中学受験で塾を活用するとき、春期講習・夏期講習・冬期講習を機に実力を伸ばしたいと考えるご家庭も多いでしょう。
一方で、普段通塾していなくても講習を受講できるのか、あるいは普段通っている塾とは別の塾で講習だけ利用できるのかなど、気になる点も多いのではないでしょうか。
この記事では、塾講師の経験から中学受験の勉強で塾の講習(春期講習・夏期講習・冬期講習)だけ利用するのはアリなのか?について様々な観点からお話ししていきます。
目次
塾の講習だけを利用することはできる?
中学受験の勉強では、多くのご家庭が塾の講習(春期講習・夏期講習・冬期講習)を利用するかと思います。
講習は普段より多くの授業で集中的に勉強ができるため、緊張感のある空間で復習や予習、問題演習などを一気に進めるチャンスです。
特に夏期講習は苦手分野の克服などをはじめ、実力を伸ばす大きなチャンスであり、受講するメリットは非常に大きいです。
一方、そんな塾の講習だけを利用するのはアリなの?と疑問に思うご家庭も少なくありません。
例えば4年生や5年生など、まだ受験が本格化していない段階で、「普段通塾はしていないけれど講習だけは参加したい」と考えるご家庭も少なくありません。
また、普段通塾はしていても、「講習は違う塾で受講したい」と考えるケースも見られます。
以下、こうした講習だけを利用したい場合のポイントや注意点についてご説明していきます。
講習だけを受講することはシステム的に可能なの?
結論から言えば、講習(春期講習・夏期講習・冬期講習)だけを受講することはできます。
普段その塾に通っていない子どもでも、講習だけ参加することは特に問題ありません。
一部の塾では入塾テストが実施される場合もありますが、必要な条件さえクリアすれば講習だけ受けることは可能なのです。
もちろん、入塾テストなどが特になく講習だけ参加できる塾も多いです。
このあたりは事前に確認が必要ですが、講習だけ参加すること自体は基本的に可能という点は知っておきましょう。
塾としても講習への参加は歓迎しています
塾側の立場としても、新しい生徒が講習に参加することは基本的に歓迎のはずです。
講習をきっかけにその塾に魅力を感じてもらえれば、講習後も通塾してくれる可能性が高いからです。
こうした新規生の獲得につなげるという意味でも、塾としては講習でより多くの生徒を集めることに大きな意義があります。
講習だけ参加すると言っても決して嫌な顔をされることはないはずですので、そこは遠慮なく塾と相談してみてください。
入塾テストが必要な場合もある?
一部の大手進学塾などは、講習にあたって入塾テストなどが設けられている場合もあります。
この場合、まずはテストに合格して受講条件をしっかり満たさなくてはなりません。
一方では、入塾テストなどが特になく講習に参加できる塾もたくさんあります。
特に個別指導塾であれば、入塾にあたってテストのようなものは基本的にないので、より気軽に講習に参加しやすい雰囲気になっています。
また、集団塾であっても、講習にあたって入塾テストなどを設けていない塾も多いです。
こうした受講条件はあらかじめ確認し、必要な準備があればきちんと進めておきましょう。
季節講習だけを受講するメリットとデメリット
ここまでの話を大前提として、講習だけを受講するメリット・デメリットについて一度整理しておきましょう。
メリット
緊張感のある学習環境を知ることができる
受験勉強を開始したばかりの頃はまだ緊張感も少ないかと思いますが、ここで一度講習を経験させ、緊張感のある学習環境を知ることは大きなメリットです。
普段は通塾していなくても、一度講習だけでも体験させ、「緊張感のある空間で集中して勉強する」という経験を積むことは、受験勉強として大きな意義があります。
講習は他にも受験生がたくさんいますし、当然ながら授業内容も受験に合わせたものになります。
こうした環境に身を置くと、より受験が現実味を帯びてきて、モチベーションが一気に上がることも多いです。
もちろん4年生や5年生のうちは6年生のような勉強量ではなく、6年生ほどの緊張感で勉強するわけではないですが、それでもある程度緊張感のある学習環境を知っておいて損はありません。
通年で通塾するより費用を安くできる
講習だけを利用する場合、もちろん通年で通塾するより費用を安くできます。
経済的な理由で4年生・5年生のうちは塾に通うのが難しいといったケースでも、講習だけを利用し、ひとまず緊張感のある学習環境を経験させることは大きな意味があります。
もちろん講習の費用は各塾によって異なりますので、事前にしっかり料金体系を確認しておきましょう。
