中学受験の勉強では、塾で活用する参考書・問題集のほか、市販のテキストも何かと活用するかご家庭も多いです。
ただ、数多くの参考書・問題集に手を広げすぎるのはかえって非効率であり、あくまで現状のニーズに沿って教材を選んでいくことが大事です。
ここでは、塾講師の経験から、塾で準備された教材のほかに、プラスアルファで取り組むと良い参考書・問題集はどのようなものがあるか、ポイントを整理していきます。
効率良く受験勉強を進めるためにもぜひ参考にしてみてください。
目次
中学受験勉強では参考書・問題集は手を広げすぎないほうが良い?
中学受験の勉強をする場合、いろいろな参考書・問題集を活用するかと思います。
ただし、参考書・問題集というのは使い方が重要であり、ただやみくもに数をこなせば良いわけではありません。
膨大な量の参考書や問題集に取り組めば成績が上がるというものではないので、この点は注意が必要です。
効率良く使ってこそ意味がある!
例えば、実力を補強する目的で問題集を使うのは効果的ですが、基礎がしっかりしていない段階で問題集ばかり解いてもまず実力は伸びません。
この場合、様々な問題集に手を広げすぎる前に、まず一度テキストや参考書から基礎を学び直すほうが大事です。
また、参考書で受験に必要な知識を学ぶのは重要ですが、同じ科目・分野であまりに多くの参考書ばかり見ても、勉強として効率的とは言えないでしょう。
むしろ、参考書によっては表現などが大きく異なる場合もあり、多くの参考書ばかり読むとかえって混乱することもあるのです。
このように、現状に沿って効率良く学力を伸ばすにはどうするか?という観点から参考書・問題集を活用する必要があります。
塾で準備されている参考書・問題集を大事にしましょう
塾で準備された参考書・問題集があれば、まずはそちらを中心に勉強を進めましょう。
そもそも中学受験塾というのは、生徒が効率良く受験に必要な学力を身につけられるよう、参考書や問題集、テキストやプリント教材などを用意するはずです。
そこで準備された参考書・問題集をおろそかにしていれば、いくら他の参考書・問題集に取り組んでも効率的な勉強とは言えないのです。
もちろん、あまりに塾側の教育方針と合わない場合や、明らかに塾の教材に問題があるような場合であれば、一度塾側に相談する必要があるでしょう。
しかしそのような例外的なケースでなければ、まずは塾で用意された参考書・問題集を大事に、一つひとつ学習を進めるべきです。
様々な参考書・問題集に手を広げすぎても混乱の元になるので、この点は特に注意してください。
プラスアルファになる参考書・問題集はどんなものがある?
上記の点を大前提として、以下、中学受験で活用すると良い参考書・問題集についてお話ししていきます。
塾で準備されたもののほかに、プラスアルファで取り組むと良い参考書・問題集はどのようなものがあるか、その特徴を知っておきましょう。
「自由自在」
中学受験の参考書として非常に有名なのが、増進堂・受験研究社の「自由自在シリーズ」です。
算数・国語・社会・理科の4科目ごとに、小学1・2年、小学3・4年、小学高学年に分かれており、それぞれかなりページ数のある参考書となっています。
このボリュームの多さが自由自在の大きな特徴であり、受験に必要な知識・情報が幅広く掲載されているため、困った時に頼りになる参考書と言えるでしょう。
なかなか理解できない分野があるときや、もう一度きちんと復習したい単元があるときなど、基礎からじっくり学び直すうえでも自由自在シリーズはおすすめです。
カラーの図や資料を積極的に活用しよう
自由自在シリーズはカラーの図や資料も豊富であり、資料集的な使い方をすることもできます。
カラーの資料は視覚的に記憶に残りやすく、まだ勉強に慣れていない段階でも使いやすいでしょう。
自由自在シリーズを活用する際には、このような図・資料にもしっかり目を通し、知識を効率的に整理していきましょう。
特に社会と理科は覚えるべき事項がたくさんあります。
ただ参考書の文章だけを読んでも、最初はなかなか理解しにくいでしょう。
より記憶に残る形で学習するうえでも、カラーの資料などは積極的に活用する必要があるのです。
この点、わかりやすい資料が豊富な自由自在シリーズは非常にメリットが高いです。
