中学受験の勉強が本格的になる小学校高学年は、「反抗期」が始まる時期でもありますが、実際に受験勉強中に「反抗期」が始まると、子どもの変化やその対応に戸惑う親御さんも少なくありません。
それまで二人三脚で「中学受験」に向かって走っていた子どもが、突然一緒に走ってくれなくなったら、親はどうすれば良いのでしょうか。
そこで今回は、2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験中に反抗期が始まった子どもと親の関わり方や具体的な対応法について、そのポイントをご紹介していきます。
目次
中学受験中の反抗期に突入?!そのとき親はどうする?
中学受験の受験勉強をする期間は、「反抗期」が始まる時期でもあります。
それまで親の言うことを素直に聞いていた子どもが、急に親の意見に反抗し始めたり、反対に何も話さなくなったり、受験勉強をしなくなったりと、それまでと態度が一変し、イライラしやすくなるなどの様子が見られたら、それは「反抗期」の始まりかもしれません。
本来なら、「反抗期」はお子さんが順調に成長している「証」みたいなものなので、喜ばしいことなのですが、中学受験中に「反抗期」が始まると、それまで順調だった勉強や成績に影響がでないかと親は心配ばかり募ってしまうものです。
また、毎日子どものサポートや心配をしている中、生意気な言葉や態度で反抗されては、親は面白くありませんし、つい口うるさく注意してしまうこともあります。
中には、それまでの接し方が突然通用しなくなり、困惑してしまう親御さんもいるでしょう。
子どもを小さな大人として認めよう
では、中学受験中に子どもの「反抗期」が始まったら、親はどうすれば良いのでしょうか。
まず、「反抗期」が始まる頃の子どもは、自分の気持ちや周囲の人に素直になれなかったり、素直にしようと思っても行動が伴わないなど、子ども自身も自分の言動が分からなかったり、抑えられない状態に陥っているということを理解しましょう。
そして、なんでも親の言うことを聞いていた幼児期に通用した上からの「教育」や「躾」を止め、子どもを「小さな大人」として認め、対等の立場から「相談」や「提案」という形で話をするように、親が対応を変えることです。
お子さんは、親のサポートなしでは中学受験ができないことは分かっていますし、勉強しなくてはならないことも分かっているけれど、素直に行動できないのです。
そんな「反抗期」を迎えた子どもと中学受験を目指すと決めたら、子どもが反抗してきても、イライラしても、黙り込んで話を聞かなくなっても、どうにかこうにか受験勉強を継続させ、親子で受験期を乗り越えるしかありません。
それでは次から、反抗期の子どもと受験期を乗り越えるため具体的な親の対応法をご紹介します。
中学受験中の反抗期! 具体的な6つの対応法はコレ!
中学受験中に子どもが反抗期を迎えると、子どもへの対応に戸惑ったり、見守ることが多くなったり、と、親が困惑したり歯がゆい思いをすることが多くなります。
しかし、これまで中学受験を経験した多くのご家庭でも、子どもの反抗期に直面しながらも受験を乗り越えています。
つまり、子どもが反抗期に突入しても、上手に対応することで中学受験を乗り越えることは可能なのです。
その方法を次からご紹介します。
1.反抗期は成長の証!と見守る努力をする
まず、中学受験中にお子さんが「反抗期」に突入しても、「我が子だけの出来事」ではないこと、そして「反抗期」の到来は子どもが成長している証と認識し、冷静に対応するように努めてください。
なかなか難しそうですが、「反抗期は成長した証」と繰り返し自分に言い聞かせることで、徐々に子どもの反発にも一呼吸おいて対応できるようになります。
筆者も我が子の受験期には、念仏のように心の中で「成長、成長」と繰り返したものです。
すると不思議に、反抗している娘の姿が少しだけ頼もしく見えてくるものでした。
そうはいっても、いつも冷静でいられたわけではありません。
時には反抗的な子どもの言葉に、つい感情的になり強い口調で対抗してしまうこともありました。
そんなときは、出来なかった自分を慰めながら、別の部屋に移動するなどして物理的な距離をとり、しばらくしてから感情的になってしまったことを子どもに謝りました。
親が自分の態度を謝ると、子どもはやや驚きながらも気持ちが冷静になるようで、その後しばらくは落ち着くことができていたので、距離を取ってみましょう。
2.子どもを「子ども扱い」しない
反抗期に突入した子どもは、「子ども扱い」すると余計に反発します。
そこで「反抗期が始まったかな?」と感じたら、お子さんのことを「小さい大人」と思って対応することをおすすめします。
