中学受験は小学校高学年から勉強を開始するというイメージが強いですが、近年は小学校低学年から勉強を始めるケースも見られます。
ただ、小学校低学年から受験勉強をさせることに抵抗を感じる親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、中学受験塾の講師経験から小学校低学年から中学受験の準備をするメリット・デメリットと、低学年から受験勉強をさせる場合のポイント・注意点についてご紹介します。
目次
小学校低学年から中学受験の準備をするケースは増えている?
近年、小学校低学年のうちから中学受験に向けて勉強を開始するケースが増えています。
特に最難関クラスの中学校を受験する場合、小学校低学年から子どもを通塾させるご家庭も多く見られます。
一方で、「小学校低学年のうちはなるべく遊ばせてあげたい」と考えるご家庭も多いでしょう。
そのため、小学校低学年から中学受験の準備をするかどうか、また、準備をするとしてもどの程度勉強させるべきか、判断が難しい部分でもあります。
以下、小学校低学年から中学受験の準備をするメリット・デメリットについてご紹介し、そのうえでポイント・注意点をまとめていきます。
低学年からの受験勉強のメリット・デメリットを知り、お子さんの意思を尊重したうえで、最良の形で勉強を進め、中学受験を乗り切ることが大切です。
小学校低学年から中学受験の準備をするメリット
まず、小学校低学年から受験準備をすることのメリットから整理していきましょう。
勉強の習慣が身につく
小学校低学年のうちから受験勉強を進めると、早くから勉強の習慣が身につくというメリットがあります。
これは、小学校高学年になって勉強のレベルが上がった時に、特にメリットになるものです。
勉強の習慣がない子どもが、小学校高学年になっていきなりレベルの高い受験勉強を始めても、最初は抵抗を覚えるでしょう。
一方で、小学校低学年から受験勉強を進め、早い段階で勉強の習慣を身につけておけば、小学校高学年で勉強のレベルが上がっても対処しやすくなります。
子どもにとっても、早いうちから受験勉強に慣れることになるので、高学年になって焦って勉強を開始するよりも気持ちの面で余裕が生まれます。
中学受験というと、一般的には小学校4年生あたりから受験勉強を開始するというイメージが強いでしょう。
事実、小学校高学年から受験勉強を本格的に開始するケースが多いですが、その際に有利な条件でスタートを切るためにも、小学校低学年のうちから勉強の習慣を身につけておくことは大きなメリットになるわけです。
時間的な余裕が生まれる
受験に向けた対策は、早ければ早いほど時間的な余裕が生まれます。
ギリギリになって知識を詰め込むような勉強にならず、長い目で見て徐々に実力を上げることが可能となります。
中学受験も例外ではなく、小学校低学年から受験勉強を始めることで、基礎からじっくりと実力を養うことができるのです。
これは、時間的な余裕があってこそ実現できるものです。
また、基礎の部分がしっかりしていることで、小学校高学年で学習する応用問題にもしっかり対応することができます。
このように、時間的な余裕がある中で、基礎から応用まで一貫して勉強できることにメリットがあります。
小学校低学年から中学受験の準備をするデメリット
次に、小学校低学年から中学受験の準備をするデメリットについても整理しておきます。
遊ぶ時間が減ってしまう
小学校低学年から受験勉強をさせることは、他の子どもと比べて遊ぶ時間が減ることにもつながります。
子どもは遊ぶ時間も重要であり、特に小学校低学年のうちは、まさに「よく学び、よく遊ぶ」ことが重要な時期でもあります。
その時期に受験勉強をさせすぎると、「周りの子どもが遊んでいるのに自分だけは勉強しなければならない」という気持ちを子どもが抱くおそれがあります。
小学校低学年から受験勉強をさせる場合、こうした点も意識し、子どもの意思を尊重しつつ検討しなくてはなりません。
勉強嫌いになってしまうおそれも
上記で述べた「周りの子どもが遊んでいるのに自分だけは勉強しなければならない」といった気持ちを子どもが抱くと、場合によっては子どもが勉強嫌いになってしまうおそれもあります。
子どもが勉強嫌いになれば、せっかく小学校低学年から勉強をさせても逆効果になってしまいます。
子どもの勉強嫌いを防ぐためにも、小学校低学年からの受験勉強は、余裕を持った学習環境を作ることが何より大切になります。
低学年のうちから無理に知識を詰め込むことは避けるべきです。
小学校低学年から受験勉強をさせる場合のポイント・注意点とは?
