小学校で学習する社会は、大人になってからも必要とされる知識を学ぶ重要な科目です。
そして小学生は学校の勉強に限らず、ニュースや新聞記事に多く触れ、社会情勢や時事問題に興味を持つことも大切です。
それでは、小学校で学ぶ社会の学習の重要性についてみていきましょう。
小学校で学習する社会の内容とは?
まず、科目としての「社会」の内容から整理しておきましょう。
「社会」は小学校と中学校で学習する科目で、地理・歴史・公民分野に分類されます。
小学校のうちは基礎的な学習が中心ですが、中学受験をする場合は、3分野ともかなり細かい部分まで学習します。
さて、これら地理・歴史・公民から成る「社会」は、その名の通り、社会の在り方を理解するための科目です。
日本の地理と歴史を知り、そして現在の国の仕組みを学ぶことで、社会の成り立ちに対する理解を深めます。
そのため、大人になって社会に出たときに役立つ知識もたくさん含まれています。
次に、社会で学習する知識を大人になって役立てるには、具体的にどのような点を意識すべきか、地理・歴史・公民に分けてポイントを整理していきましょう。
地理の学習ポイント
では、地理の学習では、どのような点を意識すべきかみていきましょう。
都道府県や県庁所在地、日本の産業、各地の特色を特に意識して学習しよう
地理の勉強では、都道府県や県庁所在地、日本の産業(農業や工業)、各地の特色(産業や特産物など)を特に意識して学習すると良いでしょう。
都道府県や県庁所在地は一般常識として知っておかなければならず、日本の産業(農業や工業)は社会人の教養として知っておくべきことになります。
これらを小学校のうちからきちんと学習しておけば、中学校で社会を勉強する土台にもなり、高校や大学、ひいては社会人になってから、様々な場面で活かすことができます。
特に各地の特色(産業・特産物など)の理解を深めておくと、様々な地域の人々と交流するにあたって非常に役に立ちます。
山脈や川など、都道府県とセットで覚えて地理感覚を鍛えよう
他にも、各地方の山脈や川、自然環境、気候、地形図など、地理で学習する範囲は様々です。
もちろんこれらの範囲も将来役に立つ知識となるので、小学校のうちから理解を深めておくと良いでしょう。
特に山脈や川などは、都道府県や県庁所在地とセットで覚えていくと、地理感覚を鍛えることにもなります。
歴史の学習ポイント
次は、歴史の学習では、どのような点を意識すべきかみていきましょう。
出来事と重要人物から流れをおさえる
歴史の勉強では、主な出来事や重要人物を意識し、学習を進める必要があります。
高校で学習する「日本史」ほど複雑ではないので、出来事や重要人物に焦点を置きつつ、日本がどのような歩みをしてきたのか、大まかな流れをつかむことを意識しましょう。
国の仕組みは歴史から理解すること
こうした歴史感覚は、社会人が持つべき教養として非常に重要です。
というのも、社会人が知っておくべき国の仕組み(法律や政治、経済など)は、その国の歴史的背景が深く関係しているからです。
例えば戦後に誕生した日本国憲法を理解するためには、特に明治時代以降の歴史を知り、なぜ戦後になって大日本帝国憲法から日本国憲法に変わったのか、その歴史的背景を知る必要があります。
日本国憲法をはじめとした法、そして政治・経済の仕組みは、公民で詳しく学習しますが、その理解を深めるためにも歴史の勉強が必要不可欠になるのです。
歴史を学んで国際交流に役立てよう
歴史の学習は、国際交流でも重要な意味を持ちます。
外国人とコミュニケーションをとるにあたり、もし自分の国の歴史・文化をしっかり説明できなければ、国際交流においては何かと損になるからです。
よりグローバル化していく社会で生きるためにも、最低限日本の大まかな歴史・文化は知っておくべきで、そのために小学校のうちから歴史を学んでおくことが重要になります。
公民の学習ポイント
公民の学習では、どのようなポイントを意識していけばいいか整理していきましょう。
国の仕組みを知ることを意識しよう
公民の勉強では、法律や政治、経済などの仕組みを知り、国の仕組み・成り立ちを理解していきます。
地理や歴史よりイメージがつかみづらく、公民を苦手とするお子さんも多いですが、まず「国の仕組みを知る」という点を意識して学習を進めましょう。
社会の勉強のうち、最も役に立つ分野として公民を挙げる方も少なくありません。
公民で学習した知識を大人になって役立てるためにも、まず「国の仕組みを知る」ということを念頭に、理解を深めてみてください。
歴史で学習したことも再確認する
先ほども少し触れましたが、特に日本国憲法などを理解するには、歴史と組み合わせて学習すると効果的です。
まず歴史で日本国憲法や現代の日本の特徴を学び、公民で日本国憲法をさらに詳しく学習しますが、その際には歴史で勉強したことを思い出しながら学習を進めましょう。
歴史的な背景から国の仕組みを考えることは、大人になっても常に意識しておきたいポイントです。
覚えにくい仕組みは図から理解する
先ほども述べたように、公民を苦手とするお子さんは多いですが、公民に苦手意識を持つ大きな理由は、「何を覚えればいいかがわかりづらい」という点が挙げられます。
これは、地理・歴史と比較するとよくわかります。
例えば、地理なら都道府県名や産業名、歴史なら出来事の名称や人名といったように、地理・歴史は覚えなくてはならないものが比較的はっきりしています。
一方、公民の場合は、日本国憲法や三権分立の仕組みなどを理解しなければならず、用語だけ覚えるやり方ではなかなか理解が深まりません。
もちろん地理・歴史も、用語だけ覚えるやり方では限界がありますが、公民は特にこの傾向が強いので、仕組みそのものの理解を深める必要があります。
このことは、公民で学習する三権分立、選挙などの仕組みを想像していただくと、イメージしやすいかと思います。
さて、こうした覚えにくい仕組みは、教科書や資料集にある図から理解を深めることが大切です。
例えば三権分立の仕組みであれば、国会(立法権)、内閣(行政権)、裁判所(司法権)の3つが、それぞれどのような関係にあるのか、そして国民とどのような結びつきがあるのかについて、図から理解したほうがイメージが深まります。
こうした点も意識し、用語の暗記だけにならず、仕組みを理解する学習を進めていきましょう。
社会の勉強は机上だけに限らない!
