理科は、身近なことから多くを学べる教科です。
春に咲く花、夏に収穫される野菜、秋に鳴く虫、冬でも葉を散らさない樹木など、ふだん私たちが目にしている何気ないそれらも理科で、中学受験の出題範囲になります。
理科を得意にするには、塾での勉強に加えて日常から自然を観察するという体験を織り込むことで、頭と体から学んでいくことが大切です。
また、最近は夏休みの自由研究で理科をテーマに選ぶお子さんも増えています。
子どもの理科離れを懸念して自由研究に理科を選ぶよう推奨している自治体もあると聞きます。
ぜひ自由研究でも小学校1年生のうちから理科に取り組んでいくことで、理科を得意にするための素地を作ることができます。
ここでは、理科を得意にするための自然とのふれあいと自由研究についてご紹介していきます。
目次
中学受験では身近な自然について出題される
中学受験で出題されるのは、基本的に小学校で学ぶ範囲になります。
小学校の理科は身近な内容が多く、自然に関することも多く出題されます。
これらの内容は中学・高校の理科では学びませんので、理系が得意な親御さんでも、小学校で習った理科の内容は忘れているかもしれません。
たとえば、どの花がいつの季節かも教えますが、見たこともない花を教科書だけで覚えるよりも、実際に花を見て触って季節を感じた方が頭の中に残ります。
中学受験の理科は、身近な内容が多いからこそ、ふだんから身近な自然とふれあっているお子さんがほかのお子さんより一歩進むことができます。
では、どのように身近な自然にふれていけばよいでしょうか。
中学受験で出題される内容を念頭におきながらご紹介します。
季節を感じられる場所に出かけて、花や虫に触ってみましょう
中学受験では、季節の植物に関する問題が出題されます。たとえば、こんな問題です。
例題:次のうちから、秋に開花する花をすべて選びなさい。
設問:ツバキ、サクラ、キク、ユリ、ヒマワリ、コスモス、シクラメン
答え:キク、コスモス
これらが文字ではなく花の写真で出題されることもあります。大人でも「あれ、どうだったっけ?」と迷ってしまいますよね。
また、花びらやがくの数に関する問題も出題されますし、四季の虫も覚えていく必要があります。
実際に見たことがなければ、苦手分野になる可能性は高いため、幼いころから四季を感じ、自然とふれあっていくことが重要になります。
そのためには、季節ごとに自然を感じられる場所に出かけるようにしましょう。
たとえば春はサクラや菜の花を観に行き、夏はカブトムシやセミ探しに行きます。
秋になったら紅葉を観に行き、虫の鳴き声を聴いて何の虫か当ててみましょう。冬でも葉が散らない樹木や植物は何かを観察してみるとよいです。
スーパーの買い物からも季節を感じ取れます
また、スーパーにお子さんを連れて買い物に行きましょう。
春夏秋冬それぞれの季節で安い野菜や果物はなにか、また野菜や果物がどこ産なのか(これは社会の勉強にも役立ちます)を見てみましょう。
魚も季節感が感じられますので魚の売り場も見てみましょう。
そして、季節感にあふれた食事を作ってあげるとさらによいです。
春はタケノコごはん、夏はナスやピーマンの料理、秋はサンマの塩焼き、冬は白菜や水菜などで鍋料理をすると、季節感が日常からお子さんの身に沁みていくことになります。
また、お庭があるご家庭は、季節の花や野菜を育ててみてください。
何月頃にどんな花が開花して、どんな花びらが何枚あってどんな色なのかをお子さんと一緒に親御さんも学んでみましょう。
星座や月の動きを観察してみよう!
中学受験では、月と太陽の動きや星座もひとつの出題分野です。たとえば、下記のような問題が出題されます。
例題1:次のうち、夏の星座を選びなさい。
はくちょう座、オリオン座、おおぐま座、わし座、おとめ座、うお座
答え1:はくちょう座、わし座
例題2:冬に見える一等星とその星座を2つ答えなさい。
答え2:シリウス(おおいぬ座)、プロキオン(こいぬ座)
例題3:上弦の月が南の空に見える時刻を答えなさい。
答え3:夕方(18時頃)
これらももちろん学習塾のテキストで学べますが、冬の夜に空を見上げてオリオン座を見て「あれがベテルギウスだよ」と話をしておけば、学習塾で学んだ時には反復学習になり、覚えが早くなります。
また、例題3は月と太陽の動きや公転の周期を考えれば簡単に解ける問題ですが、昼や夕方にも見える月を観察しておくことによって、お子さんも「そういえば見たことがある!」と答えを実感できますね。
毎日の天気予報を見ておこう!
天気図はほぼ毎日ニュースで流れています。いつの季節にどこに高気圧があり低気圧があるのか、これも中学受験ではよく出る問題のひとつです。
また、秋に日本にやってくる台風の挙動も、ニュースでしっかりと確認するようにしましょう。
なぜ進路が曲がるのか、また風速はどのくらいだと「強い」となり、気圧はどのくらいだと「大型の台風」になるのか、考えたり感覚を養ったりすることも必要です。
空を見上げて、西の空に夕焼けが見える次の日は晴れというのは有名な状況観測からの天気予報です。
でも、夕焼けを見たことがなければピンと来ませんよね。
学校の帰り、塾に行くとき、買い物に行くとき、五感をフルに使ってさまざまなことを観察するだけで、理科の能力を伸ばすことが可能です。
理科は体験が重要!自由研究にチャレンジしてみよう
夏休みの自由研究では、内容はお子さんの興味があるもので構いませんので、理科をテーマにしてみることをオススメします。
虫や植物を観察してみるのもよいですし、自宅で化学実験を行ってみるのもおもしろいです。
ビーカーやリトマス試験紙、ヨウ素液などは東急ハンズやホームセンターなどに売っており、それほど高くありませんので、簡単に購入が可能です。
たとえば、以下のような自由研究をよく目にします。
- 植物の観察(アサガオの観察や光合成の実験など)
- 虫の観察(セミ、カブトムシ、クワガタ、ダンゴムシの生態調査など)
- 化学実験(食品などを使って酸性アルカリ性の調査など)
- 水の実験(ろ過実験や氷を使った実験など)
- 天気の観察(湿度と天気の関係や、晴れている日の集計など)
また、上記にはありませんが、中学受験では物理(こて、浮力、電気回路など)がよく出る一方で苦手なお子さんが多いため、物理の分野でチャレンジしてみると、ほかのお子さんより一歩リードができるかもしれません。
理科の勉強はふだんの生活からも学んでいこう!
このように中学受験の理科では幼いころから自然とふれあい、おのずと理科が好きになるようにしてあげるのが効果的です。
理科は比較的差がつきやすい教科ですので、ぜひ「理科好き」を目指してお子さんと一緒に自然とふれあってみてください。