中学受験塾を選ぶときの判断基準は?子どもに合った最適な塾を選ぶポイント

中学受験塾選びのポイント

中学受験では塾を活用するケースがほとんどですが、実際に塾を選ぶ際、迷ってしまう親御さんも多いでしょう。

集団塾にすれば良いのか、個別指導塾のほうが良いのか、塾の指導体制のどのような部分に注目すべきなのか、疑問点も多いかと思います。

ここでは、塾講師の経験から中学受験で塾を選ぶ際のポイントについて、様々な観点からご紹介していきます。

集団塾にするか、個別指導塾にするか?

中学受験の塾は、集団塾と個別指導塾に大きく分けられます。

集団塾は、その名の通り生徒が集団で授業を受けるスタイルで、同一のカリキュラムのもと、周りの生徒と切磋琢磨しながら勉強していきます。

一方、個別指導塾は生徒一人ひとりの学力や性格に合わせ、個別のカリキュラムを組み、勉強を進めていきます。

集団塾は、良い意味で周りの影響を受けるので、程良い競争意識を持って勉強することができます。

一方、個別指導塾は個人の学力に沿って勉強を進めるため、自分のペースを守りながら勉強できる環境が整っています。

このように、集団塾と個別指導塾は指導体制が大きく異なり、それぞれメリット・デメリットがあります。

それぞれのお子さんの性格も踏まえ、メリット・デメリットを判断することが大事です。

集団塾のメリット・デメリット

塾で勉強をする小学生

集団塾は複数の生徒と一緒に勉強をするため、良い意味での競争意識が生まれます。

緊張感のある環境で勉強し、周りと切磋琢磨しながら学力を磨き合っていく、そんな環境に特徴があります。

受験勉強のモチベーションが維持しやすくなる反面、勉強についていけないという弊害も

もちろんあまりに競争意識にこだわるのは好ましくありませんが、良い意味で周りの影響を受け、適度な競争意識が生まれれば、勉強のモチベーションも維持しやすくなります。

常に程良い緊張感があるので、「受験モード」に入って勉強しやすい環境と言えるでしょう。

一方、同一の授業下においては、全ての生徒が同じカリキュラムで勉強を進めるため、授業についていけなくなるリスクもあります。

特にレベルの高い塾やクラスでは、一度勉強についていけなくなると調整が難しく、復習が追いつかないなどの弊害も一部見られます。

また、競争意識のようなものが苦手、自分のペースで勉強したい、といった性格の子どもは、集団塾だと性格的に合わない場合もあります。

通塾をする小学生

個別指導塾のメリット・デメリット

個別指導塾は生徒個人の学力や性格に沿ってカリキュラムを決めてくれるので、無理のない範囲で勉強を進めることができます。

もちろん中学受験の勉強である以上、絶対にやらなければいけないカリキュラムは決まっていますが、そのカリキュラムを個人の状況に合わせて柔軟に調整できるため、効率的な勉強が可能になります。

進度は柔軟に対応してもらえるが受験モードに入れない可能性もある

例えば、この日は苦手分野だけを重点的に行う、この日は問題演習をメインに行う、といった形で、個人の学習状況に応じて柔軟な進め方ができます。

一方、個別指導塾では、周りの生徒と一緒に勉強することは基本的にありません。

そのため、生徒同士でライバル意識のようなものを抱くことは少なく、適度な競争意識を求める子どもにとっては若干退屈になる可能性があります。

また、自分のペースを守って勉強できることは確かに大きなメリットですが、あまりにマイペースすぎると、なかなか「受験モード」に入らない可能性もあります。

集団塾のような緊張感とは違う雰囲気のため、この点は事前にしっかり確認しておくべきでしょう。

集団塾にするか個別指導塾にするかの判断基準は?

