桜蔭中学ってこんな学校!卒業生が語る桜蔭学園のこと

桜蔭学園ウィキペディアより引用)

女子御三家の1つでもある桜蔭学園。中高一貫校であり、今も昔も偏差値72近辺の進学校です。

東京大学への進学率は卒業生全体の10%以上。毎年、50人以上を東京大学に輩出しています。

高校からの入学生は募集していないので、桜蔭に入るには中学受験をしなければいけません。

桜蔭を目指しているお子様も多いと思います。男子なら開成中学、女子なら桜蔭中学が偏差値表の一番上に書いてありますね。

桜蔭とはどんな学校なのでしょうか?どんな教育をしているのでしょう。

卒業生でもある筆者が、母校についてご紹介いたします。

桜蔭学園にある礼と学びの精神

桜蔭は、関東大震災の直後の大正13年、お茶の水大学の前身である東京女子師範学校の卒業生・桜蔭会のメンバーが、「教育で社会に恩返しがしたい」と募金を集め、一大奮起して作り上げた学校です。

令和4年現在で創立98年の歴史があります。

桜蔭学園の立地

学校がある場所は、水道橋駅を下車し、外堀通りと白山通りを斜めに横切った徒歩10分の小高い丘の上。

桜蔭坂と呼ばれる坂を上っていくと、校章である桜と桜の蔭(かげ)が大きく掲げられた真新しいベージュ色の校舎と98年の歴史ある石造りの校舎が見えてきます。そこが桜蔭です。

桜蔭学園の教育の基幹

「礼と学び」の精神です。中学1年から高校3年まで、「礼法」の授業が週に2,3時間あるのは、この学校の最大の特徴ではないでしょうか。

立礼から座礼まで、専任の先生からきっちり、みっちり教育を受けます。

立ったままのお辞儀の仕方、正座した時のお辞儀の仕方、襖の開け閉め、お茶菓子の取り方、お茶の頂き方など、具体的な作法を事細かに学びます。

定期テストもきちんとあって、勿論通知表にも「礼法」の項目があり、他の科目と同じように10段階の評価が付きます。

高校3年生の卒業間近、フルコースの食事を頂きながらの「テーブルマナーを学ぶ日」は、非常に思い出深い体験でした。

当時は、面倒くさいなぁぐらいにしか感じていませんでしたが、今になって思えば、そこまでする先生方の熱意や思いを感じる取ることができます。

桜蔭学園は道徳教育にも力を入れている

桜蔭学園の教育方針

  • 勤勉・温雅・聡明であれ
  • 責任を重んじ、礼儀を厚くし、よき社会人であれ

これが桜蔭の教育方針です。この校訓に表わされている通り、道徳教育にはかなりの力を入れています。

特に道徳の授業がある訳ではありません。

毎週1回の朝礼時、校長先生は壇上から1,500人の全校生徒に向かい、切々と道徳について語られます。

「よい人間とはなにか」「よい振る舞いとはどんなものか」を時事のニュースやご自分の体験談などに絡め、説かれるのです。

桜蔭学園の生徒は結構元気?