デメリット
講習が終わると一気に緊張感が抜けてしまうことがある
一方、講習だけを利用する場合、講習が終わってから一気に緊張が解け、ついつい勉強を怠けてしまうなどのケースも見られます。
講習後も塾に通うのであれば、ある程度緊張感も続きやすいですが、講習が終わって塾に行く必要がなくなるとそこで一気に緊張感がなくなってしまう場合もあるのです。
もちろんこれは子どもによって大きく異なりますし、講習が終わって通塾しなくなってもしっかり勉強習慣を維持できる子どももいます。
ただ、講習だけ受ける場合だと、講習期間の終了によって緊張感のある日々が終わってしまう状況になりやすく、そこでモチベーション低下などを招くケースもあるため、ここは親としても特に注意が必要です。
勉強習慣を続けることの大切さをしっかり伝え、講習が終わってもある程度の緊張感を維持し、集中して受験勉強に取り組めるよう、家庭学習の環境をしっかり整えるようにしましょう。
すぐに塾に馴染めるかはわからない
講習だけ利用すると、普段通塾している生徒と一緒に授業を受ける場合もあるでしょう。
この場合、その授業や周りの生徒の雰囲気になかなか馴染めない場合もあります。
もちろんこれもお子さんの性格や各教室の雰囲気などで大きく異なりますので、一概には言えませんが、すぐに塾に馴染めるとは限りません。
特に普段から通塾している生徒に混ざって受講する場合、最初は馴染むのが難しいケースも見られます。
講習が進むにつれて馴染んでいくことも多いですが、このあたりは実際に入塾してみないとわからないことも多いです。
ただ、講習を受ける前に塾の教育方針や授業形態を細かく確認したり、実際に足を運んで塾の雰囲気をチェックしたりなど、親としてできることもたくさんあります。
お子さんの性格に合った講習を選ぶためにも、あらかじめ塾の現場の情報をなるべく多く集め、馴染みやすい環境かどうか、可能な限りいろんな視点から検討してみることが大事です。
講習期間の終了後!通塾継続を検討した時に確認すべきこと
講習期間が終わったあと、その塾への通塾を継続することももちろん可能です。
講習を通じて塾に魅力を感じたのなら、ぜひ入会して継続してみると良いでしょう。
やはり塾は相性も大切ですし、講習を経てお子さんに合いそうな塾だと思ったら、ぜひ継続を検討してみてください。
体験入学的な意味で使うこともできるので通塾・転塾を検討しやすくなる
このように、講習は体験入学的な意味で使うことも可能なのです。
講習を通じて塾の実際の雰囲気や教育方針などを知り、お子さんに合いそうな塾だと判断できればその後も継続する、といった形で利用することができます。
特に中学受験の場合、勉強を開始したばかりの頃はまだ通年で塾に通っていないご家庭もあるかと思います。
しかし勉強が本格化し、そろそろ通年で塾に通いたいと思ったとき、まず講習を体験入学のような形で受けてみて、通塾するかどうか判断するといった使い方ができます。
あらかじめ塾の情報はしっかり確認しておきましょう
ただし、いくら体験入学的な意味で講習を使うとはいえ、塾の教育方針などは事前にきちんと確認するようにしてください。
講習であればどこでも良いというわけではなく、その塾がどのような教育方針・指導形態で授業・講習を行っているのかしっかり確認したうえで検討することが大事です。
いくら講習を体験入学的な意味で使用するといっても、講習はとにかく期間が長いため、わずかな日数の体験入学とは大きく異なります。
ある程度長い期間講習を受けるわけですから、極力お子さんの性格等に合った講習を選ぶべきです。
もちろん実際に受講してみてわかることも多いですし、その意味で体験入学に近いものもありますが、やはり講習である以上期間も長いので、教育方針などは事前にしっかり確認する必要があります。
それこそ、「講習前の体験入学」が可能な場合もありますので、なるべく現場の情報を知っておいて損はありません。
春期講習・夏期講習・冬期講習のいずれもそれなりの期間があります。
短い期間の体験入学とは異なるので、この点は特に注意してください。
継続する際に入塾テストが行われる場合もある
一部の塾では、講習が終わって通塾を継続するとき、新規入会として入塾テストが行われる場合もあります。
講習の際に入塾テストがなくても、通常の通塾に移行する際に入塾テストが実施されることはあるので、この点は注意が必要です。
継続を決めるときは、塾の入塾にあたって何が必要か、あらかじめ細かくチェックしておくようにしましょう。
講習だけを通塾しているところとは違う塾で受講することはできる?
