偏差値が上がっていく中学校と下がっていく中学校!広い視点で学校選びをすることの必要性

偏差値が上がる学校と下がる学校の共通点

中学受験では、独自の強みで偏差値が上がっていく学校もあれば、いろいろな要因で偏差値が下がってしまう学校もあります。

ただ、偏差値が下がったから悪いわけではなく、偏差値が高いから良いというものでもありません。

この記事では、塾講師経験から偏差値が上がる中学校・下がる中学校の特徴・共通点などをお話ししますが、同時に偏差値が全てではないことも様々な観点からご説明していきます。

偏差値だけで判断してはいけない!学校選びで大切なこととは?

まず大前提として、学校は偏差値だけで判断できるものではありません。

偏差値の高い学校は確かに大学受験の合格実績なども優れていますが、その学校が「自分の子どもにとって良い学校」とは限りません。

たとえ偏差値が低めだろうと、校風や教育方針が子どもに合う場合もあるのです。

その学校の特徴や強みと、お子さんの性格や考え方が合うかどうかが、「自分の子どもにとって良い学校」かどうかの決め手です。

最終的には偏差値云々の話ではなくなるので、この点は大前提としておさえておいてください。

偏差値はなぜ上がるの?

そもそも偏差値がなぜ上がるかというと、簡単に言えば入学希望者が増えるからです。

また、希望者が増えても学校の募集人員には限りがあるため、なるべく試験を難しくして合格者を絞る必要があり、入試の難易度も上がることになります。

反対に、入学者希望者が減少すれば偏差値も下がり、入試問題の難易度も易しくなるでしょう。

偏差値が下がるのは悪いこと?

このように、偏差値は基本的に希望者の多い少ないに左右されます。

ここで考えていただきたいのは、希望者の少ない学校が悪いのか?ということです。

人気が落ち、偏差値が下がった学校が悪いのか?ということです。

当然ながら「悪い」と断定することはできません。

のちほどお話ししますが、学校の人気は近隣校や立地によっても左右されます。

必ずしも学校だけの問題ではないのです。

確かに学校の人気が落ちるのは、学校側にも何か問題があるのかもしれません。

しかし他の要因もたくさんある以上、人気だけで決めるべきではなく、もちろん偏差値だけで決めてはいけないのです。

偏差値が下がってしまう中学校の傾向

上記の話を前提としたうえで、偏差値が下がってしまう中学校に見られる傾向についてお話ししていきます。

立地や近隣校による影響

そもそも学校の偏差値というのは、その立地や周りの学校にも影響を受ける場合があります。

例えば近年、公立中高一貫校が増えていますが、こちらは私立より授業料などが格段に安い一方、指導体制・サポートは私立並みに整っています。

こうした公立中高一貫校が私立校の近くにあって、受験生がそちらに流れていけば、その私立校は受験者が減り、どうしても偏差値に影響してしまうでしょう。

これはシンプルな例で、実際にはさらに複合的な要因がありますが、偏差値が立地や近隣校にも左右されやすいことは事実でしょう。

近隣校と差別化が図れなくなった

上記の例で、たとえ学費の安い公立中高一貫校が近くに現れたとしても、近隣校にはない独自の魅力を前面に出し、しっかり差別化を図ることができれば、ある程度受験者は維持されるでしょう。