記載されている練習問題もきちんと活用しよう
もちろん、参考書といえども様々な問題も記載されており、その都度アウトプットしながら学習を進めることができます。
単元ごとに練習問題などが用意されていますので、記載されている問題はしっかり解き、理解度をチェックするようにしてください。
まずはしっかり知識をインプットすることが大事ですが、問題を通じてアウトプットも適宜行い、実力を磨いていきましょう。
「自由自在問題集」というシリーズもある
自由自在は4科目を小学1・2年、小学3・4年、小学高学年に分けた参考書ですが、それとは別に「中学入試 自由自在問題集」というシリーズもあります。
こちらはまさに中学入試に特化した内容の問題集であり、参考書とはまた異なりますが、問題演習としてぜひ活用してみると良いでしょう。
実際に中学受験の入試問題ではどのような問題が出題されるのか、問題集でしっかり慣れを作っていくことが大事です。
「予習シリーズ」
大手進学塾の四谷大塚による「予習シリーズ」も、中学受験では非常に有名な参考書です。
算数・国語・社会・理科の4科目ごとに、小学4年、小学5年、小学6年に分かれ、中学受験向けのテキストとして細かな内容まで網羅しています。
また、この中学受験の予習シリーズは市販されており、四谷大塚の塾生でなくても活用できる点に特徴があります。
予習だけでなく復習にも活用できる
テキスト名こそ「予習シリーズ」ですが、もちろん復習用として活用することもできます。
そもそも予習シリーズは、自習として学習・予習できるような構成になっており、同じく自習として復習することも可能です。
この点は他の参考書と同様、特定の分野をじっくり丁寧に復習したい時など、十分活用できます。
特に予習シリーズは受験に特化して幅広い分野を網羅していることに大きな特徴があり、細かな知識まで予習・復習したいときにも非常に効果的です。
また、各分野・各単元の解説にはカラーも使われており、情報を視覚的にわかりやすく整理できます。
特に難関校を受験する場合、問われる知識も細かくなるため、幅広い範囲を網羅した予習シリーズは何かと役立つはずです。
問題の解説も充実している
予習シリーズは参考書としても幅広く活用できますが、そこに記載されている問題も良問が多く見られます。
各分野・各単元の説明が充実しているだけでなく、例題や類題なども幅広く、その解説も丁寧です。
予習シリーズを活用するときは、この問題の解説もしっかり目を通すようにしてください。
受験勉強において、問題演習は解きっぱなしで終わらせてはいけません。
間違えた問題や疑問を持った問題を中心に、しっかり解答・解説を確認し、具体的にどこをミスしたのか、間違えて覚えていた知識はどこかなど、細かく確認して次に繋げなければならないのです。
この点、予習シリーズの解説は非常に丁寧ですので、効率的に活用していきましょう。
予習シリーズは副教材も充実している!
予習シリーズは副教材も幅広く、「演習問題集」「計算」「漢字とことば」「週テスト問題集」、さらには「最難関問題集」など、それぞれの用途に応じていろいろ活用できる副教材が充実しています。
学力やニーズに沿った効率的な学習をするためにも、こうした副教材もぜひ活用してみてください。
予習シリーズの難易度は高め
一方、予習シリーズは難易度が高い内容も多く、勉強に慣れていない段階だと最初は難しいかもしれません。
もちろん予習シリーズでも基礎からしっかり学ぶことはできますが、登場する例題などの難易度が高いので、最初は抵抗を覚えるお子さんも一定数見られます。
そのため、予習シリーズを活用するときは、理解度をその都度確認しつつ、最初は少しずつ進めてみてください。
ただやみくもに進めれば良いというものではないので、基本的な内容をしっかり理解したうえで丁寧に学習していきましょう。
予習シリーズだと難易度が高すぎてうまく理解できない分野・単元があれば、もう少し簡単な参考書や問題集などにも触れ、まずは基本から丁寧に学習することが大事です。
受験勉強は、ただ難易度の高いテキストを使えば良いというものではありません。
予習シリーズを使う場合も、その活用を効率的なものにするためにも、基本の理解はその都度チェックするようにしてください。
