中学受験の併願校選び!入試傾向が似ている学校を併願校に考えたほうがいい理由

併願校と入試問題の傾向について

私立中学校は数が多く、学校によって入試傾向も変わります。

併願校を決めるとき、似た傾向の学校を併願したほうが良いのか、そもそも傾向が似た中学校はどのように分類できるのか、疑問点も多いでしょう。

ここでは、塾講師経験から、私立中学校で入試傾向が似ている学校について、大まかな特徴や傾向、併願時に考えるべきポイントなどをご紹介していきます。

入試傾向が似た学校は併願しやすい!?

中学受験では、第一志望校のほかに併願校をいくつか受験するケースが多いでしょう。

滑り止め校として併願校を受験する場合のほか、チャレンジ校として少しレベルの高い中学校を併願する場合もあります。

一方、ただやみくもに複数の学校を併願すれば良いというものではありません。

まずは第一志望校をしっかり決めたうえで、そこを基準に複数の学校を併願校として絞っていく形になります。

併願校を選ぶ基準は?

併願校は、なるべく第一志望校と入試傾向の似た学校にすることが好ましいでしょう。

中学受験といってもその出題傾向は学校によって様々であり、あまりに傾向の違う学校を併願すると対策が難しくなるおそれがあります。

例えば難易度の高い中学校の中には、高度な応用力や思考力が試される学校もあれば、基本・標準レベルを中心としつつ高得点勝負になる学校もあります。

特に私立の中高一貫校は数も多く、各校が求める生徒像はそれぞれ異なり、その方針が入試問題に反映されるため、各校によって傾向は明確に異なるわけです。

世間的な評判や偏差値などから「難易度の高い私立中学校」とされていても、その試験内容は学校によって様々なのです。

応用力・思考力が特に試される学校は、難問・奇問が登場する可能性も含め、対策をしなくてはならないでしょう。

出題傾向は事前に把握!なるべく傾向の似た学校を併願校として選んでおこう

一方、難関校でありながら基本・標準レベルが中心に出題される学校は、とにかく高得点勝負になります。

この場合、基本・標準レベルの問題をスピーディーかつ正確にテキパキこなす力が求められます。

このように、難関校と言われる学校でさえ、その傾向と対策は各校で異なるのです。

こうした出題傾向は事前にしっかり把握し、その中からなるべく傾向の似た学校を併願校としてピックアップすることが好ましいです。

併願校を選ぶ基準

併願校の校風や雰囲気などはしっかり確認しておきましょう

自習室を利用する受験生

もちろん併願校といえども、学校の校風や雰囲気、教育方針などは事前にしっかり確認すべきです。

偏差値や入試傾向だけで判断することは避けてください。

実際に入学したら自分に合わなかった、という事態を避けるためにも、現場の情報はしっかりおさえておきましょう。

見学や学校説明会なども活用し、より具体的な情報をもとに判断することが大事です。

この記事では以下、私立中学校で入試傾向が似ている学校について、その大まかな特徴、併願の考え方などをご紹介しますが、上記のことは大前提として意識していただければと思います。

