毎日の食事作りの中で、気になることの一つとして、「野菜不足」が挙げられるのではないでしょうか。
子どもの成長のためには野菜が必要だとわかっていても、野菜の量をなかなか増やすことができなかったり、子どもが野菜嫌いだったり、悩んでいる親御さんは多いと思います。
そこで、子どもの野菜不足を改善するためにはどんな工夫をしたら良いのかご紹介します。管理栄養士の筆者とみていきましょう。
目次
野菜不足になると体ではこんなことが起きてしまう!
代謝が下がる
子どもの体は、骨や筋肉、内臓など全身の代謝が活発です。
エネルギー源となるご飯や肉、魚などをしっかり食べることに加え、それらをエネルギーに変えるためのビタミンやミネラルを摂ることが必要になります。
野菜には多くのビタミン、ミネラルが含まれているため、野菜が不足すると元気の源となるエネルギーを作りにくくなります。
免疫力が下がる
免疫力を高めるためには、活性酸素を取り除く、抗酸化作用のある栄養素を含む食品を食べることが必要です。※活性酸素とは物質を酸化させる力が非常に強い酸素のことです。
抗酸化作用のある栄養素は、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、β-カロテン、ポリフェノールなどで、これらは野菜に多く含まれています。
活性酸素は殺菌力が強く、私たちの体の中でウイルスや細菌を排除してくれており、良い作用があります。
しかし、増えすぎると、老化の原因になったり、動脈硬化やガン、免疫機能の低下を引き起こすとされています。
腸内環境が悪化する
野菜に含まれている食物繊維には、体の中を掃除して、余分なものを排出してくれる働きがあります。
食物繊維が不足すると、腸内に余分なものが溜まることで腸内環境が悪化し、便秘の原因になってしまいます。
さらに、腸内環境が悪化することで、栄養素の吸収も悪くなります。
メンタル面に影響する
野菜に含まれているビタミンやミネラルは、心の成長にも必要な栄養素です。
不足すると、イライラしたり、集中力が低下したり、情緒不安定などの原因になります。
また、最近では、野菜不足はうつ病の原因にもなるといわれています。
1日に野菜を摂取量はどれぐらい必要?
では、一日にどれぐらいの量の野菜を食べたら良いのでしょうか。
年齢別で見ると、次のようになります。
1〜2歳 | 180g |
3〜5歳 | 240g |
6〜7歳 | 270g |
8〜9歳 | 300g |
10〜11歳 | 350g |
12〜14歳 | 350g |
15〜17歳 | 350g |
18〜29歳 | 350g |
*厚生労働省推奨「4つの食品群の年齢別・性別・身体活動レベル別食品構成」身体活動レベルⅡ(ふつう)より
野菜といっても、緑黄色野菜とその他の野菜がありますよね。
緑黄色野菜とその他の野菜の割合は、緑黄色野菜:その他の野菜=1:2を目安にしましょう。
これだけの野菜を1日に摂るのは大変だと感じるかもしれませんが、ちょっとした工夫をすることで、野菜をたくさん食べることができます。
- 毎食、1〜2皿、野菜を使った料理をプラスする
- 茹でる、煮る、蒸す、炒めるなど加熱することでカサが減るので、おひたしや和え物、炒めものなどを食事に取り入れる
- 具沢山みそ汁や豚汁、ミネストローネなど野菜たっぷりの汁物を取り入れる
- 便利なカット野菜や冷凍野菜を活用する
- プチトマトやレタスなど、すぐに食べられる野菜を常備しておく
- 外食をする場合は、ラーメンやカレーなどの単品料理よりも定食にしたり、サラダや和え物などの副菜をプラスする
- スーパーなどでお惣菜などを購入する場合も、野菜料理もプラスする
子どもの野菜不足を改善するために!試して欲しい4つのポイント
調理方法を変えてみよう
いつもサラダばかり、いつも和え物ばかりなど、調理方法がいつも同じものだと、子どもも飽きてしまいます。
例えば、トマトは生でそのまま食べたり、サラダにしたりする方が多いと思いますが、野菜スープに入れたり、卵と一緒に炒めたり、ジュースにしたりなど、調理方法を変えるだけで、メニューの幅が広がります。
また、野菜の中には、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKを含むものがあり、これらは脂に溶けやすく、油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。
バリエーションを豊かにしよう
いつも食べる野菜は同じものばかりという方いらっしゃいませんか?
