子どもの歯が生え揃ってきた時、「この歯並びは大丈夫なのかな?」と思う事はありませんか?
歯科衛生士として勤務していた筆者自身も、4歳の我が子の歯並びは、揃い始めた2〜3歳頃から「出っ歯かも?!」と不安になりました。
今現在も開咬(歯を噛み合わせた時に前歯が噛み合っていないこと)状態です。
歯並びは審美的、衛生的、機能的に非常に重要です。
子どもの頃には矯正しなかったが、自分自身が親となり子育てが落ち着いた40〜50代から矯正を始める方も多いです。
この記事では、子どもの矯正を考え始めるのはいつからがいいのか、またどういった歯科医院を探せばいいのかをご紹介していきます。
目次
歯並びが悪いことで起こる5つのリスク
虫歯と歯周病のリスクがある
歯並びがガタガタだと、歯ブラシを当てるのがとても難しいため、歯垢(細菌の塊)が溜まります。
虫歯も歯周病も歯や歯茎に菌が感染する事が原因です。
歯垢は、水でゆすぐ程度では除去出来ず、歯ブラシやデンタルフロスを当てて機会的に除去する事が大切です。
また、菌が口の中に残りやすいので、口臭もします。
咀嚼機能低下
上の歯と下の歯が噛み合っている部位が少ないと、咀嚼の効率が低下します。
物を細かく咀嚼出来ないので、胃腸への負担がかかります。
発音が悪くなる
すきっ歯や出っ歯の場合、音が漏れるので発音が悪くなります。
また、受け口の場合も特定の音が聞き取りにくくなります。
嚥下時に舌が出る
上下の前歯が噛み合ってない場合、物を飲み込む時に舌が上下前歯の間に出てきます。
その嚥下時の舌の動きによって余計に前歯が前に押され歯並びの悪化を招く事があります。
顎関節症になる可能性がある
歯並びが悪く噛める所が少ないと、顎の動きで調整して無理やり噛ませ様とします。
その無理やり噛ませようとする顎の動きによって顎関節に負担がかかり、口が開きにくくなったり、閉じにくくなったり、痛みが出たりする事があります。
顎関節症になると、対症療法しかなく、根本的な治療はないため、顎に負担をかけない事が大切です。
矯正が考えられる歯列不正のタイプ
ニコッと笑った時に見える歯は、前歯から犬歯か小臼歯までです。
また、たいてい人の目がいくのは、上の前歯であり、下の前歯はそんなに目がいかないのではないでしょうか。
上の前歯がガタガタだと目立ちますが、下の前歯が少しガタついている程度では、そんなに気になりませんよね?
上の前歯が綺麗な並びの人は自分の歯並びはいいと思っている人も多いのではないでしょうか。ですが、歯並びの良し悪しは、歯型を取って噛み合わせの型も取るとよく分かります。
奥歯が傾いていたり、噛み合わせた時に噛み合っていない部位があったりする事があります。
矯正を考える方は、審美的なものを求めてされる方が多いですが、噛み合わせを正常にする事も、矯正の意義となります。
次に歯列不正のタイプをご紹介します。
叢生(そうせい)
いわゆる、ガタガタな歯並びです。八重歯や乱杭歯とは、叢生の事です。
歯の大きさや数に対して、顎が小さくスペースが少なかったため起こります。
上顎前突
いわゆる、出っ歯です。上顎が突出しているか、下顎が後退しているかで起こります。
下顎前突
いわゆる、受け口です。噛み合わせが上下反対になっており、発音や咀嚼嚥下機能に影響があります。
開咬
奥歯は噛み合うが、前歯は噛み合っていない状態です。
大きな物を頬張った時や繊維性の物を食べた時に噛み切る事が出来ません。
交叉咬合
顎が左右とどちらかにずれており、上下の中心が合っていない状態です。
放置する事で、成長期に左右で顎の成長に差がうまれ、顔が歪む可能性があります。
空隙歯列弓
いわゆる、すきっ歯です。歯と歯の間に隙間が出来ている状態です。
歯間離開、正中離開とも言います。
歯の本数が少なかったり、歯の大きさに対して顎が大きかったり、上唇小帯の位置が歯に近いところにあったりすると起こります。
過蓋咬合
下の歯が見えないほど噛み合わせが深い状態です。
下顎の歯肉に上の歯が当たって、傷や口内炎が絶えないという事があります。
奥歯を失ったまま放置していたりすることによって起きます。
子どもの矯正はいつから始めるのがベスト?
