親御さんが子どものころの小学校給食についてどのようなイメージや思い出がありますか?
給食は全部食べないといけないイメージの人もいれば、自分の好きな量だけ食べれば大丈夫では?とイメージしている人もいるでしょう。
また、給食の時間が楽しみだった人もいれば、給食の時間が苦痛に感じた人もいるのではないでしょうか。
近年小学校における「給食指導」には変化が起こっています。
ここでは、最近の小学校の給食事情と、給食が苦痛に感じてしまっているお子さん、入学をしてから給食が食べられるか心配されている親御さんにぜひ家庭で試して欲しい方法を、学校教諭の経験や食育インストラクターとしての知識からお伝えしていきます。
目次
小学校給食の時間!小学校給食ではどのような指導がされているの?
「全部食べ終わるまで昼休みにしてはいけません。」そう言われたのはたった1度、それももう数十年も経つのに、あの日のことを筆者は今でも忘れられず、むしろ鮮明に覚えています。
筆者自身の小学校ではいわゆる給食を全部食べるように指導する「完食指導」が行われていたかと言うと、たぶん無かったように記憶しています。
しかし、その日給食に出たメニューの1つが小学校の近くにあった企業から頂いたものだったため、「残さず食べなさい」という指導を受けました。
食べられないクラスメイト数名とともに、先生に「昼休み終わっちゃうよ。」と急かされながら飲み込んだその記憶は、幼稚園から中学まであった給食の時間の中で1番鮮明な記憶となってしまいました。
このように「完食指導」はその子にとって給食の時間を苦痛にしてしまうことがあるため、最近の小学校では行われることが少なくなりました。
小学校給食で指導されていること
- 食べる前に自分の食べられるように調整する
- 嫌いなものでも一口食べてみる
などの指導をしているところが多いように感じています。
特に小学校1年生の親御さんは、授業と同じくらいに給食の時間を心配されている方も多いのではないでしょうか。
実は多くの自治体で小学校の最初の給食に選ばれるメニューとして「カレー」が採用されています。
「カレー」は子どもたちにとっても馴染み深い料理であり、好きな子も多いため、給食にすんなり馴染めるようになど考えられているのです。
近年はコロナの流行もあり、グループで食べることも減っているようですが、子どもたち同士で向き合い、集団で食べることに抵抗を感じる子もいれば、食べるスピードが遅い子、少食な子もいます。
最近の教育現場では「個」も大切にされていますので、給食もみな同じに「食べなさい」ではなく、その子に合った給食の指導が求められています。
しかし、偏食のある子たちにどのように指導したらいいのか、悩んでいる先生も少なくありません。
研修や勉強会で給食の指導に関するものはあまりないのが実情なので、先生方が手本とするのは「自分自身が経験した給食指導」や「自身の家庭での食事指導」です。
そのため、まだ一部の先生方には自身の経験から、「残さず食べる=完食指導」をされている方がいらっしゃるのかもしれません。
給食を完食出来ずに苦痛を感じている時の対処法
「完食指導」の怖いところは、そのことが原因で不登校や食への恐怖を感じ、食べられなくなってしまうことです。
先生方も良かれと思って「栄養があるから食べた方がいいよ」「大きくなれないよ」と声を掛け、食べさせようとしてくれています。
しかし、その言葉たちは子どもたちに大きくのしかかり、いずれ潰されてしまうかもしれません。
給食が原因で学校が楽しくない、行きたくないと感じさせてしまうならば、給食を全部食べる必要はないと筆者個人的には考えています。
もちろん、食べ物の大切さを知ることは大切なことです。
食べたくても食べられない人がいることや、農作物を作ってくれ、料理を作ってくれた人がいることを教えていくことも大切ですが、「食事の楽しさ」を教えていくことも給食指導の役割ではないかと思います。
もし、今「完食指導」に悩んでいる方がいたら、ぜひ学校、まずは担任の先生と相談してみてください。
相談の際は決して感情に任せて先生を責めるのではなく、先生の気持ちもわかっていることをお伝えした上で、子どもが苦しんでいることをお伝えしましょう。
お互いの理解、歩み寄りができる話し合いをすることがポイントです。
苦手な給食を家庭で克服する!試してみて欲しい5つの方法
実際の学校現場では、給食の指導を得意とする先生もいれば、苦手と感じている先生ももちろんいらっしゃいます。
食に興味関心または食の知識がある先生であれば食育指導も出来ますが、食に関する知識が乏しい先生にとっては、どうしても指導が淡白になってしまいます。
しかし、食の指導は学校だけがするものではなく、家庭でもしっかり食の指導をしていけば、苦手だった給食も克服することができていくので、実践してみてください。
1.自分で食べられる量を知っておこう
家での食事はどのような形でだしていますか?