思い出深いものは、「先日も、総武線の中で、桜蔭生が少し賑やかすぎたとご近所の方からお電話を頂きました」というお話です。

毎回の朝礼はこの一言で始まると言っても過言ではありませんでした。

ご近所の人が、「桜蔭生がうるさかった」とよく電話を掛けてくるのです。

勉強ばかりしている子ども達なのでは?道徳を説かれみんな大人しいのでは?という印象を持たれるかも知れませんが、桜蔭生は結構元気です。

今も昔も、お喋り好きの明るい子達が多いようです。

御三家中学に合格するために

究極のウーマンリブ教育が桜蔭学園

桜蔭学園の前身は前述した通り、お茶の水大学です。

女性の力だけで、女子のための学校を作り上げたということで、その「ウーマンリブ精神」は校内の隅々まで行き渡っています。

大勢いらっしゃる先生方もその殆どが女性です。男性教諭は数名しかいらっしゃいません。

お茶の水大学出身者が多く、皆さんとても頭が良くて、キリッとしたスーパンウーマン達ばかりです。

職歴何十年の超ベテラン先生がズラリです。

社会で自立できる女性に

生徒達は日々、「しとやかに、柔らかい心を持ちましょう。でも、男性には負けない能力を持ちましょう」と教育されます。

社会で自立できる女性の教育を目指す、それが桜蔭の教育方針です。

多彩な卒業生を招き、在校生に向けスピーチをしてもらうことも定期的に行われています。

意外かも知れませんが、ピアニストや書家、舞台俳優など芸術方面で活躍している卒業生も多くいます。

桜蔭学園は入ってからも大変!?

桜蔭に合格するのも大変なのですが、入ってからも大変なのが桜蔭です。

桜蔭の授業スピードはとにかく早い!

中高一貫の良さを最大限に生かし、授業は1年先取りで行われます。

中2あたりから中3の教科書に入り、教科書は常に1学年上のものを使います。

ですので、授業のスピードはとても速いです。受験勉強の貯金が効くのは、本当に入学後わずかな間だけ。

受験後の燃え尽き症候群になっていると、あっという間に置いていかれてしまいます。

数学は特に進むのが早いです。

授業は、教科書や問題集に沿って先生がサラッと黒板で説明し、その後は生徒が当てられて、前に出て黒板でどんどん問題を解く形式です。

解けない子なんて1人もいません。皆、抜群に勉強ができます。

復習だけでなく予習が必須

もし解けないと、かなり恥ずかしい思いをします。そのため、予習は必須です。

家でしっかり予習をして、類題は全て解いておかないと、授業についていけません。

英語も数学もこの予習がとても大変だったのを覚えています。

桜蔭の授業をこなせば東大に合格できる

桜蔭は毎年、東大生を何人出すかをひとつの目標にしているので、学校の授業を完璧にこなせば、東大に合格する学力がつくようになっています。

ですので、教科書や問題集も定期テストも、難易度が非常に高いです。

勉強が優先なので、部活動は控えめです。

基本は週1回の部活動の時間だけ。

バスケやダンスなどの運動部でも、週2,3時間だけです。

それでも楽しく活動していた記憶があります。

桜蔭学園卒業後の進路は多岐に渡る

先にも触れましたが、卒業生のその後の職業は実に様々です。

でもやはり一番多いのは医師でしょうか。医学部に進学する子はとても多いです。同窓生を見渡してもそうですね。

医師に限らず、弁護士、行政書士、国家公務員、地方公務員、大学職員、作家、編集者、翻訳者、会社社長、NPO代表など、社会の色々な所で卒業生が活躍しています。

学年トップだった人たちは、官僚や裁判官になっています。

皆さん、子どもを産み育てながら、パワフルに頑張っている人達ばかりです。

桜蔭に通っている時には分かりませんでしたが、桜蔭の教えは多感な時期に価値観の軸となり、自分の「ひととなり」を形成してくれたのだと、大人になって分かります。

今だからこそ思える「桜蔭を卒業してよかった!」

実は私は、卒業後、20年間は母校が好きではありませんでした。「勉強ばかりさせる」「東大偏重主義」の学校だと思っていました。

その考えが変わったのは、卒業後20年数年経ってからの同窓会です。

長い時間が経過してから再会する同窓生達が、皆人格的に素晴らしい大人になっていることに驚きました。

そしてある卒業生が、「これ桜蔭の教育理念だよ」と言って示してくれた言葉。

すっかり忘れていたその言葉は、今、正に自分が生きる上で大事にしていることそのものであったのです。

とかく偏差値ばかりに着目される桜蔭ですが、その神髄は人間教育にあるのかも知れません。

校章の桜と蔭。蔭の部分にこそ、桜蔭の教えの本質があります。

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