小学生のうちから自学・自習の習慣を身につけておくと、将来的にも非常に役立ちます。
中学生・高校生や大学生はもちろん、社会人でも勉強する機会は多いので、計画性をもって自習するスキルは何かと大切になります。
一方で、自学・自習の習慣はどうやって作るべきなのか、お子さんが自発的に勉強してくれるようになるにはどうすれば良いのか気になる親御さんも少なくありません。
ここでは、塾講師の経験から小学生のうちに自学・自習ができる子になるためのポイントについてご紹介していきます。
目次
自学・自習は勉強の基本でもある!勉強習慣は小学生のうちから身につけよう
勉強というのは、ただ先生に教えられて終わりというものではありません。
教わったことを復習したり、自分で対策を進めたりなど、自分に合った学習方法を構築していくことが大事です。
また、時には自発的に予習を進めたりすることもあるでしょう。
こうした復習・予習を含めて自学・自習ができる子どもは、それだけ学力も伸びやすいです。
人から教えられるだけでなく、そこから自分で判断して学んでいく、そんな習慣を小学生のうちから身につけておくと良いでしょう。
自学・自習の習慣は大人になっても必ず役立つ
自学・自習の習慣というのは、何も小学生だけで役立つスキルではありません。
中学生・高校生や大学生でも勉強は当然行いますし、さらには社会人になっても何かしら勉強を進めるケースはあります。
どのライフステージにおいても、自分で判断して学習を行うという習慣は非常に大切なのです。
将来のためという意味でも、小学生のうちからなるべく自学・自習を進められるよう、お子さんに意識させてみてください。
自学・自習ができる子になるにはどうすればいい?親子で気をつけておくべきポイント
お子さんが自学・自習できるようになるには、親御さんとしても注意すべきポイントが多いです。
以下、家庭学習時の注意点なども含め、ポイントを整理していきます。
自学・自習は得意分野から始めるべき?
まず大前提として、勉強は得意分野だけでなく苦手分野もきちんと行うようにしましょう。
ただし、いきなり苦手分野ばかり勉強しても、お子さんはついていけなくなってしまうかもしれません。
それによって勉強への抵抗感が強まれば、勉強嫌いになってしまうおそれもあります。
そのため、自学・自習に関しては、まずは得意分野を中心に行うことを意識してみましょう。
とりあえず無理のない範囲で勉強をスタートし、子どもの抵抗感を減らすことが大事です。
「勉強=楽しい」と思ってもらうことが大事
自発的に勉強をするには、最初は「勉強=楽しい」と思ってもらうことが大事です。
受験勉強をはじめ、何か目的意識を持って勉強するケースもありますが、いきなり最初から勉強に目的意識を持たせるのは難しいでしょう。
それよりも「勉強=楽しい」と思ってもらい、まずは勉強を継続させることが大切になります。
そして「勉強=楽しい」と思ってもらうには、やはり得意分野を中心に勉強したほうが良いでしょう。
特に子どもであれば、苦手分野ばかり勉強して楽しいと思えるケースはまず少ないです。
それよりも得意分野を中心に勉強させ、飽きずに楽しんで勉強してもらい、とにかく勉強を継続させる必要があります。
この継続が勉強習慣となり、自発的に自学・自習を進めてくれるような形が理想です。
「わかった!」があれば勉強は楽しくなる
どんな勉強でも、きちんと理解できれば楽しくなるものです。
問題を解きながら、「わかる」「理解できる」という感覚が続けば、やはり楽しいものでしょう。
子どもであれば尚更、「この問題がわかった!」「次の問題もわかった!」という状態が続けば、飽きずに勉強が続きやすいです。
このような「わかる」という感覚を知ってもらうためにも、やはり最初は得意分野を中心に自学・自習を進めたほうが効果的でしょう。
苦手分野を学習するタイミング
もちろん得意分野だけでなく、苦手分野も積極的に自学・自習を進めるようになることがベストです。
ただ、繰り返しますが、いきなり最初から苦手分野ばかり勉強させるのは避けてください。
勉強の習慣がある程度できあがったタイミングで、苦手分野も少しずつ取り入れ、学習を進めると良いでしょう。
勉強に慣れてくると、「苦手分野も頑張ってみよう」という気持ちも芽生えやすいです。
「わからないものをわかるまで勉強したい」「苦手分野を克服したい」といったモチベーションが生まれれば、自ずと苦手分野の自学・自習も進むでしょう。
そして、苦手分野の中で理解できる部分が増えれば、それはお子さんにとって大きな自信になるはずです。
ただ、このような状態に持っていくには、まず日々の勉強習慣・自学自習の習慣から作り上げる必要があるのです。
そのためにも、最初からいきなり苦手分野ばかり勉強させるのではなく、タイミングを工夫することが大切になります。
メリハリのある勉強スケジュールを意識するようにしましょう
勉強というのは、ただ長時間机に向かえば効果が出るというものではありません。
「この時間は勉強する時間」「この時間は遊ぶ時間」といったように、日々のスケジュールにメリハリを持たせたほうが効果的です。
自学・自習の習慣を身につけるうえでも、このメリハリは特に意識しなくてはなりません。
最初の勉強目安時間はどのくらい?