しかし、近隣校と似たような校風やカリキュラムなら、どうしても学費の安い方に人は流れていきます。

「学費が高くてもそこに行きたい」という独自の魅力を出せれば良いですが、うまく差別化が図れないと、やはり不利になってしまいます。

差別化を図れないのは悪いわけではない

ただし、「他校と差別化を図れない=悪い」というわけではありません。

確かに私立中学校も経営があるため、他校との差別化はビジネス的にも重要でしょう。

しかしながら、その学校の創立以来の理念など、絶対に変えられないものはあるはずです。

たとえ教育理念を大幅に変えないと差別化できないとしても、そこで理念ごと変える学校はそうはありません。

そして「理念を変えない=悪い」とは言えないのです。

たまたま近くに似たような教育理念の学校ができ、その学校のほうが学費が安かった場合、それははっきり言って運の問題でもあります。

そこで差別化を図れないのが悪いと断定することはできません。

このように、学校の在り方をビジネス的な側面だけで全て語るのは無理があります。

冒頭でお話しした偏差値の話も含め、このことはぜひ知っておいてください。

授業の質や学校の魅力が下がってしまった

学校の授業の質が下がったり雰囲気が悪くなったりすると、評判が下がって偏差値にも影響してしまいます。

これはある意味自然な話で、学校の魅力が下がれば入学希望者も減り、偏差値も下がってしまうのです。

ただし、これに関しては判断が非常に難しいでしょう。

例えば授業であれば、質が上がったのか下がったのか、一概に判断することは困難です。

学校の雰囲気も同じで、雰囲気が良くなったのか悪くなったのか、漠然とした問題ではっきりと判断するのは難しいでしょう。

特に現代は口コミなども大きな影響力を持ってしまい、インターネット上の噂が独り歩きしている可能性もあります。

実際には授業の質も学校の雰囲気もそれほど変わっていないのに、噂のせいで人気が落ちてしまったという可能性もあるのです。

さらに、先ほども言ったように偏差値は競合校や近隣校が増えればそれだけ変わりやすく、学校の立地関係なども影響します。

一概に学校側が全て悪いという話ではないので、この点も注意する必要があります。

中学受験をする子供の偏差値

偏差値が上がっていく中学校の共通点

次に、偏差値が上がっていく中学校に見られる傾向についてです。

大学受験の合格・進学実績が伸びる

シンプルな話ですが、大学受験の合格・進学実績が伸びると、それだけ人気は高まるでしょう。

特に中学受験では大学受験で有利になる学校を選ぶご家庭も多く、進路状況はその学校の強みとして、偏差値に大きく関係すると言えます。

また、元から大学受験に力を入れている中学校はもちろん、教育体制等を大きく変えて大学受験に特化した学校もあります。

やはり大学の合格・進学実績を強化し、入学希望者を呼び込もうと考える中学校は多いと思われます。

いわゆる中堅校が偏差値を伸ばすケースも

人気の難関校とは異なり、いわゆる中堅校が偏差値を伸ばしていくケースもあります。

こちらは大学合格実績では難関校に劣りますが、教育方針や校風、さらには部活動などの学業以外の部分で、独自の強みを持っている場合が多いです。

特に昨今、難関大学に入る以外の選択肢も増え、高校卒業後の進路も多様化しています。

こうした流れに対応し、生徒一人ひとりに合った進路指導を細かく充実させるなど、難関大学一辺倒ではないやり方も増えています。

中堅校にはこうした独自の強みを持つ学校もあり、難関校とは一味違う側面が評価を得ていると言えるでしょう。

ICT教育の充実化も影響する?

昨今のコロナ禍の影響もあり、オンライン授業のニーズはますます高まっています。

コロナ禍の出口が見えにくい中、オンライン体制・ICT教育が充実しているかどうかは、今後の中学校の人気にも大きく影響するでしょう。

また、コロナ禍が落ち着いた後も、オンラインのニーズはそのまま高水準で残る可能性もあります。

ICT教育に強い中学校が人気を維持し、それが今後の偏差値に影響する可能性は十分考えられるでしょう。

中学受験の志望校選び

偏差値で知っておくべき注意点

受験勉強をする小学生

最後に、ここまでの話も踏まえて偏差値に関する注意点を整理しておきます。

志望校・併願校を決めるとき

特に志望校・併願校を決めるとき、偏差値だけで判断するのは絶対に避けてください。

学校というのは、校風や雰囲気から教育方針まで、各校で様々です。

いくら偏差値的に優秀な学校に入学できたとしても、その学校の雰囲気が合わないなら、そこで実りある6年間を過ごせるとは限りません。

実際に入学してみたら自分に全然合わなかった、といった事態を避けるためにも、偏差値だけで判断はせず、校風、教育方針、授業の雰囲気、生徒の雰囲気など、現場の情報もしっかりチェックする必要があります。

塾で勉強をする子供

やはり現場の情報は大切

今はインターネットで様々な情報が手に入りますが、残念ながら信ぴょう性の薄い情報が多いのも事実です。

学校の口コミなども同じで、全てが信頼できる情報とは限りません。

そうした口コミなどを信じる前に、まずは学校の資料請求や見学などを活用し、現場の情報をしっかり見ることが大事です。

偏差値が重要な目安であることは事実ですが、あくまでご家庭・お子さんで学校の雰囲気をしっかり確認し、そこから志望校・併願校を絞っていきましょう。

そもそも難関大学の合格実績が高ければ良いの?

偏差値の高い中高一貫校は、難関大学の合格実績も豊富です。

一方、そもそも難関大学の合格実績が高ければ良いのか?難関大学なら何でも良いのか?という根本的な疑問もあるでしょう。

昨今、多様な働き方が増えたのと同様、大学に対する捉え方も多様化しています。

偏差値の高い大学が良いという価値観も徐々に変わり、それに合わせて個性的なカラーを強調するような大学も増えています。

そして、こうした傾向が中高一貫校にも影響しており、難関大学の合格実績が高ければ良いのか?という根本的な話になってくるのです。

多様化する現代、中学校の魅力も大学合格実績だけではありません。

学力だけではなく、人間力、品性といった側面により注力する中学校も多く、もはや勉強だけが全てではないと言って良いでしょう。

大学合格実績を強みとする偏差値上位の中学校だけが全てではありません。

このことは、今後の中学受験においてしっかり意識すべきポイントです。

授業を受ける中学生

幅広い視点から志望校・併願校を決めていきましょう

今回は、偏差値が上がっていく中学校、下がってしまう中学校の特徴や、偏差値に関する注意点や捉え方などをご紹介しました。

中学校の偏差値は確かに重要な目安ですが、偏差値だけが全てではなく、「偏差値が下がった学校=悪い」とは言えないのです。

偏差値は近隣校や立地などにも影響され、必ずしも学校側の問題だけではありません。

特に志望校・併願校を決めるときは、雰囲気や校風といった現場の情報もしっかりつかみ、偏差値だけで決めることのないよう、注意が必要です。

もちろん偏差値が上がっていく中学校には様々な良さがあり、豊富な大学合格実績のほか、その学校独自の強み(学業以外も含む)、さらにはICT教育の充実度など、幅広い強みが見られます。

こうした点を考慮して志望校・併願校を決めるのはもちろん大切です。

ただ、偏差値だけではないという点は常に知っておいてください。

価値観も多様化する現代、大学だけでなく中学校・高校に対する捉え方も様々です。

そして中学受験は親子の二人三脚で乗り切るものですので、親子で様々な中学校の情報に触れ、幅広い視点から志望校・併願校を決め、受験を実りあるものにしてみてください。