今やなくてはならないものの1つとなったスマートフォン。
すぐに連絡がとれる、すぐに調べられるとなどの便利な面だけでなく、ちょっとした隙間時間についついポチポチしてしまう人も多いのではないでしょうか。
そんなスマートフォン所持者の年齢は年々低年齢化しています。
たしかに便利なスマートフォンですが、誰とでも繋がれる、なんでも知れるからこそ怖い道具です。
そこで、教諭経験のある筆者とスマートフォンを持つ中高生に絞ってその使い方について考えてみていきましょう。
目次
中学生のスマートフォン事情
中学生のスマートフォン所持率については、様々な官公庁や企業によって調査された結果を見てみると、地域差は見られるものの、大体7~8割程度とみられています。
小学生は学年による幅もありますが、高学年で所持率は4割ほどとされていますので、中学生になると所持率は一気に上がります。
では、中学生はスマートフォンを何に使っているのでしょうか。
中学生がスマートフォンを何に使っているかは、内閣府が発表している「令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査」を参考にすることができます。
その調査によれば、中学生のスマートフォンでのインターネット利用は以下のようになっています。
- 動画視聴 80.5%
- コミュニケ―ション 80.3%
- ゲーム 70.6%
- 音楽視聴 66.2%
- 情報検索 58.6%
1番利用率が高いのは「動画視聴」です。
YouTubeが有名ですが、最近では10代を中心にTikTokも流行を見せています。
TikTokは簡単に世界中の動画を楽しめるだけでなく、比較的簡単に自分の動画も投稿ができるのが魅力的はSNSです。
次に多いのが「コミュニケーション」です。
子どもがスマートフォンを持ちたいと思う理由としても、この「コミュニケーション」が上位に挙げられます。LINEをはじめ、TwitterやInstagramなどのSNSが人気です。
スマートフォンを持っていないと友だちとの会話についていけなくなるのではないか、仲間外れにされるのではないかといった子どもの不安を受け、スマートフォンの所持に理解を示す保護者も多くなっているようです。
はじめてスマホを持つことになったら!中学生のスマホルール
便利なスマートフォンですが、やはり持たせることに不安を持つ保護者も実際は多いのではないでしょうか。
友だちとの言葉の行き違いによるトラブルにならないだろうか、知らない人と繋がりトラブルや事件に巻き込まれないだろうか、成績が下がるのではないか、たくさんの不安要素があるのも事実です。
しかし、気になったことを調べたり、情報を得たりすることも出来るので、やはり上手くスマートフォンと付き合っていくことが大切になるかと思います。
まずは、はじめてスマートフォンを持つようになった中学生には、以下のようなルールを作ってみてはどうでしょうか。
1.学校には持っていかない
中学生の学校へのスマートフォンの持ち込みは、2009年~2020年6月までは文部科学省が原則禁止と定めていました。
しかし、2020年7月からは「一定条件で容認」とルールが変更されました。
これは防犯対策や災害時などの緊急時に有効であるという理由からです。
確かに、中学生になれば部活動などによって帰宅が遅くなることもあり、心配な面もあるかとは思いますが、教員としては「持ってきて欲しくない」と思う人も多いと思います。
やはり所持率が高くなりつつあるものの、実際には持っていない子も多く、そのことから考えられる問題やトラブルがあったり、良し悪しの判断が中学生はまだ甘い点などが考えられます。
教育的な観点から言えば、「正しい使い方を教えること」も確かに大切ですが、実際それを教えるためには、教員側にもスマートフォンの知識を身に付ける必要性や、実際教える時間も必要になってきます。
現状、まだまだ持ち込める環境にないというのが正直なところかと思います。
2.利用時間を決める
だらだらと使わせるのはやめて、夜は何時まで、何時から何時までは使っていい、など家庭の状況に合わせてルールを作ることで、メリハリのある生活をさせることが大切です。
