中学受験において、子どもの勉強に積極的に関わる家庭が良いのか、見守る家庭が良いのか、疑問に思う親御さんも多いのではないでしょうか。
子どもの勉強にどう関わるのかは、中学受験では非常に難しい問題です。
ただ、どちらの接し方が子どもの学力を伸ばすのか、ある程度の目安はあります。
今回は、親が積極的に勉強に関わる場合と見守る場合で、学力が伸びるのはどちらか、また、どのように接し方を判断すれば良いのか、ポイントをご紹介していきます。
目次
まずは子どもの性格から判断するべき
この記事では、親が積極的に勉強に関わるケース、見守るケースについて後ほどご紹介しますが、いずれかの方法が絶対的に正しいというわけではありません。
積極的に勉強に関わる家庭なら絶対学力が伸びる、あるいは見守る家庭なら絶対学力が伸びる、ということはありません。
まずこの点をおさえておいてください。
結論から言ってしまうと、親が子どもの勉強に積極的に関わるべきか、それとも見守るべきなのかは、最終的には子どもの性格によって判断するべきです。
なぜなら、あまり親に介入されたくないという子どももいるからです。
中学受験はそもそも親が関わる機会が多いので、勉強に積極的に関わることが良い効果を生むのなら、関わるに越したことはありません。
ただ、子どもの性格によっては、過度に干渉することがかえって逆効果になる場合もあるのです。
まず子どもの性格を判断したうえで、積極的に関わったほうが学力が伸びるのか、それとも見守ったほうが学力が伸びるのか、考える必要があります。
なぜ関わり方を一概に決められないの?
小学生の段階ではまだ判断能力が成熟していないので、親が子どもの勉強に関わることは大切なことです。
ただし、その関わり方の程度は、子どもの性格によって調整しなくてはなりません。
この調整が家庭でうまくいかないと、かえって子どもの成績・学力が下がるおそれがあります。
例えば勉強意欲が強い子どもであれば、親が過度に関わることによって逆にモチベーションの低下を招く場合があります。
反対に、勉強がそこまで好きではない子どもの場合、やる気がなかなか起きないケースが多いので、親から積極的に関わったほうが効果的と言えます。
子どもの性格から勉強の関わり方を考えよう
このように、中学受験における子どもとの関わり方は、非常にデリケートな問題です。
親が積極的に勉強に関われば必ず学力が伸びるわけではなく、反対に、見守っていれば必ず学力が上がるわけでもありません。
子どもの性格から関わり方を判断する以上、どちらの関わり方が成績・学力を伸ばすのか、一概には言えないのです。
このように言ってしまうと、結局関わるべきなのか見守るべきなのか明確にならず、難しい問題になってしまいますが、判断の目安はあります。
以下、積極的に勉強に関わるべき子どもはどんなタイプか、見守ったほうが良い子どもはどんなタイプか、大まかにご紹介していきます。
勉強意欲が強い子どもの場合
適度な距離感を大切にしよう
勉強意欲が強い子どもは、「自分一人で勉強を進めたい」と思う傾向が強いです。
このような子どもの場合、親としては、「必要であれば軌道修正をする」といった関わり方でも良いくらいです。
学習内容などを見て、子どもが間違った方向に進んでいるのなら、親として軌道修正をするのは当然です。
ただ、特段方向性が間違っていないのなら、過度に関わることは避け、見守っていたほうが好ましいでしょう。
「自分一人で勉強を進めたい」と思っている子どもに過度に干渉すると、かえってモチベーションの低下を招いて成績・学力が下がるケースもあるからです。
そうならないためにも、成績や学習内容などの確認は大前提として、そのうえで子どもの勉強意欲を削がないよう、適度な距離感を保って接することが好ましいです。
見守ることは放置することではない
子どもの勉強を見守る際には、放置にならないように十分注意しなくてはなりません。
見守るというのは、子どもの学力、精神面、成績・学習内容などをきちんと把握し、そのうえで過度な働きかけはしない、という意味です。
決して放置するという意味ではないので、注意する必要があります。
いくら勉強意欲が高い子どもでも、知らず知らずのうちに勉強方法や勉強の方向性が間違ってしまうこともあります。
見守るというスタンスを維持しつつ、成績の推移、メンタル面など、チェックすべきところはきちんとチェックし、必要があれば軌道修正してあげましょう。
軌道修正が持つ意味
軌道修正といっても、通っている塾の方針と大きくずれるのは好ましくありません。
塾で言われていることと親から言われていることが異なれば、子どもは混乱してしまうからです。
あくまで塾で習っていることを中心に考え、その方向性から外れた勉強をしているような場合、声かけによって軌道修正をしてあげることが大切です。
例えば、ある科目を重点的に対策しなければならないということを、塾側から言われたとします。
しかし、子どもにとってその科目が苦手であったりすると、無意識のうちにその科目を避け、得意科目しか勉強しなくなるケースもあります。
この場合、塾側の考える方向性から外れた勉強になってしまい、子どもの成績・学力が下がるおそれがあります。
こうした事態を防ぐためにも、親のほうで塾の方針を確認し、子どもがその方針・方向性に沿った勉強をしているかどうか、確認することが大切です。
そして、必要があれば軌道修正をしてあげましょう。
特に上記のようなケースでは、塾よりも親が説得したほうが効果的な場合が多いです。
このように、基本的には子どもの勉強を見守りつつ、適度な声かけ・軌道修正を行うことが重要な意味を持つのです。
やる気がなかなか上がらない子どもの場合
親は積極的に勉強に関わったほうが良い?
