品に多く含まれ、「非ヘム鉄」に比べて吸収率がよく、鉄欠乏性貧血の予防に効果的であるとされています。
「非ヘム鉄」は「ヘム鉄」より吸収率は低めですが、小松菜やほうれん草、納豆など植物性食品に多く含まれ、副菜として食事にプラスすることがしやすいものが多いです。
また、ビタミンCと一緒に摂取することで、吸収力を高めることができます。
たんぱく質は重要な栄養素!バランスの良い食事を意識しましょう
赤ちゃんの脳や体をつくる重要な栄養素です。
良質なたんぱく質を含む肉や魚を欠かさず食べたいものですが、「つわり」がある時には肉や魚を受け付けない場合もあるかもしれません。
そのような場合は大豆製品でもよいでしょう。
冷奴のように冷たい物なら咽喉を通りやすい人もいますし、枝豆は葉酸も含まれています。
タンパク質の日本人女性の摂取量は不足しているとも言われていますので、積極的な摂取も必要ですが、気になるのはカロリーです。
タンパク質の摂取に意識が行き過ぎて、カロリーオーバーにならないように気を付けましょう。
この他、妊娠中には便秘になりやすいので、食物繊維を摂ることもオススメです。
きのこは食物繊維が豊富なだけでなく、うま味があり、薄味でもおいしく食すことができるため、塩分に気を付けるべき妊婦さんにもオススメです。
普段あまり食事の栄養について考えていない場合は、妊娠を機に「バランスの良い食事」を意識してみましょう。
妊娠中には控えた方がよい食べ物と飲み物
アルコール類
毎日の晩酌を楽しみにしていた女性の場合は、妊娠判明後いきなり「禁酒」になるのはつらいこともあるかもしれません。
しかし、大切な赤ちゃんがお腹にいることが分かった場合は、すっぱりとお酒を断つ必要があります。
母親がアルコールを摂取すると、胎盤を通じてお腹の赤ちゃんへと送られてしまいます。
その結果早産や流産のリスクが高まったり、発育の遅れや中枢神経系の障害など(学習障害や記憶障害など)の先天異常が見られることがあるからです。
「ちょっとくらいなら…」とお酒が好きな人は思うかもしれませんが、様々な研究が行われているものの、妊娠中でも安全な飲酒量や時期は分かっていません。
できれば妊娠を望むようになったら、妊娠初期に飲酒してしまうリスクを回避するため、飲酒を控えることも検討しましょう。
カフェイン
夜の晩酌同様、朝のコーヒー1杯を習慣にしている人も多いかもしれません。
しかし、コーヒーに含まれるカフェインもまた、流産や早産のリスクを高め、発育不良などの影響があると考えられています。
国や医学関連団体によって飲んでも良いとされる量やカフェイン摂取量が公表されています。
そうした情報とカフェイン摂取のリスクを理解した上で、コーヒーを飲みましょう。
また、カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶や緑茶、コーラや栄養剤、チョコレートなどにも含まれています。
最近はやりのエナジードリンクにも多量のカフェインが入っているため、注意が必要です。
その他、生魚や生肉などから微生物に感染し、食中毒を発症するリスクが高まり、最悪流産などの危険性もあるので気を付けましょう。
まずは食べられるものを!赤ちゃんと一番近くにいあれる時間を大切にしましょう
赤ちゃんに栄養を与えられるのは母親だけですが、母親だけが食べ物に気を付けるのではなく、父親も一緒に食事に気を付ける姿勢を見せてくれると、女性としては嬉しいものですね。
また、「つわり」がひどい時には食材をみることさえ嫌になることも…。
家族で食事の準備、買い物や調理を手伝って、一緒に「つわり」の時期を乗り越えていけると、絆も深まっていくのではないでしょうか。
まずは食べられるものを食べ、お母さんも体力をつけましょう。
お腹に赤ちゃんがいるのはわずか約10か月しかありません。
赤ちゃんと1番近くにいられる幸せな時間を、ぜひ楽しみながら過ごしてください。