みなさんは「探究学習」という言葉を耳にしたことはありませんか?
教育の方針として約10年に1回、文部科学省が作成する「学習指導要領」に、「子どもたちに育成すべき資質・能力の3つの柱」として以下の3つが示されました。
1.知識・技能
2.思考力・表現力・判断力等
3.学びに向かう力・人間性等
この3つを育成するためには「探究的な学習(探究学習)」が重要だと言われ、注目が集まっています。
しかし、「そもそも探究学習って何?」「どんなことをするの?」「なんだか難しそう・・・。」と思っている人も多いのではないでしょうか?
今回は、探究学習とは何か、探究学習ではどんなことをするのかを解説していきます。
また、探究学習に期待されていることについても見ていきましょう。
目次
課題解決をする力をつける探究学習とは?
探究学習とは、課題を自ら子どもが設定し、課題解決に向けて取り組む学習のことです。
学習の過程は、以下の4つで構成されています。
1.課題の設定
2.情報の収集
3.整理・分析
4.まとめ・表現
学習活動を通し、友だちと協働して主体的に課題を解決する力をつけることが目的とされています。
教師が与えた計算や漢字の問題を解くだけの学習は探究学習とは言えません。今までは、知識や技能を身に付けることに重点を置いて指導が行われていました。
しかし、急激な時代の変化に柔軟に対応できる子どもを育てるためには、これまでの指導方法を見直す必要がありました。
自ら課題を見つけ、周りの人と一緒に解決していく力を育む授業の実施のために、探究学習により重点が置かれるようになりました。
探究学習はどんなことをするの?具体的な取り組みとは
探究学習が課題を解決する学習ということは分かったけど、実際にどんなことをするのかも気になりますよね。
ここからは、探究学習の具体的な取り組みを見ていきましょう。
洗濯物が早く乾く場所は?
埼玉県さいたま市の開智小学校では、開校当初から「探究型の授業」を多く取り入れています。
子どもたちの興味関心を授業にし、能動的に学び合えるカリキュラムになっています。
例えば、お母さんが洗濯物を干す様子を見て、洗濯物を干すのに1番ふさわしい場所を探すことを課題として設定し、探究した学習があります。
洗濯物の重さを時間ごとに調べ、洗濯物が乾くスピードには風が関係していることを導き出しました。そしてその過程をまとめて発表しました。
素朴な疑問とお母さんを助けてあげたいという優しい気持ちから、課題を見つけて解決している小学生らしい探究学習ですね。
フードロスをなくす方法!
探究学習は、夏休みの自由研究の宿題などでも取り組むことができます。
例えば、食事の残りを処分している様子を見て、「わたしの家の食べ残しってどれくらいあるのだろう?」という子どもの疑問から生まれた自由研究。
1週間ほど、食べ残しの量を調べ、フードロスをなくすための方法を考えます。
ロスが起こる原因として、買い過ぎていないか、好き嫌いをしていないかなどを分析します。
家族会議を開き、どうすれば食べ残しを減らせるのか、みんなで話し合って改善していく方法を導き出しました。その方法を実践し、結果をまとめます。
SDGsの問題は、ご家庭でも取り組みやすい探究学習の1つだと思います。
上記のように、探究学習は子どもが興味関心をもっている内容を中心に進めていきます。
難しい内容ではなく、身近なことから、子どもが抱いた素朴な疑問をテーマにしていることが分かりますよね。
大人が気付かないようなところに気付く子どもの柔軟な発想が面白いです。
探究学習に期待されている3つのこと
1.学習意欲が上がる
従来の学習は、教師から出された課題に子どもたちが取り組む活動が多いものです。
しかし、探求学習は子ども自身が疑問に思ったことを課題に設定できるため、主体的に取り組むことができ、学習意欲が上がることが期待されます。
2.学力が伸びる
探究学習に主体的に取り組めると、学力が伸びることも期待できます。
与えられた課題になんとなく取り組むだけだと受身的な学習になってしまいます。
自分で設定した課題に目的をもって学習した方がしっかりと知識として蓄積されると考えられます。
3.個性を生かすことができる
探究学習は、答えが1つしかない学習とは違います。
子どもによって興味関心が違うため、課題設定も違ってくることが多いですし、もし同じ課題を設定したとしても課題の解決方法がそれぞれ異なってきます。
調査の過程やまとめ方に個性が出てきます。1人1人の感性や個性を生かした学習ができるところもメリットと言えるでしょう。
探究学習は、上記のように子どもの力を引き出す可能性を期待されているところが多いです。さらに実践例も増え、これからもっと様々な成果が出てくることが考えられます。
まとめ
今回は、探究学習とは何なのか、どんな取り組みが行われているのかなどを解説しましたがいかがだったでしょうか。
言葉だけ聞くと難しいように感じるかもしれませんが、意外と身近なところから課題が設定できることを分かっていただけたと思います。
子どもの素朴な疑問から生まれる学習って素敵だと思いませんか?いきいきと学習する子どもの姿が見られるのはすごく魅力的ですよね。
これからますます積極的に取り組まれることが予想される探究学習。
子どもたちの好奇心を大切に取り組むことができる学習ですので、ぜひご家庭でもチャレンジしてみてくださいね。