上記の通り、集団塾と個別指導塾はその指導体制から雰囲気まで大きく異なります。

子どもの性格はもちろん、各ご家庭でどのくらい勉強時間を確保したいのかなど、さまざまな要因から集団塾にするか個別指導塾にするかを判断しなくてはなりません。

例えば、小学生のうちはスポーツなどの課外活動や習い事を行うケースが多いでしょう。

受験勉強を始めるにあたり、課外活動・習い事をやめるお子さんも多いですが、中には勉強と両立して各種活動・習い事を続けるお子さんもいます。

その場合、やはり個人の状況に沿って柔軟に勉強ができる個別指導塾のほうにメリットがあるでしょう。

また、お子さんが勉強そのものに慣れておらず、勉強の仕方がわからない、といった場合も、個別指導塾のほうが適しています。

いきなり集団塾の難しいカリキュラムのもとで勉強を開始しても、ついていけない可能性があるからです。

一方、時間的な余裕があり、かつ、勉強にそこまで抵抗がない場合であれば、集団塾で緊張感をもって勉強を進めることに大きな意義があるでしょう。

やはり集団塾独特の緊張感、良い意味での競争意識は大きなメリットがあります。

このように、それぞれのお子さんの状況も踏まえ、様々な視点から検討することが大事です。

塾の合格実績や成績データはしっかりと確認しておこう

最近の入試傾向とは

当然と言えば当然ですが、やはり塾の合格実績や成績データはきちんと確認すべきです。

昨今、塾の在り方も様々で、合格実績・成績データだけが全てではありませんが、中学受験を乗り切るために塾を活用する以上、やはり実績はきちんと見なければなりません。

難関校も含めて合格実績があるか

塾の合格実績の中に難関校が含まれているかどうかは、その塾の指導体制を見極めるうえで重要なポイントと言えます。

もちろん、実際に志望校・併願校を決めるときは、学校を偏差値だけで判断してはいけません。

ただ、塾に関して言えば、合格実績に難関校が含まれていれば、その塾の指導体制も信頼しやすくなるでしょう。

偏差値はあくまで目安ですが、難関校も含めて幅広い中学校の合格実績があるかどうか、入試傾向に沿った対策ができているかどうか、様々な点から判断していきましょう。

生徒の成績データも可能であれば確認

生徒の成績データが公表されている場合もありますので、可能であればそちらもチェックすると良いでしょう。

特に個別指導塾では、勉強が苦手な子どもに合わせたカリキュラムを組み、勉強を得意にしていく取り組みが行われています。

偏差値が短期間で上がった、テストの点数が短期間で上がった、などの実績があれば、その指導体制も信頼できるものになるでしょう。

もちろん集団塾でもこうしたデータが公表されていれば、そちらも確認しておきましょう。

実際に塾に入ってどのくらい成績が伸びるのか、どの程度の期間で偏差値が上がっていくのか、それらを判断する目安になるはずです。

中学受験塾の合格者数と合格率

各指導体制はどうなってる?入塾前に把握しておくべきポイント

集団塾でも個別指導塾でも、肝心の指導体制は事前にしっかり把握しておく必要があります。

講師の指導はしっかりしているか、面倒見は良いか、塾内の雰囲気は良いか、といった点のほか、テキスト・教材がわかりやすくなっているか、カリキュラムはどのように作っているのか、費用はどうかなど、細かい点までなるべく事前に確認すると良いでしょう。