特に、はじめて使い始めたときは嬉しさから、使用時間が長時間になってしまいがちです。
最初が肝心ですので、しっかりとルールを決めてから使用しはじめましょう。
3.スマートフォンは必ずリビングで使い、自室には持っていかない
怖いのはやはり、誰と繋がっているのか、何に使っているのか、というところです。
特に自室にこもってしまうと状況は一切分からなくなってしまいます。
リビングなどで使わせることで、誰と繋がっているか、どんなことをしているかは分からなくても、その表情や態度を見ることはできます。
表情や態度の変化からトラブルなどを推察することもでき、おかしいと感じたら声をかけることもしやすくなります。
4.ロックはかけない
スマートフォンは基本的に家で使い、外に持ち出さないのであれば、紛失し、個人情報の流失などの心配がないので、画面のロックはさせず、いつでも保護者が見られる状態にしておく約束をさせましょう。
ロックをかけないとなれば、子ども自身も使い方を考えるようになりますし、保護者も何かおかしいと感じたときは、チェックすることもできます。
ただ、子どもにもプライバシーはありますので、極力中身をチェックするのは控えてあげましょう。
5.フィルタリングを設定する
スマートフォン購入の際、契約者・使用者が未成年の場合はフィルタリングサービスの説明と店頭での設定が必須となっています。
保護者が拒否しない限りは、店頭で設定してくれます。
有害情報を遮断し、利用を制限することで、安心安全に使える環境を整えましょう。
高校生のスマートフォン事情とルール
高校生になるとさらにスマートフォンの所持率は急増します。
今はもう9割、かなり100%の所持率に近くなっています。
高校生になれば、行動範囲も交友関係も広くなり、利用料金もアルバイトで捻出する子も増えてきます。
中学までは地域の中でのつながりが多く、やりとりの相手の顔を知っている、知っていなくてもあの辺の子など漠然とした情報があったものが、高校生になるとやりとりの相手の情報は皆無になってきます。
学校は集団生活をする場!ルールはしっかり守らせよう
また、高校へのスマートフォンの持ち込みを許可しているところがほとんどです。
ただし、高校によってルールは様々です。
例えば、持ち込みを許可制にし、保護者・校長先生の許可がないと持ち込めない、学校内では電源を切る、始業から終業までは電源を切り、担任に預けたり、ロッカーで管理したりなどのルールなどが見受けられます。
学校は集団生活をする場ですので、それらのルールをしっかり守らせることが大切です。
社会に出ればルールを守ることが大切で、ルールを破れば罰を受けることもあります。
「スマートフォンぐらい…」という軽い気持ちでルールをやぶる、やぶらせるのではなく、ルールを守り適切な使い方をさせることが大切です。
家庭でのルール!状況に合わせてルールをかえていきましょう
では、家庭ではどのようにしていけばいいのでしょうか。
もちろん中学生のように厳しくすることもできますが、高校生になれば少しずつ緩和していき、自分で考えさせることも大切になってきます。
また、親に聞かれたくないような相談や悩みも増えていく時期です。それを解消してくれるのが友だちの存在であったりもします。
友だちと話すことでストレス発散になったりもしますので、自室で電話はしてもいいが、時間を決めるなど状況に合わせてルールを変えていくことも必要です。
ルールはお互いが納得する形に近づけよう
ルールを決めることが、スマートフォンを所持する場合大切ですが、そのルールを決める際には必ず話し合うことが必要です。
親は「こうしたい」という強い思いがあり、一方的にルールを決めがちですが、子どもにも譲れない、譲りたくないものがあるはずです。
お互いの主張をすり合わせるのは、体力も時間もかかりますが、力で押さえつけるのではなく、きちんと納得する形で決めることで、子どももルールを守りやすくなります。
今後もスマートフォンは手放せない道具の1つとなるでしょう。上手くスマートフォンを使っていくためにも、使い方を教えていくことが大人たちの役割になってくるかと思います。
家庭任せ、学校任せにしてしまわず、子どもの周囲が協力して見守り、助言していくことが賢いスマートフォン所持者を育てていくことになるでしょう。