筆者もスーパーへ行くと、つい好きな野菜や日持ちがする野菜など、偏ってしまうときがあります。
同じ野菜でも、それぞれ栄養素や栄養価に違いがあります。
そこで、さまざまな野菜を食べるポイントとして、野菜の色に注目してみましょう。
赤、黄、緑、紫など、色に注目して野菜を選ぶとバリエーションも広がります。
また、色だけでなく食感や固さなども野菜によって違います。
大根やにんじんのような固い野菜もあれば、レタスのようなシャキシャキの野菜、茄子のような柔らかい野菜など、さまざまです。
野菜のもつ特徴で選ぶこともバリエーションを増やすポイントになります。
旬の野菜を選ぼう
旬の野菜は、その時期が一番栄養素を豊富に含んでおり、味もその時期が一番おいしいです。
また、旬のものは価格も安くなり、お財布にも優しいですね。
おやつに取り入れよう
野菜はおやつにもおすすめです。
蒸しパンやパンケーキに混ぜたり、クッキーに練りこんだり、プリンやアイスなど、アレンジも自由自在で、おいしく作ることができます。
野菜が入っていることに気づかず、パクパク食べてくれるかもしれません。
手軽に取れる野菜ジュースで野菜不足は解消出来る!?
忙しいママや子育てで手がいっぱいというときに、市販の野菜ジュースは便利ですよね。
でも、「市販の野菜ジュースで野菜不足は解消できるの?」と思っている方もいらっしゃると思います。
市販の野菜ジュースと自分で手作りする野菜ジュースにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
市販の野菜ジュースのメリットとデメリット
メリットは価格が安く、飲みやすい味付けです。また保存期間も長く、手軽にいつでも飲むことが出来ます。
デメリットとしては、濃縮還元されているものが多いです。
殺菌のため加熱処理されており、熱に弱いビタミンCや酵素が損失しているので、野菜を摂取することほど、栄養素は摂取できない点があります。
※濃縮還元とは野菜や果物をすり潰して果汁の水分を飛ばし、ペースト状にしたものに再度水分を加えること。
自分で手作りする野菜ジュースのメリットとデメリット
手作り野菜ジュースの最大のメリットは栄養素をまるごと摂取できることです。
また、熱処理をしないため、ビタミンCや酵素も摂取で、無添加のジュースを作ることができます。自分が好きな野菜を使って作れるのもいいですね。
デメリットとしては、やはり手間がかかり、長期保存が出来ないところではないでしょうか。
また、様々な野菜を準備をするとなると材料費がかかります。
子どもに飲ませるなら市販か手作りの野菜ジュースどちらがいい?
市販の野菜ジュースに関しては、さまざまな考え方があると思いますが、筆者は市販の野菜ジュースは絶対飲んではいけないものとは考えていません。
我が家も、野菜が足りないなというときに、市販の野菜ジュースを飲むことがあります。
子どもはなかなか判断しにくいと思うので、パパやママがしっかり考え、判断してあげましょう。
野菜をおいしく食べて野菜不足を改善しましょう!
子どもの野菜不足は、少しの工夫で改善することができます。野菜が苦手な場合は、まず野菜を好きになることが大切です。
甘みのある野菜を中心に取り入れてみたり、子どもが好きな料理に混ぜたり、野菜が好きになるような工夫をしてみましょう。
そして、食べることができたら、必ず褒めましょう。
「食べることができた!」という自信と、「また食べてみよう!」というやる気に繋がります。
注意したいことは、決して無理強いしないことです。長い目で、食べるようになるときを待ちましょう。
子どもの健やかな成長のために、野菜不足を改善できるよう少しづつ工夫していくことが大切です。