1人ひとりに取り分けるご家庭もあれば、大皿に盛って好きな量を取るスタイルの家庭もあるかと思います。
もし、すでに1人ひとり取り分けた状態で食事をする家庭、また大皿盛りでも子どもたちには親がよそっているような家庭は、お子さんが自分で食べられる量をよくわかっていないかもしれません。
そのような場合、給食で「自分の食べられる量にしましょう」と言われても、自分で調整するのが難しく、結局残してしまい、嫌な思いをしてしまっているかもしれません。
そうならないためにも、まずは自分で料理をよそう練習をさせてみましょう。
自分がどのくらい食べられるかを自分で体感することで、給食の時も自分で調整しやすくなります。
また、大人も日によって「たくさん食べたい日」「ちょっとしか食べたくない日」がありますよね。
子どもも体調や気分によって食べられる量が変わるかと思いますので、そういった面での調整もできるようになっていくとよいかもしれません。
2.時間内に食べられるようにする
給食の時間は限られています。
その限られた時間の中で食べられるように家でも練習しましょう。
家だとダラダラ食べてしまっていませんか?
時間を決めて食事を終わりにするのは子どもにはかわいそうに思うかもしれませんが、経験として必要なことだと思います。
逆に早食いの子はよく噛むことを教え、時間を使って食べることができるようにしていきましょう。
3.給食に出るメニューを知る
家での食事では、使う食材や調理法、メニューはある程度決まっていることが多いですが、家では食べることのない料理が給食にでることもあります。
初めて見る料理は大人でも抵抗感があったりしますが、子どもでも同じです。
給食の献立は各家庭にお知らせされるので、毎月確認して食べさせたことのない食材や料理がなるべくないようにしてあげると、抵抗感が減り、給食でも食べられるものが増えていきます。
4.「食」について知ろう
「食べなきゃ大きくなれない」「野菜を食べないと健康によくない」など食事の時にお子さんに言ってもピンときていないことも多いのではないでしょうか。
「なぜ大きくなれないのか」「どうして健康によくないのか」など、理由と合わせて教えてあげることが大切です。
「なぜ」が分かると子どもたちも食への興味が湧き、「食べてみようかな」という気持ちも少しずつうまれてきます。
5.「食」に触れよう
子どもの好き嫌いを減らす方法として有効的な方法の1つとして有名なのが「食に触れる体験」です。
これは一緒に料理をすることでもいいですし、一緒に食物を育てることでも構いません。ご家庭に合った方法で、食を身近に感じられる体験をさせてあげることが食への興味を高め、給食への苦手意識をなくしていきます。
給食の時間から学べることと給食の大切な役割とは
近年は「もったいない」「SDGs」などの言葉もあって、給食でも「残したらダメ」「食べることへの感謝」を教えています。
しかし、給食というのは、「食べること」ももちろん大切ですが、「一緒に食べること」ももっと大切にしてもいいと感じています。
ちなみに、我が子は家の食事はあまり食べませんが、給食は決められた量を完食してきます。
「一緒に食べる」ことで、箸の使い方や食事中のエチケット、または食事のペースの合わせ方なんかも学んでいきます。
そうした学びもまた、給食の大切な役割であり、「食べることの楽しさ」を子どもたちに味わってもらいながら、食への関心を高めていける時間であってほしいです。