小学生の地理の勉強では、白地図を活用する場合があります。
白地図は日本列島や都道府県などの輪郭だけが書かれた真っ白な地図のことをいい、そこに山脈名などの情報を自分で書き込んでいきます。
自ら手を動かして地図を作っていく作業により、地理的な感覚を養うことが可能です。
白地図は地理の先取り学習として活用できるほか、中学受験に対応した白地図のテキストなどもあります。
塾講師の経験から、この記事ではこうした便利な白地図の活用法·勉強法などについてご紹介していきます。
目次
小学校で使う白地図とは?
白地図とは、島や国などの輪郭だけ書かれた真っ白な地図のことを指します。
山や川の名称、記号や文字などは記載されておらず、島や国などの形だけが書かれています。
日本の白地図であれば、日本列島や都道府県の輪郭のみ書かれ、山脈や山地、平野、川の名称などは記載されていません。
(地図によっては、各都道府県名や県庁所在地名など、最低限の情報が記載されているものもあります。)
白地図を使う目的
白地図は練習用の地図であり、地図内に山脈や川の名称などを自分で記入していきます。
名称を書くことはもちろん、河川のルートを地図の通りに書いたり、山地の部分に色を塗ったり、山脈の形状を地図通りに書いたり、いろいろな活用方法があります。
真っ白な地図に情報を書き込むことで、自分で地図を完成させていく、これが白地図の醍醐味です。
こうして実際に地図に書き込むことで、地理的感覚を養いながら山脈名などの用語を覚えていくことができるのです。
小学生であれば3年生·4年生の社会で登場し、用語のトレーニングや地理感覚を養う目的で活用されています。
白地図を活用するメリット
地理には様々な用語が登場します。
都道府県や県庁所在地はもちろんのこと、山脈、山地、平野、盆地、河川、さらには半島、海峡、湾など、いろいろな用語を覚えなくてはなりません。
もちろん小学校の地理も例外ではなく、上記の基本的な用語をしっかり覚える必要があります。
一方、こうした用語をただ暗記するだけでは知識が深まりません。
当然ながら、地名などの用語はその場所も含めて覚える必要があります。
そこで白地図を活用し、各用語を地図上の場所に書き込むことで、地理的感覚を養いながら覚えていくことが大事なのです。
特に地理の勉強を始めたばかりの頃は、地理的感覚がなかなか身につきません。
だからこそ白地図を活用し、場所をきちんと頭に入れながら、一つひとつ用語を覚えていくことが大切になります。
白地図の活用方法
白地図は、国土地理院のホームページから地域ごとの地図をダウンロードすることができます。
また、フリー素材の白地図もあります。
もちろん参考書などのテキストに白地図がついていれば、そちらをコピーして活用することも可能です。
数枚ダウンロードもしくはコピーし、繰り返し練習してみてください。
やり方はいろいろありますが、まずは都道府県ごとに平野や川、山脈名などを書き込んでみましょう。
教科書や地図帳を見て、しっかり場所を確認しながら一つひとつ正確に書くことが大事です。
また、いきなり多くの量を書き込むより、まずは都道府県を一つ選び、その中の平野名や山脈名などを一つひとつ書いていくと良いでしょう。
白地図のテキストの種類
白地図はインターネット上でも入手することができますが、白地図専用の市販テキストもあります。
そのほか、作業ノートやトレーニング帳のような白地図のテキストや、中学入試に対応したテキストも見られます。
ただ、これらのテキストは問題集やドリルに近いものも多く、純粋な白地図とはやや異なる場合があります。
例えば「地図中の河川名を答えなさい」「地図中の地名を書きなさい」といった問題文があり、あらかじめ空欄が設けられているようなパターンです。
こうしたテキストの場合、真っ白な地図に自分で自由に用語名などを書き込むわけではありません。
また、河川のルートを書き込んだり、山脈の形状を書いたり、といった作業も基本的になく、「自分で地図を完成させていく」という作業とはやや異なります。
ただ、たとえ問題集形式でも、実際に地図を使って地理的感覚を養いながら勉強することはできるので、こうしたテキストも様々なメリットがあります。