飽きずに自学・自習をしてもらうためにも、最初は短時間の勉強からスタートさせてみましょう。
勉強に慣れていない子どもがいきなり長時間の勉強をしても、まず集中力は続きません。
それよりも短時間で区切ってメリハリを持たせ、その短時間の中で集中させたほうが効率的です。
それこそ最初は数分~数十分でもいいので、まずは「集中して勉強する」という感覚から覚えてもらいましょう。
特に自学・自習の習慣を身につけるには、とにかく「集中して自分で勉強する」という経験を積む必要があり、そのためにも時間で区切ることは大きな意味があります。
規則正しい生活を心がけよう
規則正しい生活というと当たり前の話のように聞こえますが、これは自学・自習の習慣を作るうえで非常に大切です。
「この時間は勉強する時間」「この時間は遊ぶ時間」といったメリハリは、規則正しい生活があってこそ成立しやすいものです。
もちろん過度に神経質になる必要はありませんし、子どもだからこそのびのび生活をすることも重要ですが、あまりに不規則な生活をすれば勉強習慣はなかなか身につきません。
子どもが自発的に「この時間は勉強する時間」と思えるためにも、家全体の生活リズムをなるべく規則正しくし、メリハリを持たせるようにしましょう。
親が子どものかわりに全ての時間割を決めても良い?
お子さんが勉強に慣れていない時期は、親が中心となって日々の勉強スケジュールを決める形になるかと思います。
一方、なるべく早い段階で、お子さんの意思も勉強計画に反映させてあげましょう。
子どもが自分で考え、「今日はここまで勉強する」「今日はこの科目を進める」「この日はこの時間帯に勉強する」といった勉強計画を立てるのも、子どもが自立していくうえで非常に重要なことです。
親がずっと全ての時間割を決めるわけではなく、最終的には子どもが中心となって自学・自習を進めることが理想でしょう。
ただし、全てを子どもに任せっきりにすると、偏った勉強スケジュールになるおそれもあります。
例えば科目・分野が極端に偏っていたり、あまりに勉強時間が少なすぎたり、逆に勉強時間が多すぎたりなど、いろいろな問題も起こるでしょう。
そのため、子どもの意思を勉強計画に反映させるときでも、その内容は定期的にチェックするようにしてください。
親が全く関与しないというわけではなく、必要があれば軌道修正するなど、適宜サポートすることが大事です。
「自分の力で理解できた」という成功体験を積ませることが大切!