中学受験をすること自体は決まっていても、なかなかやる気が上がらない性格の子どももいます。
このような子どもは、勉強がそこまで好きというわけではないケースが多いです。
また、「なぜ自分は勉強をしているのか」という意識がまだ弱く、実際に受験をするという実感がない可能性もあります。
こうしたケースでは、親が積極的に勉強に関わったほうが効果的と言えます。
小学生のうちは、やる気が上がらないときに自分一人でやる気を起こすのが難しいからです。
モチベーションがなかなか上がらない状態で勉強をさせても、目的意識があいまいなままで時が過ぎてしまいます。
そうなると学力を伸ばすのは難しいでしょう。
このような状態を避けるためにも、一度子どもと話し合ってみて、家で一緒に勉強する時間を増やすなどして、親と子どもでモチベーションを共有することが好ましいです。
必要であれば遠慮せず関わるべき
中学受験は、高校受験や大学受験と比べ、親が関わるべき機会は圧倒的に多くなります。
志望校や併願校を親子で一緒に決めることからもわかるように、中学受験の目的意識は親子で共有する場合がほとんどです。
であれば、子どものやる気がなかなか上がらないときも、親子で共有した目的意識を再確認し、親が積極的に子どものやる気を上げさせることが大事になるわけです。
もともと親子で目的意識を共有している以上、塾より親のほうが子どものやる気を上げやすいです。
「この中学校に行きたい」という目的をもう一度確認し、親が子どもの勉強を見てあげること、一緒に勉強してあげることが、子どもにとって大きな意味を持つのです。
学力というのは、やはり目的意識やモチベーションがあってこそ伸びるものです。
「この中学校に行きたい」という思いが根底にあってこそ、勉強意欲が湧いてきます。
その意欲を生み出し、成績・学力を伸ばすために必要であれば、親のほうから積極的に関わるようにしましょう。
「勉強しなさい」という言い方には注意が必要
親が積極的に子どもの勉強に関わるとき、むやみに「勉強しなさい」と言うのは好ましくありません。
やる気がなかなか上がらない性格の子どもに対し、ただ「勉強しなさい」と言うだけでは、子どもは納得してくれないからです。
親が子どもの勉強に関わるのは、目的意識を再確認させることや、やる気を上げさせることを目的に行うべきです。
一緒に勉強したり、勉強を見てあげたりするときに、きつい言い方で「勉強しなさい」と言っても、かえってやる気を削いでしまいます。
もちろん、親として「勉強しなさい」と言うべきときもあります。
ただ、言い方には十分に注意しなくてはならないのです。
子どもと一緒に勉強して、志望校合格のためにはもう少し勉強しないといけないことがわかったら、「この学校に合格するためには、もうちょっと頑張らないといけない」という点からきちんと伝えてあげてください。
そのうえで、「勉強しなさい」とやんわりと伝えることが大切です。
こうしたやり方を経て、子どもに目的意識やモチベーションを持たせることができれば、自然に学力も身につきやすくなります。
まとめ
今回は、親が積極的に勉強に関わるべきか、それとも見守るべきかについて、ポイントをご紹介しました。
子どもの勉強への関わり方は非常に難しく、積極的に関わる家庭が絶対に良いわけではなく、見守る家庭が絶対に良いということもありません。
子どもの成績・学力を伸ばすには、子どもの性格を判断したうえで、積極的に関わるべきか、見守るべきかを判断する必要があります。
見守るというのは、放置することとは全く異なります。
見守る場合も、積極的に関わる場合も、あくまで子どもの成績・学力に良い影響を与えるかどうかを基準とし、子どもの性格や状況によって調整することが大切です。
このようなポイントを踏まえ、ご家庭でお子さんに接する際の参考にしてみてください。