子供は、生後6ヶ月から歯が生え始めます。
歯が生えてくるとまた一つ子供の成長を実感できますか、同時に虫歯が心配になりますよね。
「乳歯だから、虫歯になっても大丈夫なんじゃないの?」なんていう考えではいけません。
乳歯も永久歯と同様に大切にしなければなりません。丁寧な仕上げ磨きが求められます。
その中で、このやり方で磨いていいのかな?磨き方を含め歯の状態を知るために虫歯ではないのに、歯科医院を受診していいのかな。と悩んでいる親御さんも少なくないはずです。
この記事では、子供が定期検診に行くべきかどうか、またその頻度について歯科衛生士の筆者がご説明していきます。
目次
乳歯を大切にしなくてはいけない理由
乳歯が虫歯になり進行してしまうと、次の悪影響を及ぼすことが挙げられます。
- 永久歯が生える位置のガイド役を担っているため、虫歯で乳歯が無くなってしまうと歯並びに悪影響がある
- 乳歯が虫歯だらけだと、口の中に虫歯菌が多くなり、生え始めた永久歯も虫歯菌に侵されてしまう
- 歯の根っこまで虫歯菌に侵されると、乳歯の下で発育中の永久歯の発育が阻害される
乳歯と子供の永久歯はなぜ虫歯になりやすいの?
歯は、歯髄の周りを象牙質が覆い、その周りをエナメル質が覆っている構造です。この構造は、乳歯も永久歯も同じです。なぜ虫歯になりやすいか解説していきます。
乳歯
乳歯のエナメル質と象牙質は、永久歯に比べて酸に溶けやすく、また、厚みも1/2と薄くなっています。
そのため、穴が空きやすく、歯髄にも到達しやすいです。
永久歯
永久歯は、生えて3年未満はエナメル質の結晶構造が未熟であり、酸への抵抗力は弱いです。
しかし、食品等に含まれるフッ素に触れる事によって、結晶構造が強化され、酸に対して強くなります。
乳歯と永久歯の交換期である小学生の子供は、未熟なエナメル質であり、虫歯になりやすいのです。
虫歯にさせないためにすべき3つのこと
ダラダラ食事をしない
人が食事を摂ると、その中に含まれる糖分を虫歯菌が利用し、酸を産生します。
それにより、中性だった口の中は酸性に傾きます。すると、エナメル質に含まれるミネラルが口の中に溶け出し初期虫歯の状態になります(これを脱灰といいます)。
食後30分には、唾液の働きによって酸性だった口の中は中性に戻ります。
中性に戻ると、溶け出したミネラルはエナメル質に再吸収され修復されます(これを再石灰化といいます)。
この脱灰と再石灰化のバランスが崩れた時、虫歯は進行し、歯に穴が空きます。
キシリトールで虫歯菌の活動を弱める
虫歯の原因菌は主に、ミュータンス菌とラクトバチラス菌です。これらの菌が歯に付着した歯垢(細菌の塊)に含まれます。
食事の糖分を摂取して活動する事で酸を産生し、虫歯が進行します。虫歯菌の活動を抑制するには、キシリトールとフッ素が重要です。
キシリトールを、ミュータンス菌はエネルギーに変える事が出来ず活動が弱まり、また酸も産生出来ません。
フッ素は、歯垢に浸透し、細菌の活動を抑制させるため、酸産生を阻害します。
フッ素を摂ってエナメル質を強化する
エナメル質はもともと、ハイドロキシアパタイトという構造をしていますが、フッ素に触れる事によってフルオロアパタイトという結晶構造に変わります。
このフルオロアパタイトは酸に対して強く、溶けにくいです。
そして、歯面がより滑らかになるため、細菌も付着しにくくなります。
定期的に歯科検診に行こう!定期検診を受診するメリット
虫歯予防のために、
- 食事頻度の管理
- フッ素配合歯磨き粉を使った仕上げ磨き
- キシリトール配合のガムやフッ素洗口剤の活用
この上記3つが家庭で手軽に出来るものかと思います。
しかし、さらにプラスαとして、歯科医院を定期的に受診しましょう。
それでは、歯科医院を定期的に受診するメリットをご紹介していきます。
磨き残しや歯石を除去出来る
仕上げ磨きは、丁寧に行なっていても磨きクセが出るものです。
また、子供は親には、甘えて強気で嫌がったりする事がありますが、歯科衛生士等の第三者の言う事をきく事も多々あります。
たまに第三者に任せる事で普段磨けていない部位の歯垢を落としましょう。
また、歯石は歯ブラシでは除去出来ません。専用の器具で落とす必要があります。
家庭で使えるフッ素濃度の約9倍の高濃度フッ素塗布が出来る
フッ素配合の歯磨剤やジェルは、家庭用に配合して良い濃度が決まっています。
歯科医院では、その約9倍である9000ppmのジェルを塗布する事ができます。
家庭での低濃度フッ素と歯科医院での高濃度フッ素を組み合わせる事で、より高い耐酸性効果が期待できます。
虫歯の早期発見
虫歯を早い段階で発見出来ると、進行止めの薬を塗るだけで削らずに済む事があります。
また、早ければ早いほど削る量も少なく済みます。特に乳歯は、虫歯に侵されやすいので、少し放置するとすぐに歯髄や他の歯にも波及してしまいます。
早く発見する事は大切です。
半年に1度のペースで定期検診を受けよう
「定期的に」と言われても、どのくらいの感覚で受診すべきなのか分かりませんよね?
歯科医院を初めて受診するタイミングとしては、ブクブクうがいができる3歳頃をお勧めします。
それからは、何も問題が無いなら6ヶ月に1度のペースでいいでしょう。
子供が暴れる等で、普段の仕上げ磨きが出来ないのであれば、少なくとも1ヶ月に1度通うことをお勧めします。
最後に
乳歯にしても、永久歯にしても、子供の歯は虫歯になりやすいため、家庭と歯科医院によって虫歯から守ってあげる必要があります。
虫歯のない子も、6ヶ月に1度は歯科医院を受診してプロによるケアを受けることをオススメします。
立派な永久歯に育つように支えていきましょう。