特定の分野に特化した参考書・問題集も活用できる
上記でご紹介した自由自在シリーズや予習シリーズは中学受験において非常に有名で、4科目いずれも幅広く網羅しています。
一方、特定の分野に特化した参考書・問題集も多く、これらを併用して苦手分野の対策などに活用することもできます。
こうした参考書・問題集は数が多く、お子さんや各ご家庭の状況等も踏まえ、一概にどの参考書が一番優れていると判断するのは難しいですが、選ぶポイントはいくつかあります。
苦手分野に特化して学習したいとき
算数の文章題を得意にしたい、苦手な図形分野を対策したい、国語の慣用句・ことわざを得意にしたいなど、何か苦手分野を集中してトレーニングしたいときは、まずはその分野だけに限定した問題集を試してみてください。
このとき、そこまでページ数やボリュームのある参考書・問題集でなくてもかまいません。
受験勉強というのは、苦手分野だけを勉強すれば良いわけではなく、ほかの分野・単元とのバランスも非常に大切です。
あまりにボリュームのある参考書・問題集の場合、時間の使い方によっては勉強のバランスが悪くなるおそれもあります。
そのため、ひとまずは特定の分野に絞ってざっと解けるような問題集を選ぶと良いでしょう。
「中学入試 でる順 シリーズ」
例えば、旺文社の「中学入試 でる順 シリーズ」などであれば、分野ごとに頻出の出題形式がまとまっています。
算数であれば図形や文章題、計算、国語であれば慣用句・ことわざ、漢字・熟語といった形で、対策したい分野に絞って学習を進めることが可能です。
また、社会と理科もそれぞれの分野に分かれているため、特定の分野だけを効率的に勉強したいときに便利です。
このように、苦手分野に絞って対策したいときは、まずは特定の分野だけでボリュームがそこまで多くない問題集を選ぶと良いでしょう。
復習は他の教材でもしっかり行うこと
ただし、間違えた問題を復習する際には、基本がしっかりまとまっている参考書などもチェックし、もう一度知識を細かく整理する必要があります。
これまで使っていた参考書や塾の教材などもきちんと確認し、その都度復習するようにしてください。
特定の分野に特化した問題集は、あくまで補強的な意味合いが強いものです。
その問題集だけの学習で終わらせるより、これまで学習した教材・テキストもしっかり見直し、もう一度基本から補強することが重要なのです。
繰り返しますが、参考書・問題集というのは手を広げすぎれば良いというものではありません。
また、解きっぱなしで終わらせて良いものでもありません。
長らく使用して馴染みのある参考書・問題集や塾の教材なども大切に、復習はしっかり行うようにしてください。
まとめ
今回は、中学受験でおすすめの参考書・問題集として、塾で準備されたもののほかにプラスアルファで取り組むと良い参考書・問題集についてお話ししていきました。
特に「自由自在」や「予習シリーズ」など、幅広い内容を網羅している参考書は非常にメリットが高いです。
自由自在シリーズはボリュームが多く内容が充実しているほか、カラーの資料なども多く、勉強を始めたばかりの頃でも比較的取り組みやすいです。
一方、予習シリーズは難易度が高い内容も多く、最初はとまどってしまうお子さんも少なくありません。
ただ、予習シリーズは受験に必要な知識が細かく網羅されており、難関校を受験する場合も含め、何かと役立つはずです。
内容が難しければ最初はもっと簡単な参考書・問題集を併用しつつ、少しずつ予習シリーズも活用してみると良いでしょう。
また、特定の分野に絞って問題演習としてトレーニングしたい場合は、「中学入試 でる順 シリーズ」などもおすすめです。
一方、参考書・問題集というのは手を広げすぎれば良いというものではありません。
特に塾に通っている場合、まずは塾で用意された教材・テキストをしっかり行い、そのうえでプラスアルファ的な意味で他の参考書・問題集を使うことが大事です。
受験のテキストは効率良く使ってこそ効果が発揮されるものです。
あまりに多くの参考書・問題集に手を広げるのではなく、現状に沿って学力をアップするにはどうするか?という視点を軸に、参考書・問題集の活用を検討してみてください。