スポーツをする子どもの栄養管理と食事のポイント

運動をする子供子どもの年齢が上がるにつれて、部活動やクラブチームに所属し、スポーツに励むお子さんも増えてきます。

そこで気になるのが、スポーツをする子どもの栄養管理。

「どんな栄養を摂ったらいいの?」「食事で気をつけることはある?」など、スポーツをする上で、栄養や食事について疑問があるパパやママもいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、管理栄養士の筆者とスポーツをする子どもの栄養管理や食事のポイントについてみていきましょう。

スポーツに励むお子さんのサポートに少しでもお役立てできれば嬉しいです。

スポーツをする子どもの体づくり!3つの栄養摂取が必要な理由

子どもは代謝が活発で、基礎代謝量が大人よりも多いです。

その上、体を成長させるために多くのエネルギーを必要としています。

さらに運動をするとなると、その分のエネルギーも必要になるので、十分にエネルギーを補給することが大切になります。

エネルギーが不足すると、運動する上で良いパフォーマンスができないだけでなく、骨の形成がうまくいかず身長が伸びにくくなったり、生理不順になったりと、体にさまざまな影響が出やすくなります。

子どもの体づくりに必要不可欠ともいえる3つの栄養摂取ポイントを見ていきましょう。

体づくりにはたんぱく質が大切

たんぱく質は、筋肉をつくるために必要な栄養素ということだけでなく、免疫をつくったり、骨の形成を助ける働きもあることから、とても重要な栄養素であるといえます。

スポーツをしている子どもに関わらず、子どもが成長するためには多くのたんぱく質が必要になるのです。

たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆、乳製品などに多く含まれており、スポーツをしている子どもは特に積極的に食事に取り入れましょう。

脂肪も重要なエネルギー源

子どもの体は大人よりも小さいので、体内に蓄えられているエネルギー源となる糖質の量が少なく、運動中、脂肪が優先的にエネルギーとして利用されるといわれています。

そのため、脂質も大切な栄養素として摂取することが大切です。

しかし、いくら運動をしているからといっても、油の過剰摂取は肥満や動脈硬化などの原因になりやすいので、揚げ物ばかりになったり、炒め物に油を多く使用することはやめましょう

カルシウムを積極的に摂ろう

カルシウムは骨の成長に必要な栄養素です。

スポーツをする子どもは、汗でカルシウムが排出されやすくなってしまうので、特に意識してカルシウムを摂取することが大切です。

また、ビタミンDやマグネシウムはカルシウムの吸収率を助ける働きがあるので一緒に摂ると良いでしょう。

ビタミンDは、干ししいたけやきくらげ、鮭やイワシ、サンマなどの魚に多く含まれており、マグネシウムは、魚や大豆製品、ひじきや昆布などに多く含まれています。

スポーツをする子どもの食事で取り入れてほしい3つのポイント

食事をする親子

朝ごはんをしっかり食べよう

朝ごはんは、一日を元気に過ごすために必要なエネルギーを補給する大切な食事です。

朝は、前日の夕食から時間が経っていることや、就寝中のエネルギーの消費により、体はエネルギーが不足している状態です。

朝ごはんを食べずに練習や試合に取り組むと、エネルギーが不足している状態なので、集中力が続かなかったり、自分の持っている力を出し切れないなどの影響が出やすくなってしまいます。

また、朝ごはんを食べず、お昼と夜の1日2食の生活になると、成長や体づくりに必要な栄養、特にたんぱく質が不足してしまう可能性があります。

食事からのエネルギーが不足すると、体は筋肉を分解してエネルギーにしようとするので、筋肉量や代謝が落ちる原因にもなります。

さらに、朝ごはんを食べないと、お昼や夜の食事の際に血糖値が急激に上がることにより体脂肪の増加に繋がりやすくなるといわれています。

朝、すっきり目覚めて、お腹がすいている状態にするためにも、早寝早起きを心がけるようにしましょう。

オススメしたい冷凍食品

乳製品を積極的に取り入れよう

子どもは成長期真っ只中です。

そのため、たんぱく質やカルシウムがとても重要になります。

この両方を手軽に摂れるのが牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品です。

牛乳は学校で出ることも多いですが、それだけでは足りない可能性もあります。

朝や夜にコップ1杯の牛乳を飲んだり、朝ごはんにヨーグルトを食べたりなど、乳製品を積極的に取り入れるようにしましょう。

また、小魚や大豆など他の食材でもたんぱく質とカルシウムを摂ることができるので、アレルギーや牛乳、乳製品が苦手な場合は、これらの食材を活用するのがおすすめです。

おやつ(補食)を上手に取り入れよう

子どもは代謝も活発で、成長するために多くの栄養を必要とします。

そのため、1日3回の食事では十分な栄養を摂ることができない可能性があるので、「おやつ」として栄養を補給する場合があります。

スポーツをする子どもは運動量が多いので、おやつの必要性はさらに高くなると考えられます。

おやつには休息や楽しみといった、心の栄養の意味もあります

しかし、スポーツをする子どもは、運動によって消費したエネルギーを補給したり、筋肉をつくるためのたんぱく質を摂るなどの、体への栄養補給の意味も大きいことから、「補食」の意味が強くなります。

