中学受験における理科と社会の勉強法!合格のための正しい受験戦略

中学受験の理科と社会中学受験では算数・国語が主要科目として扱われ、理科・社会は“暗記科目”であるが故に主要科目に対して劣後する存在として扱われがちです。

今回のこの理科と社会にフォーカスをあてて合格のための勉強法を解説していきます。

中学受験は理科・社会で稼いで合格するは間違い!

受験指南本の中には、この点を憂慮し過ぎるがあまり、「理科・社会で点数を稼げば合格への近道です」という類の内容が語られることが散見されますが、これには語弊があります。

中学受験は、高校受験・大学受験と違って、得意な科目で稼いで苦手科目の穴をカバーすることが難しいということが一般的に言われます。

なぜなら、中学受験の合格最低点をクリアするためには比較的高得点を取得する必要があります。

つまり、「苦手科目の穴」を作ってはいけません。

算数・国語の勉強を優先的に行わなければならないのは紛れもない事実であり、結果として理科・社会の学習はこれら主要科目に劣後させることはむしろ当然の受験戦略なのです。

また、受験する学校にもよりますが、理科・社会の占める割合はそもそも低く設定されることもあるでしょう。

あるいは、理科・社会がそもそも受験科目として扱われていない学校も多く存在します。

つまり、中にはこのように中学受験の科目として理科・社会を重視していない学校が多く存在するわけです。

これはつまり、中学受験における理科・社会の非重要性を証明していることになります。

「算数・国語が苦手だから理科・社会でしっかり得点を稼いで合格を目指す」というのは、何となく聞こえが良さそうなものではありますが、非現実的な煽り文句であることを胸に刻んで下さい。

中学受験で理科・社会を軽視してはいけない

ご注意いただきたいのは、「理科・社会を重要視してはいけない=軽視してもよい」ということではありません。

算数・国語に劣後する存在でありながら、合格最低点をクリアするための必須の科目である以上、これを軽く扱ってしまうと、純粋な頭の良さを基準としたときに格下となるような学校にも不合格となりかねません。

頭の良さ+中学受験の確かな受験戦略=合格、ということをお忘れないように。

算数でどれだけ頭の良さ、知能の高さを発揮できるお子さんでも、受験戦略を正しく練ることができていないと簡単に不合格となってしまいます。

そして、ここでの「中学受験の確かな受験戦略」とは、理科・社会を無碍に扱わないということも含まれています。

理科・社会は単純な暗記科目ではない

主要科目との対比から、どうしても理科・社会=暗記科目という単純イメージが浸透しているかと思われます。

が、これは大きな間違いです。

理科と社会が暗記科目でない理由

例えば理科については容易に理解することができるかと思われますが、例えば微生物の名称を単純に暗記する場面と、食塩水などの濃度を求める場面、果たして同列に語ることができるでしょうか?

あるいは、社会についても、歴史の問題で人物の名称を答えなければならない場面と、二つの鳥瞰図を与えられて、各地形の中から読み取ることができる都市変化の様子について言及させるような場面では、同じような勉強方法で対応することができるでしょうか?

つまり、理科・社会の学習をする上では、

  • 暗記能力が問われている場面
  • 理系的な分析力・計算力が問われている場面

この二つを明確に峻別しなければいけないのです。

そして、勘の良い読者の方なら既にご理解されていることと思いますが、理科・社会の勉強をする中でも、その分野ごとに勉強の優先順位を変える必要があるということが導かれます。

参考書の選び方

勉強法を考えるあたってまずは参考書選びからご説明します。

参考書は学習塾内で利用されているネタ本でも良いですし、市販の参考書でも良いのですが、理科・社会を勉強する際には、その指針とすべき参考書を一つ確定してしまってください。

