受験生の記憶術!記憶のメカニズムを利用して志望校に合格する方法

憶のメカニズムを知る心理学に認知心理学という分野があります。認知心理学は情報分析の観点から生体の認知活動を研究する分野です。

この分野では「記憶のメカニズム」が研究されています。

受験生は受験範囲を「記憶」するという作業を行っています。

したがって、受験生はこの「記憶のメカニズム」を理解すると、勉強が合理的になります。

記憶は必ず忘れる

記憶に関することで最も大切なことは、「記憶」は必ず忘れ去られる、ということです。

受験生にとっては何とも恐ろしい話から始まったように思われるかもしれませんが、人の記憶とは、時間が経てば忘れ去られるのです。

このメカニズムは、人が生きていく上でとても大切な役目を果たしています。

結論から言うと、記憶が忘れ去られるのは、大切なものとそうでないものを分別するためなのです。

大切なものは記憶が残り、どうでもいいものは忘れていく、ということです。

そうでなければ、見たり聞いたりしたものをみんな記憶していたら、人は生きていけません。

では受験生はどうしたら受験に必要な知識を試験日まで記憶することができるのでしょう。

ヒントは認知心理学で分けられた三種類の記憶の中にあります。

認知心理学における三種類の記憶

 感情記憶

感覚記憶は、日頃耳や目から入ってくる情報です。それらを一瞬記憶してそして忘れてしまう記憶です。

代表的な例が、道を歩いていて街並みが見え、人が行き過ぎ、そして様々な音が耳に入ってきます。

これらは見たり聞いたりした瞬間、忘れ去ります。

短期記憶

短期記憶は、受験生の皆さんが必至で覚える試験に出る知識が代表的な例です。

受験生は、頑張って覚えるのですが、記憶は日が経つにつれて薄れてきます。

エビングハウスの忘却曲線というのがありますが、100覚えた記憶が、1時間後には44%になり、1日経つと28%、そして1か月後には21%しか残っていないという実験結果です。

エビングハウスの忘却曲線
出典:http://free-academy.jp/junior/index.php?エビングハウスの忘却曲線

長期記憶

最後の長期記憶が文字通り、いつまでも忘れない記憶です。

例としては、掛け算の九九、ひらがな、カタカナ、そして漢字などでしょう。

短期記憶が長期記憶になっていくのですが、そのメカニズムは「繰り返し」です。

日常的に繰り返し使うことで、短期記憶が長期記憶に変わっていくのです。

九九やカナを覚えたときのことを思い出してください。

繰り返しくりかえし、覚えるまで練習したはずです。

そして、一度覚えた後も日常的に使ったはずです。

短期記憶を長期記憶に変えていくのは、日常的に繰り返すことだということが理解できたでしょうか。

記憶のメカニズムは受験に応用できない

ではこの記憶のメカニズムを受験に応用するとしたらどうなるでしょうか?

結論から言うと、時間が足りない、ということになるでしょう。

記憶のメカニズムから導き出された、繰り返し覚える、という記憶術を実践すると、膨大な試験に必要な知識を覚えるためには、時間がありません。

もう少し合理的な記憶術を考えてみましょう。

先ほどエビングバーグという人が実験した、忘却曲線を紹介しましたが、これを活用してみましょう。

すなわち、忘れる前に復習するということです。

エビングバーグの実験からわかることは、忘れる前に復習すればいいということです。

ざっくりというと、勉強した翌日、一週間後、一月後に復習すれば忘れないで済む、ということになります。

この方法を使えば、忘れる前に復習するのですから長期記憶に近づくことになりそうです。

しかし、このやり方でもまだ勉強時間が半端ないほどかかります。

大学入試も膨大ですが、高校入試も全科目の量を考えるとかなりのものです。

記憶のもう一つの特性は、大切なものを記憶し、そうでないものは忘れる、ということです。

大切なものだけを繰り返し学習して覚えることで、もう少し合理的な学習ができそうです。

暗記をしながら勉強をする子供

大切な事項だけ記憶することが合格の近道

大切(=重要)な事項とそうでないものをどうやって区別する実は、塾や私立の中高一貫校で行われているのは、この分別であると言っても過言ではありません。

そこが一般の中学、高校と違うところなのです。一般の中学、高校は文部省で定められた教科書に沿って、まんべんなく勉強していきます。

それは学問といってもいいでしょう。

それに対し、私立の進学校や進学塾では、受験に特化した授業や講義を行うのです。

中高一貫校は、六年間で学ぶ内容を、五年で終わらせます。そして、最後の一年を受験対策に充てるのです。

また、進学塾でカリスマ講師と呼ばれる人たちは、例えば東大の受験問題を傾向分析し、必要最小限の知識で入学させる技術を持っているのです。

カリスマ講師が「今でしょう」というのは、一種のパフォーマンスで、精神論で東大に合格させているのではありません。

それによってどういうことが起こるのかというと、「記憶」する分量が減量されることになるのです。

記憶術の受験対策は、記憶する事項を減らす、ということです。

進学塾のカリスマ講師と呼ばれる方々は、教え方が上手なことに加え、大切なこと(必ず記憶しておかねばならないこと)とそうでないものの分別を巧みに講義に取り入れているのです。

大学毎の傾向を掴み、分析することで記憶する事項の重要性を分別しているのです。

だから、成績が上がるのです。また、進学率(合格率)も当然上がってくるのです。

成績が伸びる子と伸びない子

受験合格への近道とは?

受験生の親御さんは勉強しなさい、勉強しなさいと机にお子さんを追い立てていませんか?

子どもが机に向かってさえいれば安心、というのが普通でしょうが、こと受験に関しては、無駄な努力をしている、と言わざるを得ません。

子どもたちに長時間勉強させて、できるだけ多くの知識を暗記させることが大事と思い込んでいるために、お子さんを長時間机に向かわせる結果になるのです。

受験という観点からすると、子どもを中高一貫校へ進学させたり、進学塾へ通わせるという選択は、合格への近道という意味で正しい選択肢の一つと言えるでしょう。

受験の記憶術の第一歩は、いかに記憶する事柄を少なくするか、ここから始めるべきということです。