自学・自習のモチベーションを維持するには、「自分の力で理解できた」という成功体験を積ませることが非常に大切です。
得意分野・苦手分野を問わず、自分一人で問題を解くことができれば、そこで大きな達成感が生まれます。
また、自分で教科書やテキストを読み、頭の中で「これはこういうことか」と理解できれば、そこでも達成感が生まれるでしょう。
このような何かを成し遂げる達成感を得ることは、モチベーションを維持するうえでとても重要なことです。
自学・自習も例外ではなく、どうすれば「自分の力で理解できた」という成功体験を積ませることができるか、各ご家庭でも考えていく必要があります。
ほめるべきところはしっかりほめてあげましょう
お子さんが一人で行う自学・自習とはいえ、親の関与が少なすぎるのも好ましくありません。
子どもが自分で問題を解けたとき、正答率が上がったときなど、ほめるべきところはしっかりほめてあげましょう。
そうすれば子どもの中でも達成感が強まります。
勉強に関する子どもの成功体験は、親の声かけも大きく影響します。
子どもが成長するにつれ、親の関与はどうしても少なくなりがちですが、この点もぜひ意識していただき、適宜様子を見るようにしてください。
得意分野・苦手分野のバランスを意識するようにしましょう
先ほども触れましたが、最初のうちは得意分野を中心に自学・自習をさせるというのも、「自分の力で理解できた」という成功体験を積ませる一環となります。
得意分野のほうが理解度は高いでしょうし、問題がスラスラ解ければそれだけ達成感も高いはずです。
勉強は苦手なものを中心に対策するというイメージが強いですが、当然ながら得意分野の勉強も必要不可欠なのです。
それは、得意分野の実力を維持するという意味だけでなく、「自分の力で理解できた」という成功体験とモチベーションを維持することも意味します。
一方、いずれは苦手分野もしっかり勉強しなくてはならないので、このあたりのバランスを改めて意識する必要があります。
先ほども触れたように、ある程度の勉強習慣ができた段階で徐々に苦手分野の勉強もさせるなど、タイミングの工夫が大事です。
少しずつ勉強習慣ができ、勉強全体に対するモチベーションも上がってくれば、「苦手分野も勉強してみよう」という気持ちが生まれやすいです。
そのタイミングで苦手分野の自学・自習を進め、そこで「苦手だったものが理解できた」という成功体験が生まれれば、これは勉強として大きな意義があります。
勉強の目的意識を持つことも大切
先ほど述べたように、最初からいきなり勉強に目的意識を持つことは難しいでしょう。
それよりも「勉強は楽しい」と思ってもらい、そこから勉強習慣・自学自習の習慣を作っていくほうが効果的です。
ただ、勉強のモチベーションを維持するためには、ある程度の目的意識も必要と言えます。
例えば中学受験であれば、「あの学校に行きたいから受験勉強をする」という目的意識が大切であり、その気持ちが日々の自学・自習のモチベーションにもつながるはずです。
もちろん中学受験をしない場合でも、「中学校で困らないために小学生のうちから基礎を磨いておく」といった目的意識で勉強を進めるご家庭・お子さんも多いです。
このように、最終的には何らかの目的意識を意識させると、自学・自習のモチベーションは維持されやすくなります。
最初は目的意識うんぬんより「勉強=楽しい」と思ってもらったほうが良いですが、いずれは「なんのために勉強をするのか?」という点をお子さんに意識してもらい、より本格的な自学・自習の習慣を作っていくと良いでしょう。
このあたりは親子のコミュニケーションが非常に重要ですので、中学受験の有無なども含め、勉強の目的意識について適宜話し合ってみてください。
まとめ
今回は、小学生で自学・自習ができる子になるためのポイントについてお話ししていきました。
自学・自習は勉強の基本でもあり、小学生のうちから自分で判断して学習する習慣を作って損はありません。
一方で、最初から長時間勉強させれば良いわけではなく、また最初から苦手分野ばかり勉強すれば良いわけではありません。
勉強を開始したばかりの頃は、とにかく飽きずに勉強を継続してもらうことが大切です。
そのためにも、まずは得意分野を中心に自学・自習をさせ、無理なく勉強させることを意識してみましょう。
最初は「勉強=楽しい」という感覚を大切に、楽しんで自学・自習を続けることが理想です。
また、最初は時間を区切り、短時間でも集中して勉強する感覚を知ってもらいましょう。
このような無理のない範囲で自学・自習をスタートし、少しずつ勉強習慣を構築していくことが大切になります。
さらに、お子さんの自学・自習のモチベーションを保つためにも、親としてほめるべきところはしっかりほめてあげましょう。
自学・自習といえども、親の関与が少なすぎる状態は好ましくありません。
親のほうでも学習状況は適宜把握し、必要に応じてサポートや声かけはしっかり行いましょう。
こうした点も踏まえ、お子さんがスムーズに自学・自習できる環境づくりを意識してみてください。