補食は体に必要な栄養素を補給するための食事

朝・昼・夕の3回の食事で足りない分の栄養素を補給するための食事のことです。

甘いお菓子やスナック菓子などを食べたり、ただ空腹を満たすだけの食事ではなく、体に必要な栄養素を補給するための食事です。

おやつの内容は、おにぎりやサンドイッチ、ヨーグルト、果物など、栄養価の高いものがおすすめです。

体を動かした練習・試合後の1時間以内に糖質とタンパク質を摂ろう

運動をした後は、エネルギーが切れかかっている状態です。

また、運動後は成長ホルモンの分泌が多く、栄養を取り込みやすくなっていることと、筋肉の合成が促進されやすい状態になっているといわれています。

そのため、疲労回復を早め、筋肉をより効果的につくれるようにするためにも、運動後の栄養補給は大切です。

運動後はおにぎりやサンドイッチを食べてエネルギー補給をしよう

運動後、30分以内に糖質とたんぱく質を摂ると回復が早まるといわれていますが、30分が難しい場合は、できれば1時間以内に糖質とたんぱく質を摂ることをおすすめします。

鮭おにぎりやツナおにぎり、卵サンド、ハムサンドは糖質とたんぱく質を摂ることができ、子どもも手軽に食べることができるのでおすすめです。

運動直後は食欲がないという場合は、果汁100%のジュースやスポーツ用のゼリーなどを利用するのもオススメです。

果汁100%以外のジュースにも糖質は含まれていますが、果物に含まれている糖質の方が吸収が良く、疲労回復に向いているといわれています。

運動後1時間以上経過した場合は、3回の食事に影響が出ない程度におやつでエネルギー補給するのも良いでしょう。

体力も学力もある少年

年齢別!スポーツをする子どもに必要なカロリーを知っておこう

小学生

活発に運動をする小学生に必要なカロリーは以下が目安です。

ジュニアアスリートであれば8~9歳でお母さんと同じくらい、10~11歳でお父さんと同じくらいの食事量が必要ということになります。

年齢 男子のエネルギー必要量(kcal) 女子のエネルギー必要量(kcal)
6~7歳 1,550~1,750 1,450~1,650
8~9歳 1,850~2,100 1,700~1,900
10~11歳 2,250~2,500 2,100~2,350

中学生

活発に運動をする中学生に必要なカロリーは以下が目安です。

中学生になると活動量や体格の差が大きくなるため、練習量の多い子や体の大きい子にはこれ以上の量が必要になる場合もあります。

年齢 男子のエネルギー必要量(kcal) 女子のエネルギー必要量(kcal)
12~14歳 2,600~2,900 2,400~2,700
15歳 2,850~3,150 2,300~2,550

引用:ATHTRITION

運動中はこまめな水分補給を心がけよう

水泳を練習している子供

子どもの体は熱しやすく冷めやすい特性を持っており、熱を吸収しやすいといわれています。

その上、汗をかく機能が未発達のため、うまく体温調節ができず、体温がどんどん上昇していき、熱中症などになりやすいのです。

そのため、運動をする場合は特に注意して、こまめに水分補給を行うことが大切です。

水分補給のタイミングと量

  • 運動前:運動する30分前までに250~500ml
  • 運動中:こまめな水分補給が大切なので、15分ごとに100~250mlが理想的です。
    (1時間の間で500~1000mlの水分を摂ることになります。)

水分補給の際に気をつけたいこと

  • のどが渇いているときには、すでに脱水状態になっています。のどが渇く前に飲むようにしましょう。
  • 汗をかくと塩分も排出されてしまうため、塩分の摂取も大切になります。
  • 水分の温度についてですが、体温の上昇を防ぐには5~15℃が良いとされています。氷水など水温が低すぎるものは、胃腸に負担がかかってしまうので控えることをおすすめします。

また、何も含まれていないミネラルウォーターよりも、糖分が含まれた水の方が水分の吸収率が良いため、気温が高いときや長時間運動する場合は、塩分と糖分が含まれたスポーツドリンクが適しています。

まとめ

スポーツをする子どもには、特別な栄養管理が必要なのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、エネルギーをしっかり補給することや、たんぱく質、カルシウムをしっかり摂ること、朝ごはんを食べることなど、基本はスポーツをしている、していないに関わらず同じです。

子どもの成長をサポートする栄養管理、食事を心がけましょう。

その上で、スポーツをする場合は、運動後のエネルギー補給としておにぎりやサンドイッチを用意しておくことをオススメします。

水分補給のためのお茶やスポーツドリンクを準備したりなどのサポートをすることで、子どもはよりスポーツに励むことができるはずです。

子どもの健やかな成長と、元気にスポーツを楽しんでる姿を応援していきましょう。