中学受験用のテキストもあるので、受験生であればトレーニング用として活用してみると良いでしょう。
地理を得意にしよう!白地図を使ったおすすめの勉強法
ここまでの話を大前提として、以下、白地図のおすすめの勉強法についてお話ししていきます。
真っ白な白地図の勉強法
まずは、国土地理院のホームページやフリー素材などにもある、真っ白な白地図の勉強法についてです。
こちらは、あらかじめ設けられた空欄に山脈名などを記入していくテキストとは異なり、本当に真っ白の地図に自分で用語などを記入して地図を完成させていく形になります。
まずは一つの都道府県から丁寧に
先ほども少し触れましたが、まずは一つの都道府県を選び、そこで平野名や山脈名などの用語を書いていきましょう。
一つの都道府県だけでも情報量は多いです。
一度に複数の都道府県の情報を書くより、最初は一つに絞り、その中の山脈名などを正確におさえていくと良いでしょう。
教科書や地図帳をしっかり見て、場所を正確におさえながら、各用語を一つひとつ正確に記入することが大切です。
地理的感覚を養おう!「自分で地図を完成させていく」醍醐味を大切に
せっかく真っ白な白地図を利用するのなら、「自分で地図を完成させていく」という醍醐味を味わってみましょう。
自分で一から情報を書き込み、自分で地図を作り上げていく過程の中で、地理的感覚を養うことができます。
また、山脈名などの用語を書き込むだけでなく、山脈の形状を地図通りに書いたり、山地の部分に色を塗ったりなど、自分なりに工夫してオリジナルの地図を作ることも可能です。
他にも、青ペンを使って河川のルートを地図の通りに書くなど、いろいろな活用方法があります。
このように、完全に真っ白な地図だからこそ、いろいろな工夫によって地図を完成させていくことができるのです。
こうした過程を経て、実際に手を動かしながら地理的な感覚を養うことが大事です。
視覚·イメージを大切にすること
白地図に情報を書き込むときは、教科書や地図帳をしっかり見て地図のイメージを頭に入れながら、丁寧に書き込みましょう。
決して流れ作業になることなく、丁寧に場所を確認し、その地理を視覚的情報として頭に入れ、イメージしながら白地図に書き込むことが大事です。
単なる流れ作業で用語を書き込んでも、記憶に強く残るとは限りません。
元となる地図をしっかり見て、その地理の視覚·イメージを大切にしながら作業を進めましょう。
せっかく真っ白な白地図を利用するのであれば、単なる暗記で終わらせず、より記憶に残る方法で学習を進めることが大事です。
ちょっとしたテスト形式としても白地図を活用してみよう
各都道府県の用語を覚えたら、今度は何も見ないで白地図を完成させてみましょう。
教科書や地図帳を見ながら用語を書き込むことだけが白地図の勉強法ではありません。
知識をある程度覚えたら、その知識のアウトプットとして白地図を活用することもできるのです。
あらかじめアウトプット用に何枚かコピーし、ちょっとしたテストのような形で活用してみてください。
そこで間違えた箇所、書けなかった箇所などがあれば、もう一度教科書·地図帳を確認し、再度ほかの白地図に書き込んで覚えるなど、しっかり復習することも必要です。
真っ白な白地図とは異なる市販テキストの場合
先ほど述べたような白地図のテキストの中には、真っ白な白地図とは異なる形式のものもあります。
「地図中の河川名を答えなさい」「地図中の地名を書きなさい」といった形で問題文と空欄が設けられ、純粋な白地図とはまた異なる仕様になっています。
ただ、こうしたテキストは中学受験に対応したものもあり、真っ白な白地図とはまた異なる形で有効活用していくことが可能です。
作業ノートやトレーニング帳・ドリルのような使い方が可能
こうした市販テキストは、作業ノートやトレーニング帳·ドリルのような感覚で活用できます。
真っ白な白地図と異なり、自分一人で地図を完成させていくというわけではありませんが、一問一答のような形式で用語を一つひとつ覚えていくことが可能です。
ただし、このようなテキストの場合でも、都道府県ごとに丁寧に進めることが好ましいでしょう。
