ふとした時「ギリ、ギリ」と我が子の歯が削れる音を聞いたことはありませんか?
もしも、その音を聞いた事があれば、子どもの口の中を見てみましょう。
前歯や糸切り歯の先が平たくなっていませんか?
前歯で噛み合わせた時に、上下の前歯がピタッと重なるはずです。上下の犬歯については、下顎を右か左かにずらした時にピタッと重なり合うと思います。
2歳になる筆者の子供は日中によくしています。我が子も前歯で噛み合わせた時に上下の前歯がピタッと重なります。
この記事では、子どもの歯ぎしりの原因と対処法を歯科衛生士の筆者がご紹介していきます。
目次
歯ぎしりには3つのパターンがある
「歯ぎしり」という言葉は、多くの人はよく聞く言葉なのでご存知ではないでしょうか。
歯ぎしりは大人であっても、無意識にしている人がほとんどです。実は、歯ぎしりには3つのパターンがあります。
グラインディング
ギリギリと音がなるのは、この歯ぎしりです。上下の歯を横に擦り合わせる事で大きな音がします。
これにより、歯や顎関節に悪影響があります。
クレンチング
上下の歯を強く噛み締める、食いしばる歯ぎしりです。
強い力で食いしばっているので、音はしません。歯が割れたり、肩が凝ったりします。
タッピング
上下の歯を合わせカチカチと鳴らす歯ぎしりです。
他の歯ぎしりと違い、歯に大きな力がかかるわけではありません。
これら、3つのどのパターンなのかは、鳴る音の違いや、歯の削られ方を見て気づくことが出来ます。
歯ぎしりに見られる特徴や症状
- 頭痛、顎が疲れる、肩こり
- エラが張る
- 上下の歯が削れている
- 口の中の頬粘膜の奥歯にあたる部分に白い線が見られる
- 舌の奥歯にあたる部分が奥歯に合わせた形に波打っている
歯ぎしりによって、咀嚼筋(咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋)と呼ばれる物を噛む時に使う筋肉に大きな負担がかり、頭痛や顎が疲れる等の症状があります。
それに伴い首や肩の筋肉も緊張状態となり、肩こりが起きます。
また、咀嚼筋の一つである咬筋と呼ばれるエラ部分にある筋肉が発達し、太くなるためエラが張るようになります。
時に、自分の体重以上とも言われるほどの強い力で歯を擦り合わせ削り合っているので、上下の歯が削れたり割れたりします。
強い力で食いしばることによって、頬の粘膜や、舌の縁に奥歯の跡がつくことがあります。
気になる子どもの歯ぎしり!4つの原因と対処方法
子どもの歯ぎしりの原因は以下の4つが考えられます。
1.歯や顎の位置を決める生理現象
子どもの歯ぎしりは、歯が生えてから始まるので0歳の赤ちゃんから永久歯が生え揃うまでの12歳頃まであります。
子どもの歯ぎしりの多くは生理現象です。これは、次に生えてくる歯の位置や、顎の位置を調整するためにしていると言われています。
乳幼児期や乳歯と永久歯の交換期の子どもは、噛み合わせのバランスを取るためにしているので、心配する必要はありません。
2.歯列不正により噛み合わせのバランスが悪い
親知らず以外の全ての永久歯が生える中学生頃には歯並びが決まってきます。
噛み合わせのバランスが悪い歯並びをしていると、いつまでも歯ぎしりが収まらない事があるので、歯科医院で歯列矯正の相談をすることをお勧めします。
矯正することで歯ぎしりが改善する事があります。
3.癖、姿勢が悪いため顎の位置が不安定
下顎は、筋肉に支えられ、靱帯で頭蓋骨にぶら下がっている構造なので筋肉に偏りがあると簡単に歪みます。
例えば、頬杖をつく、左右どちらかだけで咀嚼する、習慣的に脚を組む、体の姿勢が悪い等です。
顎が歪むと、噛み合わせのバランスも悪くなり、歯ぎしりをする事があります。まずは、頬杖や左右どちらかで咀嚼する、脚を組むといった癖を直す様に努めましょう。
立っている時も座っている時も、左右どちらかに体重をかけるのではなく、真っ直ぐに直立になるように姿勢を保ちましょう。
4.ストレス
ストレスの場合、顔色が浮かない、集中力がない、睡眠不足、学校での様子、転校等の環境の変化等の歯ぎしり以外のサインがあると思います。
ストレスが原因と考えられる場合は、心がリラックス出来る様な環境作りが重要です。
歯ぎしりが影響で歯科受診を必要とするケース
さて、ここまで歯ぎしりの原因と、それぞれの対処方法をご説明してきましたが、もしも、以下の項目に該当する場合は、早めに歯科を受診しましょう。
- 歯がグラグラしている
- 歯の削られ方が酷い、歯がしみる
- 顎関節症(口を開けたり閉じたりする時に、骨が擦り合う音がしたり、痛みがあったり、カクンと滑る感じがあったりする)
これらの場合、歯や顎関節に相当な負担がかかっているので、マウスピースを作り歯への負担を減らしましょう。
マウスピースによって上下の歯が噛み合わなくなり、歯ぎしり出来なくなります。
また、マウスピースを噛ませることによって口が完全に閉じないので、顎関節への負担も軽減します。
子供の歯ぎしりは成長過程の一つとして捉えよう
2歳の我が子は、嬉しい時などプラスの感情が高まった時に上下の前歯を噛み合わせて横に擦り合わせ歯ぎしりしている事が多いです。加えて、ギリギリと音がなる事を、面白がってわざとしている事もあります。
幼児の歯ぎしりは前述したように、心配いらないものである事は分かって頂けるかと思いますが、親としては、ギリギリと子どもの口から音が聞こえたら、やはり心配にはなりますよね。
歯ぎしり=ストレスとよく耳にするので、読者の皆さんも我が子が歯ぎしりをしていたら心配になると思いますが、小学生までの間は成長の過程として捉えるようにして、姿勢や噛み癖等の悪い癖を習慣にしないように注意しましょう。