具体的には、お子さんが判断する領域を認め、親はその領域に手を出さないようにし、親が関わるときは断ってからにするなど、お子さんやお子さんの「領域」と適度な距離を保つと良いようです。
例えば、子どもの部屋(領域)に入るときはノックをする、子どもの物(領域)を触ったり片付けたりするときは許可を得てからにする、などです。
中学受験の勉強においても、例えば模試や特別講座の検討も親が一方的に決めるのではなく、子どもも交えて相談や決断するようにします。
そうすることで、子ども自身も自分の領域や判断に責任を持つことを覚え始めますし、1つ1つの行動や選択も子どもなりに納得することができるので、反抗する「きっかけ」が少なくなるのです。
ただし、「小さな大人」といっても、まだまだ甘えることもある年頃です。
子どもが甘えてきたら、その時ばかりは「子ども」として存分に甘えさせてあげてください。
3.話すときは冷静に、伝えたいことは端的に
反抗期を迎えた子どもは、親の言葉に反発したり、反対に耳を貸さなくなったりするものですが、子どもが間違っているときは注意しなければなりませんし、必要なことは伝えなければなりません。
そんなときは、冷静に、伝えたいことだけに焦点を絞って伝えるようにしましょう。
これは中学受験中だけに限りません。
少し聞く耳を持った子どもに、ここぞとばかりに以前から気になっていたことまで持ち出して話をしては、余計な反発を招くだけです。
伝えたいことを伝えたら、そこで話はおしまいに。
子どもが返事をしなかったり、聞いているのか聞いていないのか分からない態度をとっても、それを取り上げて話を続けたりしないようにしましょう。
4.具体的にほめる・遠まわしにほめる
「反抗期」、「小さい大人」といっても、子どもは ほめられれば嬉しいですし、勉強のモチベーションも上がるはずです。
ただし、ほめるときも「子ども扱い」しないように、ちょっとした気配りが必要です。
ポイントは、「具体的に」と「遠まわしに」です。
実際に、筆者が我が家の子供達を ほめるときにも、この点に気を付けていました。
例えば、難しい問題が解けたときなどは、解けたことをただ単に「すごいね」とほめるのではなく、難しい解法や計算過程などの工夫を説明してもらって「なるほど」と感心したり、「この間から〇〇を頑張っていたから解けたんだね」と具体的にほめるようにしました。
また、直接的なほめ言葉は、そのまま伝えるのではなく、「塾の先生がほめていたよ」、「お父さんが感心していたよ」と遠まわしに伝えたり、あえて子どもと距離があるところから“聞こえる独り言”で「〇〇を頑張ってるなぁ」と呟いたりしました。
ほめられても素直に嬉しさを表現できなかったり、直接 ほめられるとひねくれた態度をとってしまう「反抗期」には、面と向かって言わない方が耳に届くようでした。
5.常に声をかける、子どもの話はしっかり聞く
これは中学受験期間に限りませんが、子どもの返事がなくても、態度が悪くても、話しかけることはやめないようにしてください。
朝起きたら「おはよう」、帰ってきたら「おかえりなさい」などの挨拶や、なにか手伝ってくれたときには「ありがとう」と感謝を伝えるなど、普段のシーンの一言は必須です。
「夕飯はなにがいい?」と、勉強に関係ないことを相談するのも、話の糸口として良いかもしれません。
また、子どもから話をしてきたら、そのときは向き合って十分に話を聞いてあげてください。
親に対する反論であっても、子どもの話や言い分を聞くことで、子どもも冷静になれることが多いものです。
大切なのは、子どもがその気なれば、親はいつでも子どもとコミュニケーションできる状態であることを子どもに伝え続けることです。
6.「他」に任せる
中学受験期間に子どもが反抗期に突入し、その対応に困ったら、塾の先生に相談するのもおすすめです。
なぜなら、親よりも普段勉強を教えてくれている塾の先生から聞いた方が子どもは素直に話を受け入れることが多いからです。
それに、塾の先生は中学受験のプロです。
反抗期を迎えながら受験をしたお子さんの経験も豊富なので、お任せしない手はありませんよね。
また、中学受験を経験した兄姉がいる場合は、兄姉に相談するのも一考です。
実際に、我が家の次女が親の助言を聞かないときは、姉である長女にそれとなく伝えてもらいましたが、姉の話は聞いている様子でした。
いずれも、一番心配している親の言葉が一番聞いてもらえないのは少々悔しい気持ちもありますが、「そういう時期」と割り切って、「他」で効果があるならば思い切って任せてしまいましょう。
最後に
中学受験中に子どもの「反抗期」が始まると、親は困惑するものです。
ですが、1人で抱えこんでは、長い受験期間中に親の方が参ってしまいます。
少しでも衝突を避け、子どもを冷静に見守るためにも、親も上手にリフレッシュして気持ちに余裕を作っておいてください。