最後に、普段通っている塾とは違う塾で講習だけ受講するケースについてもお話ししていきます。
講習を違う塾で受講することはもちろん可能
日頃通塾はしていても、「講習は違う塾で受講したい」と考えることもあるでしょう。
例えば、「普段は個別指導塾に通っているが、夏期講習は大手進学塾で受講したい」などのケースが考えられます。
もちろん、このような利用方法も可能です。
繰り返しになりますが、講習だけを受講することは可能であり、これは普段他の塾に通っている場合も例外ではないのです。
掛け持ちになるので慎重に判断する必要がある
ただし、講習を違う塾で受講し、塾の掛け持ちになった場合、お子さんの負担はどうしても大きくなりがちです。
違う塾で講習を受けている期間でも、普段通っている塾で授業があることも多いでしょう。
この場合、掛け持ちでいろんな授業を受けることになるため、無理のないスケジュールでしっかり調整することが重要です。
あまりにハードスケジュールになると、お子さんの集中力やモチベーションも低下しやすくなり、勉強としてかえって非効率になってしまいます。
そうならないよう、掛け持ちする場合は慎重に判断し、無理のない日程で乗り切ることが大事です。
掛け持ちは目的意識を明確にすること
講習に限らず、塾の掛け持ちそのものは悪いことではありません。
しっかりした目的があって塾の掛け持ちを行うのであれば、効率的で良質な受験勉強を進めることも可能です。
例えば、「集団塾での授業についていけるよう、個別指導塾で苦手分野を補強する」といったように、しっかりと目的意識があれば、塾の掛け持ちも何かとメリットがあります。
もちろん講習も例外ではなく、「夏期講習だけは大手進学塾で受講し、よりハイレベルな問題演習を経験したい、より緊張感のある空間で学習を進めたい」といったように、目的意識が明確であれば、講習を違う塾で受講するメリットも大きいです。
一方、こうした目的意識がはっきりしていない状態で塾を掛け持ちするのは避けましょう。
ただやみくもに塾を増やせば良いわけではなく、「何のために違う塾で講習を受けるのか?」という目的意識を明確にする必要があります。
こうした目的が明確でなければ、お子さんの負担が増えるばかりで勉強として効率的とは言えないのです。
違う塾で講習を受ける場合、このような点に十分注意し、その掛け持ちが志望校合格につながるものなのか、しっかり検討する必要があります。
まとめ
今回は、中学受験の勉強において塾の講習(春期講習・夏期講習・冬期講習)だけ利用するのはアリなのか?についてお話ししていきました。
塾の講習だけ利用することはもちろん可能であり、4年生・5年生でも一度講習を経験させておくことは大きなメリットがあります。
また、講習が終わってその塾に継続して通うこともでき、講習がきっかけでその塾を気に入ったというケースも多いです。
塾側としても多くの生徒が講習に参加することは新規生を獲得する意味でもメリットがあり、講習だけの利用でも基本的に歓迎してくれます。
一方、一部の塾によっては講習前に入塾テストが行われる場合があるほか、講習が終わって通塾を継続する際に入塾テストが実施されることもあります。
こうした諸々の条件はあらかじめしっかり確認し、必要な準備はきちんとしておかなければなりません。
また、講習だけを利用する場合、以前からその塾に通っている生徒達と一緒に授業を受けることもあり、その場合は教室の雰囲気にすぐには馴染めない可能性もあります。
こうした点も踏まえ、講習を選ぶ際には塾の現場の情報をなるべく多く集め、塾の教育方針や指導体制なども含めて事前にしっかり調べておくことが大事です。
また、普段通っている塾と別の塾で講習だけ受けるなどのケースもありますが、塾の掛け持ちになる場合はとにかくスケジュール調整に注意する必要があります。
また、何のために掛け持ちをするのか、目的意識をきちんと明確にし、無理のない範囲で講習を利用するようにしましょう。
こうした点も踏まえ、状況に応じて講習を有効活用し、実力アップにつなげてみてください。