全てを隅々までチェックすることは難しいと思いますが、なるべく現場の情報を把握しておくに越したことはありません。

以下、それぞれのポイントに分けて詳しくご説明します。

講師の指導力と授業を受けている生徒の反応

指導力に関しては実際に通塾してみないとわからない部分がありますが、合格実績や生徒の成績データから読み取れることもあります。

高い合格実績を誇る塾であれば、講師それぞれの指導力もある程度高いはずです。

一方、実際に塾を見学して判断することも大事です。

授業を見て、講師がわかりやすい指導をしているか、生徒の反応はどうかなど、講師と生徒両方の雰囲気を確認してみましょう。

面倒見の良さ

塾の講師というのは、指導力だけでなく面倒見の良さも求められます。

個別指導塾はもちろん、集団塾の講師でも面倒見の良さは重要なスキルです。

塾を見学する際に、講師が生徒の質問にしっかり答えているか、授業外でも生徒の質問を受け付けているか、といった点も確認すると良いでしょう。

もちろん、塾の講師にも授業外の仕事がありますので、いつでも生徒の質問に対応できるとは限りません。

ただ、面倒見の良い塾は、授業外の時間でもなるべく質問を受け付けているはずです。

こうした質問しやすい環境が整っている塾は、講師と生徒のコミュニケーションがしっかりしており、非常に親しみやすい雰囲気が見られます。

塾内の雰囲気

質問しやすい雰囲気の塾、コミュニケーションを取りやすい雰囲気の塾は、やはり生徒としても居心地が良いでしょう。

疑問があるときにすぐに講師に質問できる環境は、生徒のモチベーション維持にもつながります。

そもそも勉強というのは、疑問点を疑問点のままにしておくことが一番危険です。

疑問点が多い状態で勉強を進めても、理解が追いつかず、途中でモチベーションが下がるおそれがあります。

一方、すぐに疑問点を質問し、解決できれば、それだけ勉強の効率は上がります。

生徒のモチベーション維持や、生徒が自発的に学習を進めるきっかけにもなるのです。

こうした雰囲気の塾は、中学受験の塾として非常に理想的です。

もちろん受験勉強である以上、ある程度の緊張感は必要ですが、ギスギスした雰囲気ではなく、生徒が一定のモチベーションにあふれているような、親しみやすい雰囲気の塾が良いでしょう

講師の応対

塾の雰囲気の目安として、講師の応対もチェックしてみましょう。

挨拶がしっかりできているか、電話応対はしっかりしているか、わかりやすく話しているか、声をハキハキと出しているか、基本的なコミュニケーションを確認してみてください。

元気良くコミュニケーションを取れる講師が多いと、それだけで雰囲気は良くなります。

また、講師のコミュニケーション力は指導力にも関係しますので、塾を見学する際にはしっかり確認しましょう。

親御さんへの応対

塾は、生徒に勉強を教えるだけが全てではありません。

親御さんとの面談などを通じ、生徒一人ひとりの学習状況をしっかり共有し、親と塾で生徒をサポートしていく必要があります。

また、親御さんからの質問にその都度対応することも重要な仕事です。

面談などは基本的に教室長が対応しますが、授業を担当する講師が親御さんに学習状況などを説明することもあります。

こうした親御さんへの応対についても、あらかじめ確認しておきましょう。

電話応対がきちんとできているか、面談はわかりやすいか、質問にわかりやすく答えているか、それぞれチェックし、親としても信頼できる塾を選ぶことが大切です。

テキスト・教材やカリキュラムはどうなっているか

使用するテキスト・教材や基本的なカリキュラムなども事前に確認しておきましょう。

最初の面談時などでテキスト・教材を見せてもらい、実際にどのように進めていくのか、カリキュラムも含めて疑問点を質問してみてください。

また、宿題の量や小テストの頻度なども確認しましょう。

ご家庭によっては、習い事を続けたまま中学受験の勉強をするケースもあるかと思います。

その場合、あまりに宿題の量が多いと子どもの負担も大きくなるので、宿題が無理のない範囲内になっているか、そのあたりを個別に調整することは可能か、といった点も質問してみてください。