元となる教科書や地図帳の地図のイメージを頭に入れながら、一つひとつ丁寧に書き込み、少しずつ用語を覚えていきましょう。
視覚·イメージの大切さは、先ほど述べた真っ白な白地図の活用法と同じです。
より記憶に残りやすい方法で、地理的感覚を磨いていくことを意識しましょう。
中学受験に対応した白地図テキスト!視覚・イメージを重視した勉強を意識してみよう
中学受験に対応した白地図のテキストもあります。
受験生であれば尚更、知識の量と正確さが求められますので、白地図形式のテキストで地理的感覚を磨きながら勉強するメリットは高いでしょう。
一方、受験勉強の中で白地図を活用する場合、時間的な余裕はどうしても少なくなりがちです。
当然ながら受験勉強は社会以外にもやるべきことはたくさんあり、社会の中でも地理以外に歴史·公民分野を勉強しなくてはなりません。
地理の勉強だけをあまりに優先的にやることはできないので、他の分野·単元や科目とのバランスはしっかり考慮する必要があります。
そのことを前提としたうえで、地理的感覚を磨きながら丁寧に学習を進めてみてください。
せっかく白地図のテキストを活用するのですから、決して流れ作業になることなく、視覚·イメージを重視した勉強を意識してみましょう。
白地図を使った地理の先取り学習の進め方
地理の勉強の開始とともに白地図を活用するケースのほか、白地図を地理の先取り学習に使うこともできます。
白地図の勉強は、普通の問題集やドリルなどとは異なり、とにかく作業力が重視されます。
用語を書き込むだけでなく、場合によっては地図に色を塗ったりすることもありますので、作業力·集中力が大切になるでしょう。
一方、こうした作業によって地理的感覚を鍛え、記憶に残る形で用語を覚えていくと、地理の勉強が本格化したときに何かと役立ちます。
地理の勉強は小学校3年生から始まりますが、その少し前から白地図に触れさせ、地理的感覚を磨いておけば、いざ地理の勉強を始めたときにスムーズなスタートを切ることができるでしょう。
特に中学受験をする場合であれば尚更、なるべく先取り学習をしておいて損はありません。
その一環として白地図を活用することもできるわけです。
先取り学習が絶対に必須なわけではない理由
ただし、先取り学習が絶対に必要とまでは言えません。
小学生のうちはなるべく遊ばせることも重要ですし、これは受験生も例外ではありません。
このあたりは各ご家庭によって判断が分かれるかと思いますが、絶対に先取り学習をしないといけないわけではないのです。
そのうえで、もし余裕があれば、小さい頃から身近な地図に触れさせ、地理的な感覚を少しでも磨いておくと良いでしょう。
そして、こうした先取り学習の一環として白地図を活用することもでき、地理を身近な存在にしておくと何かと便利になります。
まとめ
今回は、小学生の地理で活用できる白地図とその勉強法などをご紹介していきました。
白地図は、真っ白な地図に自分で情報を書き込んでいく作業を通じ、地理的な感覚を磨くことができます。
また、山脈名などの用語を記入するだけでなく、山地や山脈の部分に色を塗ったりなど、自分なりに工夫して地図を作り上げることが可能です。
まっさらな地図に情報を書き込むことで、「自分で地図を完成させていく」という醍醐味を味わうことが白地図の大きな特徴でしょう。
一方で、完全に真っ白な地図というわけではなく、「地図中の河川名を答えなさい」「地図中の地名を書きなさい」のような形で問題文と空欄が設けられているような白地図もあります。
こうした形式の白地図は問題集やドリルに近く、一問一答形式で用語を一つひとつ確認していくことができます。
そして、いずれの形式の白地図でも、とにかく教科書や地図帳の地図を正確に確認し、しっかりイメージしながら書き込むことが大事です。
流れ作業で用語を書き込むのではなく、地図を視覚的情報としてしっかり頭に入れ、そのイメージのまま白地図に記入していく必要があります。
こうした視覚·イメージを駆使した作業により、地理的な感覚が養われ、それぞれの用語名も記憶に残りやすくなるのです。
また、このような白地図を地理の先取り学習として活用することも可能です。
地理の勉強をスムーズにスタートさせるためにも、ぜひ白地図を有効活用してみてください。