便の回数や量が少ない、便がスムーズに出ない、コロコロと硬い便が出る、お腹が張っている、などの便秘。
大人でも、便秘が続くと辛いですが、子どもが便秘になっていると、心配ですよね。
便秘は厄介なものだと思われがちですが、生活と排便のリズムを整えることで防ぐことができます。
便秘を解消、予防・改善するために、おさえておきたいポイントを管理栄養士の筆者とみていきましょう。
目次
朝ご飯を食べて便秘の予防・改善をしよう
お子さんは毎日、朝ご飯を食べていますか?
朝なかなか起きられなくて、朝ご飯を食べる時間がないというお子さんや、朝は食欲がないというお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
朝ご飯を食べる習慣づくりはなかなか難しいかもしれませんが、朝ご飯を食べることは、1日元気に活動するためのエネルギーチャージをするためだけでなく、便秘予防・改善においても、とても大切なことなのです。
朝ごはんを食べることで腸が動き、便を押し出しやすくする
朝ご飯を食べることによって、胃や腸が目を覚まし、腸が動くことによって、便が押し出されやすくなり、朝は便を出す絶好のタイミングといえます。
朝、起きるのが苦手な場合は、早寝早起きができるよう、寝る前の過ごし方を工夫したりしましょう。
朝は食欲がないという場合は、夕食を消化の良いものにする、遅い時間に食べるのをやめるなど、朝ご飯をおいしく食べられるように工夫しましょう。
便秘解消には食物繊維を摂ろう
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、どちらも便秘予防・改善に必要で、バランス良く摂ることが大切です。
食物繊維が豊富な食材を、食事だけでなく、おやつにも取り入れましょう。
水溶性食物繊維
便をやわらかくしてくれたり、腸内環境を整える働きがあります。
水溶性植物繊維を多く含む食材は次の通りです。
- りんご、みかんなどの果物
- こんぶ、わかめ
- こんにゃく
- 大根やかぼちゃなどの繊維のやわらかい野菜
不溶性食物繊維
便のかさを増やし、便通を整えてくれます。不溶性植物繊維を多く含む食材は次の通りです。
- ごぼう
- さつまいも
- えのき茸、しめじなどのきのこ類
- 玄米、ライ麦などの穀類
腸内環境を整えてくれる乳酸菌を摂ろう
乳酸菌は、炭水化物などの糖質を分解して乳酸をつくります。
この乳酸菌が腸の中でたくさんの乳酸をつくることによって、腸の運動が活発化します。
さらに、体に良い働きをしてくれる善玉菌を育て、悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を整えてくれる働きもしています。
日頃から乳酸菌を摂ることで腸内環境が整えられ、腸内のバランスを保つことができるのです。
発酵食品にも乳酸菌が多く含まれている
また、乳酸菌と食物繊維は相性が良く、食物繊維が豊富な食材を食べることで、乳酸菌の働きをアシストしてくれます。
乳酸菌を多く含む食べ物といえばヨーグルトが思い浮かぶ方も多いと思いますが、チーズや納豆、味噌、醤油、漬物、キムチなどの発酵食品にも乳酸菌が多く含まれています。
このように、乳酸菌は私達の身近にある食べ物に含まれているので、ぜひ、食事の中に取り入れていきましょう。
しっかり水分補給をしよう
便の8割は水分でできており、水分の量で便の硬さが決まります。
つまり、水分の量が多いと柔らかい便になり、水分の量が少ないと硬い便になります。
便を柔らかくして排泄しやすくするために、水分はとても重要で、こまめに水分を摂ることが大切です。
冬場は汗もかきにくく、のどの渇きにも気づきにくいので、意識して水分を摂るようにしましょう。
1日の水分摂取量を以下に示します。
1日の水分摂取量(1kg当たり) | |
新生児 | 50~120ml |
乳児 | 120~150ml |
幼児 | 90~100ml |
学童 | 60~80ml |
水分補給は水または白湯を中心に
水分補給は大切ですが、飲み物なら何でも良いというわけではありません。
お茶は利尿作用があり、逆に体が冷えて脱水になってしまう可能性があるので、飲み過ぎは良くありません。
また、ジュース類は砂糖が多く含まれており、かえってのどが渇いてしまうので、水分補給に適していません。
水分補給は水または白湯を中心にすると良いでしょう。
「朝、起きてから水を飲むと良い」ということを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、起き抜けに水分を摂ることにより腸に刺激を与え、腸が動き出すことによって便が出やすくなります。
朝ご飯を食べることと同じような仕組みですが、寝ているときは汗をかいているので、脱水にならないためにも、朝起きたら水分を摂るようにしましょう。
便秘に効果的な5つの食べ物と食材
納豆は食物繊維がバランス良く含まれている
納豆には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。
さらに、腸内環境を整え、腸の動きを活性化させる乳酸菌も含まれており、便秘予防・改善には抜群の食材です。
また、納豆は手軽で、すぐ食べられるので、忙しい朝の食事にも取り入れやすいですね。
腸内環境を整えてくれるバナナ
バナナも納豆と同じく、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方がバランス良く豊富に含まれており、便秘予防・改善におすすめの食材です。
さらに、バナナには、体に良い働きをしてくれる善玉菌のエサとなるフラクトオリゴ糖も豊富に含まれているので、腸内環境を整えるのに役立ちます。
朝ごはんやおやつに最適なヨーグルト
便秘にはヨーグルト!といえるほど、ヨーグルトは便秘予防の代表各ですよね。
ヨーグルトには乳酸菌が豊富に含まれており、腸内環境を整えてくれます。
ヨーグルト単品でも、便秘予防・改善の効果は期待できますが、さつまいもやりんご、バナナなどの食物繊維が豊富な食材と一緒に食べることで、さらに効果がアップします。
「ヨーグルトは酸味があり、苦手」という子どもでも、さつまいもやりんご、バナナなど果物を混ぜると、甘みが出て食べやすくなります。朝ご飯やおやつに最適です。
水分摂取にもなるお味噌汁
味噌には乳酸菌が豊富に含まれており、腸内環境を整えるのに最適な食材です。
たっぷりの野菜やきのこ、わかめなどを入れると、食物繊維も摂ることができるのでおすすめです。
また、味噌汁は水分摂取にもなるので、朝ご飯に取り入れるとさらに効果的ですよ。
油は便のすべりを良くしてくれる
オリーブ油やごま油、グレープシードオイルなどのさまざまな植物性油脂に多い不飽和脂肪酸には、便のすべりを良くして排便しやすくしたり、腸を刺激して腸の運動を促してくれる働きがあります。
特にオリーブ油は便秘予防・改善に効果的といわれています。
また、ごまにも不飽和脂肪酸が含まれており、便秘におすすめな食材です。
さらに、すりごまにすることによって、ごまの外側の食物繊維を摂ることもでき、一石二鳥です。
便秘予防・改善に油が良いからといって、揚げ物など油を多く使ったものを食べたら良いということではありません。
ごぼう、にんじん、ごま油を組み合わせて、きんぴらにしたり、サラダにオリーブ油を使ってドレッシングにしたり、質の良い油を適度に使うことが大切です。
便秘の予防・改善には「リズム」を大切にしよう
早寝早起きを心がけ、1日3食しっかり食べるなど、生活リズムを整えることで、排便のリズムも整えられます。
また、普段から、便を我慢させないことも重要です。
子どもが便をもよおしたら、トイレに連れて行くなどスムーズに排便できるよう促しましょう。
生活リズムを大切にし、便秘に効果的な食材を日々の食事に取り入れながら、子どもの便秘を予防・改善しましょう。