また、テスト形式に慣れさせたい、適度な緊張感を持たせたい、といった場合、小テストの多い授業が好ましいでしょう。

こうした小テストの頻度なども、テキスト・教材やカリキュラムの確認の際にチェックしておきましょう。

授業料・テキスト代・模試費用など費用をチェックしておきましょう

現実的な話になってしまいますが、やはり費用はしっかり確認する必要があります。

入会金、普段の授業料、テキスト・教材料はもちろんですが、夏期講習や冬期講習などの費用も確認しておいてください。

中学受験の勉強では、塾の夏期講習や冬期講習が欠かせません。

ただ、講習によって費用は変わりますし、講習の組み合わせ次第では費用の調整もできるので、料金体系は事前に確認することが大事です。

また、受験勉強では模試も必要不可欠ですので、各種模試の費用もあらかじめチェックしておきましょう。

さらに、塾によっては休日の補習や勉強合宿といったオプション的なコースもあるので、こうした細かい費用もチェックしておくと良いでしょう。

中学受験塾の特徴

立地条件はどうなってる?立地は塾選びの中でも重要なポイント

通塾する受験生

塾を選ぶ際には、立地条件も非常に重要なポイントです。

お子さんを通塾させる以上、塾の立地、周りの環境などもきちんと考慮すべきです。

特に小学生であれば尚更、家からの所要時間や、付近の治安面なども含め、通いやすい環境かどうかを判断しなくてはなりません。

集団塾か個別指導塾か、指導体制はどうかといった点ばかり目立ちますが、塾の立地も必ず確認しましょう。

家からの所要時間はどのくらいか?

家から塾までの所要時間はなるべく短いに越したことはありません。

電車やバスなどの交通機関を使って通うこともあるかと思いますが、それでもなるべく家から近い塾を選ぶようにしましょう。

また、私立の小学校に通っている場合、学校の帰りに塾に寄るケースもあるでしょう。

その場合でも、家から近い塾をなるべく探しましょう。

塾が終わる時間が遅いこともあるので、家から近いほうが親としても安心かと思います。

また、夏期講習や冬期講習は家から通う形になるため、やはり塾までの所要時間が短いに越したことはありません。

通塾のルート・道のり、使用する交通機関など、細かい点まで確認するようにしてください。

もちろん指導体制等を確認したうえで判断する

当然ですが、家から近い塾が絶対に良いわけではありません。

先ほどもご紹介したように、各種指導体制などは必ず確認するべきで、お子さんの性格や各ご家庭の方針に沿っている塾を選ぶべきです。

ただ、あまりに遠い塾を選ぶのは、小学生のお子さんを通塾させるうえでデメリットとなるので、選ぶ基準に立地条件もしっかり入れることが大事です。

治安面はどうか?周辺環境を確認しておきましょう

塾の立地条件として、やはり治安面もしっかり考慮する必要があります。

一概には言えませんが、例えば駅から近い塾であれば、付近に人も多く、安心感が高いでしょう。

こうした周辺の環境は、親御さんのほうで一度足を運んでいただき、確認することが大事です。

塾の見学や面談の際、その街の雰囲気や道のりなども含め、チェックしてみてください。

中学受験塾選びのポイントまとめ

今回は、中学受験の塾を選ぶ際のポイントについてご紹介しました。

中学受験の塾は、大きく分けて集団塾と個別指導塾があります。

まずはお子さんの性格や各ご家庭の教育方針なども踏まえ、集団と個別のどちらが向いているのか、様々な点か検討する必要があります。

例えば、集団塾は適度な競争意識や緊張感にメリットがありますが、個別指導塾は一人ひとりの状況に沿ったカリキュラムに強みがあります。

塾の雰囲気がお子さんの性格に合うかどうかも含め、総合的に検討しなくてはなりません。

また、合格実績・成績データのほか、肝心の塾の指導体制もしっかり確認しておきましょう。

子どもが親しみやすい雰囲気になっているか、モチベーションを維持できるような環境になっているか、講師の指導力やテキスト・カリキュラムはどうなっているか、料金体系はどうかなど、なるべく細かい部分までチェックしてみてください。

そのほか、小学生のお子さんを通塾させる以上、塾の立地条件も重要なポイントです。

通いやすい環境になっているか、付近の雰囲気はどうかなど、お子さんに通塾させる前に親御さんのほうでしっかり確認しましょう。

このように、塾を選ぶ際のポイントはたくさんありますが、親子でしっかり情報を共有し、無理のない範囲で最適な塾を選んで活用してみてください。