子どもの矯正は、矯正を考え始めるタイミングがあります。
それは、個々の症例にもよりますが、一般的には前歯が生え変わり、6歳臼歯が生える頃です。
この頃が乳歯と永久歯の交換期の始まりです。子どもは顎の骨も成長期なので、その成長に合わせて骨格を拡大する事が出来ます。
骨格的に歯の生えるスペースが狭い場合、口の中や口の外から、拡大する装置を使って拡げます。
こういった、骨格から矯正する事を床矯正と言います。
床矯正のメリット
床矯正は、萎縮した骨格を正常に拡げることにより、3つのメリットがあります。
- 歯を抜かなくても歯列を正常に並べられる
- 口の中が拡がるので、舌の位置が良くなる
- 上顎骨の拡大により、鼻づまりが改善する可能性がある
床矯正のデメリット
床矯正は、メリットも挙げられますが、デメリットもあります。
- 床矯正しても、永久歯が生え揃ってから再矯正が必要な場合もあるため、治療期間が長くなる
- 毎日、拡大装置をつけないといけないので、本人の協力がないと効果が得られない
という事です。
大人の矯正はいつから始める?
大人の矯正は、第ニ大臼歯まで永久歯が揃った13歳前後から始める事が出来ます。
大人の矯正とは、歯をワイヤーで繋ぎ、正常な位置に動かす矯正の事です。
歯に圧力をかけて、2〜3年ほど動かします。
その後、動いた歯が元に戻ろうとするので、歯の裏側をワイヤーで固定します。これを保定と言います。
この保定期間がおおよそ2年以上必要です。
大人の矯正のメリット
- 装置がボンドで歯に付いているので、毎日付け外しの必要がない
- 歯並びがみるみるうちに変わるので、審美的に自信が持てる
大人の矯正のデメリット
- 衛生管理をしっかり行わなければ、虫歯になるリスクが高い
- 30歳前後で矯正を始めた場合、歯肉退縮(歯肉が下がる)が起きやすい
- 歯に圧力をかけて動かすので、痛みが出る
矯正をするならどこに通う?歯科選びのポイント
子どもの歯並びが気になるなら、6歳前後で一度矯正の専門医のいる歯科医院を受診した方が良いでしょう。選択の幅が広がります。
歯科の世界は、矯正の専門医以外が矯正をしてはいけないという事はなく、歯科医なら誰でもする事は可能です。
5年以上の通院になるので治療方針の合う歯科医院を選ぼう
しかし、矯正を始める前には、必ず事前に検査を行い、その資料を元に分析の結果に基づいて治療方針を決めています。
矯正用の検査もなく、いきなり始める事はあり得ません。
検査とは、レントゲン撮影、歯と歯茎と噛み合わせの写真、顔の輪郭と笑顔の写真、歯型と噛み合わせの型採りがあります。
今後、歯科医院とは少なくとも5年以上の付き合いになるので、治療方針のカウンセリングの時点で不信感を持つ歯科医院は向いていません。他院を受診する事をお勧めします。
まとめ
矯正は、個々の口の状態で異なるので、明確な開始時期は決まっていません。
前述にも記した通り、筆者の我が子も2年後には、矯正相談の必要がありそうです。
今から少しずつ口コミや、ホームページ等から情報を収集し、信頼出来る歯科医院を見つけて行こうと考えていますので、歯並びが気になるお子さんには、永久歯が生え始める6歳前後で一度矯正専門医に相談して見ることをおすすめします。
矯正を始めたら、歯科医院とは長い付き合いになるので、不信感のない歯科医院を選びましょう。