子どもに中学受験をさせたいというご家庭は年々増えていますが、一方で、事情によっては、中学受験を諦めるケースも見られます。
中学受験は必須の受験ではないので、受験をやめたからといって問題があるわけではありません。
今回は、塾講師をしていた中で見てきた中学受験を諦める代表的な4つの理由について、ご紹介します。
目次
子どもが受験勉強にストレスを感じてしまっていた
受験勉強のストレスを拭えない
中学受験は、一般的には小学校高学年から勉強を続けます。
勉強期間が長くなるため、子どもがストレスを感じる場合もあります。
受験勉強にストレスを感じても、比較的早く立ち直る子供もいます。
例えば、「ストレスに感じていた苦手分野が出来るようになった」「勉強が多くてストレスを感じていたが、やっぱり志望校に行きたいので、勉強を頑張りたいと思った」といった理由で、立ち直るようなケースです。
一方で、どうしてもストレスがなくならない子もいます。
その場合、子どものために中学受験を諦めることも、れっきとした選択肢です。
冒頭でも述べたように、中学受験は必須の受験ではありません。
強いストレスを感じているにもかかわらず、無理に受験勉強を続けることは好ましくありません。
中学受験に不向き
小学生のうちから受験勉強をすることが、子どもに向いているとは限りません。
親が無理に中学受験を勧めたことで、ストレスに感じてしまったという事例はしばしば見られます。
また、子ども自身から中学受験を希望しても、実際に受験勉強をしてみたらストレスが大きかった、などのケースもあります。
このように、中学受験に不向きな子供もいます。
そして、中学受験は義務ではないので、受験に不向きだから悪いということは絶対にありません。
中学受験は、どうしても成績・学力面に意識が向きがちですが、メンタル面にも注意することが大切です。
お子さんにとってあまりにストレスが大きい場合、一度受験勉強から離れ、中学受験を諦めることも重要な選択肢です。
子どもに中学受験へのモチベーションがなかった
親が中学受験を勧めても、子どもがやる気になるとは限りません。
中学受験へのモチベーションがないと、子どもの中で「なぜ勉強をしなくてはならないのか」という気持ちが生まれます。
なかなか成績が伸びず、結果として中学受験を諦める場合もあります。
最初から「この学校に行きたい」と強く考えている子は、最初から受験しようという意思があります。
途中で成績が伸び悩んでも、モチベーションを維持して受験勉強を続けるケースが多いです。
また、最初はモチベーションがなくても、受験期間の中で「この学校に行きたい」という気持ちが生まれると、自然とモチベーションは上がります。
受験勉強をしようという意思が生まれるので、自発的に勉強するようになりますが、モチベーションがなかなか生まれないと、受験勉強を続けることは難しくなります。
中学受験は義務ではないので、モチベーションがなければ、無理に受験させることは好ましくありません。
例えば、「仲の良い友達が公立の○○中学校に行くから、どうしてもそっちに行きたい」と考えている子に中学受験を勧めても、モチベーションは生まれません。
また、中学受験に対するモチベーションがなくても、お子さんが悪いということは絶対にありません。
親の考える志望校と子どもの志望校が合わなかった
子ども自身が「この学校に行きたい」と思えるかどうか
中学受験は、最終的には「この学校に行きたい」という子どもの気持ちが第一です。
親が無理に受験校を勧めても、お子さんが「この学校に行きたい」と思わなければ意味がありません。
もし親の考える志望校と子どもの志望校が合わなければ、子どもが受験勉強に抵抗を感じ、中学受験を諦める場合もあります。
子どもの成績状況を把握せず、無理にレベルの高い学校を志望させてしまう
親の考える志望校と子どもの志望校が違うことは、必ずしも悪いケースだけではありません。
例えば、子どもの志望校のレベルが高く、成績から考えると合格が難しい場合、親としては少しレベルを下げた志望校を提案することもあるでしょう。
無理にレベルの高い勉強をすることで、お子さんがストレスに感じてしまうこともあります。
これを防ぐため、親の方から志望校のレベルを下げ、「この学校はどう?」と提案することは、むしろ好ましいことです。
親が子どもの成績状況を把握しつつ志望校を変えることは、お子さんにとっても抵抗が少ないです。
この場合、中学受験自体を諦めることはなく、志望校を変えて受験勉強を続けることができるでしょう。
一方で、親が無理にレベルの高い学校を勧めたり、子どもが志望していない学校を受験させようとすると、受験勉強はうまくいきません。
子どものモチベーション低下やストレスの原因となり、結果として中学受験を諦めざるを得ない場合もあります。
子どものやりたいことを優先した
小学生はスポーツや習い事など、勉強以外にやりたいことも多いでしょう。
例えばサッカーチームなどに入っているお子さんはしばしば見られますが、チームによっては練習が厳しく、受験勉強との両立が難しい場合があります。
ピアノなどの習い事も、発表会などで練習が多くなれば、勉強時間の確保は難しいでしょう。
このような場合、子どもが本当にスポーツや習い事を続けたいのであれば、中学受験をやめることも選択肢の一つです。
子ども自身が中学受験もしたいと考えているのであれば、なんとか両立する方法もありますが、そこまで受験を希望していない場合、お子さんのやりたいことを優先する方が好ましいです。
中学受験を諦めることはネガティブなことばかりではないのです
中学受験を諦める理由は、
- 子どもがストレスを感じた
- 子どものモチベーションが上がらなかった
- 親と子どもで志望校が合わなかった
- 子どものやりたいことを優先した
などが考えられます。
中学受験は必須の受験ではないため、子どもがストレスを感じたり、モチベーションが上がらない場合に、受験をやめるという選択肢があります。
お子さんが望まない学校を無理矢理志望校にすることも、ストレスやモチベーション低下につながります。
そうなると、受験勉強を続けることは困難です。
受験を諦めることは、ネガティブな面だけではありません。
大きなストレスを感じていた子が受験勉強から解放されれば、精神面で安定します。
そのうえで、もう一度一緒に進路を考えてあげれば、お子さんにとって大きな安心感があります。
モチベーションが上がらない場合も、「仲の良い友達が公立の○○中学校に行くから、どうしてもそっちに行きたい」といった理由であれば、受験をやめて公立中学校に行くことは、ポジティブな理由です。
また、お子さんが本当にやりたいことを優先し、中学受験をやめることも、長い目で見ると子どものためになります。
習い事などに熱中できれば、豊かな感性につながるからです。
本当に「この学校に行きたい」と考え、厳しい受験勉強にしっかりと対応する姿勢があれば、中学受験をすることはお子さんにとって大きな意義があります。
しかし、子どもが抱えるストレスやモチベーションなども考慮し、中学受験を続けるかどうかを考えることも重要です。
中学受験では、成績・学力面だけでなくメンタル面も意識し、検討する必要があります。