お子さんが不登校の親御さんは、予想外の悩みごとがたくさん。
自分が学校に当たり前のように通っていただけに、学校に通わないとどうなってしまうかというのは、思いもかけない疑問であり、同時に大きな不安ともなります。
小学校・中学校は義務教育であるにしても、高校はそうではありません。
地元の中学を卒業できたとしても、高校に入学できなかったら、あるいは入学しても卒業できなかったら、実質上の学歴は「中卒」扱いとなってしまいます。
高校で初めて不登校になったお子さんにも、同じ壁が待っています。
高校は、出席日数と単位数が足りないと進級や卒業ができませんから、不登校の状態のまま卒業することができません。
中退すれば「高校中退」そのまま働くにしても、「高卒以上」と書かれた求人案件には応募することができません。履歴書上は、高校中退も中卒と同じ扱いになるのです。
では、進学して学歴を上乗せすればいいのでは?と思うかもしれません。
でも、大学・短大・専門学校、これらのどれに行くとしても、高校卒業資格が必要なのです。
小・中であれば、年齢で学年が決められましたが、高校以上の学校では、自分の学歴が入学条件になるのです。
こういう話を聞くと、どうにか高校だけは卒業してもらいたいと考えるのは、ごくごく自然なこと。「働く」にせよ、「進学する」にせよ、「高校卒業」という称号は、非常に大きな意味を持つのです。
あたりまえに学校に通い、卒業してきた親御さんからすると、あまりにも意外な事実と感じることでしょう。
でも、諦める必要はありません!手は幾つかあります。
通信制高校・単位制高校への転入、入学
まず考えつくのは、「通信制高校・単位制高校」。
家庭でレポートや映像授業をこなし、年数回のスクーリングに通うことで、高校を卒業することができます。
最近は、ネット上だけで高校のすべてを完結させる、ドワンゴのN高校が話題になりましたが、あの高校もこの部類ですね。
でも、通信制・単位制ともに、学校教育法という法律で定められた学校であるために、修業年数は3年以上と決められています。
例えば、高校生の年齢に当たる16〜18歳、プラス2歳くらいまでなら、卒業までに3年がかかっても大して問題がない場合も多いでしょう。
でも、もし20歳を過ぎていたり、すでに留年していて他の同級生より卒業が遅れてしまうことがどうしても嫌だと思うのなら、あたらめて3年の年月をかけることには、デメリットになるかもしれませんね。
高卒認定は短期間で「高卒の資格」が得られる!
3年の月日を使わずとも高校卒業の資格を得られる方法もあります。
それが、「高校卒業程度認定試験」です。長いので、高卒認定と略され、昔は「大検」と呼ばれていました。
これは、高校卒業できるくらいの学力を持っていることを証明できる試験です。
合格すれば、「高校卒業と同等の資格」が得られます。
実際の試験の難易度は、高1修了か高2の初めくらい。しかも出題にはパターンがあるので、それを暗記したり習得したりすれば、たとえ中学半ばまでの学力しかなかったとしても、そんなにハードルの高い試験ではありません。
試験は年に2回、8月と11月に行われ、一度で合格できなくとも、全部で8科目すべてに合格すれば、認定です。
ただし、注意してほしいのは、高卒認定は「高校卒業」ではないということです。
「高校卒業と同等」だと証明するものなので、もちろん卒業証書はありません。履歴書には、「高校卒業程度認定 取得」と書きます。
でもちゃんと、高卒以上の条件の求人にも応募できますし、進学の際の願書を出すこともできます。
文科省のHP: http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/
最近は、高卒認定試験と通信制高校などでの単位取得を組み合わせて、より容易に確実に高卒認定が取得できる仕組みもできつつあるようです。高卒認定に特化した予備校もあります。
まとめ
年齢がオーバーしてしまっても、16歳以上であればどんな年齢からでも挑戦できるのが、高卒認定です。
うちの子は不登校だから、学校に行けないから、その先の人生がすべて真っ暗なんてことはありません。
学校に行けなくとも、社会では生きていけるかもしれませんし、生き方が多種多様になったこの社会では、表へ出なくてもできる仕事も十分にあり得ます。
しかし、どのみちモノを言うのは、学歴であることには、残念ながらまだ変わりありません。「高卒」の称号を手にすることが、お子さんの再挑戦への第一歩なのかもしれません。
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