さらに言えば、参考書の構成として、問題の割合が多く占められているものは選択すべきではなく、説明が大半、あるいは全てを占めているようなものを選ぶべきです。

受験勉強をしている過程では、膨大な量の問題演習を繰り返すことになりますので、わざわざ参考書の中に問題が用意されているものの有利性は一切働きません。

それならば、参考書の中で解説が充実しているものを選択して、肉厚のある学習をすることを目指すべきでしょう。

<4年生・5年生>理科・社会の勉強法

小学四年生・五年生の段階で、かなり分厚い、例えば『自由自在』のような参考書だけで学習を進めさせることは子どもにとっても重荷であることも事実でしょう。

何かをしっかりと学習することはとても大切なことではあります。

しかし、他方において真摯に学習に取り組む姿勢だけを純粋にお子さんに課すのは残酷な時期でもあります。

勉強させるよりも、興味、関心を持たせること

四年生・五年生では、社会・理科に対する苦手意識が生まれないように、興味、関心を誘いながら学習を進めることが肝心となります。

理科、社会が単純暗記科目ではないということがこの場面で生きてきます。

例えば理科の実験であるとか、社会の地理範囲などは、子どもたちの日常との関連性が非常に高いものがあります。

例えば日本史の人物図鑑、生物図鑑など、本格的な受験期に入ってしまうとどうしても触れることができないような本にも、時間的な余裕があるこの段階で、勉強とは切り離して触れさせておくことが重要となってきます。

このような類の分野について楽しむことを目的として時間を割いてやれば、自ずと理科・社会に対する抵抗はなくなっていきます。

本来であればかなりの時間を要するような分野であるものが、自然と記憶の中に残るようになっているはずです。

勉強を意識させないことが勉強のポイント

こういった受験に役立つ知識のインプットの時間を「勉強の一環」として扱わないことが大切です。

「よし、今から理科の勉強をしましょう。それじゃあ動物図鑑を開いてね」というのでは意味がありません。

「算数の勉強ご苦労さま。ちょっと休憩がてら動物図鑑でも眺めましょう。」というような扱いが理想的です。

勉強の中で捉えてしまうと、どうしても親子ともども肩の力が入りすぎてしまうように思います。

この時期は、自然と日常に取り込むことを意識していきましょう。

<6年生>理科・社会の勉強法

前述の通り参考書を一つに絞っていただくとして、これに加えて大切なことは、それぞれのお子さんにとっての自分だけのノートを作っておくことです。

もちろん、ノート作りについては意見の分かれるところで、余計な時間を取られてしまうからというご指摘は重々承知です。

ですが、結局時間を取られるかわりに効果的な何か見出すことができさえすれば、それは欠点とはならない訳です。

批判があるとしても尚おススメするのはこのためです。

ノート作りのポイント

参考書のようなノートを作る必要はありません。

全範囲についての説明は参考書にあるのでそれを活用して下さい。

ノートの中に落とし込めて頂きたいのは、受験勉強が進んできて様々な問題を解答していく中で、実際によく間違える問題、名称、内容説明、原理などを書き留めておくというものです。

「定着していないことが現実的に表れた」という点がポイントです。

「間違えるかもしれない、定着していないかもしれない」という疑義の段階でノートを作り出してしまうと、結局ノートにまとめなければならない内容が尋常ではなくなります。

そうではなく、実際に問題を解いてく中で、間違えが頻発する類の内容について、ある一定水準以上の誤答率があるものについてピックアップしておくことが有用です。

ノート作りにはルーズリーフを活用する

このように誤答率があるものピックアップしていくと、結果として、ノートに記載する事項は単発的な内容となってしまいますので、ルーズリーフを利用することをおススメします。

小学生の学習において、ノートではなくルーズリーフを利用することに抵抗があるのもまた承知しておりますし、基本的にはこの場面以外でルーズリーフを活用する必要もありませんが、「分野ごとに内容を整理する」という目的のために、ルーズリーフを使わざるをえません。

分野、章ごとに、それぞれの頁で間違えた問題についての指摘をしておくことが、後々お子さんのためになります。

受験直前期に見直すこともできますが、それ以上に、ノートに書き落とす=自分の手で間違えた内容について記述するわけですから、頭の中への残り方の質が違います。

親御さんの方で、お子さんの問題演習を繰り返すうちに、頻発する間違いのポイントに気付いてくることがあると思います。

そのときに、ルーズリーフに書き落とすことを指示して下さい。

そして、書き落としたものの書き方、内容等を親御さんで確認をして、適切かどうか判断してあげて下さい。

たくさんのファイルに分かれることになってしまうでしょうが、それは些細な問題ですし、自宅での学習の際に行う作業ですから、わざわざ外に持ち出すこともありません。

「自分だけの」という特殊性が、お子さんにとって意味をもつことは明らかです。