ここまで、科目としての「社会」について、地理・歴史・公民分野に分けて学習ポイントをご紹介しました。
一方で、小学生のうちに身につけておくべき社会の勉強は、何も「社会」という科目だけではありません。
日頃からニュースを多く見ておくことや、新聞記事を読む習慣をつけることなど、社会情勢に興味を持つことも立派な社会の勉強です。
こうした習慣は早いうちに身につけるに越したことはありません。
勉強したことに関連するニュース・記事をピックアップ
地理・歴史・公民で学習したことと関連するニュース・記事は、子どもにとっても興味を持ちやすいものです。
例えば、公民で勉強した選挙・国会に関するニュースなど、勉強内容と関係するものをピックアップし、子どもに見せてあげると良いでしょう。
子どもの中で、「自分が勉強したことが実際にニュースや新聞に載っている」という実感が生まれれば、勉強意欲も上がりやすくなります。
もちろん、最終的にはニュースや新聞記事そのものに関心を持たせることが大切ですが、最初のうちは子どもが勉強した内容のニュース・記事に絞り、まず興味を持たせることから始めてみましょう。
時事問題に関心を持たせる
中学受験の社会では時事問題が多く出題されるため、地理・歴史・公民に加え、時事問題の勉強も必要になります。
一方で、子どもが受験をしない場合でも、時事問題に関心を持たせることは非常に重要なことです。
社会で勉強する地理・歴史・公民の枠を超えて、早いうちから社会そのものに関心を持たせるためにも、受験をするかどうかを問わず、時事問題に多く触れさせましょう。
時事問題の問題集を購入して取り組ませたり、ニュースや新聞記事を見せるなどして、時事問題に触れる習慣を作ることが大切です。
子どもが社会に対して自分なりの考えを持つことが大切
社会の勉強というのは、子どもが社会に対して自分なりに考えるきっかけとなるものです。
そのきっかけが地理であったり、歴史や公民であったり、あるいは時事問題であったりするわけで、こうした勉強を経て、子どもが少しでも社会に関心を持つようになることが、社会という勉強の目的と言えるでしょう。
子どもが早くから社会情勢に対して自分の考えを持つようになれば、それは大人になっても大きな財産になるはずです。
大人になれば、社会情勢を自分で判断し、自分で考えをまとめ、行動していく時期が訪れます。
その時のために、小学生のうちから社会の勉強を進め、自分なりに社会というものを考える習慣をつけておくことが重要になるのです。
中学受験における社会の勉強
最後に、中学受験における社会の勉強についても、少し触れておきます。
受験勉強はあくまで志望校合格のために行うもの
この記事で述べた通り、小学生の社会の勉強は地理・歴史・公民を通じて社会の在り方を学ぶもので、そこで身につけた知識は大人になって様々な場面で活用することができます。
また、地理・歴史・公民の枠を超えて時事問題やニュース・新聞記事にも多く触れ、社会に対する自分なりの考えを持つことも大切です。
こうした社会の勉強のポイントは、もちろん中学受験における社会の勉強にも共通しています。
ただし、中学受験の勉強というのは、あくまで志望校に合格することを目的に行うものです。
試験範囲となる地理・歴史・公民・時事問題をまんべんなく学習し、受験に備えなくてはならないので、自分が興味のある分野だけを学習するというわけにはいきません。
また、受験に直接関係のない社会問題にまで学習範囲を広げても、受験勉強としてはかえって効率が悪くなります。
それよりは、まず受験に出題される頻出分野からしっかり学習しなくてはなりません。
大人になって役に立つ知識は多いが、あくまで受験を優先しよう
もちろん、中学受験の社会の勉強で得たものは、大人になっても役に立ちます。
ただ、中学受験の勉強である以上、長めのリード文を読む練習や、複雑な資料や地形図を読み取る練習など、受験に沿った勉強を意識しなくてはなりません。
あくまで受験の傾向に沿った専門的な勉強として捉えておいてください。
そのうえで、受験勉強の枠から外れず、社会情勢に対する関心を高めていくのであれば、全く問題はありません。
そこで培った興味・関心は、もちろん大人になって役に立つものです。
まとめ
今回は、大人になっても役に立つ小学生の社会の勉強について、ポイントをご紹介していきました。
小学校で勉強する社会は地理・歴史・公民分野に分かれ、それぞれで学習する知識は大人になっても何かと役に立ちます。
大人になって役に立つ知識や考え方は、小学生のうちからでもしっかり身につけることができます。
社会の勉強も、その一環として捉え、ぜひお子さんに有意義な勉強をさせてあげてください。