入試傾向が似ている私立中学校〜大学付属校・進学校〜

大前提として、入試傾向は学校によって異なります。

10の学校があれば10通りの入試傾向があり、似た傾向の学校を一概にパターン化することは難しいでしょう。

ただ、大まかに分類して考えることもできます。

傾向はあくまで学校別に考えるべきですが、そのことを前提として以下、入試傾向が似ていると思われる学校の例を挙げていきます。

大学の付属校

一番わかりやすい例で言うと、大学の付属校が挙げられます。

一般的に、大学の付属校の入試問題は、難問・奇問が多い試験とは異なります

どちらかと言えば基本レベルの問題が中心で、その中で正確さやスピードを重視する傾向があります。

もちろん人気校であればあるほど倍率は高いですし、難易度も上がるので、基本問題とはいえ高得点勝負になる可能性は高いです。

基本レベルをいかに正確に解けるかという点がカギとなり、ケアレスミスは許されない、非常に正確な解答力が求められます。

そのため、突破するのが難しい試験になりますが、入試問題そのものの難易度はそこまで高いわけではないのです。

いわゆる難問や奇問の多い試験とは異なるわけです。

そのため、大学の付属校を第一志望にする場合、同じような付属校を併願校にすると、傾向に沿った対策を進めやすくなるでしょう。

もちろん例外はあるかと思いますが、一つの目安として、付属校かそうでないかを確認すると良いでしょう。

付属校の問題傾向の背景

以下、もう少し掘り下げてご説明します。

中高一貫校の入試傾向を考える際に一つの目安になるのは、その学校がどのような生徒を求めているか?という点です。

大学の付属校は、基本的にエスカレーターで大学に進学できるため、外部の大学の受験に特化した授業はあまり見られません。

もちろん、外部の大学へ進学を希望する生徒もいますし、大学受験を踏まえたカリキュラムも一部見られますが、基本は中高大の連携的な教育が行われます。

こうした付属校は、どのような生徒を募集するのでしょうか。

本当に難問や奇問が得意な生徒を募集するのでしょうか。

この点を考えると、付属校の問題傾向が見えてきます。

難関大合格を目指す進学校と大学付属校では、求める生徒像が異なる

例えば、難関大学の合格を目指す中高一貫校であれば、ハイレベルな難問を解ける生徒も募集したいでしょう。

しかし、原則として大学受験を念頭に置かない大学付属校の場合、必ずしも難問を解ける生徒を募集したいとは限らないのです。

一概に言える話ではありませんが、中高大の一貫教育であれば、受験を念頭に置かず、基本からじっくり勉強して学力を伸ばすことができるはずです。

であれば、難問・奇問を解く力より、まずは小学校の範囲の基本を幅広く正確におさえているか?を重視すると言えるでしょう。

その基本をもとに、中学高校、そして大学卒業まで、長期的な視点で一貫教育をじっくり行う形になるでしょう。

この場合、難関大合格を目指す進学校とは、募集したい生徒像が大きく異なるわけです。

そのため、大学の付属校の入試問題は、難問・奇問が多い入試というより、基本を中心とした入試になる傾向があります。

高得点勝負になる傾向に注意

ただし先ほども述べたように、人気校なら倍率も難易度も上がり、基本問題が中心とはいえ高得点勝負になるため、突破するのは難しくなります。

そのため、基本レベルの問題をスピーディーかつ正確に解き進める力が必須であり、この力は相当なトレーニングを積まないと身につきません。

当たり前ですが、入試問題に基本レベルが多いからと言って、受験勉強が楽になることはありません。

基本レベルが中心だからこそ高得点勝負になるのであり、ケアレスミスを極限までなくし、スピーディーかつ正確に解き進める能力を磨くことは必要不可欠です。

その意味で、受験対策としては決して楽ではありませんが、難問・奇問の多い学校とは対策の内容が変わるということです。

もちろん各校の中で傾向は変わる

繰り返しになりますが、学校の傾向は最終的に各校で判断すべきです。

同じく私立大学の付属校の中でも、その傾向は細かく変わります。

基本レベルが中心の入試問題の中でも、多少なりとも難問は含まれるでしょうし、その難問の傾向も各学校で変わるでしょう。

また、基本中心の問題の中でも、選択肢問題が多い試験もあれば、記述問題の割合が高い試験もあります。

最終的には過去問分析によって傾向を判断しなくてはならず、その傾向に沿った対策が重要になるのです。

もちろん「難問・奇問というよりは基本レベルが中心」という傾向の学校であれば、対策が似ているため、併願校として併願しやすくなるでしょう。

ただ、選択肢問題や記述問題といった設問形式があまりに異なるのであれば、それだけ対策も変わるため、併願の際には注意が必要でしょう。

このように、細かい点は各校でしっかり分析を進め、どこを併願校にするか慎重に検討しなくてはなりません。

私立進学校の入試傾向

次に、難関大合格を目指すような、私立進学校の入試傾向についてご説明します。

いわゆる御三家と呼ばれるような私立中学校を中心に、各校によって傾向は多岐に渡りますが、その中でも大まかに共通した傾向について整理していきます。

思考力を試すような問題が多い

私立で進学校と呼ばれる難関中高一貫校は、思考力を試すような入試問題が多いです。

基本レベルの問題とは異なり、知識をもとに論理的な思考を進めていく問題が一定数見られます。

こうした問題は、たとえ使う知識が基本レベルでも、そこから論理的思考力を使って解答を導き出す必要があるので、難易度は高くなります。

