小学校の勉強についていけない、勉強が出来ないと心配をしている親御さんは少なくないはずです。
しかし、勉強が出来ない子といっても、さまざまな理由や性格の子がいます。
ここでは、なぜ勉強ができないのか、またそのタイプごとに共通することを小学校の教諭経験を通して見てきたことをご紹介していきます。
勉強についていけているのか、理解出来ていないのでは?と悩んでいる親御さんは、学校での様子や勉強の出来具合など、学校の先生に一度尋ねてから再度見て頂くと良いかもしれません。
それでは、みていきましょう。
目次
相手の言っている意味や質問の意味がわかってない
勉強が出来ない子の多くに見られる特徴は、そもそもこちらの言っていることや質問の意味が分かっていないということです。
その原因は、国語力のなさが関係してきます。
その子自身が持っている語彙が少ないために、言葉一つ一つの意味が分からず、唖然としているのです。
そしてもう一つは、経験不足。
人とたくさん話したり、本をたくさん読んだり、何かに夢中になったりする、という経験をさせてください。
- 人とたくさん話す→会話の流れや、その人の表情などから、どんなときにどんな言葉を使うのかがわかる。
- 本を読む→語彙が増え、色んな表現の仕方を学ぶ。
- 何かに夢中になる→興味があることなので、知りたいことが増える。
自然と理解したいという気持ちになり、色々な言葉を知っていく。
経験というのは、その子の「勉強ができる」というベースを作っていくのです。
相手の言っている意味や質問の意味が分かっているのに勉強が出来ない
たまに、勉強ができない子の中に、意味が分かっているのに勉強に取りかからない子(自分から取りかかろうとしない子)がいます。
このタイプの子は、気分にムラがあるというのが特徴です。
勉強に取りかからない理由としては、次のようなことが考えられます。
- ただ勉強が嫌い
- 勉強する気分ではない
- その勉強に興味がない
とにかくこのタイプの子には、「勉強が楽しい」ということをインプットしてあげることがポイントです。
ゲーム方式やクイズ方式にしてみたり、その子が興味のあるものとつなげたりします。
授業中に落ち着きと集中力がない
小学校で勉強ができない子の特徴として、次の特徴は、前者と後者のどちらにもあてはまる場合があります。
それは、集中力と落ち着きがないということ。集中力と落ち着きのない子は、
- 目の前にあるもの(筆記用具や人が持っているもの、身に着けている物等)が気になる
- 友だちのことが気になってつい話しかけてしまう
- 全然関係のないことを言ったり、してしまったりする(手遊びや独り言が多い)
話を聞いたり、作業をしたりするなどの問題以前に、目の前に気になることがありすぎるのです。
そのような子の場合は、できるだけ目の前の障害物をなくしてあげることが有効です。
子供が悩みを抱えている
上記のような特徴を持っていないのに、勉強ができない子がいます。
稀に、悩みがあるが故に勉強ができないという子もいます。
その悩みというのは、子どもによって変わってくると思いますが、次のようなことが考えられます。
- 学校での悩み(対人関係や係等の不満や不安)
- 家庭での悩み(家族への不満や不安)
- 身体的な悩み(外見や思春期による体の変化等)
- 漠然とした不安
悩みを持っていても、自分から相談できない子もたくさんいます。
このような特徴を持つ子は、能力的に勉強ができないというよりも、精神的に勉強ができないという場合が多いです。
大人でも、悩みがあると仕事に集中できないということがありますよね。
場合によっては、悩みを解決してあげられることは難しいかもしれませんが、できるだけ力になってあげられるよう、その子の気持ちに寄り添い、行動してあげることが大切です。
発達的な問題
発達的な問題を認めたくない親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、見過ごしてはいけないものの一つです。
発達的な障害を持つ子は、勉強ができないことがあります。発達障害には、主に次のようなものがあります。
知的障害
発達自体が遅いため、同学年の子と比べて理解や作業等が遅れる。
学習障害(LD)
身体的、環境的に問題はないのにも関わらず、
「話す」「聞く」「読む」「書く」「計算する」「推論する」のいずれか(一つの場合と複数の場合がある)が著しくできない。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
- こだわりが強く、一つのことに集中すると他のことに注意が向かない。
- 良好な人間関係を築くのが苦手。
- 質問にオウム返しをする。
- 反復行動(同じことを何回もする)が多い。
- 多知的・言語障害を併せ持つ場合とそうでない場合がある
注意欠如多動性障害(ADHD)
※いずれかの特徴を持つ子と、複数併せ持つ子がいます。
- 気が散りやすく、ボーっとしている。
- 忘れ物が多い。
- 話し出すと止まらない。
- じっとしていられない。
- 空気がよめない。
「自分の子どもに限って…」「いずれ治るだろう」と向き合おうとしないことが、子どもにとっては一番つらいことです。
場合によっては、学校の先生に特別支援学級を勧められるかもしれません。
「通常の学級ではついていくことが困難」「その子に合ったペースで勉強してほしい」という学校の先生からのメッセージに、「通常の学級でなんとかさせたい」と返す方もいらっしゃるかもしれません。
自分の偏見や周りの目などを気にしている人は、そのような障害を持つ子たちを差別していることになります。
どのような判断が子どものためになるのかをしっかりと考えましょう。
まずは勉強が出来ない原因を見つけ出してあげることが大切
小学校の勉強が出来ないお子さんの特徴をご紹介してきましたが、これらの特徴をもとに、その子が勉強できないのはなぜなのか、原因を見つけてあげてください。
なかなか難しいことかもしれませんが、子どもとまっすぐに向き合い、一人ひとりに合う対応をすることで、子どもたちを明るい未来へ導いてあげることができます。
学校の勉強が出来ないと悩んでいる親御さんの参考にして頂けたら幸いです。