引越しなどで保育園や幼稚園の転園を考えたとき、子どもが新しい環境になじめるのか不安になる親御さんも多いのではないでしょうか。
転園の手続きで忙しい中でも、子どもの心のケアはとても大切なことです。
新しい保育園や幼稚園に、笑顔で楽しく通えるよう具体的にどのようなサポートをしてあげたらいいのか、元幼稚園教諭の目線からお伝えしていきます。
目次
転園のメリットは?
転園が決まったとき、手続きの多さや新しい環境への不安からネガティブなイメージを持った方が多いのではないでしょうか。
しかし、転園に対してまずは親が前向きな思いを持つことが、子どもの心のケアをしていく上で大切なことです。
ここでは、転園によって、どのような環境の変化があるのか、転園のメリットについてお話していきます。
人間関係、友だち関係が広がる
転園することで、また新たな出会いがあり、子どもを取り巻く人間関係が広がります。
公園に遊びに行って、初めて会った子と仲良くなり、一緒に楽しそうに遊んでいたという経験はありませんか?
子どもたちは大人が思っている以上に環境に順応していく能力があり、新しい環境でも楽しい時間を共有することで、友だち関係を広げていくことができます。
もちろん、性格や発達の個人差もありますので、みんなすぐに馴染めるわけではありません。
おとなしい子や消極的な子、人見知りをする子は先生や周りの大人が継続的にサポートをしていく必要があります。
興味や関心が広がり大きく成長するチャンスがある
転園することで、今までとは違った新たなことに出会い、チャレンジする機会も増えていきます。
園庭の遊具が変わったといった環境の変化から、新しい活動や行事に参加する生活の大きな変化まで、一つ一つの変化に始めは戸惑いながらも、徐々にその変化を楽しみ、刺激を受けるようになります。
新たに好きなことを見つけたり、得意なことが増えたり、今までできなかったことができるようになるなど…子どもにとってプラスになることが増えていく可能性があります。
環境の変化は子どもが大きく成長するチャンスです。
転園先でどんな新しい発見や成長が待っているのだろうと前向きに考えていけるといいですね。
転園前のお子さんへしてあげてほしい心のケア!5つのポイント
では、転園前に具体的にどのように子どもに声を掛け、接したらいいのでしょうか。
子どもが転園に対して前向きになれる子育ての5つのポイントについてお伝えします。
1.転園することを事前にきちんと伝える
子どもに伝えたら悲しむから、かわいそうだから、混乱させたくないから…といって直前まで転園することを伝えないと、子どもにとっては突然の引越しや転園となり、気持ちの整理が付かない可能性があります。
事実をきちんと伝えることが大切です。伝える時期や、伝え方にも注意が必要です。
あまり早く伝えてしまうと、子どもが長い期間、転園の不安や別れの悲しみを感じてしまうことになります。
目安は一ヶ月前くらいで、子どもが気持ちの整理をつけて、今の園生活を思い切り楽しむことができる十分な時間を設けましょう。
伝え方は、どうして転園するのか、どこに転園するのか、いつ転園するのか具体的に伝えましょう。
子どもに詳しく説明しても分からないと思うから…といって、転園することだけを伝えると、子どもは混乱して現状を受入れられなくなってしまいます。
子どもから、転園先のことを聞かれたら丁寧にわかりやすく、時間をかけて説明してあげましょう。
2.普段の会話のなかに転園の話を取り入れ、楽しみにしていることを伝えよう
親の様子や気持ちを子どもは敏感に感じとります。
親が転園に対して不安な気持ちを抱いていると子どもに伝わり、転園を嫌がるなど一時的に情緒不安定になってしまう可能性があります。
転園することをあまり意識しすぎないように気をつけながらも、新しい環境を楽しみにしていることを伝えていきましょう。
もし転園先が決まっているようであれば「新しい幼稚園ってこんなかわいいバスがあるみたいだよ!早く乗ってみたいね」「こんな遊具見たことないね、楽しそうだな、ママも一緒にやってみたいな」など、パンフレットやHPを見ながら、話をする方法がおすすめです。
話をするだけではイメージできないこともありますので、実際に写真でみると分かりやすいと思います。
「あと○日で、お別れだね、寂しいね」といった子どもが寂しくなる、悲しくなるような声掛けはできるだけ避けて、なるべく新しい環境に期待が高まるような会話を家族で心がけましょう。
3.今まで仲良くしてくれた友だちとの時間を大切にする
お別れが近付くにつれて徐々に離れる実感が沸いてきて、転園したくないという思いが強くなっていきます。
仲良しの友だちと離れてしまうことは子どもにとってとてもつらいことです。
しかし、残された時間はわずか、その時間を思い切り楽しめるようにしてあげたいですね。
お友だちを自宅に招いてお別れ会を開いたり、子どもと一緒に今まで仲良くしてくれたお友だちにお礼のプレゼントを購入したり、手作りするなど転園に向けた準備を少しずつ一緒に進めていきましょう。
お別れ会やお礼のプレゼントを用意することで、子どもの気持ちを切り替える良いきっかけになります。
きちんと気持ちが切り替えられないと、転園後もずっと寂しい思いを引きずることになります。
子どもが気持ちを切り替えるきっかけ作りができるように心がけましょう。
4.転園先の園へ遊びに行ってみよう
転園前は、手続き等で忙しい時期になりますが、時間が許す限り実際に通う園に足を運んでみるといいですね。
通園ルートを確認しながら、新しい園へ通うシュミレーションをしてみましょう。
行く道中は不安にならないよう、「どんな幼稚園かな?○○くんの大好きな滑り台あるかな?」「先生のお名前なんていうのかな、ママと一緒に聞いてみよう」など、楽しく会話をしながら、期待を高めていけるといいと思います。
可能であれば園内を案内してもらい、先生に会って挨拶する、持ち物やクラスの中を見るなど登園初日に困らないように事前に確認しておくと安心です。
子どもにとって、行ったことのない場所にいきなり一人で登園するのは心配なもの。
少しでも知っていることがあれば、事前に家庭で声掛けや準備ができますし、安心して通うことができるようになります。
5.転園先の先生に子どもの性格や好きなこと、転園前の家庭での様子など事前に伝えておく
新しく転入生を迎えるということで、先生もどんな子がくるのだろうとドキドキしながら待っています。
事前に子どもの性格や好きなもの、得意なことなどを伝えることで、先生との会話のきっかけにもなりますし、クラスの子どもたちにも事前に伝えることができます。
子どもの様子の変化にもいち早く気付いてもらえるよう、事前の打合せや伝達は必ず済ませておきましょう。
転園後も慣れるまでは園での様子や家での様子を共有して、子どもが楽しく園に通えるように、先生と連携してサポートできるといいですね。
前向きに過ごせるようにサポートしよう!
転園したら新しい生活はどうなるのか、子どもがすぐに園に馴染めるかどうか、不安は尽きませんが、まずは転園に対して前向きなイメージを持つことから始めていくといいと思います。
忙しい中でも転園について話し合う時間を十分にとって、子どもの気持ちを受け止め、前向きに過ごせるようサポートしていきましょう。