そのため、各分野・各単元の知識を幅広くおさえておくことはもちろん、問題演習などを通じて応用力・思考力を常日頃鍛えなくてはならないのです。

また、併願校の中でも、論理的思考力を問う問題が多い学校を選ぶと、同じような対策で臨むことができるため、効率良く勉強を進めることができるでしょう。

問われる知識の難易度も高い

また、そもそも問われる知識が難しく、難問・奇問のレベルになる設問もあります。

難関大合格を目指すような私立進学校の場合、やはり高いレベルの知識や学力を求める傾向があり、各分野・各単元ともかなり細かい知識が問われることもあるのです。

ただ、あまりに細かすぎる知識を覚えても、基本となる知識がかえっておろそかになる可能性もあります。

学校ごとに頻出分野はしっかり確認したうえで、その分野を中心に細かい知識・レベルの高い知識を整理していくと良いでしょう。

そして、こうした頻出分野は同じ難関校でも学校によって大きく変わります。

もちろん図形などの頻出分野はあるにせよ、学校ごとの対策がより重要になるため、その点はしっかり意識しておいてください。

「難しい知識が問われる学校」で一括りにしすぎることなく、それぞれの頻出分野など、柔軟に把握する必要があります。

高度な情報処理能力が求められる傾向も

これは特に社会や理科で重要な話になります。

難関の私立進学校の場合、問題に含まれる資料、リード文、図やグラフ、表などの情報がややこしいことがあります。

短い試験時間の中でこうした情報を素早く読み取り、それをもとに各設問を解き進めなくてはならず、かなり高度な情報処理能力が求められるのです。

もちろん、大学付属校の入試問題でも情報処理能力は重要になりますが、それよりさらに複雑な情報処理を要する設問も見られます。

また、国語においても読解力とともに高度な情報処理能力が必要であったり、算数でも複雑な計算・作業の処理能力が求められたり、など、全体的により実戦的な力が求められる傾向にあります。

こうした情報処理能力は、似た傾向の問題に多く触れ、まずは慣れを作り、徐々に実力を磨いていくしかありません。

また、同じく情報処理能力が求められるような傾向の学校を併願校にすると、より対策しやすくなるでしょう。

設問・問題形式が独特

特に難関校によっては、独特のやっかいな設問が登場することがあります。

学校独自のユニークな設問は、ほかの様々な中高一貫校でも見られますが、難関の私立進学校の場合、その設問が非常にやっかいなケースがあるのです。

国語で手間・時間のかかる記述問題が多かったり、算数で途中式・考え方を全問記述する必要があったり、社会や理科で各分野が横断的に出題される総合問題が多かったり、など、対策しづらい設問・問題形式も多く見られます。

もちろんオーソドックスな形式の設問も含まれますが、やはり進学校の場合、少し変わった形式の問題に注意が必要でしょう。

こうした独自の形式も、似た傾向の問題を探すことはできるので、問題演習でしっかり慣れを作ることが大事です。

また、併願校を検討する際にも、なるべく似た傾向の設問・問題形式の学校を選ぶと良いでしょう。

基本レベルが中心の学校もある

いわゆる進学校と呼ばれる学校の中でも、難問・奇問というよりは基本レベルの問題が多い学校もあります。

繰り返しますが、こうした傾向は学校ごとに変わるため、一概に捉えることは難しいです。

大学の付属校でなくても、基本レベルの問題で高得点勝負になるような学校であれば、とにかく基本問題をスピーディーかつ正確に解き進める力を鍛えなくてはなりません。

また、このような傾向が似ている中学校をなるべく併願校にするべきでしょう。

傾向が似ていれば、大学の付属校を併願校にすることももちろんあります。

このように、最終的には各校の傾向で判断することが重要です。

中学受験をする小学生

出題傾向が違いすぎる学校を併願校するのはリスク!なるべく傾向が似た学校を選んで受験対策をしていこう

今回は、私立中学校で入試傾向が似ている学校について、大まかな特徴、併願の考え方などをご紹介しました。

中高一貫校の入試問題は学校によって多岐に渡り、あくまで学校ごとに傾向を分析して対策を進める必要があります。

特に私立の中高一貫校は数が多いため、なおさら各学校の傾向に沿った対策が重要になります。

一方、難関大合格を目指す進学校と大学付属校の傾向の違いなど、大まかに特徴を分けて考えることもできます。

例えば大学の付属校の場合、難問・奇問というよりは基本レベルの問題が中心となる傾向があります。

ただし、その分高得点勝負になり、素早く正確に基本レベルの問題を解き進める力が必須なので、それ相応のトレーニングを積まなくてはなりません。

一方、難関大合格を目指すような進学校の場合、入試問題の難易度も高く、複雑な設問や独自の問題形式なども目立ちます。

また、論理的な思考力を問う問題や、高度な情報処理能力を要する問題が目立つほか、問われる知識のレベルもやはり高くなります。

このように、大学付属校と進学校で傾向が変わりやすいですが、私立中学校はやはり数が多く、様々な傾向があるため、最終的には学校ごとに判断しなくてはなりません。

そのうえで、なるべく傾向が似た学校を併願校にすると、受験対策の効率が上がります。

あまりに傾向が違いすぎる学校を併願校にするのはリスクが高いので、各校の傾向をしっかり分析し、最適な併願校を選ぶことが重要です。

こうした点に注意し、併願校検討の際の参考にしてみてください。