2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に変わりました。
成年になればできることも増え、契約なども親の許可なく結ぶことができるようになります。
民法上の成年年齢は引き下げられましたが、18歳と言えば高校3年生でまだまだ親元で暮らしている子も多い年齢で、経済的にも、生活的にもまだまだ依存している部分は多いかもしれません。
しかし、高校を卒業すれば社会人にぐっと近づきますが、精神的な自立はできているでしょうか?
ここでは、「共依存親子」にならないためにも、親離れできない子、子離れできない親について考えてみていきましょう。
目次
親離れできない子の特徴は?
親離れとは、子どもが成長して、親の保護なしに自力で行動できるようになることをいいます。
子どもは小学校中学年頃になると、少しずつ親に対して反抗的な態度が出てくるいわゆる「反抗期」になっていきます。
そういった経験を通して少しずつ大人へと成長していきます。
子どもが自立していくためには「甘え」と「反抗」が必要であると言われています。
「甘え」と「自立」の間を行ったり来たり出来ていますか?
子どもは「甘え」「依存」の中で成長していきますが、少しずつ自分の思い通りにならないことが増えていくと、「自分でやろう」という気持ちが芽生えてきます。
しかし、それが上手くいかないと「不安」になり、再び「甘え」や「依存」を求めるようになります。
このように「甘え」と「自立」の間を行ったり来たりしながら子どもたちは自立をしていきます。
しかし、近年ではこの「反抗期」がない子どもが増えています。
それは親に「反抗する必要がないから」または「反抗しても仕方がない」と思っているからです。
反抗しない子・反抗しても仕方がないと考える子
近年は少子化が進み、兄弟がたくさんいる家庭は少なくなりつつあります。
兄弟がいないと、お金も時間も子ども1人に掛けることができる割合が増えます。
子どもの望むとおりに時間もお金も掛けられることで、子どもが不満に思うことがない状況になっている家庭が増えたことが原因と考えられています。
そして、反抗しても仕方がないと考える子ども達。
これも少子化により、親が一人の子どもにかける期待が大きくなり、この子に失敗して欲しくないという気持ちから、小さな子どもに決まったルートを歩ませようと親が厳しくしてしまう。
そうして厳しく制限された中で育つと、子どもたちは「どうせ何を言っても聞いてもらえない」と反抗することを諦めてしまいます。
こうした原因で上手く「反抗」することができなかった子どもたちは、親から自立するタイミングを見失い、大きくなっても親のいう通りにしか動けなくなってしまい、親から離れられなくなってしまうのです。
このように親離れができていないと、例えば大切な「進路」を決める際に自分で決めることができなくなってしまうのがひとつ心配です。
高校の教員をしていても、進路の話になると「親に聞かないとわからない」と言う子がたまにいます。
もちろん経済的な面もあるので、親に聞かないといけない部分もあるでしょう。
しかし、希望の進路先や学びたいことも自分で選択できないのは、教員としては悲しいものがあります。
子離れできない親の特徴とやってしまいがちな行動は?
大切な子につらい思いをさせたくない。
そんな気持ちからなんでも先回りして子どもが傷つかないように、悲しまないようになんでもやってしまっていては子のためにはなりません。
例え子どもが傷つくようなことであってもそれは成長するきっかけになりますし、社会に出たときに上手く自分で対処する練習にもなります。
また、一見「子どものため」と思っている行動も、実は親の満足や不安解消のためになっていることがあります。
親にとって子どもがすべてになってしまうと、「生きがい」となってしまい、子どもを離したくない気持ちが高まり、子離れできない結果になります。
子離れ・親離れするため準備として大切なこと
子離れが出来ないと、子どもも親離れが難しくなります。
子どもが辛い思いをしている姿を見るのは親としても心が痛むでしょう。
しかし、子どもはその経験を経て成長し、強くなっていきます。
そのためには幼い頃からの愛着関係をしっかり築き、「安心できる場所」をまずつくりましょう。
そして、親から離れ始めた学童期。
学校生活の中で上手くいかないこと、自分で考えて行動しなければいけないことが増えてきたときに、何かあっても子どもが成長していると思って見守っていくことが大切です。
時にはアドバイスしたり話をきいてあげ、「子どもの考え」を大切してあげましょう。
子どもの反抗は親離れ・子離れにむかっている大きな一歩
子離れができていない例として、高校生の男子生徒の話をしたいと思います。
その男子生徒はとても心の優しい生徒で、親とは学校の話もよくしているようでした。
学校の話を親とできる関係は素敵ですが、子どもがこんな大変なことがあった、あの子といざこざがあったというと、すぐに親から学校に連絡がありました。
最初男子生徒自身は何も感じないようでしたが、少しずつ自分の親以外は学校に連絡することはほとんどないとわかると、「何かおかしい」と感じるようになったようです。
それまで男子生徒は自分の親に何でも話していましたが、少しずつ学校の事は親に話さなくなり、子どもの「反抗」がはじまりました。
親はそのことにパニックとなり、「何も学校の事を話さなくなった。学校で何かあったのではないか。」という電話があり、学校から「成長」の話をし、男子生徒自身も親に頑張って「反抗」を続けたようでした。
その結果、次第に親からも連絡は減り、男子生徒自身はのちに「あのとき気づけてよかった。」と話し、子どもとしては「よい親子関係を築いている」そうです。
「保護」から「見守り」へ
親にとって子どもは可愛く、可愛いからこそよい人生を歩ませてあげたい。そう思うことは自然なことだと思います。
しかし、親はいつまでも子どもと一緒に居られるわけではありません。
お互いがいないと不安になったり、離れられなかったりする関係はよい関係とは言えません。
そして、子どもは所有物ではありません。
子ども自身が自分で社会の中で「責任」をもって行動できる大人に成長できるようになるためにも、その時々で適度な距離で見守っていきましょう。
親も「子どもがすべて」にならないように、子どもの成長と共に自分の趣味や好きなことに子どものお世話に費やしていた時間をシフトさせてみてはいかがでしょうか。