ここまで、小学校低学年からの受験勉強のメリット・デメリットについてご紹介しました。
これらの点も踏まえ、小学校低学年から受験勉強をさせる場合に意識すべきポイント・注意点を整理しておきましょう。
子どもが楽しみながら勉強できるよう意識しよう
子どもの勉強嫌いを防ぐためにも、まずは子どもが楽しみながら勉強できる環境が大事です。
無理に知識を詰め込むような勉強ではなく、小学校低学年ならではの好奇心や感性などを重視し、子どもが「楽しい」と思える形で勉強させてあげましょう。
具体的には、親と子どもが一緒に勉強を進め、「この問題、どうしてこういう答えになると思う?」「この問題に正解できたから、こっちの問題もやってみようか?」など、適宜コミュニケーションをとることが好ましいです。
一方的にただ勉強をさせたり、ただ知識だけを詰め込ませようとしても効果がありません。
親がしっかり反応を示し、褒めるところは褒め、子どもと一緒になって勉強を進めることで、子どもは安心感を抱きます。
その安心感は、子どもにとって楽しみながら勉強できるための重要な要素となるのです。
低学年から難しい問題が解けなくても大丈夫!
難しい計算の考え方や細かい知識などは、小学校高学年になって勉強するものです。
これらは小学校低学年で勉強する必要はないと言えます。
細かい知識などを小学校低学年のうちから勉強しても、かえって子どもが勉強嫌いになる可能性もあります。
小学校低学年のうちは、例えば基本的な漢字の読み書き、基本的な計算など、各科目の基礎を無理なく勉強させることが大切です。
親と一緒に簡単な問題から勉強を進めれば、子どもの負担も軽減できます。
中学受験というと、どうしても難解な応用問題などに意識が向きがちです。
しかし、その応用問題をこなすためにも、各科目の基礎がしっかりしていることは大前提です。
その中で漢字の読み書きや計算力といった基礎部分を、小学校低学年のうちに楽しみながら学習できれば、基礎固めとして非常に効果的になります。
低学年から通塾させるときに気をつけるべきポイント
小学校低学年から通塾をさせるケースも増えています。
ただし、通塾させる場合、塾に全て任せっきりという状態は避けてください。
上記でもご紹介しましたが、小学校低学年のうちは、ある程度親と一緒に勉強を進めた方が好ましいです。子どもにとって安心感が生まれるからです。
もちろん、塾に通わせて質の高い授業を受けさせたいという気持ちもあるかと思います。
ただ、その場合でも、子どもが安心感を持続できるよう、親が適宜コミュニケーションをとり、一緒に勉強してあげることが好ましいです。
通塾させるにしても、子どもに「一方的に塾に通わされている」と思われないよう、声かけはしっかり行うことが大切です。
塾に全て任せっきりにすることは好ましくありません。
偏差値はどの程度意識しておくべき?
小学校低学年の偏差値については、「目安にはなるが、あまり神経質に考える必要はない」という点をおさえておく必要があります。
低学年時の偏差値を気にしすぎると、かえって子どもの伸びしろを無視してしまうおそれがあるからです。
低学年から受験勉強をコツコツ積み重ねることで、高学年になって偏差値が上がるというケースも多いです。
低学年時の偏差値だけで全て判断すると、せっかく子どもの学力が上がっても、そのレベルに見合う志望校を選ぶことができないおそれもあるわけです。
小学校低学年の偏差値はあくまで目安として捉え、子どもの伸びしろをきちんと意識することが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
早いうちに勉強の習慣を身につけ、さらに時間的な余裕が生まれるというメリットがあり、基礎からじっくりと実力を養うことができます。
一方で、小学校低学年から受験勉強をさせる場合には、無理のない範囲で勉強をさせることが大切です。
特に小学校低学年の子どもにとっては、親と一緒に勉強を進めることが非常に大きな意味を持ちます。
子どもが楽しみながら勉強できるように、親の働きかけを特に意識していきましょう。
子どもと親の二人三脚で受験を乗り切る環境を作ることが、何より大切になります。