中学受験において、勉強をしてもしても力を伸ばしづらい教科として、国語、特に長文読解問題があります。
中学受験の国語の漢字問題は、満点が取れて当たり前と言われます。
知識問題も勉強すれば点数が取れる項目です。しかしこれらではあまり差がつきません。
差がつくのは、長文読解の方です。
長文読解をどのようにクリアするかによって、国語の成績は大きく変わります。
長文読解が得意な子は、本当にとてつもなく得意です。
一朝一夕で培われるものではなく、今までに積み重ねてきた経験が左右するためです。
とはいっても、小学校高学年から読書量を増やすのは得策ではありません。
中学受験の勉強がおろそかになってしまっては本末転倒だからです。
では塾の演習問題を解いても解いても長文読解の点数が上がらない時はどうすればよいのでしょうか。
ポイントとなるのは速読と、語彙を理解する力と言われています。
ここでは、これらの能力を伸ばす方法についてご紹介していきます。
目次
中学受験の長文読解では速読が必要
中学受験の国語における長文読解は、学校で学ぶ内容とは比べ物にならないほど難解で長文です。
受験する学校によっても異なりますが、受験問題では総字数8,000字~15,000字くらいのボリュームが多いです。
これを50分~60分で読み切り、問題を解かなくてはなりません。
とにかく早く読んで理解すること。これができないと時間が足りません。
つまり、速読です。
速読とは、「速く読むこと」です。
しかし、いくら速く読んでも内容が頭に入っていなければ意味がありません。
つまり、速く読み、文章から入手した内容を脳でしっかり理解する「理解力」も必要です。
では、どうすればすばやく内容を理解することができるのでしょうか。
ポイントは、「速読しながら頭の中で文章を要約すること」です。
小説と論説文の速読!読みながらまとめていくポイント
要約するには、重要ポイントを文の中から拾い出す必要があります。
小説と論説文ではポイントが異なるため、分けてご紹介します。
小説文の速読ポイント
小説を読みながらまとめていくポイントは以下の三つです。
- 冒頭で小説の背景や舞台、主人公の立場をざっくりと把握する
- 主人公の変化がどこで・なぜ起こったのかを読みながら要約する
- その変化によって何が変わったのかを読みながら要約する
まず冒頭ではその話がどういう内容なのか全体像を把握しましょう。
時代背景、主人公の年齢や立場、舞台が学校なのか家なのか別の場所なのか。
また、主人公が何かに悩んでいるのならその悩みや、どうしたいと思っているのかをポイントとして掴み、頭の中ですばやく要約をしましょう。
そして、読み進めるうちに必ず何らかの変化が起こります。
主人公自身が変化するケースもあれば、主人公によって周りが変化するケースもあります。
しかし中学受験であれば、前者が圧倒的に多いです。理由は、中学受験で出題される小説の主人公は、受験生と同年代の子が多いからです。
主人公の変化は小説における重要ポイントです。
情景描写や心理描写から、主人公の心情が変化したのが文章のどこなのか、しっかり把握しましょう。
ここは出題されることが多い内容でもあります。場合によっては線を引くのも有効です。
かつ、なぜ変化が起こったのか、その変化によって何がどうなったのかを頭の中で要約しましょう。
こうして要約したあとに問題文を読むことによって、「あっ、あの箇所だ」とすぐに理解をすることができます。
論説文の速読ポイント
論説文を読みながらまとめていくポイントは以下の四つです。
- 語られている現状
- 現状を引き起こす原因
- 現状に対して筆者が鳴らしている警鐘
- 筆者の最終的な主張のまとめ
読みながらこれらのポイントをうまく拾っていって、まとめながら読み進めることが速読のポイントです。
少し技術的なことを言うと、論説文の場合は接続詞に注目するとよいです。
たとえば「もちろん」のあとに続くのは一般論です。「しかし」のあとに続くのは筆者の主張です。
つまりこの接続詞のあとに上記ポイントの要約がダイレクトに書かれることも多いです。
慣れないうちは接続詞に印をつけながら読むとよいかもしれませんね。
長文読解には語彙力が必要!小説・論説文で知っておくべきポイント
中学受験の論説文や小説は、多くが一般文学から出題されます。
たとえば重松清さん、三浦綾子さんなど、決して子ども向けの本からの出題ではありません。
当然ながら、時代背景も現代とは限りません。昭和だったり、戦中だったり、時に海外の話だったりします。
それらを読み進め、理解していくためには語彙力が必要となります。
もちろん、普段あまり使わないような言葉は注釈として説明されることが多いです。
しかし注釈されていない言葉を理解できていないと、とたんに前後の文章の意味がわからなくなることも多いです。
こちらも、小説と論説文に分けてご説明をします。
小説に求められる語彙力のポイント
小説の読解に非常に重要なのは、心情表現で使われる言葉です。
「嬉しい」「楽しい」は小学校一年生でも知っている語句でしょう。
しかしたとえば「ふがいない」「負い目を感じる」などの言葉はどうでしょうか。
通塾していなければ、しっかり説明できる小学生は少ないのではないかと思います。
しかし一般文芸の小説には、このような語句は当然のように登場します。
かつ、主人公の心情表現として重要ポイントになってくる可能性が高いわけです。
これらの言葉は、ひとつひとつ確実に覚えていきましょう。
論説文に求められる語彙力のポイント
ここでは概念語とカタカナ言葉を覚えていくようにしましょう。
概念語とは、形のない名詞のことを差します。たとえば「抽象的」「必然性」などです。
塾であれば概念語が一冊の本にまとめられていることが多いので、語彙力が足りないと感じる親御さんは、その本をしっかりと何度も復習させるとよいでしょう。
通塾していない場合は、一冊、語彙に関する本を買っておくとよいでしょう。
カタカナ語は、たとえば「プロセス」。
日本語にすると「過程」ですが、いかにも論説文で頻出しそうなカタカナ語ですね。
もはや日本語になっていると言っても過言ではない言葉です。
こういった現代でよく使われるカタカナ語を覚えておかないと、筆者の主張の理解ができなくなりますので、しっかり学んでおきましょう。
語彙力をしっかり増やして点数アップに繋げよう
中学受験の国語の長文読解は、幼い頃からの読書量が多いと有利です。
しかし小学校高学年になってから読書量でカバーしようと思っても難しいでしょう。
そこで、問題を解きながら速読に慣れること、また語彙力をしっかり増やしていくことが点数アップのポイントになります。